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「マリー・・・・・・っ」
エディが息を荒くしながらも、はやる気持ちを抑えながら私に声を掛けた―――その時。
冷気が足元から吹きあがって来て、ろうそくの炎が揺れた。私とエディはその変化にお互い反応すると、扉が動く音が聞こえた。
「貴様らっ、ここで何をしているっ!!」
あの男がやってきた。
とても、大きな声。私の心臓は弾けるのではないかというくらいに反応した。ゆっくりと目を開けると、扉の所には新たな書類とランタンを持ったバイデルが現れた。バイデルの殺気が籠った目を見ると、エディとバイデルが協力関係ではなく、私が二人から裏切られると言うケースはなくなったようだ。恐怖で弾けてショック死寸前だった私の満ち溢れていた心にようやくわずかながら余裕が生まれた。この頃、よく裏切られていることもあるし、この状況はまだまだ油断できないけれど、私はようやく呼吸ができた気がした。
「マリー・・・・・・貴様っ。婚姻関係を延長してやりたかったのはこれかっ」
「ちっ、ちっ・・・・・・」
前門の虎後門の狼。いいや、後には壁で、前門に虎と狼がいるなんて、私の自力で逃げるなんて無理に決まっている。私はまず目の前の狼・・・もとい、エディを見上げると、
「大丈夫だよ」
下にいる私を見ていたエディの顔は影がかかっていて少し怖かったけれど、今までが嘘だったかのようにとても穏やかな顔をしていた。まるで、兄が妹を慈しむような顔をしていた。エディは振り返って、バイデルと対峙する。振り返る瞬間のエディの横顔をみていたが凛々しくて婚約者の身でありながら、カッコよく思えてしまった。この心臓の高鳴りはスリルのせいなのか、それとも・・・・・・?
「なっ・・・・・・・・・っ、あっあっあっ、ありえ・・・・・・ない」
私がエディの横顔を脳内で再生して惚けていると、さっきまで血気盛んな鬼のようになっていバイデルがエディの顔を見て顔から血の気が引かせて青ざめていった。
「バイデル、ずいぶんとアコギなことをしていたようだね」
そう言って、エディは手に持った書類をバイデルにアピールするように掲げて振る。
「おまっ・・・・・・貴方様は本当にぃ・・・・・・?」
バイデルは随分慌てて、自分の両手で自分の両頬をこねくり回していた。けれど、頬をこねくり回していたら、ある結論に達したらしく彼は花が咲いたように明るい顔をした。そして、少し頭を下げて猫背になりながら、
「これはこれは・・・・・・お父様のお使いですか? エドワード王子」
(お・・・う・・・じ?)
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「大丈夫だよ」
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(お・・・う・・・じ?)
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