1 / 9
1
しおりを挟む
「おい、スノウ。いつ結婚式を挙げるかそろそろ決めようじゃないか」
そう言ってきたのは婚約者のカイザー第一王子。
だれど、私は知っている・・・彼が私を裏切っていることを。
「そうですね・・・。カイザー様は誓えますか?」
「なっ、何をだっ?」
「何をって・・・面白いことを仰らないでください。結婚式で誓うと言えば、私への愛」
「あっ、あぁ・・・もちろんだとも。当然すぎて、逆にわからなかっただけだ」
「そうですか。本当に神や皆の前で偽りなく、わたくしだけを愛されると誓えるのですね?」
私は知っている。カイザーが浮気していることを。
「はははは・・・・・・っ」
「私の妹のリューネも参りますが、誓いのキスもできるのですね?」
返事もしないカイザーは妹の名前を出したら、乾いた笑いをピタッと止めた。
「・・・なぜ、そこで妹君の名前を出すんだ?」
「さぁ?」
「・・・」
私は知っている。カイザーの浮気相手が私の妹のリューネであることを。
「まぁ、いい。ちゃんと、決めろ。早くしないと、いろんな人に迷惑をかけることになるからな」
そう言って、出て行くカイザー。
「・・・一番困るのは貴方様でしょ」
私はカイザーの出て行った扉に向かって独り言を話す。
カイザーは第一王子と言っても、周りからの信用もなく、浪費家でお金がないため、貴族に借りた借金を返せないでいる。あまりにも高額な借金が露呈すれば、王から逆鱗を買うのは必至。次期王の座は無くなり、僻地に飛ばされるだろう。だから、私と早く結婚して、私の財産を狙っているのだ。
別に妹のことが好きなら、妹と結婚してしまえばいい?
残念。
私の家はそれなりの貴族ではあるけれど、カイザーの借金を肩代わりするほどお金はない。
その上、妹は宝石やドレスに目が無くて、さらにたちが悪いことに人よりも安い物を身に着けたくない、流行に乗り遅れていたくないと言って、カイザー以上に浪費家でお金は持っていない。
私はというと、人のご縁と時期が味方して、貿易でカイザーの借金を払ってもおつりがくるくらいは稼がせていただいているけれど、私の御金目当ての人の他人の借金の肩代わりをするほどお人よしではありません。
とはいえ、悩みました。婚約後にカイザーの借金に気づいた私は愛があるならば払ってしまってもいいのか、それとも今後のことも含めて彼自身に解決してもらうのか。結婚する二人であるならば、困難は二人で解決するはずでしょう。だから、私は彼から言ってくるのを待っていましたが、彼から借金があることについて話してはくれず、結婚を迫るばかり。
その上、カイザーは私が待ったをかけていると、妹に近づき親しい関係になってしまったのです。
そう言ってきたのは婚約者のカイザー第一王子。
だれど、私は知っている・・・彼が私を裏切っていることを。
「そうですね・・・。カイザー様は誓えますか?」
「なっ、何をだっ?」
「何をって・・・面白いことを仰らないでください。結婚式で誓うと言えば、私への愛」
「あっ、あぁ・・・もちろんだとも。当然すぎて、逆にわからなかっただけだ」
「そうですか。本当に神や皆の前で偽りなく、わたくしだけを愛されると誓えるのですね?」
私は知っている。カイザーが浮気していることを。
「はははは・・・・・・っ」
「私の妹のリューネも参りますが、誓いのキスもできるのですね?」
返事もしないカイザーは妹の名前を出したら、乾いた笑いをピタッと止めた。
「・・・なぜ、そこで妹君の名前を出すんだ?」
「さぁ?」
「・・・」
私は知っている。カイザーの浮気相手が私の妹のリューネであることを。
「まぁ、いい。ちゃんと、決めろ。早くしないと、いろんな人に迷惑をかけることになるからな」
そう言って、出て行くカイザー。
「・・・一番困るのは貴方様でしょ」
私はカイザーの出て行った扉に向かって独り言を話す。
カイザーは第一王子と言っても、周りからの信用もなく、浪費家でお金がないため、貴族に借りた借金を返せないでいる。あまりにも高額な借金が露呈すれば、王から逆鱗を買うのは必至。次期王の座は無くなり、僻地に飛ばされるだろう。だから、私と早く結婚して、私の財産を狙っているのだ。
別に妹のことが好きなら、妹と結婚してしまえばいい?
残念。
私の家はそれなりの貴族ではあるけれど、カイザーの借金を肩代わりするほどお金はない。
その上、妹は宝石やドレスに目が無くて、さらにたちが悪いことに人よりも安い物を身に着けたくない、流行に乗り遅れていたくないと言って、カイザー以上に浪費家でお金は持っていない。
私はというと、人のご縁と時期が味方して、貿易でカイザーの借金を払ってもおつりがくるくらいは稼がせていただいているけれど、私の御金目当ての人の他人の借金の肩代わりをするほどお人よしではありません。
とはいえ、悩みました。婚約後にカイザーの借金に気づいた私は愛があるならば払ってしまってもいいのか、それとも今後のことも含めて彼自身に解決してもらうのか。結婚する二人であるならば、困難は二人で解決するはずでしょう。だから、私は彼から言ってくるのを待っていましたが、彼から借金があることについて話してはくれず、結婚を迫るばかり。
その上、カイザーは私が待ったをかけていると、妹に近づき親しい関係になってしまったのです。
91
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたが妹を選んだのです…後悔しても遅いですよ?
