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雨の王城探索ツアー
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首輪の性能を調べるにはやはり動いてみる事が大切だ。
だがしかーし、アルトワルトに怪しまれない範囲でうまく探る必要がある。
そこで考えたのは王城のまだ行った事ない場所に行ってみようツアー。
ちょっとした冒険心を満たしながらも首輪の性能も確かめられるとっても素敵なツアー。
「今日は自由にプラプラしてて良いっすかね。ソファーなくなっちゃったし。」
「好きにしろ。」
ウキウキワクワクしながら一応、アルトワルトにお伺いをたててみたが即答。
そんなにこの首輪は有能なのだろうか。
もしや、位置を知らせる何かが仕込まれていたりもするのだろうか。
そう思考を巡らせながらもニコニコと笑っているとアルトワルトがクイクイッと指で僕を呼ぶ。
何だろうと疑問に思いつつも大人しく従うと僕を呼んだ指がグイッと僕の顎を上げた。少し苛立ちが浮かんだ青い瞳が僕の瞳の色が混ざりそうな程の至近距離で見据える。
「ただ騎士団屯所には近付くな。」
「流石にそこまで呑気じゃないっすよ。昨日の今日でまたやらかす気はないっす。」
どうだか、と怪訝な表情を浮かべた。
僕だってまさか色仕掛けした相手にばったり会うとは。その上、惚れられるとは思わなんだ。
ー クラヴィスくんには悪い事をしたっすね。
しかしまぁ、かなり苦いがいい経験にはなっただろう。
あれだけ面倒な修羅場を経験したんだ。
流石にもう僕に気はない筈だが…。
ー 近付かないが吉。
面倒事は御免だし、目的達成に今回、騎士は必要ないし、色仕掛けも必要ない。
アルトワルトの目を掻い潜り、城から出て、オルニに会う。
二十分くらいあれば、高い所から目を凝らせば充分、帝都に潜伏しているオルニを見つける事は人より少しいい目を持つ僕には可能だ。
ー まぁ、別に街に下りていいとは行ってたっすけどね。
アルトワルトは何処でも自由に行っていいと言っていた。
しかし、流石にその言葉を全て鵜呑みにする訳にはいかない。
今日はどの位の時間離れていてもアルトワルトが首輪を使用したり、連れ戻しに来たりしないか調べる。
「でも雨なんすよね。今日。」
少し残念だなとザーザーと降り頻る雨を窓から眺めた。
何時もは食堂と魔術課、アルトワルトの部屋しか行き来しない所を足を伸ばして、僕が入っても大丈夫な区域を選んで散歩している。
初めて来た場所は魔術課や食堂がある棟よりも煌びやかで書庫や温室などの面白そうな施設が配備されていた。
書庫も温室もアルトワルトに今朝もらった身分証のブレスレットを見せると実に簡単に入れた。
書庫も中々面白い蔵書があり、温室も珍しい南国の花なんかを見る事が出来て面白かったが何より楽しかったのは身分証のブレスレットを見た人達の反応だった。
見せる人見せる人、「嘘だろ!? 」っという表情を浮かべながら何度も身分証のブレスレットを見て、僕の顔を二度見三度見する。
アルトワルトの性格を知らず、恋愛感情を抱く方々には中々に嫉妬溢れる表情で睨まれた。
アルトワルトの性格を知っている者には「頑張って下さい。応援しています。」と何故だか応援され、「末長く手綱を引っ張り続けて下さい。」と藁にもすがるように手を握られた。……一体、その人達とアルトワルトの間に何があったのか。知りたいような、知りたくないような…。
……ともかく、面白かったは面白かった。
ただ窓の外に見えた芝生がとても寝心地が良さそうで、雨で寝転がれないのが少し残念で仕方がない。
ー 決行は二日後。それまでに晴れて寝転げるといいんすけど。
折角青々として元気の良い芝生。
寝心地を堪能出来ないのは中々に惜しい。
ふと開いている部屋の奥に置いてある時計を見ると短い針が十二を指している。
ー そういや、もう四時間くらいは経ってるっすね。
朝八時に朝食を一緒に食べて別れてから四時間。
アルトワルトが連れ戻しに来る気配も命令が来る気配も感じられない。
昨日は一、二時間程度で連れ戻しに来たが、今日は何故か来ない。
「何考えてるか分かんないからな、アルトは。」
昨日連れ戻しに来たのは気紛れか。
それとも今日連れ戻しに来ないのが気紛れか。
ー 昼抜いてもうちょっとブラブラしてみるっすかね。
書庫に戻って本でも読んで暇潰ししようかと歩いていると副師長が何だかヤケに目をキョロキョロさせて、温室に入っていくのが見えた。
ー 秘密の匂いがするっすね。
その姿に思わず好奇心がそそられる。
温室に入る時、副師長が大事そうに紙袋を抱えていたのも見えた。
あの中身はなんだろう。
あの紙袋からは一層強い秘密の匂いがする。
ー 気になる。とっても気になる。
秘密。
なんて甘美な響きなんだろうか。
まるでお宝の箱を開けるようなワクワク感。
押してはいけない言われたボタンの前に立たされるようなウズウズと好奇心が湧く。
ー こーゆーの好物なんすよね、僕。
下世話だというのは百も承知。
人はやるなと言われればやりたくなるもの。
知るなと言われれば知りたくなるもの。
気付けば書庫に向かう筈だった脚は自然と温室に向かっていく。
