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私は一流のメイドだ。
だから、心臓が止まりそうになっても、止まっていないのでなければ、そんな物は顔に出さずに、主が快適に過ごせるように空気であって空気でないような都合のいいモブでなければない。
「kっこう?」
「あぁ、そうだ、結婚だ」
私が再確認すると、アーノルド様が不敵な笑みをした。自信に満ちたその顔は拍手してあげたくなる。
「申し訳ございません。さすがのこのメリッサでも、亀甲縛りは心得ておりませんし、覚えるつもりもございません。他をお探しください。では・・・・・・」
「待て」
またまた、捕まってしまった。
「分かりました・・・・・・」
「そうかっ!」
ぱっと光ったランタンのような顔をするアーノルド様。
「亀甲縛りができる者を手配します。もちろん、国王様や女王様、他の従者に気づかれないよう抜かりなく行いますが、今日中は無理なのでお許しください」
「結婚だ、結婚っ!! 俺と、お前で、夫婦になるんだ」
「・・・・・・」
もう一度、不敵な笑みをしたアーノルド様。その不屈の魂と、何度でも自信満々になれる姿は尊敬する。
「私のような卑しい身分は・・・」
「構わんっ!」
困った。
本当に困った。
さきほどから、遠回りにお断りを入れているのだけれど、この世界は自分中心に回っていると思っていらっしゃるアーノルド様には悟っていただけないようだ。
「お断りします」
「はああぁ!?」
とても大きな声だったので、思わず耳を塞ぎたくなったけれど、メイドという立場なのでなんとか我慢したら、耳がキーンと耳鳴りしてしまった。
「俺様だぞ!?」
「存じております」
「なぜだ!?」
「私は、メイド長になる女だからです!!」
「ふざけるなっ!」
「本気です!」
一応これでも努力した甲斐があって、16歳にして、私はチームリーダーを任されている期待の星なのだ。
「ゆくゆくはメイド長になり、アーノルド様やキリル様のお子様たちの家庭教師を兼務し・・・」
「いやいや、お前はメイドだ! 無理に決まっているだろ!」
「できます。なぜなら、アーノルド様やキリル様の勉強の際、同席することがありましたので・・・」
「いやいや、頭おかしいだろ、できるわけ・・・」
「この国随一の優秀な家庭教師、そして、物覚えが・・・・・・こほん。何度も同じ箇所を入念に復習され、栄養補給が複数必要だったアーノルド様のところへお菓子などをお運びしましたら、大抵のことは覚えてしまいましたのでご安心を」
「いやいやいや無理だろう、怖い怖い」
あの自信満々なアーノルド様が怖がった姿は少し可愛らしい。
もちろん、それだけでは無理で家庭教師に謝礼金を渡す際などに口頭で少し教わったりもしていたけれど、それは黙っておこう。
「てか、俺のこと物覚えが悪いとか、飽きっぽいとかディスってねーか?」
「そんな王家を批難するなんて滅相もございません。私は忠臣でございます」
「そうか?」
「そうです」
「なら、忠臣に命じる、結婚せよ」
今度は・・・・・・大丈夫。
「嫌です」
「なぜだ?」
「アーノルド様は王子で、私はメイドであるからでございます」
だから、心臓が止まりそうになっても、止まっていないのでなければ、そんな物は顔に出さずに、主が快適に過ごせるように空気であって空気でないような都合のいいモブでなければない。
「kっこう?」
「あぁ、そうだ、結婚だ」
私が再確認すると、アーノルド様が不敵な笑みをした。自信に満ちたその顔は拍手してあげたくなる。
「申し訳ございません。さすがのこのメリッサでも、亀甲縛りは心得ておりませんし、覚えるつもりもございません。他をお探しください。では・・・・・・」
「待て」
またまた、捕まってしまった。
「分かりました・・・・・・」
「そうかっ!」
ぱっと光ったランタンのような顔をするアーノルド様。
「亀甲縛りができる者を手配します。もちろん、国王様や女王様、他の従者に気づかれないよう抜かりなく行いますが、今日中は無理なのでお許しください」
「結婚だ、結婚っ!! 俺と、お前で、夫婦になるんだ」
「・・・・・・」
もう一度、不敵な笑みをしたアーノルド様。その不屈の魂と、何度でも自信満々になれる姿は尊敬する。
「私のような卑しい身分は・・・」
「構わんっ!」
困った。
本当に困った。
さきほどから、遠回りにお断りを入れているのだけれど、この世界は自分中心に回っていると思っていらっしゃるアーノルド様には悟っていただけないようだ。
「お断りします」
「はああぁ!?」
とても大きな声だったので、思わず耳を塞ぎたくなったけれど、メイドという立場なのでなんとか我慢したら、耳がキーンと耳鳴りしてしまった。
「俺様だぞ!?」
「存じております」
「なぜだ!?」
「私は、メイド長になる女だからです!!」
「ふざけるなっ!」
「本気です!」
一応これでも努力した甲斐があって、16歳にして、私はチームリーダーを任されている期待の星なのだ。
「ゆくゆくはメイド長になり、アーノルド様やキリル様のお子様たちの家庭教師を兼務し・・・」
「いやいや、お前はメイドだ! 無理に決まっているだろ!」
「できます。なぜなら、アーノルド様やキリル様の勉強の際、同席することがありましたので・・・」
「いやいや、頭おかしいだろ、できるわけ・・・」
「この国随一の優秀な家庭教師、そして、物覚えが・・・・・・こほん。何度も同じ箇所を入念に復習され、栄養補給が複数必要だったアーノルド様のところへお菓子などをお運びしましたら、大抵のことは覚えてしまいましたのでご安心を」
「いやいやいや無理だろう、怖い怖い」
あの自信満々なアーノルド様が怖がった姿は少し可愛らしい。
もちろん、それだけでは無理で家庭教師に謝礼金を渡す際などに口頭で少し教わったりもしていたけれど、それは黙っておこう。
「てか、俺のこと物覚えが悪いとか、飽きっぽいとかディスってねーか?」
「そんな王家を批難するなんて滅相もございません。私は忠臣でございます」
「そうか?」
「そうです」
「なら、忠臣に命じる、結婚せよ」
今度は・・・・・・大丈夫。
「嫌です」
「なぜだ?」
「アーノルド様は王子で、私はメイドであるからでございます」
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