【完結】だいすきな人〜義理の兄に恋をしました〜

ゆずは

文字の大きさ
29 / 89
本編

友兄に、聞かなきゃ…!

しおりを挟む



「もう少しキスをしていていい?」

 友兄がベッドに座った。
 ギシって音に、もっと心臓がうるさくなって死にそう。
 友兄は俺の答えを聞く前に、体を倒してきていて、友兄の重みがまた俺の心臓を壊しに来た。
 嫌じゃない。全然嫌じゃない。むしろ嬉しい。
 大人なキスをされて腰砕けにされて、お姫様抱っこで運ばれた先はベッドの上。
 ……耳の奥で、颯に言われたことがぐるぐる響く。

「理玖?」

 長い指に頬を撫でられて、ゴクリ……って生唾を飲んでしまった。

「い……いいけど……、でも、あのさっ」
「なに?」

 友兄のどこまでも優しい目。それから、止まることを知らない指先は、頬をくすぐったかと思えば髪を梳いて、目元の多分涙の跡を辿る。とても忙しい。

「……友兄は」
「うん?」

 友兄は片手で自分の体を支えているから、友兄の重みが全部俺にかかってるわけじゃない。だけど、体温は伝わってくるし、間近で友兄の顔も見える。……すぐ、キスできそうなくらい、近く。
 ばっくばっく煩い心臓を自覚してる。それから、顔がどんどん赤くなってるだろうことにも気づいてる。
 でも、聞かなきゃ。
 はっきりさせなきゃ。

「友兄………、俺のこと、抱きたいって……思う?」
「は?」

 目をまんまるにして、友兄が驚いた。
 あんなに忙しなかった指が、ピタリと止まってしまう。

「理玖……いきなりどうしたの」

 違う……のかな。
 友兄がこんなに驚くなんて。

「…颯に聞いて…」

 自分じゃたどり着かなかったこと。
 颯に言われて『そうなのか』って納得しちゃったけど、本当は違ったりしてるんだろうか。
 友兄はなんだかとても複雑そうな顔をしていた。

「…どう、なの?」

 ドキドキしながら、言葉にした。
 友兄は困ったような思案顔になったけど、軽く息をついて、ふ…っと微笑んだ。

「抱きたいと思っているよ」
「っ!」
「理玖の全身にキスをして……この体に俺を満たしたい」

 もうもう、顔どころか、耳も首筋も、全部熱い。多分真っ赤になってるやつ。
 すぐにいい返しなんて出てこなくて、口をパクパク動かしてしまったくらい動揺してしまった。
 ……けどさ、そう言われて、全然嫌じゃないってことは、俺は友兄のこの言葉を受け入れてるってことだよね?

「いい、よ」
「理玖?」
「俺………その……やり方とか、全然、わかんないけど…………えっと…、友兄に…なら、何をされても平気…だと思う」
「理玖……」
「友兄の方が嫌になるかもしれないけど……っ!!」

 声が上ずる。
 ううう。
 心臓が口から出そう。
 顔はもうもうとんでもなく熱い。

 ……はっ。
 これってまさか、俺から誘った…ってことになるの!?


しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

《完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ

MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。 「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。 揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。 不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。 すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。 切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。 続編執筆中

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

処理中です...