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王都組⑫
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「確かにこれは僕達が適任だね。」
カールは王城の廊下を歩きながら愉快な仲間達に話し掛けた。しかし返事は返ってこない。
一人はどうでも良さそうにそっぽを向き、一人は今にも死にそうな顔をしている。
「……初恋拗らせてる癖に頭固くて面倒臭いんだよアイツ。」
「……オマエは騎士団長補佐だ。何時かは通る道だ。逃げるな、戦え。友の為だ。そう、友の為だ。これは。」
「何だろう。ヴィルマと来た方がよっぽど安心出来るよ。」
僕は今、とても心細いです。
同じ『友人』のフェルゼンと元『友人』のジョセフ。
一瞬、血迷って心強いかも…なんて思った事もありました。そんな事はなかった。最後まで行きたいとゴネていたヴィルマが今、すっごい懐かしい。僕はさっき離れたばかりの君にもう会いたい。
心配だ。
レオノールは何を思って僕等を指名したのか。
ただフェルゼンを追い出したかっただけなのか。
はたと僕は重要な事を思い出した。
「ねえ、…フェルゼンくん。今、執事のルノさんはいるの? 」
ルノの事を聞かれてフェルゼンが目に見えて不機嫌になる。
ねえ、今何故かいない君の執事の事、聞いただけなんだけど。
そんな…、嫌そうな顔しなくても……。
「…陰で待機してるよ。呼ぶ? 面倒な事になってもいいと思うなら。」
「…いや、良いです!! 是非とも呼ばないで下さいッ!! お願いしますッ。」
思わず本音も口走ってしまい、口を押さえた。
マズイ。
陰にいるという事は確実に聞かれた。
ヴィルマ、助けてッ!?
ガタガタと震えながら辺りを見ているとジョセフがやっと何かに打ち勝って戻ってきた。「大丈夫か!? 」と僕の背中をさすってくれる。
うぅっ、もう僕を置いて自分の世界に行かないで!!
頼むからッ!!
するとフェルゼンがふと、歩みを止めた。
「……面倒だからもう消さない? 消して、それらしい影武者立てればいけるよ。」
「ちょっと待って!? 何処がどうなったらそういう思考に辿り着くの!? まだ、着いてもいないよ。」
「……やはり、レオノールは押し付けたのか。」
フェルゼンの目は本気だ。
それにフェルゼンは善人の仮面を被っている時が多いが案外、冗談などの類は言わない。
何時だってフェルゼンは本気だ。
実際、「弟が食べちゃいたい程可愛い。」という毎度毎度会う度に聞かされたブラコン全開の弟談義が比喩じゃなくて本気だった。
おそらく、フェルゼンの言葉は何気ない一言でも聞き逃してはいけない。聞き逃せば、その都度止めなければ the end の可能性がある。冗談ではなく。
ー 僕が…止めるの……?
止まる気がしない。
そもそも僕はブルーノですら止められた事がない。無理難題を押し付けられてその度泣き寝入りだった。
確かにブルーノは我が儘だった。だが、フェルゼンみたいにヤバくはない。フェルゼンと比べれば普通の我が儘っ子だ。
◇
重厚な扉を開けるとサファイアの瞳がこちらを見た。
一瞬、僕の事も見たがどうやら早々に頭の隅からもフェードアウトしたようでただ一点を見つめている。
「ジョゼフ……。」
「お、……お久しぶりです、殿下。」
ジョゼフは居心地の悪そうに部屋に入る。ローレンはそんなジョゼフを穴が開きそうな程サファイアの瞳で凝視する。
あからさま過ぎるよ、ローレン。
そしてローレンの背後に控えるブルーノはここぞとばかりにローレンにバレないようにジョゼフを睨む。
君もあからさま過ぎるよ、ブルーノ。
「この空気が心底面倒だから結論から言わせてもらうよ。第二王子の冤罪晴らすから後ろ盾を寄越せ、ローレン。」
この異様な空気をズタズタに引き裂くかのように猛毒が勝手に用件をいきなりぶつける。
あからさま…じゃなくて単刀直入過ぎるよ、フェルゼン。
交渉って言葉知らないの!?
