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本編
14話 醜き真実の愛
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「おい、何震えてるんだっ」
「だってよぉ、オラは争いは嫌だよぉ」
大工のオズさんが震えていた細身の時計職人のキールさんに話かけるとキールさんは泣きそうな顔になる。
「ボクらだって、シャーロットさまのためにがんばるんだっ」
「うん!」
お父様の号令で男の人は総出で戦の準備をした。彼らの隣を見れば、年齢が10歳にも満たない小さな男だって投げつける小石を持って集まっている。
「わしらも、まさかこの歳になって初めて戦をすることになるとはのう・・・」
「はぁ!?」
中には息子さんに家督を継いで隠居暮らしをしているお爺さんたちもいる。
耳だってほとんど聞こえていないようだし、見えているかもわからない。
そんな人たちまで戦おうと集まってくれている。
「うぅ・・・」
私は涙が出そうになり、口に手を覆う。みんなが私の味方だって言ってくれていたけれど、まさか戦争になるとは思わなかった。
「大丈夫、大丈夫」
ミトおば様が背中をさすってくれる。
「でもっ」
「そうですよ、シャーロット」
お母様がやってくる。
「私は政治はわかりませんが、ボッド王子はこの領地を直轄地にしようと考えていたようなのです」
「えっ?」
私の驚いた顔をお母様はじーっと見る。
「あなたとの縁談はボッド王子はこの領地を手に入れるため、口実だったのかもしれないのです」
『それは、素晴らしい!!』
ボッド王子は私の話を聞いては大きな声で私を褒めてくれた。
ちょっとオーバーな方だと思ったけれど、私も王子様に褒められて舞い上がっていた。
まるで、天にも昇る気持ち。
だから、ボッド王子が急に側室だなんて言った時だって、心のどこかでは自分を責めていた。
自分が悪いんだと。
しかし、そんなことを言われてしまえば、辻褄が合ってしまい、私の心をグシャッと潰されたような気がした。
「縁談が決まった後の誠意ない行動も、全てはボッド王子の策略。つまり、どっちに転んでも・・・」
「もうやめて・・・」
私の苦しい顔を見て、お母様はバツの悪そうな顔をしたけれど、意を決したように表情を戻す。
(なによ、それ・・・。)
「あなたはこの領地の領主の娘です。落ち込んでいる暇はありませんよ?」
「それはいくらなんでも・・・」
おば様がおどおどしながらお母様に言うけれど、お母様は聞く耳持たない。
「オイラ戦うよ!」
先ほど震えていた時計職人のキールさんがいつものか細い声で私たちに宣言した。
「オイラはシャーロット様たちラフィン家の皆さんが大好きだ。飢饉の時だってすぐにご飯を分けてくれたし、いつも町を見守ってくれて・・・それに、オイラの時計をいつも褒めてくださる。だから、オイラたちは頑張れるんだ!!」
「ガハハっ、そうだなっ」
隣の大工職人のオズさんがキールさんの背中を嬉しそうに叩いている。
「キールさん・・・」
「だから・・・」
「国王軍が来たぞ!!」
私たちの和みかけた空気は一瞬にして凍りつく。
声のする方を見ると、ダイダム家の国旗がぞろぞろとやって来た。
「だってよぉ、オラは争いは嫌だよぉ」
大工のオズさんが震えていた細身の時計職人のキールさんに話かけるとキールさんは泣きそうな顔になる。
「ボクらだって、シャーロットさまのためにがんばるんだっ」
「うん!」
お父様の号令で男の人は総出で戦の準備をした。彼らの隣を見れば、年齢が10歳にも満たない小さな男だって投げつける小石を持って集まっている。
「わしらも、まさかこの歳になって初めて戦をすることになるとはのう・・・」
「はぁ!?」
中には息子さんに家督を継いで隠居暮らしをしているお爺さんたちもいる。
耳だってほとんど聞こえていないようだし、見えているかもわからない。
そんな人たちまで戦おうと集まってくれている。
「うぅ・・・」
私は涙が出そうになり、口に手を覆う。みんなが私の味方だって言ってくれていたけれど、まさか戦争になるとは思わなかった。
「大丈夫、大丈夫」
ミトおば様が背中をさすってくれる。
「でもっ」
「そうですよ、シャーロット」
お母様がやってくる。
「私は政治はわかりませんが、ボッド王子はこの領地を直轄地にしようと考えていたようなのです」
「えっ?」
私の驚いた顔をお母様はじーっと見る。
「あなたとの縁談はボッド王子はこの領地を手に入れるため、口実だったのかもしれないのです」
『それは、素晴らしい!!』
ボッド王子は私の話を聞いては大きな声で私を褒めてくれた。
ちょっとオーバーな方だと思ったけれど、私も王子様に褒められて舞い上がっていた。
まるで、天にも昇る気持ち。
だから、ボッド王子が急に側室だなんて言った時だって、心のどこかでは自分を責めていた。
自分が悪いんだと。
しかし、そんなことを言われてしまえば、辻褄が合ってしまい、私の心をグシャッと潰されたような気がした。
「縁談が決まった後の誠意ない行動も、全てはボッド王子の策略。つまり、どっちに転んでも・・・」
「もうやめて・・・」
私の苦しい顔を見て、お母様はバツの悪そうな顔をしたけれど、意を決したように表情を戻す。
(なによ、それ・・・。)
「あなたはこの領地の領主の娘です。落ち込んでいる暇はありませんよ?」
「それはいくらなんでも・・・」
おば様がおどおどしながらお母様に言うけれど、お母様は聞く耳持たない。
「オイラ戦うよ!」
先ほど震えていた時計職人のキールさんがいつものか細い声で私たちに宣言した。
「オイラはシャーロット様たちラフィン家の皆さんが大好きだ。飢饉の時だってすぐにご飯を分けてくれたし、いつも町を見守ってくれて・・・それに、オイラの時計をいつも褒めてくださる。だから、オイラたちは頑張れるんだ!!」
「ガハハっ、そうだなっ」
隣の大工職人のオズさんがキールさんの背中を嬉しそうに叩いている。
「キールさん・・・」
「だから・・・」
「国王軍が来たぞ!!」
私たちの和みかけた空気は一瞬にして凍りつく。
声のする方を見ると、ダイダム家の国旗がぞろぞろとやって来た。
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