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帰りましょうよ
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しょうがなく、乱闘が終わるのを眺めていると、ふと、目の前にクッキーが現れた。
「暇なら僕を匿って? これは賄賂。」
ニッコリと人畜無害そうな笑みを浮かべて、少し空気な王子は私の横に腰を落とした。
「また、逃走ですか? 」
「ちょっとね。息抜き。」
クッキを一口齧ると口の中でふわっと解け、優しい甘さだけ残した。余韻に浸っていると物欲しそうに見えたのかリヒト王子は自身の分も私にくれた。この王子、ここが王宮の目と鼻の先にある為、よく抜け出してくる。友『友人』に会う為にわざわざ。
「シュヴェルトならあの乱闘中ですよ。」
「あの中に入る勇気は僕にはないよ。」
あははと苦笑いを浮かべると私の髪を一房、持ち上げた。
「汗かいてて臭いですよ。」
「そんな事ないよ。それにシュネーの髪の色は雪みたいに真っ白だから見ていて落ち着くんだよ。」
「そうですか。」
「うん、僕は雪の日が好きでね。何でか雪見るとホッと心が軽くなるんだよ。何故か心が温かくなるんだ。」
フワッと優しい笑みがリヒト王子の顔に浮かぶ。
「今年は雪降らないかな。」
黄金色の髪が風になびく。
空のように青い瞳が待ちわびるように空を見る。その姿を見るとますます王子らしい華もオーラも感じない。何処までも穏やかで優しい雰囲気を纏っている。
ー この人はきっと王族じゃない方が幸せなんだろうな。
シュネーの事を考えれば、この人に近付きたいない。きっとこの人の人生は波乱が満ちているから。しかし心の何処かで「幸せになって欲しい。」っと何故か思っている自分もいる。
ー 何だか不思議と隣に居ると安心するんだよな。この王子。
「確か来年は十一歳だよね。楽しみだな、シュネーが学園に来るの。」
「もし、呼び出す時はせめてエリアス様抜きでお願いします。」
「君達兄弟のように仲が良いんじゃなかったの? 様呼びだし…。寧ろ、シュヴェルトとの方が仲良いよね、君。」
そりゃあ、出まかせだがら仲良い訳ないじゃん。寧ろ、嫌いだよ。
エリアスとの事を思うと憂鬱になる。
この国の貴族は皆、王都にあるゴルド・ローゼ学園に例外なく六年間通わなくてはいけない。六年間もトラウマの権化の居る学園に通わなければいけない(実際は二歳上なのでかぶるのは四年間だが)。同じ所に通っていて一度も会わないで済む訳がない。寧ろ、毎日会う事になるんじゃないかという恐怖もある。
ー 兄上も三年間一緒だけど…。いや、兄上だからなぁ…。
溜息が止まらない。
シュネーの新しい門出に希望が持てない。
「あっ、乱闘終わった。あの子シュネーを呼んでるよ。」
「手合わせの約束してるんですよ。」
声は上げないが、ブンブンとアルヴィンがこちらに手を振り、来いと言っている。乱闘の主要人物達が騎士団長に引きずっていかれるのが見えたが、あれは自業自得。無視しよう。
「じゃあ、私は戻ります。」
「分かった。君の勇姿を見てるよ。」
「いや、帰りましょうよ。」
結局、リヒト王子は私とアルヴィンの手合わせを最後まで見て帰っていった。
「暇なら僕を匿って? これは賄賂。」
ニッコリと人畜無害そうな笑みを浮かべて、少し空気な王子は私の横に腰を落とした。
「また、逃走ですか? 」
「ちょっとね。息抜き。」
クッキを一口齧ると口の中でふわっと解け、優しい甘さだけ残した。余韻に浸っていると物欲しそうに見えたのかリヒト王子は自身の分も私にくれた。この王子、ここが王宮の目と鼻の先にある為、よく抜け出してくる。友『友人』に会う為にわざわざ。
「シュヴェルトならあの乱闘中ですよ。」
「あの中に入る勇気は僕にはないよ。」
あははと苦笑いを浮かべると私の髪を一房、持ち上げた。
「汗かいてて臭いですよ。」
「そんな事ないよ。それにシュネーの髪の色は雪みたいに真っ白だから見ていて落ち着くんだよ。」
「そうですか。」
「うん、僕は雪の日が好きでね。何でか雪見るとホッと心が軽くなるんだよ。何故か心が温かくなるんだ。」
フワッと優しい笑みがリヒト王子の顔に浮かぶ。
「今年は雪降らないかな。」
黄金色の髪が風になびく。
空のように青い瞳が待ちわびるように空を見る。その姿を見るとますます王子らしい華もオーラも感じない。何処までも穏やかで優しい雰囲気を纏っている。
ー この人はきっと王族じゃない方が幸せなんだろうな。
シュネーの事を考えれば、この人に近付きたいない。きっとこの人の人生は波乱が満ちているから。しかし心の何処かで「幸せになって欲しい。」っと何故か思っている自分もいる。
ー 何だか不思議と隣に居ると安心するんだよな。この王子。
「確か来年は十一歳だよね。楽しみだな、シュネーが学園に来るの。」
「もし、呼び出す時はせめてエリアス様抜きでお願いします。」
「君達兄弟のように仲が良いんじゃなかったの? 様呼びだし…。寧ろ、シュヴェルトとの方が仲良いよね、君。」
そりゃあ、出まかせだがら仲良い訳ないじゃん。寧ろ、嫌いだよ。
エリアスとの事を思うと憂鬱になる。
この国の貴族は皆、王都にあるゴルド・ローゼ学園に例外なく六年間通わなくてはいけない。六年間もトラウマの権化の居る学園に通わなければいけない(実際は二歳上なのでかぶるのは四年間だが)。同じ所に通っていて一度も会わないで済む訳がない。寧ろ、毎日会う事になるんじゃないかという恐怖もある。
ー 兄上も三年間一緒だけど…。いや、兄上だからなぁ…。
溜息が止まらない。
シュネーの新しい門出に希望が持てない。
「あっ、乱闘終わった。あの子シュネーを呼んでるよ。」
「手合わせの約束してるんですよ。」
声は上げないが、ブンブンとアルヴィンがこちらに手を振り、来いと言っている。乱闘の主要人物達が騎士団長に引きずっていかれるのが見えたが、あれは自業自得。無視しよう。
「じゃあ、私は戻ります。」
「分かった。君の勇姿を見てるよ。」
「いや、帰りましょうよ。」
結局、リヒト王子は私とアルヴィンの手合わせを最後まで見て帰っていった。
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