そんなフェルゼンを心底嫌そうな顔でローレンが見る。こんなに嫌そうな顔、『友人』やってきて初めて見たよ。
「どうせ、貴様は貴様の元弟のシュネー・フリューゲルを助けたいだけだろ。ついに薄っぺらい善人の皮も破り捨てたか……。」
「シュネー以外に好かれたいと思ってないしね。……でもこれを飲めば君は王として最高の後ろ盾を手にして、君の邪魔になる膿を潰す事が出来る。悪い話じゃないと思うよ。」
ローレンがその言葉に一考する。
それにフェルゼンが畳み掛ける。
だから、展開が早いって!?
「今、僕は王の影であるシャルロッテ家を掌握している。そして僕達に協力して宰相の罪を露見させれば、君にも邪魔でしかない奴は失脚。レオノール・シルトいや、今はデーゲン夫人か。…まぁ、そこはいいや。とにかく、彼を宰相に立てれば、君の王政は安泰の筈だよ。」
「………。」
僕はただフェルゼンを見た。
あのフェルゼンがきちんと交渉している。でもまたそこが怖い。何処でいきなり物事があらぬ方向に動き出すか分からない。
油断は禁物。
ローレンが何だかフェルゼンに少し感心しているような表情を浮かべて見た。
確かに悪い話ではない。
宰相と対立する事によるリスクはあるが帰ってくる利益は相当なものだ。
今までローレンが持っている後ろ盾はローレン母の公爵家と幼馴染で『友人』のブルーノのベルンハルト公爵家だけだ。確かに公爵家二つの後ろ盾は有力ではある。
ローレンの『友人』はブルーノの他は有力ではあるが伯爵家。そしてローレンの手足となり得る有力で優秀な人材がいない。それと国王になる為には手懐けておかねばならない王家の陰も提供しようというのだ。ローレンが欲しても手に入らなかったものを。
「ふんっ、騙されちゃ駄目だよ、ローレン。コイツらは第二王子の派閥に取り込まれたんだよ。」
背後に控えていたブルーノが鼻高々にそう言い切る。
言い掛かりだ。
僕達は彼等を助けたいだけでリヒト元王子を王にする気はない。
そもそも前にヴィルマに聞いた話ではリヒト元王子自体も周りが思惑から推すだけで本人はその気はないらしい。それに僕から見てもリヒト元王子は王子に向いていない。ローレンに比べると華がないというのもあるが、そもそも性格的に人を動かすのに向いていない。
ー だから意外だった。シュネー様がリヒト元王子を選んだ事が。
「本当に馬鹿だよね。揃いも揃ってあんなちんちくりんなリヒト相手に。…シュネーだっけ? 王子主催のお茶会であの偉そうに説教かました失礼な奴。アレが一番馬鹿だよね。あんなリヒト如きに身を捧げちゃってさぁ。でも居なくなって清々したな。」
ブルーノが饒舌に彼等を馬鹿にする。
あのお茶会からずっとシュネーに怯えていた癖に。居なくなったらコレか…。
頭が沸騰しそうになる程怒りが湧いてくる。
騎士じゃないけど僕にだって分かる。シュネーはリヒト元王子を全てを捧げても助けたかったんだ。その想いは尊べばすれど馬鹿にされていいものじゃない。それ程シュネーにとっては大切だったんだ、リヒト元王子が。
リヒト元王子だってお前が馬鹿にしていい相手じゃない。リヒト元王子は王子には向いてないけど数倍お前より出来た人間だった。
深く関わらなくてもそれは分かる。
隣で今にも殺しそうな表情を浮かべてジョゼフがブルーノを睨む。だが、ブルーノは自身に酔っているようで止まらない。
「良かったんじゃない? フェルゼンも、結果的にあんな阿呆と縁切れて………。」
僕はこの時、初めて顔面パンチというものを見た。
ブルーノが意気揚々と話し続ける中放たれた容赦のない拳。 その拳は本当に容赦がなく、顔の真ん中を抉るように回転の入った良いパンチだった。
シュネーも思いっきりのいい鋭い言葉を的確に投げつける子だった。暴力に決して訴える性格ではなかったが、そういう思いっきりの良さとかこの兄弟はよく似ている。
思いっきり殴った拳が少し痛かったのか手を何度かフェルゼンがはらう。そして鼻が折れて歯が折れて、呆然とその場に転がるブルーノの胸倉を掴んだ。
