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第3章 遠征先でも安定の溺愛ぶりです。

29 ばあちゃんと甘やかし殿下

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『ねぇ、ばぁちゃん。ばぁちゃんとじぃちゃんって、なんでけっこんしたの?』

『う~ん。なんでだろうねぇ。でも、ばぁちゃんが若かったときは、好きとか嫌いとかそんなことは言ってられなかったからねぇ』

『え、じゃあ、ばぁちゃん、じぃちゃんのことすきじゃないの?』

『そうだねぇ。好きだったと思うよ?あとからすきになることもあるさ』

『ふうん』

『瑛は好きな子でもいるのかい?』

『おれぇ?いないよ。すきとかよくわかんないし』

『そーかそーか。瑛はまだ小学生だもんなぁ。わからないか』

『ばぁちゃんのことはすきだよ?』

『家族だからねぇ』

『ばぁちゃんのいえもすき。かみさまがみまもってくれてるんでしょ?』

『そうそう。だからね?ちゃーんとお水あげて、ご飯あげて、今日も一日お願いします、って言うんだよ』

『かみさま、きいてくれる?』

『一生懸命お祈りしたら、きっと聞いてくれるよ?』

『じゃあ、ばけものにおそわれてるひともたすけてくれる?』

『化け物?』

『うん。なんかねぇ、たすけてー!って、ゆめのなかでいわれるんだ。だから、たすけてあげないと』

『じゃあ、しっかりお願いするといいよ』

『うん。おれがんばるね』

『それじゃあ、まずは、お水あげようかね』

『うん!おれやる!!』

『じゃあお願いするよ』





「神棚に水あげなきゃ……」

 そんな声に目が覚めた。

「あ」

 てか、自分の声だ。
 懐かしい夢だった。
 小学生の頃、結婚がどういうものかもあまり理解してなくて、共働きの両親の代わりに、俺の面倒を見てくれてたばあちゃんに聞いたんだっけ。

 そうそう。
 神棚に供えてる水が、夕方には半分くらいになってるから、神様がちょっとずつ飲んでるんだよ……って、ばあちゃんが言うから、小学生だった自分は信じ切ったよね。神様のこと。今となれば、それは単に蒸発してるだけでしょ!?ってツッコミいれれるくらいには、純粋でなくなったよ。ごめん。ばあちゃん。

「ばあちゃん……」

 元気かな。
 今どうしてるかな。

 ちょっとぼーっと天幕の天井を見上げてたら、隣から腕が伸びてきて、きゅって抱きしめられた。

「アキ」
「おはよ、クリス」
「……なんで泣いてる?」
「え?」

 指摘されて、初めて気づいた。
 なんか、泣いてる。俺。
 それに、なんだか胸が苦しい。

「なんだろ…、懐かしい夢見てたからかな…?」

 よくわからない。けど、涙が止まらない。
 クリスが何度か目元にキスをしてくれた。…そしたら、涙がひいていく。

「どんな?」
「俺がまだ7歳……くらいの時の夢。ばあちゃんと、神様のこと話してたときの」
「………帰りたくなった?」

 クリスに、垂れたわんこのような耳が見える気がする。………いやいや、わんこに例えるとかないね…俺。それくらい、しょんぼりしてるというか、寂しそうというか。

「元の世界に?多分、ギルマスと色々話したから懐かしい夢見たんだと思うけど、………意味、ないよ。むこうにはクリスがいないから」
「アキ」

 胸元に頭をくっつけた。あったかい。気持ちいい。

「俺の居場所、ここだから」

 クリスの傍にいたい。クリスと一緒がいい。

「俺の居場所もアキが作ってくれる?」
「もちろん!」

 抱きしめ合う、朝の幸福な時間。
 ん、これで今日も頑張れそうです。





 クリス服の裾から手を忍ばせてきて、太腿を触ってきたクリスの手をぺしぺし叩いて、襲われる前に着替えをした。もたもたしてるとベッドの上で全裸にされかねない。

 クリスは苦笑。いつもいつも、クリスの思い通りになんてならないんだからね!

 ……って、意気込んだんだけど。

「ん、んっ、んぅぅっ」

 たっぷりと甘いキスをされた。結構言葉を理解できるようになったから、クリスの魔力が切れたとしても、言葉に関しては心配してない。昨日も支障なかったし。頑張ってる。俺の頭!

「はぅん……ん、んん、くり、す……なが……ぁぁぃ」
「抱けないからな。その分しっかり飲んでおけ」

 もう何度か飲んでるよ…。いつもなら2回くらい飲み込んだら離してくれるのに、全然離してくれない。

 俺も嫌じゃないから困る。それに、クリスのキスは気持ちよすぎて……、されすぎると、腰に熱が溜まってしまうんだよ……。
 ああ、もうやばい……。俺の、今絶対反応してる。舌を吸われるたびに背中にぞくぞくって走るし、上顎なめられるたびに体震えるし、唾液を飲み込むたびに身体の中は熱くなってくるしで………、俺、やばい。
 クリスは何もしてない。腰だって揺らしてきてない。ただただ深いキスを繰り返してるだけなのに、腰に熱が貯まる。こみ上げてくる射精感に、抗えなくなりそう。
 これ以上は絶対だめ……って思ったところで、唇が離れた。……唇も舌も、なんだか痺れてじんじんしてる気がするよ…。

「バカクリス」

 背中に回した腕に、ぎゅって力を込める。

「キスでイきそうになった?」

 耳元で言われたことに、熱かった顔がもっと熱くなる。
 イきかけたさ。あとちょっと続けられてたら、確実にやらかしてたさ!下着の中は先走りでもうぬるぬるになってて、ちょっと替えなきゃって思うくらいには
気持ち悪くなってるさ!

「黙秘します!!」
「舐めようか?」
「っ、拒否します!!」
「下着、替えないと気持ち悪いだろ…?」
「っっ!!!!も、誰のせい………!!」
「だから、責任をとって舐めてやると言ってる」

 にやぁ……って。も……なに、その笑い方。
 ばくんばくんする心臓がうるさい。

「アキ」

 ねっとりと耳朶を舐められて……、俺は白旗を上げた………。


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