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温厚な人ほど…。
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ついでに言うとここからの顛末も酷いものだった。
…いや、全体的に見ると綺麗に収まる所に収まったが、ミドリからしてみれば酷いものだった。
人族の国との戦争は戦争を推進した人族の現王を王座から降ろし、和睦に協力的なソレーユを王に据えるという形をとる事となった。
…のだが、現王を下ろした途端、「俺、王に向いてないと思うんだよね。」とソレーユはミドリにその座を譲渡した。
そうなると魔族と人族の国を平等にどう統治していくかと模索していると「じゃあ、僕も優秀そうな魔王さんに任せるね。」とラヨネがサラッと獣人の国を押し付けた。
自身の国に人族の国に獣人の国。
この世界にある全ての国を押し付けられるという形で手に入れてしまったミドリ。
ある意味、魔王の悲願である世界征服を達成してしまった。
だが、ミドリは全く嬉しくない。
そもそも、一国で充分治めるのが辛かったのに三国分…。しかも、異なる種族を束ねなければならない。
ストレスは最大値。
胃はキリキリ痛い。
そして、ふと気付けばコタの隣にはあの二人がいる。
毎回毎回、コタの隣にはミドリに国を押し付けたあの二人が居る。
ミドリはそこでやっと気付いた。
自身はしてやられたのだと…。
「コ、コタから故意に引き離されてる!?」
あの二人は国主としてミドリに国を託したのではない。
面倒ごとを全て押し付けた上に一番、自身の目的の邪魔となるであろうミドリをてらっと蹴落とそうとしているのだ。
勿論。
それに気付いたミドリは二人を国主として立て、ミドリがほぼ一人でやっていた仕事を割り振った。
ソレーユは「まぁ、しょうがないか。向いてないと思ったんだけどね。」とすぐに了承した。
ラヨネは「チッ。バレたか。」と嫌々引き受けた。
しかし、それでもラヨネだけは常にコタの隣にいる。
気付けば隣にいる。
そして、更に気付いたのはソレーユは天然。ラヨネは確信犯。
全ての元凶はラヨネ。
ミドリの人生最大の敵は勇者ではなかった。
「は?僕がアンタを出し抜いてコタと一緒にいる?…違うでしょ。アンタが僕より効率的に仕事が回せないだけでしょ?僕はきちんと仕事をこなしてここにいるよ。」
あの歳にしてラヨネは結構キレ者で、部下の効率のいい使い方もミドリよりよく分かっていた。
そして口では一切勝てない。
全く勝てない。
ミドリに助力しようとしたアヴァリスも毎回心が折れて泣いていた。
「へぇ…。アンタのくだらない嫉妬せいでコタが斬られるハメになったんだ。…へぇ。…へぇー。」
「うぅ…。美人も怖いが最近の子供も怖いっ…。心がっ心が抉られるッ…。」
基本的にラヨネはコタ以外はどうでもいい。
コタ以外に優しくする必要などないので、邪魔な者やコタに害をなした者にはとことん容赦がない。
しかし、ラヨネは若い分人生経験が少ない。
特に温厚な人柄の相手がキレた時が一番厄介だという事を知らなかった。
ミドリの限界はとっくに限界値を突破していた。
ここからが本番。妾の可愛い可愛いミドリの本気はここからじゃ!!
……。
…………。
「なぁ。何やってんだ…。」
先程からマイクっぽいものを持ち、さも楽しそうにミドリの心境に副音声をつけているシャルマンに引き気味に声を掛けた。
「何って、我が愛しい愛しいミドリの心を代弁しておるのじゃ。我が息子の伴侶よ。」
「代弁…。」
「ちょっと待って。なんでコタが勝手にアンタの息子の伴侶にされてんの?」
隣にいたラヨネが最後の言葉が聞き捨てならないとシャルマンに食ってかかる。
しかし、ふと俺の身体がふわりと浮き、目に見えてラヨネが慌てる。
急に浮いたと思ったらミドリが俺を肩に担いでいた。その目は完全にイッていて、流石の俺もこのまま連れて行かれたら不味いと悟った。
「ほれ、見よ。追い詰められた普段キレない相手は怖いぞ。その上、お預けを喰らい続けたからの。どうしたものか。」
「待て待て待て!?ちょっと待てッ!!」
「ちょっと!!コタを離せッ。」
ミドリはラヨネに言葉では勝てない。
だが、力の差は天と地程。
力ではラヨネはミドリに勝てない為、ラヨネはミドリを止めきれない。
「……。」
「ちょっと。ちょっと待てって!?」
部屋まで素早く転移魔法で直行…と、思ったが、澄んだ空気が鼻を通り肺を満たした。
目の前に広がるのは青々とした新緑。
木々の合間に緑に侵食された古ぼけたテントが見えた。
…いや、全体的に見ると綺麗に収まる所に収まったが、ミドリからしてみれば酷いものだった。
人族の国との戦争は戦争を推進した人族の現王を王座から降ろし、和睦に協力的なソレーユを王に据えるという形をとる事となった。
…のだが、現王を下ろした途端、「俺、王に向いてないと思うんだよね。」とソレーユはミドリにその座を譲渡した。
そうなると魔族と人族の国を平等にどう統治していくかと模索していると「じゃあ、僕も優秀そうな魔王さんに任せるね。」とラヨネがサラッと獣人の国を押し付けた。
自身の国に人族の国に獣人の国。
この世界にある全ての国を押し付けられるという形で手に入れてしまったミドリ。
ある意味、魔王の悲願である世界征服を達成してしまった。
だが、ミドリは全く嬉しくない。
そもそも、一国で充分治めるのが辛かったのに三国分…。しかも、異なる種族を束ねなければならない。
ストレスは最大値。
胃はキリキリ痛い。
そして、ふと気付けばコタの隣にはあの二人がいる。
毎回毎回、コタの隣にはミドリに国を押し付けたあの二人が居る。
ミドリはそこでやっと気付いた。
自身はしてやられたのだと…。
「コ、コタから故意に引き離されてる!?」
あの二人は国主としてミドリに国を託したのではない。
面倒ごとを全て押し付けた上に一番、自身の目的の邪魔となるであろうミドリをてらっと蹴落とそうとしているのだ。
勿論。
それに気付いたミドリは二人を国主として立て、ミドリがほぼ一人でやっていた仕事を割り振った。
ソレーユは「まぁ、しょうがないか。向いてないと思ったんだけどね。」とすぐに了承した。
ラヨネは「チッ。バレたか。」と嫌々引き受けた。
しかし、それでもラヨネだけは常にコタの隣にいる。
気付けば隣にいる。
そして、更に気付いたのはソレーユは天然。ラヨネは確信犯。
全ての元凶はラヨネ。
ミドリの人生最大の敵は勇者ではなかった。
「は?僕がアンタを出し抜いてコタと一緒にいる?…違うでしょ。アンタが僕より効率的に仕事が回せないだけでしょ?僕はきちんと仕事をこなしてここにいるよ。」
あの歳にしてラヨネは結構キレ者で、部下の効率のいい使い方もミドリよりよく分かっていた。
そして口では一切勝てない。
全く勝てない。
ミドリに助力しようとしたアヴァリスも毎回心が折れて泣いていた。
「へぇ…。アンタのくだらない嫉妬せいでコタが斬られるハメになったんだ。…へぇ。…へぇー。」
「うぅ…。美人も怖いが最近の子供も怖いっ…。心がっ心が抉られるッ…。」
基本的にラヨネはコタ以外はどうでもいい。
コタ以外に優しくする必要などないので、邪魔な者やコタに害をなした者にはとことん容赦がない。
しかし、ラヨネは若い分人生経験が少ない。
特に温厚な人柄の相手がキレた時が一番厄介だという事を知らなかった。
ミドリの限界はとっくに限界値を突破していた。
ここからが本番。妾の可愛い可愛いミドリの本気はここからじゃ!!
……。
…………。
「なぁ。何やってんだ…。」
先程からマイクっぽいものを持ち、さも楽しそうにミドリの心境に副音声をつけているシャルマンに引き気味に声を掛けた。
「何って、我が愛しい愛しいミドリの心を代弁しておるのじゃ。我が息子の伴侶よ。」
「代弁…。」
「ちょっと待って。なんでコタが勝手にアンタの息子の伴侶にされてんの?」
隣にいたラヨネが最後の言葉が聞き捨てならないとシャルマンに食ってかかる。
しかし、ふと俺の身体がふわりと浮き、目に見えてラヨネが慌てる。
急に浮いたと思ったらミドリが俺を肩に担いでいた。その目は完全にイッていて、流石の俺もこのまま連れて行かれたら不味いと悟った。
「ほれ、見よ。追い詰められた普段キレない相手は怖いぞ。その上、お預けを喰らい続けたからの。どうしたものか。」
「待て待て待て!?ちょっと待てッ!!」
「ちょっと!!コタを離せッ。」
ミドリはラヨネに言葉では勝てない。
だが、力の差は天と地程。
力ではラヨネはミドリに勝てない為、ラヨネはミドリを止めきれない。
「……。」
「ちょっと。ちょっと待てって!?」
部屋まで素早く転移魔法で直行…と、思ったが、澄んだ空気が鼻を通り肺を満たした。
目の前に広がるのは青々とした新緑。
木々の合間に緑に侵食された古ぼけたテントが見えた。
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