なか
恋愛
「ローザ!!お前との結婚は取り消しさせてもらう!!」
結婚式の前日に彼は大きな声でそう言った
「なぜでしょうか?ライアン様」
尋ねる私に彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべ
私の妹マリアの名前を呼んだ
「ごめんなさいお姉様~」
「俺は真実の愛を見つけたのだ!」
真実の愛?
妹の大きな胸を見ながら言うあなたに説得力の欠片も
理性も感じられません
怒りで拳を握る
明日に控える結婚式がキャンセルとなればどれだけの方々に迷惑がかかるか
けど息を吐いて冷静さを取り戻す
落ち着いて
これでいい……ようやく終わるのだ
「本当によろしいのですね?」
私の問いかけに彼は頷く
では離縁いたしまししょう
後悔しても遅いですよ?
これは全てあなたが選んだ選択なのですから
妹と再婚約?殿下ありがとうございます!
八つ刻
恋愛
第一王子と侯爵令嬢は婚約を白紙撤回することにした。
第一王子が侯爵令嬢の妹と真実の愛を見つけてしまったからだ。
「彼女のことは私に任せろ」
殿下!言質は取りましたからね!妹を宜しくお願いします!
令嬢は妹を王子に丸投げし、自分は家族と平穏な幸せを手に入れる。
熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。
しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。
「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」
身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。
堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。
数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。
妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。
異母妹に婚約者を奪われ、義母に帝国方伯家に売られましたが、若き方伯閣下に溺愛されました。しかも帝国守護神の聖女にまで選ばれました。
克全
恋愛
『私を溺愛する方伯閣下は猛き英雄でした』
ネルソン子爵家の令嬢ソフィアは婚約者トラヴィスと踊るために王家主催の舞踏会にきていた。だがこの舞踏会は、ソフィアに大恥をかかせるために異母妹ロージーがしかけた罠だった。ネルソン子爵家に後妻に入ったロージーの母親ナタリアは国王の姪で王族なのだ。ネルソン子爵家に王族に血を入れたい国王は卑怯にも一旦認めたソフィアとトラヴィスの婚約を王侯貴族が集まる舞踏会の場で破棄させた。それだけではなく義母ナタリアはアストリア帝国のテンプル方伯家の侍女として働きに出させたのだった。国王、ナタリア、ロージーは同じ家格の家に侍女働きに出してソフィアを貶めて嘲笑う気だった。だがそれは方伯や辺境伯という爵位の存在しない小国の王と貴族の無知からきた誤解だった。確かに国によっては城伯や副伯と言った子爵と同格の爵位はある。だが方伯は辺境伯同様独立裁量権が強い公爵に匹敵する権限を持つ爵位だった。しかもソフィアの母系は遠い昔にアストリア帝室から別れた一族で、帝国守護神の聖女に選ばれたのだった。
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
「本当の自分になりたい」って婚約破棄しましたよね?今さら婚約し直すと思っているんですか?
水垣するめ
恋愛
「本当の自分を見て欲しい」と言って、ジョン王子はシャロンとの婚約を解消した。
王族としての務めを果たさずにそんなことを言い放ったジョン王子にシャロンは失望し、婚約解消を受け入れる。
しかし、ジョン王子はすぐに後悔することになる。
王妃教育を受けてきたシャロンは非の打ち所がない完璧な人物だったのだ。
ジョン王子はすぐに後悔して「婚約し直してくれ!」と頼むが、当然シャロンは受け入れるはずがなく……。
婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~
みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。
全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。
それをあざ笑う人々。
そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。
格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう
柚木ゆず
恋愛
「アルマ・レンザ―、光栄に思え。次期侯爵様は、お前をいたく気に入っているんだ。大人しく僕のものになれ。いいな?」
最初は柔らかな物腰で交際を提案されていた、リエズン侯爵家の嫡男・バチスタ様。ですがご自身の思い通りにならないと分かるや、その態度は一変しました。
……そうなのですね。格下は格上の命令に従わないといけない、そんなルールがあると仰るのですね。
分かりました。
ではそのルールに則り、わたしの命令に従っていただきましょう。
地味だからいらないと婚約者を捨てた友人。だけど私と付き合いだしてから素敵な男性になると今更返せと言ってきました。ええ、返すつもりはありません
亜綺羅もも
恋愛
エリーゼ・ルンフォルムにはカリーナ・エドレインという友人がいた。
そしてカリーナには、エリック・カーマインという婚約者がいた。
カリーナはエリックが地味で根暗なのが気に入らないらしく、愚痴をこぼす毎日。
そんなある日のこと、カリーナはセシル・ボルボックスという男性を連れて来て、エリックとの婚約を解消してしまう。
落ち込むエリックであったが、エリーゼの優しさに包まれ、そして彼女に好意を抱き素敵な男性に変身していく。
カリーナは変わったエリックを見て、よりを戻してあげるなどと言い出したのだが、エリックの答えはノーだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる