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本編
13話 宣戦布告
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「敵の数はおよそ3千ですっ」
「3千!?」
お父様がびっくりするのも無理はない。
なぜなら、私たちの領地の人数のおよそ半分。
そんな人数が武装してくれば勝ち目なんて0に等しい。
「王子からはシャーロット様の謝罪と領地の8割を渡せ、と書かれておりますっ」
「・・・」
駆け付けた私たちの領地の兵は書状を読み上げると、父は険しい顔をして何も言うことができなかった。
これはダイダム・ボッド王子の歯向かった私たちに対しての明らかな見せしめだ。
私たちの領地の生産物の流入を止めたことは、ダイダム王家にとって、それほど大きなダメージを与えていたのであろう。
(そこは誇るべき・・・で間違いはないと思うけど・・・)
お父様は窓際まで歩いて行き、外を見る。
その横顔は私が見た中で、一番寂しい顔をしていた。
私はそれを見て、ようやく自分の行動の責任の大きさを知った。
「おっ、お父様・・・私、謝ってくるわ。私がしっかりと謝って、領地は許してもらうようにボッド王子を説得・・・っ」
「お前が悪いわけではない。シャーロット。全ては俺が原因だ」
私のところに歩み寄ったお父様は優しく私の頭を撫でてくれた。
「娘のお前を不幸にすることは、俺が一番辛いことだ。だから、俺はこの首を差し出して、ボッド王子に許しを請おうと思う」
お父様は自分の首を右手の親指で指さす。
「なっ、なりません!!」
私はお父様の服を握り締め訴える。
けれど、お父様は悲しさを含んだ優しい顔で私を見る。
(そんな目で、私を見ないで。まるで、本当に・・・)
その顔は、子どもを残して去る親の顔そのものだった。
◇◇
「さぁ、いそげっ!!」
「おう!!」
木材を持った男性たちがバリケードを作るために、急いで町のはずれへ向かう。
けれど、うちの領地に鎧なんてものはほとんどない。
「まさか、私たちを守ってくれるはずの王国兵に攻められるなんて・・・」
一緒に見ていたお母様がぽつりと思っていたことを漏らした。
「きっと、私たちの家も差し押さえられているかもしれないわね」
「そうですね・・・」
領地の管理と、王家との会議を行うために私たちの家は王家の近くと領地の両方にある。
ただ、王家とこんな関係になってしまえば、お母様の言うように王家近くの家は諦めるしかないかもしれない。
(でも・・・あそこは・・・)
私はクリスの顔が浮かぶ。
彼との思い出は今敵対している王家の近くにしかないけれど、そんな彼との思い出の地に行けなくなるかもしれない。
(バカバカ、今そんなことを考えるなんて・・・っ。今は戦争のために何かできることを考えないとっ)
私は準備している女性たちに加わり、戦用のご飯を作りに参加した。
無駄かもしれない。
そう感じていたのは私だけではないけれど、誰もそんなことは言わずにできることを精いっぱい行動した。
この領地を、そして・・・私を守るために。
「3千!?」
お父様がびっくりするのも無理はない。
なぜなら、私たちの領地の人数のおよそ半分。
そんな人数が武装してくれば勝ち目なんて0に等しい。
「王子からはシャーロット様の謝罪と領地の8割を渡せ、と書かれておりますっ」
「・・・」
駆け付けた私たちの領地の兵は書状を読み上げると、父は険しい顔をして何も言うことができなかった。
これはダイダム・ボッド王子の歯向かった私たちに対しての明らかな見せしめだ。
私たちの領地の生産物の流入を止めたことは、ダイダム王家にとって、それほど大きなダメージを与えていたのであろう。
(そこは誇るべき・・・で間違いはないと思うけど・・・)
お父様は窓際まで歩いて行き、外を見る。
その横顔は私が見た中で、一番寂しい顔をしていた。
私はそれを見て、ようやく自分の行動の責任の大きさを知った。
「おっ、お父様・・・私、謝ってくるわ。私がしっかりと謝って、領地は許してもらうようにボッド王子を説得・・・っ」
「お前が悪いわけではない。シャーロット。全ては俺が原因だ」
私のところに歩み寄ったお父様は優しく私の頭を撫でてくれた。
「娘のお前を不幸にすることは、俺が一番辛いことだ。だから、俺はこの首を差し出して、ボッド王子に許しを請おうと思う」
お父様は自分の首を右手の親指で指さす。
「なっ、なりません!!」
私はお父様の服を握り締め訴える。
けれど、お父様は悲しさを含んだ優しい顔で私を見る。
(そんな目で、私を見ないで。まるで、本当に・・・)
その顔は、子どもを残して去る親の顔そのものだった。
◇◇
「さぁ、いそげっ!!」
「おう!!」
木材を持った男性たちがバリケードを作るために、急いで町のはずれへ向かう。
けれど、うちの領地に鎧なんてものはほとんどない。
「まさか、私たちを守ってくれるはずの王国兵に攻められるなんて・・・」
一緒に見ていたお母様がぽつりと思っていたことを漏らした。
「きっと、私たちの家も差し押さえられているかもしれないわね」
「そうですね・・・」
領地の管理と、王家との会議を行うために私たちの家は王家の近くと領地の両方にある。
ただ、王家とこんな関係になってしまえば、お母様の言うように王家近くの家は諦めるしかないかもしれない。
(でも・・・あそこは・・・)
私はクリスの顔が浮かぶ。
彼との思い出は今敵対している王家の近くにしかないけれど、そんな彼との思い出の地に行けなくなるかもしれない。
(バカバカ、今そんなことを考えるなんて・・・っ。今は戦争のために何かできることを考えないとっ)
私は準備している女性たちに加わり、戦用のご飯を作りに参加した。
無駄かもしれない。
そう感じていたのは私だけではないけれど、誰もそんなことは言わずにできることを精いっぱい行動した。
この領地を、そして・・・私を守るために。
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