兄さまとぼくの20年の過去とこれからの未来

西東友一

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 馬に乗って、草原を縦横無尽に駆け巡ったジンとフェイロン。
 興奮するジンと見づらい状態で馬を操っていたフェイロン。
 夕日が山に沈む頃、一番最初に疲れてしまったのは、二人より遥かにでかい馬の方だった。

「よっと」

 馬から先に降りたのはフェイロン。
 ジンはそのまま置いてけぼりになるんじゃないかと不安な顔をする。

(ふふっ。かわいいな・・・)

 フェイロンは、ジンを安心させるような穏やかな笑顔でジンに手を差し伸べると、ジンは安堵の顔をして馬から降りるのを助けて貰った。

「・・・んっ」

 地面に降りたジンは、さっきまで馬の上で散々揺れていたのが無くなり、身体が揺れを求めているのか、地面がぐらつくような錯覚を味わった。ジンはその酔ったみたいな面白い感覚を噛みしめた。

「どうだい、楽しかったかい?」

 フェイロンに話しかけられて、ジンは自分一人で盛り上がっていたのが少し気恥ずかしくなりながら、

「うん、ああ・・・」

 ジンは少し歯切れが悪かった。
 というのも、ジンはフェイロンと出会った時よりも仲良くなりたいと思った。

 でも、自分よりも優れているであろうフェイロンにため口で良いのか、丁寧語がいいのか少し悩んでいたからだ。
 
 ジンはフェイロンがどんな反応をするのか、心配そうに見ていたけれど、

「それは良かった」

 フェイロンはジンの言い方など少しも気にせず、得意げな顔で嬉しそうに笑った。それを見てホッとしたジンはフェイロンと対等に胸が張れそうなのが嬉しくて、ニヤけるのを堪えた。

 キューーーーっ。

 初めての乗馬はとても興奮したが、緊張もしていた。安堵したジンのお腹は貰った桃なんてあっという間に消化は済んでいて、催促の警報音を鳴らした。

「ふふっ。ジンはお腹だけは正直だね」

「うっ、うるせー」

(やっぱり、嫌な奴だ)

 フェイロンにしてみれば、ちょっとしたかわいがりだったけど、ジンは意地悪に慣れていなかった。

「なんだよ・・・?」

「いや」

 ただ、フェイロンから敵意を感じなくなったジンは、フェイロンの笑顔が喧嘩を売っているわけではないと分かり、先ほどよりは少しだけ嫌な気はしなかった。

「火は起こせる?」

「馬鹿にすんな、当然だろ」

「じゃあ、お願いするよ」

「はぁ!? なんで、俺が」

 ジンは大きな声を出した。別に火を起こすのなんて、造作もないことだ。けれど、お願いであっても命令されることを反射的に拒んでしまった。

「うん、じゃあそこら辺にいてくれるかな?」

 そんなジンの態度に動じることなく、フェイロンは命令でもお願いでもなく、提案してみた。

「・・・分かった」

「うん、ありがとう」

 フェイロンはジンの返事にお礼を言って「さて・・・」と言いながら手を擦り合わせて周りを確認し、何かを始めようとする。

「おい・・・」

「ん? なんだい?」

 ジンはバツが悪そうに頬を掻きながら、

「・・・どこに火を作ればいいんだ」

 と、ジンは初めてフェイロンに歩み寄ってみた。

  
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