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「あぁ・・・行ってしまわれた。世界の厄災がっ、我が国の・・・」
召使いたちが脱力し、地面にへたり込んだ。
サクラはブラックカオスがいなくなるまで見送っていたけれど、召使いたちの言葉で我に返る。
黒竜に対しての魅力は心の奥底に染み入っていた。恐怖が心の大半を占めた。
「これは・・・どういうことだ・・・っ」
青年の声がしたので、3人はその声の主を見る。
そこには、アレキサンダー王子が衛兵を数名連れていた。アレキサンダー王子はそこいた巨大な存在がいなくなったためできてしまったぽっかり空いてしまった空間を唖然と見つめる。
「ひっ」
召使いたちが抱きしめ合いながらその青年の視線に怯える。その言葉には怒りというよりは憎しみに近い感情が込められていた。召使いではらちが明かないと判断した青年はサクラを睨む。
「どういうことだ、ブレンダ・・・っ」
鋭い眼光。
サクラは鼓動が大きく鳴った。
「逃げちゃいました・・・」
「そんなことは、わかっているっ!!?お前がいて、どうしてそうなったかと聞いているんだっ!!」
サクラは憎しみをぶつけられるのには慣れていたつもりだったけれど、ここまで特定的で激しい憎しみは初めてだった。
「おい、ガジェットを呼べ」
「はっ」
後ろの兵士に命令すると、兵士は敬礼して返事をし、急いで走り出す。
「ちっ」
アレキサンダー王子はサクラのところまで歩いて来て見下すように見る。
「あれだけ、豪語したのにこの失態は無様だな、サクラ。所詮お前は何もない無能だといことだ」
「ごめんなさい・・・」
瞬きもせずにサクラはアレキサンダー王子に謝る。目からは涙が流れていた。
「はぁ・・・っ」
それを見て、ため息をつくアレキサンダー王子。
「そんな少女のような顔をしても無駄だサクラ。まだ・・・・・・いや、俺の人の見る目が無かったということか」
「きゃっ」
アレキサンダー王子はサクラの胸元にあった赤い宝石をむしり取る。
それは王子から妻へ、妻から息子へ、そして、息子から息子の妻へと代々伝わって来た王家の秘宝。アレキサンダー王子はその宝石が今まで汚い物に触れていたかのように、袖でこびりついた汚れを落とすように何度も拭く。
「ふんっ」
マントを翻し、アレキサンダー王子は不機嫌な顔をしながら立ち去った。
アレキサンダー王子の目は最後にはゴミを見るような目でサクラを見ていた。そんな姿を見た召使いたちも王子や兵士たちの後を追う。
大きな大きな黒竜がいなくなった広すぎるスペースに、サクラは一人取り残されて、呆然としながら自分の現状やどうすべきなのかなどを考えて、動けずにいた。
召使いたちが脱力し、地面にへたり込んだ。
サクラはブラックカオスがいなくなるまで見送っていたけれど、召使いたちの言葉で我に返る。
黒竜に対しての魅力は心の奥底に染み入っていた。恐怖が心の大半を占めた。
「これは・・・どういうことだ・・・っ」
青年の声がしたので、3人はその声の主を見る。
そこには、アレキサンダー王子が衛兵を数名連れていた。アレキサンダー王子はそこいた巨大な存在がいなくなったためできてしまったぽっかり空いてしまった空間を唖然と見つめる。
「ひっ」
召使いたちが抱きしめ合いながらその青年の視線に怯える。その言葉には怒りというよりは憎しみに近い感情が込められていた。召使いではらちが明かないと判断した青年はサクラを睨む。
「どういうことだ、ブレンダ・・・っ」
鋭い眼光。
サクラは鼓動が大きく鳴った。
「逃げちゃいました・・・」
「そんなことは、わかっているっ!!?お前がいて、どうしてそうなったかと聞いているんだっ!!」
サクラは憎しみをぶつけられるのには慣れていたつもりだったけれど、ここまで特定的で激しい憎しみは初めてだった。
「おい、ガジェットを呼べ」
「はっ」
後ろの兵士に命令すると、兵士は敬礼して返事をし、急いで走り出す。
「ちっ」
アレキサンダー王子はサクラのところまで歩いて来て見下すように見る。
「あれだけ、豪語したのにこの失態は無様だな、サクラ。所詮お前は何もない無能だといことだ」
「ごめんなさい・・・」
瞬きもせずにサクラはアレキサンダー王子に謝る。目からは涙が流れていた。
「はぁ・・・っ」
それを見て、ため息をつくアレキサンダー王子。
「そんな少女のような顔をしても無駄だサクラ。まだ・・・・・・いや、俺の人の見る目が無かったということか」
「きゃっ」
アレキサンダー王子はサクラの胸元にあった赤い宝石をむしり取る。
それは王子から妻へ、妻から息子へ、そして、息子から息子の妻へと代々伝わって来た王家の秘宝。アレキサンダー王子はその宝石が今まで汚い物に触れていたかのように、袖でこびりついた汚れを落とすように何度も拭く。
「ふんっ」
マントを翻し、アレキサンダー王子は不機嫌な顔をしながら立ち去った。
アレキサンダー王子の目は最後にはゴミを見るような目でサクラを見ていた。そんな姿を見た召使いたちも王子や兵士たちの後を追う。
大きな大きな黒竜がいなくなった広すぎるスペースに、サクラは一人取り残されて、呆然としながら自分の現状やどうすべきなのかなどを考えて、動けずにいた。
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