「ねぇ、ブルーノ。僕、その話、よぉーく君と二人きりでじっくり、時間を掛けて聴きたいな。」
薄ら寒い笑顔を貼り付けて、フェルゼンがブルーノを引き摺っていく。その後ろを何時の間にかに現れた執事のルノが同じように薄ら寒い笑顔で何処から持ってきたのか分からない教鞭をパシパシッ振りながら付いていく。
ー 帰って…来ないだろうな…。
おそらくこの場に居た全員がそう思った。もしかしたら一生、ブルーノと会う事はないかもしれない。本気でそう思った。会えてももう二度と今までのブルーノとは会う事はないかもしれない。
ローレンは最後までブルーノを目で必死に追っていたが椅子から立つ事はなかった。
多分ローレンが止めても止まらないと感じ取ったのだろう。彼は意外と察しはいい。
僕は僕でブルーノを哀れには思ったが、事が事だけに庇う気にはなれない。それにちょっとフェルゼンが正しいと思ってる自分もいる。
後、僕には手に負えない。
フェルゼンもブルーノも。
ーーーーーーーーーーーーーーー
なんちゃってキャラ紹介
カール・アーバイン
女装癖のある伯爵子爵で、ヴィルマの婚約者。年々女子力を高めていて、趣味は刺繍。ローレン王太子の『友人』。
ヴィルマ・イーリス
なんちゃって男爵令嬢にして前世の記憶持ち。趣味は狩り(素手)。刺繍は出来ない事もないが冊子作る方に専念したいのでやらない。常に欲望に忠実。
フェルゼン・ハースト
最近王家の影と言われる一族、シャルロッテ侯爵家を手中に収めた。元弟のシュネー以外に容赦がない。優秀だが、『友人』であるローレンにも興味が無い。
ルノ
ハースト家の執事。ドS で『オカン』。しかし『オカン』設定が作中で発揮されるかは謎。
ジョゼフ・デーゲン
騎士団長の息子で騎士団長補佐。ローレンとは友人だったがとある出来事で破綻してしまう。未だにローレンの前にすると……。
ローレン王太子
フォルメルン王国の王太子。王としての器はリヒトよりあるが、やはり人としてまだまだである。ジョゼフの事を未だに忘れなれない。
ブルーノ・ベルンハルト
公爵子爵。ローレンとは幼馴染で『友人』。ジョゼフの事を敵視していて、その件を含めて年下のシュネーに説教された。初めて面と向かって怒られて一時期、シュネーを恐れてカール達をこき使う事もなくなっていた。
レオノール・デーゲン
元宰相の息子。ついにフェルゼンにまで目を付けられた可哀想なツンデレ。
カールは王城の廊下を歩きながら愉快な仲間達に話し掛けた。しかし返事は返ってこない。
一人はどうでも良さそうにそっぽを向き、一人は今にも死にそうな顔をしている。
「……初恋拗らせてる癖に頭固くて面倒臭いんだよアイツ。」
「……オマエは騎士団長補佐だ。何時かは通る道だ。逃げるな、戦え。友の為だ。そう、友の為だ。これは。」
「何だろう。ヴィルマと来た方がよっぽど安心出来るよ。」
僕は今、とても心細いです。
同じ『友人』のフェルゼンと元『友人』のジョセフ。
一瞬、血迷って心強いかも…なんて思った事もありました。そんな事はなかった。最後まで行きたいとゴネていたヴィルマが今、すっごい懐かしい。僕はさっき離れたばかりの君にもう会いたい。
心配だ。
レオノールは何を思って僕等を指名したのか。
ただフェルゼンを追い出したかっただけなのか。
はたと僕は重要な事を思い出した。
「ねえ、…フェルゼンくん。今、執事のルノさんはいるの? 」
ルノの事を聞かれてフェルゼンが目に見えて不機嫌になる。
ねえ、今何故かいない君の執事の事、聞いただけなんだけど。
そんな…、嫌そうな顔しなくても……。
「…陰で待機してるよ。呼ぶ? 面倒な事になってもいいと思うなら。」
「…いや、良いです!! 是非とも呼ばないで下さいッ!! お願いしますッ。」
思わず本音も口走ってしまい、口を押さえた。
マズイ。
陰にいるという事は確実に聞かれた。
ヴィルマ、助けてッ!?
ガタガタと震えながら辺りを見ているとジョセフがやっと何かに打ち勝って戻ってきた。「大丈夫か!? 」と僕の背中をさすってくれる。
うぅっ、もう僕を置いて自分の世界に行かないで!!
頼むからッ!!
するとフェルゼンがふと、歩みを止めた。
「……面倒だからもう消さない? 消して、それらしい影武者立てればいけるよ。」
「ちょっと待って!? 何処がどうなったらそういう思考に辿り着くの!? まだ、着いてもいないよ。」
「……やはり、レオノールは押し付けたのか。」
フェルゼンの目は本気だ。
それにフェルゼンは善人の仮面を被っている時が多いが案外、冗談などの類は言わない。
何時だってフェルゼンは本気だ。
実際、「弟が食べちゃいたい程可愛い。」という毎度毎度会う度に聞かされたブラコン全開の弟談義が比喩じゃなくて本気だった。
おそらく、フェルゼンの言葉は何気ない一言でも聞き逃してはいけない。聞き逃せば、その都度止めなければ the end の可能性がある。冗談ではなく。
ー 僕が…止めるの……?
止まる気がしない。
そもそも僕はブルーノですら止められた事がない。無理難題を押し付けられてその度泣き寝入りだった。
確かにブルーノは我が儘だった。だが、フェルゼンみたいにヤバくはない。フェルゼンと比べれば普通の我が儘っ子だ。
◇
重厚な扉を開けるとサファイアの瞳がこちらを見た。
一瞬、僕の事も見たがどうやら早々に頭の隅からもフェードアウトしたようでただ一点を見つめている。
「ジョゼフ……。」
「お、……お久しぶりです、殿下。」
ジョゼフは居心地の悪そうに部屋に入る。ローレンはそんなジョゼフを穴が開きそうな程サファイアの瞳で凝視する。
あからさま過ぎるよ、ローレン。
そしてローレンの背後に控えるブルーノはここぞとばかりにローレンにバレないようにジョゼフを睨む。
君もあからさま過ぎるよ、ブルーノ。
「この空気が心底面倒だから結論から言わせてもらうよ。第二王子の冤罪晴らすから後ろ盾を寄越せ、ローレン。」
この異様な空気をズタズタに引き裂くかのように猛毒が勝手に用件をいきなりぶつける。
あからさま…じゃなくて単刀直入過ぎるよ、フェルゼン。
交渉って言葉知らないの!?
そんなフェルゼンを心底嫌そうな顔でローレンが見る。こんなに嫌そうな顔、『友人』やってきて初めて見たよ。
「どうせ、貴様は貴様の元弟のシュネー・フリューゲルを助けたいだけだろ。ついに薄っぺらい善人の皮も破り捨てたか……。」
「シュネー以外に好かれたいと思ってないしね。……でもこれを飲めば君は王として最高の後ろ盾を手にして、君の邪魔になる膿を潰す事が出来る。悪い話じゃないと思うよ。」
ローレンがその言葉に一考する。
それにフェルゼンが畳み掛ける。
だから、展開が早いって!?
「今、僕は王の影であるシャルロッテ家を掌握している。そして僕達に協力して宰相の罪を露見させれば、君にも邪魔でしかない奴は失脚。レオノール・シルトいや、今はデーゲン夫人か。…まぁ、そこはいいや。とにかく、彼を宰相に立てれば、君の王政は安泰の筈だよ。」
「………。」
僕はただフェルゼンを見た。
あのフェルゼンがきちんと交渉している。でもまたそこが怖い。何処でいきなり物事があらぬ方向に動き出すか分からない。
油断は禁物。
ローレンが何だかフェルゼンに少し感心しているような表情を浮かべて見た。
確かに悪い話ではない。
宰相と対立する事によるリスクはあるが帰ってくる利益は相当なものだ。
今までローレンが持っている後ろ盾はローレン母の公爵家と幼馴染で『友人』のブルーノのベルンハルト公爵家だけだ。確かに公爵家二つの後ろ盾は有力ではある。
ローレンの『友人』はブルーノの他は有力ではあるが伯爵家。そしてローレンの手足となり得る有力で優秀な人材がいない。それと国王になる為には手懐けておかねばならない王家の陰も提供しようというのだ。ローレンが欲しても手に入らなかったものを。
「ふんっ、騙されちゃ駄目だよ、ローレン。コイツらは第二王子の派閥に取り込まれたんだよ。」
背後に控えていたブルーノが鼻高々にそう言い切る。
言い掛かりだ。
僕達は彼等を助けたいだけでリヒト元王子を王にする気はない。
そもそも前にヴィルマに聞いた話ではリヒト元王子自体も周りが思惑から推すだけで本人はその気はないらしい。それに僕から見てもリヒト元王子は王子に向いていない。ローレンに比べると華がないというのもあるが、そもそも性格的に人を動かすのに向いていない。
