【完結】浮気をするなら手を引きましょう。永遠の美少年と言われた貴方もすぐにお終いです。【全三話】

西東友一

文字の大きさ
2 / 3

しおりを挟む
 その夜はさすがに寂しかったわ。
 だって、ずーっと一緒にいたフレッドがいないのだもの。ベッドも冷たかった。そうするとね、昔のことを思い出して、フレッドが食欲だけの時は良かったなと思ったの。性欲なんてものを覚えたら、このあり様。

 2、3日は私から寝とった魔法使いがみんなに紹介するようにフレッドを連れ回していたの。あれは、辛かった。あの女、きっとこの天才の私から男を奪ったっていう勲章バッチをつけている気分だったに違いないわ。

 でも、それも3日まで。
 私は彼女には魔法を教えるのを止めたわ。誰かに魔法を教えるときも、魔法で彼女に教えることができない魔法をかけさせてもらうのに了承した魔法使いにしか魔法を教えないようにした。それと、まぁ、腹が立ったから、彼女から魔力の最大値を奪ったわ。私が育てたフレッドの分としてね。こんな魔法を使えるのも、私くらいだから誰もそのことに気づかなかったけどね。

 そして、フレッドも3日まで。
 私がかけた魔法もだけれど、ずぼらな彼は彼女がお風呂を提案しなかったからお風呂にも入らず、同じ服を着て、髭も生えて、臭くなり出したの。そしたら、彼女を含めて、彼の相手をする女性は誰もいなくなったわ。もちろん、私ももう知らない。彼に残されたのは食欲と、持て余した性欲だけになったみたい。まっ、貴方が磨けばダイヤのように美しいことは知っている女性もいるから、私のように磨こうとするかもしれないけれど、私ほどの魔力がある魔法使いにあったことはないし、それを魔法無しでやるとしたら、白衣の天使と呼んであげたいわ。

 ざまぁみろっ。
 スカッとはしたけれど、私の寂しい心はそのまま。冷たいベッドもそのまま。
 でもね、4日目くらいから状況は変わったわ。

 私が街を歩いていると、なんと、いろんな男性にアプローチをかけられたの。やったね。実は私のことに興味があって、フレッドから奪いたいと思っていた男性たちって多くいたみたいなんだけど、フレッドって結構口うるさい名家のところのお坊ちゃんで、勘当されたとはいえ、ちょっかいを出すとねちねち嫌がらせをするような御家だったらしくて、自分の家のことや、私の身を案じて声をかけられなかったんだって。きゃっ、照れちゃう。

 でも、フレッドは勘当されたままで、噂によると雪山に言って、本当の雪男になったとかなっていないとか。ドンマイ。まぁ、あの男のことはどーでもいいのよ。私の話ね。私、モテモテになったんだけど・・・・・・照れちゃって選べなかったの。

 そもそも、永遠の美を追求する魔法使いやってたり、美少年とはいえ、同い年の男の子をかいがいしく育ててその子と婚約するような私ですよ。そんないろんな男性から言い寄られても、ドキドキで嬉しいけど照れて逃げちゃいますよ。はい。

 そしたら、高嶺の花だなんて言って、今度は声かけづらい女になっちゃったみたいで町を歩いても視線は感じるけど、ほとんどの男性が声を掛けてくれなくて、声を掛けてくるのは、不純な男だけ。ちなみに不純っていうのがわかるのもフレッドの件で感知魔法をマスターした成果。そういう男を断っていたら、さらに高嶺の花だなんて言われて・・・。でも、自分から行ける勇気なんてなくて・・・うーん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「婚約破棄だ」と叫ぶ殿下、国の実務は私ですが大丈夫ですか?〜私は冷徹宰相補佐と幸せになります〜

万里戸千波
恋愛
公爵令嬢リリエンは卒業パーティーの最中、突然婚約者のジェラルド王子から婚約破棄を申し渡された

悪役令嬢カタリナ・クレールの断罪はお断り(断罪編)

三色団子
恋愛
カタリナ・クレールは、悪役令嬢としての断罪の日を冷静に迎えた。王太子アッシュから投げつけられる「恥知らずめ!」という罵声も、学園生徒たちの冷たい視線も、彼女の心には届かない。すべてはゲームの筋書き通り。彼女の「悪事」は些細な注意の言葉が曲解されたものだったが、弁明は許されなかった。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。

朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」  テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。 「誰と誰の婚約ですって?」 「俺と!お前のだよ!!」  怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。 「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。

四季
恋愛
お前は要らない、ですか。 そうですか、分かりました。 では私は去りますね。

後悔などありません。あなたのことは愛していないので。

あかぎ
恋愛
「お前とは婚約破棄する」 婚約者の突然の宣言に、レイラは言葉を失った。 理由は見知らぬ女ジェシカへのいじめ。 証拠と称される手紙も差し出されたが、筆跡は明らかに自分のものではない。 初対面の相手に嫉妬して傷つけただなど、理不尽にもほどがある。 だが、トールは疑いを信じ込み、ジェシカと共にレイラを糾弾する。 静かに溜息をついたレイラは、彼の目を見据えて言った。 「私、あなたのことなんて全然好きじゃないの」

悪役令嬢は手加減無しに復讐する

田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。 理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。 婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。

処理中です...