魔法が使えると王子サマに溺愛されるそうです〜伴侶編〜

ゆずは

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蜜月は続くよどこまでも!?

3 口に出して

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「どこか痛いところは?」
「……ないよ」

 あるわけがない。
 あんだけ、腹が形を変えるくらいクリスのを注がれて、痛みなんて出るわけがない。腰も股関節も太腿も、……尻の中も。筋肉痛も鈍痛も違和感も、全く無い。

「でも重い」

 だるいというか、気怠いというか。
 全身に重石でもつけられてるような、そんな感じがする。
 すりすりと胸元に頬を押し付けながら言ったら、またクリスが笑った。

「それは癒やしじゃどうにもならないな」
「……寝たら治る?」
「少なくても、俺がアキを抱き続けてる間はそのままだな」
「……………」

 まじまじっとクリスを見た。
 そしたらとってもいい笑顔。

「今日は部屋から出るつもりもないから。そのままだな?」
「……………」

 赤くなればいいのか青くなればいいのか。
 ……何も言えずに口をパクパクさせてしまった。

「アキは俺と離れたい?」
「……………」

 わかっててそんな意地悪い質問をしてくる。
 抱かれすぎてんのは、俺としてはなんか色々駄目な気がするんだけど、離れたいなんて少しも思ってない。

「クリスは、俺が離れてもいいの?」

 狡いけど。
 こんな聞き方、狡いと思うけど。

「離れたいと言っても離さないが。……でもアキは、離れたくないだろ?」
「……うん。わかってるなら聞かないでよ」
「聞きたくなるだろ」
「態度でわかって!」
「言葉にしてくれたら嬉しい」

 ぎゅって抱きしめられて、ふぅって息をついた。

「クリス、好き」

 大好き。
 離れないから離さないでよ。

 結婚したんだから、もっと素直に言葉に出るかと思ったけど、そうでもない。これはもう元々の俺の性格の問題だね。
 『好き』っていうのは、言えるようになってきたと思うけど。
 でも、ことばで聞きたいっていうのも、わからなくもない。コミュニケーションの基本だし。「察しろ!わかれ!」みたいな「言わなくてもわかるでしょ?」系で、すれ違っていくお話も過去沢山読んできた。
 ……反省しよう。
 ……でも、クリスは絶対わかってくれるんだよ。……絶対。

「……ごめんなさい」

 頭の中で自己完結して、謝る言葉が口に出た。
 そしたら、クリスの苦笑。

「何をどう考えて『ごめんなさい』になったんだ?」

 って、楽しそうに俺の顎をすくい取って目を見ながら言う。

「えと…、『言わなくてもわかるよね』的なのが駄目だから…」
「ああ…そんなことか」
「そんなこと、じゃないよ?……そうやって相手がわかってくれてるって信じ込んで、ちゃんと説明もしないで、でも全然意思疎通ができてなくて、すれ違って破局する小説とか、結構読んだことあったし……」
「何も問題ない」

 ちゅ…って、唇に触れるだけの軽いキス。

「そんなことにはならない。すれ違う前にお前に言わせるから」
「クリスだって言わなきゃ駄目なんだよっ」
「俺はいつも口に出してると思うが」
「うー……。そんなことないしっ」

 ちゅ……ちゅ……って、軽いキスばかり。

「なら、全部口に出そうか」
「ん」
「アキの中に入ったままで非常に気持ちがいい。だけど、そろそろ動きたくもあるな?」
「な」
「突いて突いて、奥まで埋め込んで、この膨らんだ腹を、もっと膨らませたい」
「や」
「快感だけを覚え込ませて、俺を常に求める体にしてしまいたい」
「あう」
「誰にも見せず会わせず、ずっと裸で、いつも閉じてるアナルが閉じなくなるまで俺のを埋め込んで、俺が離れなければならないときは張型で蓋をして」
「ひん…」
「首輪もつけて、足枷もつけて、部屋の中に閉じ込めて」
「んん…っ」
「俺だけのものにしたい」

 話しながら腰を揺らされて、ずちゅぐちゅって音が耳にこびりついて、しかもクリスの言葉に自分がされてるところを想像してしまって……、心臓が破裂しそうで。

「……っ、そ、んな本音、いらない…っ」
「隠さず話したぞ?」
「ん、んっ」
「話したからには叶えてくれないと?」

 そんな話しだったっけ…?

 しかもそれ、監禁調教だよね…?

 ……うっかり思ったその単語に、どんどん恥ずかしさが増した。
 怖いとか思わないところがすごいよね、俺。

「……おれ、クリスと色んなところに行きたいから、ぜんぶかなえるの、むり」
「ああ。そうだな。俺もアキを連れていきたい」
「ん。だけど、さいごのは……もうかなってる、かなえてあげる。おれは、クリスだけのものでしょ…?」

 クリスの首に腕を回して抱きついて、俺からのキス。
 触れるだけじゃ足りなくて、何度も吸い付いて、舌を入れて、舐めて、食んで、絡めた。

「じゃあ、最初のやつも叶えてくれ」

 唇を離したら、ふふっと笑ったクリスが、そう言っていきなり腰の突き上げを強くした。

「ひぁ……っ!!!」

 最初、最初って何だったっけ!?

 ……って考えたのは、ほんの少し。
 何度も奥を抉られて、俺の息子は透明な液体を漏らして、お腹の奥のぐるぐるしてるところに追加のものが送り込まれてきた。

「このまま風呂に行くぞ」
「え、えっ、ちょ、や、これ、や、ぁ、あっ、ああっ、あんんんっ」

 クリスがとっても楽しそうに、俺に挿れたまま持ち上げてベッドを降りた。
 ……昨夜もやられた気がする。
 これ、駄目。
 歩くたびに奥をえぐられるし、落ちそうな怖さがあって、離れられないしっ。

 俺の抗議なんて聞く気がないクリスは、俺をがっちり支えたまま浴室に向かった。
 ……もう初夜じゃないのに……って文句は、キスでかき消された。



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