ー だから意外だった。シュネー様がリヒト元王子を選んだ事が。
「本当に馬鹿だよね。揃いも揃ってあんなちんちくりんなリヒト相手に。…シュネーだっけ? 王子主催のお茶会であの偉そうに説教かました失礼な奴。アレが一番馬鹿だよね。あんなリヒト如きに身を捧げちゃってさぁ。でも居なくなって清々したな。」
ブルーノが饒舌に彼等を馬鹿にする。
あのお茶会からずっとシュネーに怯えていた癖に。居なくなったらコレか…。
頭が沸騰しそうになる程怒りが湧いてくる。
騎士じゃないけど僕にだって分かる。シュネーはリヒト元王子を全てを捧げても助けたかったんだ。その想いは尊べばすれど馬鹿にされていいものじゃない。それ程シュネーにとっては大切だったんだ、リヒト元王子が。
リヒト元王子だってお前が馬鹿にしていい相手じゃない。リヒト元王子は王子には向いてないけど数倍お前より出来た人間だった。
深く関わらなくてもそれは分かる。
隣で今にも殺しそうな表情を浮かべてジョゼフがブルーノを睨む。だが、ブルーノは自身に酔っているようで止まらない。
「良かったんじゃない? フェルゼンも、結果的にあんな阿呆と縁切れて………。」
僕はこの時、初めて顔面パンチというものを見た。
ブルーノが意気揚々と話し続ける中放たれた容赦のない拳。 その拳は本当に容赦がなく、顔の真ん中を抉るように回転の入った良いパンチだった。
シュネーも思いっきりのいい鋭い言葉を的確に投げつける子だった。暴力に決して訴える性格ではなかったが、そういう思いっきりの良さとかこの兄弟はよく似ている。
思いっきり殴った拳が少し痛かったのか手を何度かフェルゼンがはらう。そして鼻が折れて歯が折れて、呆然とその場に転がるブルーノの胸倉を掴んだ。
「ねぇ、ブルーノ。僕、その話、よぉーく君と二人きりでじっくり、時間を掛けて聴きたいな。」
薄ら寒い笑顔を貼り付けて、フェルゼンがブルーノを引き摺っていく。その後ろを何時の間にかに現れた執事のルノが同じように薄ら寒い笑顔で何処から持ってきたのか分からない教鞭をパシパシッ振りながら付いていく。
ー 帰って…来ないだろうな…。
おそらくこの場に居た全員がそう思った。もしかしたら一生、ブルーノと会う事はないかもしれない。本気でそう思った。会えてももう二度と今までのブルーノとは会う事はないかもしれない。
ローレンは最後までブルーノを目で必死に追っていたが椅子から立つ事はなかった。
多分ローレンが止めても止まらないと感じ取ったのだろう。彼は意外と察しはいい。
僕は僕でブルーノを哀れには思ったが、事が事だけに庇う気にはなれない。それにちょっとフェルゼンが正しいと思ってる自分もいる。
後、僕には手に負えない。
フェルゼンもブルーノも。
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なんちゃってキャラ紹介
カール・アーバイン
女装癖のある伯爵子爵で、ヴィルマの婚約者。年々女子力を高めていて、趣味は刺繍。ローレン王太子の『友人』。
ヴィルマ・イーリス
なんちゃって男爵令嬢にして前世の記憶持ち。趣味は狩り(素手)。刺繍は出来ない事もないが冊子作る方に専念したいのでやらない。常に欲望に忠実。
フェルゼン・ハースト
最近王家の影と言われる一族、シャルロッテ侯爵家を手中に収めた。元弟のシュネー以外に容赦がない。優秀だが、『友人』であるローレンにも興味が無い。
ルノ
ハースト家の執事。ドS で『オカン』。しかし『オカン』設定が作中で発揮されるかは謎。
ジョゼフ・デーゲン
騎士団長の息子で騎士団長補佐。ローレンとは友人だったがとある出来事で破綻してしまう。未だにローレンの前にすると……。
ローレン王太子
フォルメルン王国の王太子。王としての器はリヒトよりあるが、やはり人としてまだまだである。ジョゼフの事を未だに忘れなれない。
ブルーノ・ベルンハルト
公爵子爵。ローレンとは幼馴染で『友人』。ジョゼフの事を敵視していて、その件を含めて年下のシュネーに説教された。初めて面と向かって怒られて一時期、シュネーを恐れてカール達をこき使う事もなくなっていた。
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