良薬口苦シ 婚約破棄されたので、病弱王子が寿命を減らしても薬師の私はもう知りませんよ?

西東友一

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少女時代

王宮からの招致1

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「ううっ」

 ディアス王子がよろめく。

「大丈夫?ディアス?」

 王妃が心配する。
 医師のおじいちゃんが触診していく。

「大丈夫じゃ・・・疲れているようじゃ」

「そうよ、危篤状態の身体を無理やり活性化させて、強力な薬を使ったのだから身体への負担はかなりでかいはずよ」

 私は扉からベットの方へと近づく。

「まぁ、まだ若いからちゃんと薬を飲み続ければ、きちんと治るはずよ」

 眠りについたディアス王子の顔を見る。
 か弱い顔をしているけれど、さっきの悪魔にとり憑かれたような顔ではなく、安らかな顔をしている。

「若いって、フローラも同じくらいじゃないか・・・いてっ」

 とりあえず、この兵士は私の偉大さがわかっていないようだから、スネを蹴っておく。
 そして、用事がすんだ私はいそいそとカバンを片付ける。

「薬は定期的に届けさせますので。お支払いはその時にお願いします。ではっ」

 目の前にある病気という問題に回答して、正解するのは嬉しい。

「ちょっ、ちょっと待ちなさいっ」

 王妃の言葉に、私はめんどくさそうな顔をしながら振り返らずに足を止めた。

「待ちなさい?」

 本当にこの頃の私は恥ずかしいくらい傲慢だったので、『馬鹿言っちゃいけないよ、奥さん』みたいなジト目で王妃を見上げる。

「う・・・っ」

 たじろぐ王妃。

「ふっ・・・ではっ」

 私は鼻で笑う。

「病気はまだ治っていないの?フローラ」

 王妃の顔は、無理に作った笑顔のせいかピクピク痙攣している。

「そんなすぐ治るなら危篤なんて言わないでしょ、ねぇ、おじいちゃん」

「ふぇっ?んっ、ゴホンっ。そうじゃのう・・・」

 私が話を急に振ったせいか慌てながら医師のおじいちゃんが答える。

「あとは、そのおじいちゃんが看ながら処方すれば大丈夫よ。じゃっ」

 私はお辞儀をして、再び行こうとする。

「お待ちくだされ、フローラ様」

 国王の言葉に私は仕方なく振り返る。

「・・・なんでしょうか?」

 権威があるにも関わらず、礼儀をもって私に接する国王様に呼び止められてしまえば、私も礼儀をもって答えなければならない。国王は立ち上がり、私の目の前に来ると、膝まづく。

「貴女のような聡明な方は引く手数多でお忙しいかと存じます。しかしながら、我らのディアスのために、どうかこの城に留まってはくださらぬか」

 そう言って、頭を下げる国王。
 傲慢だった私にもことの重大さはひしひしと伝わってきて、慌ててしまう。
 国王が頭を下げたことに一度は驚いた王妃も膝まづき、頭を下げる。王妃たちの姿を見て、兵士も急いで膝まづいて頭を下げてきた。
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