一体どんな秘密が待っているのいうのだろう。
ワクワクが止まらない。
だがしかーし、アルトワルトに怪しまれない範囲でうまく探る必要がある。
そこで考えたのは王城のまだ行った事ない場所に行ってみようツアー。
ちょっとした冒険心を満たしながらも首輪の性能も確かめられるとっても素敵なツアー。
「今日は自由にプラプラしてて良いっすかね。ソファーなくなっちゃったし。」
「好きにしろ。」
ウキウキワクワクしながら一応、アルトワルトにお伺いをたててみたが即答。
そんなにこの首輪は有能なのだろうか。
もしや、位置を知らせる何かが仕込まれていたりもするのだろうか。
そう思考を巡らせながらもニコニコと笑っているとアルトワルトがクイクイッと指で僕を呼ぶ。
何だろうと疑問に思いつつも大人しく従うと僕を呼んだ指がグイッと僕の顎を上げた。少し苛立ちが浮かんだ青い瞳が僕の瞳の色が混ざりそうな程の至近距離で見据える。
「ただ騎士団屯所には近付くな。」
「流石にそこまで呑気じゃないっすよ。昨日の今日でまたやらかす気はないっす。」
どうだか、と怪訝な表情を浮かべた。
僕だってまさか色仕掛けした相手にばったり会うとは。その上、惚れられるとは思わなんだ。
ー クラヴィスくんには悪い事をしたっすね。
しかしまぁ、かなり苦いがいい経験にはなっただろう。
あれだけ面倒な修羅場を経験したんだ。
流石にもう僕に気はない筈だが…。
ー 近付かないが吉。
面倒事は御免だし、目的達成に今回、騎士は必要ないし、色仕掛けも必要ない。
アルトワルトの目を掻い潜り、城から出て、オルニに会う。
二十分くらいあれば、高い所から目を凝らせば充分、帝都に潜伏しているオルニを見つける事は人より少しいい目を持つ僕には可能だ。
ー まぁ、別に街に下りていいとは行ってたっすけどね。
アルトワルトは何処でも自由に行っていいと言っていた。
しかし、流石にその言葉を全て鵜呑みにする訳にはいかない。
今日はどの位の時間離れていてもアルトワルトが首輪を使用したり、連れ戻しに来たりしないか調べる。
「でも雨なんすよね。今日。」
少し残念だなとザーザーと降り頻る雨を窓から眺めた。
何時もは食堂と魔術課、アルトワルトの部屋しか行き来しない所を足を伸ばして、僕が入っても大丈夫な区域を選んで散歩している。
初めて来た場所は魔術課や食堂がある棟よりも煌びやかで書庫や温室などの面白そうな施設が配備されていた。
書庫も温室もアルトワルトに今朝もらった身分証のブレスレットを見せると実に簡単に入れた。
書庫も中々面白い蔵書があり、温室も珍しい南国の花なんかを見る事が出来て面白かったが何より楽しかったのは身分証のブレスレットを見た人達の反応だった。
見せる人見せる人、「嘘だろ!? 」っという表情を浮かべながら何度も身分証のブレスレットを見て、僕の顔を二度見三度見する。
アルトワルトの性格を知らず、恋愛感情を抱く方々には中々に嫉妬溢れる表情で睨まれた。
アルトワルトの性格を知っている者には「頑張って下さい。応援しています。」と何故だか応援され、「末長く手綱を引っ張り続けて下さい。」と藁にもすがるように手を握られた。……一体、その人達とアルトワルトの間に何があったのか。知りたいような、知りたくないような…。
……ともかく、面白かったは面白かった。
ただ窓の外に見えた芝生がとても寝心地が良さそうで、雨で寝転がれないのが少し残念で仕方がない。
ー 決行は二日後。それまでに晴れて寝転げるといいんすけど。
折角青々として元気の良い芝生。
寝心地を堪能出来ないのは中々に惜しい。
ふと開いている部屋の奥に置いてある時計を見ると短い針が十二を指している。
ー そういや、もう四時間くらいは経ってるっすね。
朝八時に朝食を一緒に食べて別れてから四時間。
アルトワルトが連れ戻しに来る気配も命令が来る気配も感じられない。
昨日は一、二時間程度で連れ戻しに来たが、今日は何故か来ない。
「何考えてるか分かんないからな、アルトは。」
昨日連れ戻しに来たのは気紛れか。
それとも今日連れ戻しに来ないのが気紛れか。
ー 昼抜いてもうちょっとブラブラしてみるっすかね。
書庫に戻って本でも読んで暇潰ししようかと歩いていると副師長が何だかヤケに目をキョロキョロさせて、温室に入っていくのが見えた。
ー 秘密の匂いがするっすね。
その姿に思わず好奇心がそそられる。
温室に入る時、副師長が大事そうに紙袋を抱えていたのも見えた。
あの中身はなんだろう。
あの紙袋からは一層強い秘密の匂いがする。
ー 気になる。とっても気になる。
秘密。
なんて甘美な響きなんだろうか。
まるでお宝の箱を開けるようなワクワク感。
押してはいけない言われたボタンの前に立たされるようなウズウズと好奇心が湧く。
ー こーゆーの好物なんすよね、僕。
下世話だというのは百も承知。
人はやるなと言われればやりたくなるもの。
知るなと言われれば知りたくなるもの。
気付けば書庫に向かう筈だった脚は自然と温室に向かっていく。
一体どんな秘密が待っているのいうのだろう。
ワクワクが止まらない。
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