130 / 560
第3章 遠征先でも安定の溺愛ぶりです。
29 ばあちゃんと甘やかし殿下
しおりを挟む『ねぇ、ばぁちゃん。ばぁちゃんとじぃちゃんって、なんでけっこんしたの?』
『う~ん。なんでだろうねぇ。でも、ばぁちゃんが若かったときは、好きとか嫌いとかそんなことは言ってられなかったからねぇ』
『え、じゃあ、ばぁちゃん、じぃちゃんのことすきじゃないの?』
『そうだねぇ。好きだったと思うよ?あとからすきになることもあるさ』
『ふうん』
『瑛は好きな子でもいるのかい?』
『おれぇ?いないよ。すきとかよくわかんないし』
『そーかそーか。瑛はまだ小学生だもんなぁ。わからないか』
『ばぁちゃんのことはすきだよ?』
『家族だからねぇ』
『ばぁちゃんのいえもすき。かみさまがみまもってくれてるんでしょ?』
『そうそう。だからね?ちゃーんとお水あげて、ご飯あげて、今日も一日お願いします、って言うんだよ』
『かみさま、きいてくれる?』
『一生懸命お祈りしたら、きっと聞いてくれるよ?』
『じゃあ、ばけものにおそわれてるひともたすけてくれる?』
『化け物?』
『うん。なんかねぇ、たすけてー!って、ゆめのなかでいわれるんだ。だから、たすけてあげないと』
『じゃあ、しっかりお願いするといいよ』
『うん。おれがんばるね』
『それじゃあ、まずは、お水あげようかね』
『うん!おれやる!!』
『じゃあお願いするよ』
「神棚に水あげなきゃ……」
そんな声に目が覚めた。
「あ」
てか、自分の声だ。
懐かしい夢だった。
小学生の頃、結婚がどういうものかもあまり理解してなくて、共働きの両親の代わりに、俺の面倒を見てくれてたばあちゃんに聞いたんだっけ。
そうそう。
神棚に供えてる水が、夕方には半分くらいになってるから、神様がちょっとずつ飲んでるんだよ……って、ばあちゃんが言うから、小学生だった自分は信じ切ったよね。神様のこと。今となれば、それは単に蒸発してるだけでしょ!?ってツッコミいれれるくらいには、純粋でなくなったよ。ごめん。ばあちゃん。
「ばあちゃん……」
元気かな。
今どうしてるかな。
ちょっとぼーっと天幕の天井を見上げてたら、隣から腕が伸びてきて、きゅって抱きしめられた。
「アキ」
「おはよ、クリス」
「……なんで泣いてる?」
「え?」
指摘されて、初めて気づいた。
なんか、泣いてる。俺。
それに、なんだか胸が苦しい。
「なんだろ…、懐かしい夢見てたからかな…?」
よくわからない。けど、涙が止まらない。
クリスが何度か目元にキスをしてくれた。…そしたら、涙がひいていく。
「どんな?」
「俺がまだ7歳……くらいの時の夢。ばあちゃんと、神様のこと話してたときの」
「………帰りたくなった?」
クリスに、垂れたわんこのような耳が見える気がする。………いやいや、わんこに例えるとかないね…俺。それくらい、しょんぼりしてるというか、寂しそうというか。
「元の世界に?多分、ギルマスと色々話したから懐かしい夢見たんだと思うけど、………意味、ないよ。むこうにはクリスがいないから」
「アキ」
胸元に頭をくっつけた。あったかい。気持ちいい。
「俺の居場所、ここだから」
クリスの傍にいたい。クリスと一緒がいい。
「俺の居場所もアキが作ってくれる?」
「もちろん!」
抱きしめ合う、朝の幸福な時間。
ん、これで今日も頑張れそうです。
クリス服の裾から手を忍ばせてきて、太腿を触ってきたクリスの手をぺしぺし叩いて、襲われる前に着替えをした。もたもたしてるとベッドの上で全裸にされかねない。
クリスは苦笑。いつもいつも、クリスの思い通りになんてならないんだからね!
……って、意気込んだんだけど。
「ん、んっ、んぅぅっ」
たっぷりと甘いキスをされた。結構言葉を理解できるようになったから、クリスの魔力が切れたとしても、言葉に関しては心配してない。昨日も支障なかったし。頑張ってる。俺の頭!
「はぅん……ん、んん、くり、す……なが……ぁぁぃ」
「抱けないからな。その分しっかり飲んでおけ」
もう何度か飲んでるよ…。いつもなら2回くらい飲み込んだら離してくれるのに、全然離してくれない。
俺も嫌じゃないから困る。それに、クリスのキスは気持ちよすぎて……、されすぎると、腰に熱が溜まってしまうんだよ……。
ああ、もうやばい……。俺の、今絶対反応してる。舌を吸われるたびに背中にぞくぞくって走るし、上顎なめられるたびに体震えるし、唾液を飲み込むたびに身体の中は熱くなってくるしで………、俺、やばい。
クリスは何もしてない。腰だって揺らしてきてない。ただただ深いキスを繰り返してるだけなのに、腰に熱が貯まる。こみ上げてくる射精感に、抗えなくなりそう。
これ以上は絶対だめ……って思ったところで、唇が離れた。……唇も舌も、なんだか痺れてじんじんしてる気がするよ…。
「バカクリス」
背中に回した腕に、ぎゅって力を込める。
「キスでイきそうになった?」
耳元で言われたことに、熱かった顔がもっと熱くなる。
イきかけたさ。あとちょっと続けられてたら、確実にやらかしてたさ!下着の中は先走りでもうぬるぬるになってて、ちょっと替えなきゃって思うくらいには
気持ち悪くなってるさ!
「黙秘します!!」
「舐めようか?」
「っ、拒否します!!」
「下着、替えないと気持ち悪いだろ…?」
「っっ!!!!も、誰のせい………!!」
「だから、責任をとって舐めてやると言ってる」
にやぁ……って。も……なに、その笑い方。
ばくんばくんする心臓がうるさい。
「アキ」
ねっとりと耳朶を舐められて……、俺は白旗を上げた………。
応援ありがとうございます!
20
お気に入りに追加
5,248
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる