【完結】好き過ぎて殺したい

西東友一

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「誓いのkissを」

 発音のいい西洋人の神父が両手を広げて新郎新婦の慎一と早苗にキスを促すと、二人は頬を赤らめ、慎一が不器用に少し勢いが強いままキスをした。必死な顔をする慎一と、ちょっと笑いそうになりながら、震えている早苗。そして、その瞬間をカメラに抑えようとしてる参列者や拍手する参列者。

(きもいってっ!!!)

 そんな二人を見て、楓は、まるで自分のことのように照れて、二人よりも顔を真っ赤にしていた。

(人前でキスってありえないでしょ)

 変態にしか感じない楓。

(きもい、きもい、きもい、きもいっ。キモキモキモキモキモキモ・・・)

 慎一の純朴さのせいか長すぎるキスも、楓にとっては数十倍の時間に感じ、羞恥プレイの拷問にすら感じた。
 
(ありえない、ありえない、ありえない・・・)

 あの純粋そうな顔をしている慎一と初恋をしたかのようにバージンロードを歩いてきた早苗。
 そんな二人には、希望の光がある。その光は、早苗のお腹の中にいた。

 そう、二人はすでにキスだけではなく、大人の関係を結んでおり、子どもができたので結婚したのだ。もちろん、ヘタレな慎一は誠意を持って、早苗を愛しており、早苗以外と結婚することなど考えられないような人間だったし、早苗も、そんな純粋で誠意があり、優しい慎一のことを愛して信頼していたから、彼を受け入れたのだ。

 愛し合う二人なら当たり前の結果。
 それが結婚式前にやってきてしまっただけのこと。

 しかし、歪んだ性教育を受けて来た思春期の楓にとって、自分に似ている兄がそのようなことをしたのも嫌なのに、その上自分が絶対だと考える順序と逆になったことに対しての激しい怒りと、激しい羞恥心と、激しい憎悪の感情が湧いた。

 見つめ合う二人。

 そのピュアぶっているのに楓は吐き気がした。

(私の方が綺麗なのに・・・)

 おめかしという意味では今日も学生だからという許されるという特権を使ってほとんど化粧も髪をアレンジすることもしなかったが、純潔という意味では、楓は綺麗だった。

 そして、二人の化けの皮をはがしてやりたいと思った。

(バージンを気取っているあの女の純白のドレスをビリビリの破いて、ひん剥いて、犯してやりたい・・・。それで、あいつが呆然と立ち尽くしているのをざまぁみろって、見下して、笑ってやるんだ。そして、お兄ちゃんは情けないから、それを見て、興奮しているんだ。だから、私はお兄ちゃんの服をゆっくり脱がすの。あの女とは逆にゆっくりと・・・あの女は抵抗したかもしれないけれど、お兄ちゃんはまったく抵抗しないの。本能のまま呆然と立ち尽くして、私の成すがままで・・・そして、いつもは従順なくせにお兄ちゃんのアレは重力に逆らうの・・・いやらしくも素直で、惨めに・・・。それで、私はお兄ちゃんに言うの・・・)

「変態・・・」

 よだれが垂れないように気を付けながら、楓は会場の誰よりも喜びながら笑っていた。
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