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種付呪法
丑の刻参り 後編
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飾られた古い鳩時計が深夜二時を指した。小さなベルが微かに鳴るが、鳩は飛び出さなかった。
私と桑村は神社にある休息室で待機していた。
取材のため特別に許可を貰っての事だ。守衛を通じて神社の宮司に交渉し、一日だけ神社に泊まらせて頂いた。
目的は種付呪法、その現場の撮影だ。
持ち込んだパソコンには分割された映像が映っている。映像はどれも真っ暗で殆ど何も見えない。敷地内に設置されていた監視カメラの映像だ。これも許可を得て接続させて貰った。
もし、この映像に不審な影が映ればそこへ向かうという手はずだ。
一晩だけと言う約束。勝負は午前二時から二時半、丑三つ時だ。私は些細な動きも見落とさないようモニターを凝視していた。
水を刺したのは桑村だった。
「そう言えばさ。何で直ぐに帰ろうとしたの?」
「どう言う意味だ?」
突然の問いかけに桑村の真意が掴めず私は聞き返してしまった。
桑村はいやいやと呆れたような顔をした。
「いやさ。普通張り込まない?寄せられた体験談が実話である確かな証拠を得られるチャンスなのに。なんで人から聞いた話しだけで満足してるのさ」
「さぁな。あの取材での成果は予想以上だった。レポートを書くには十分すぎる程にだ。張り込んで変質者を待つなんて発想は思い浮かばなかったな」
事実だ。私の取材はあの場で終わっていた。だがこれでは弱い。私は更に理由を追加する。
「例え思い付いたとしても、そこまでやらないだろうな。守衛さんも言っていたが、ここに来る奴は危険過ぎる。体当たりでの取材はリスクが高い。割に合わんさ」
「えー勿体ない。そこが一番楽しいのに」
オカルトマニアの桑村と違い、私は取材を仕事として線引きしている。桑村が言っているのはその事だろう。
「自分自身が物語の登場人物に成れるチャンスなんて滅多にあるもんじゃないよ」
「我々の仕事は読者に体験談を伝える事だぞ。ミイラ取りがミイラになってどうする」
「なんかちがくない?それ」
それなりに長い付き合いだ。価値観の違いはお互いに理解している。言ってしまえば眠気覚ましの軽口。
私達の間では何度も繰り返された話題だった。
「おや?」
桑村がモニターを覗き込む。
「これ人じゃ無い?」
「どこだ?!」
「ここ、ほら動いてる!」
モニターに飛びついて食い入るよう見つめる。
「クソ。光源が少なすぎるこれだけじゃ何もわからん」
桑村が指さす先では確かに黒い影のような物が動いていた。しかし画面全体が暗くそのシルエットすらはっきりしない。残念ながら神社の用意したカメラには暗視効果はないのだ。
「直接行って確かめるしか無いな。行くぞ」
カメラ片手に小屋を飛び出すと私と桑村は雑木林へと向かった。
夜の雑木林は完全な暗闇だ。
だが、ライトをつける訳には行かない。そんな事をすれば相手に見つかってしまう。私達は手探りで雑木林を進んでいく事になるが、昼の間に予習が出来たおかげで私達は迷わずに済んだ。
暗がりの中では視界が効かない分、他の感覚が研ぎ澄まされる。
それは相手も同じだろう。うっかり近ずき過ぎては此方の存在に感づかれてしまう。私達は慎重に時間を掛けながらカメラの場所へと近づいた。
辺りにはこれといった光源は無い。だが晴れた夜空が月明かりを落とし、林の中に潜む男の姿を浮かび上がらせていた。
太った男だ。不健康そうな白い肌に、垂れた脂肪が積み重なり、男が動くたび不気味に揺れている。
闇夜に浮かぶ男の肉は大層不気味だ。
その様相に私は肉の妖怪ぬっぺふほふを思い浮かべた。
男は全裸だった。
衣服は何も付けていない。靴さえも。その代わり、しめ縄のような物を頭や腰、腕などに結んでいる。
一体どこからこの格好で居たのだろうか。見える範囲に鞄などは無い。
警察に通報すれば確実に逮捕できるだろう。
「ーーー!ーーー!」
男は何か叫びながら腰を振っている。激しいシャウトに声が潰れていてよく聞き取れないが、どうやら人の名前のようだ。
此方に背を向けている為手元は見えないが、その動きから自慰しているのは確実だった。
当たりだ。
私達は手頃な藪に身を隠し、男を観察することにした。
まごう事なき変態行為だが、これこそ私達が追っていた種付呪法だった。
目的の光景が目の前にある以上、私も桑村も真剣だ。
私はカメラを男に向けた。フラッシュは当然たけない。外に光が漏れるのを抑える為、カメラは黒いビニールに覆われている。
無音シャッター。
森の幻獣を扱うかのような手の込みようだが、その成果もあり撮影で発生する音も光も完全に断ち切れていた。
にもかかわらず男は何らかの気配を感じ取りその動きを止めた。
「ふぅー!はー!」
雑木林に男の荒い息伝いが続く。男は頭を大きく振り辺りを見回す。
月明かりに照らされ男の手元がきらりと光った。
こいつ、刃物を持ってやがる。
額に嫌な汗が滲んだのを感じた。守衛の言葉を思い出す。
彼は武器を持ってる奴も居ると言っていた。
私はせいぜい五寸釘とトンカチ辺りを想像していたが目の前の男が持っているのはより直接的な殺意の形だ。
人を切るのに申し分ない刃渡り。出刃包丁!
驚愕の事実だ。この男は、オナホールと出刃包丁を持って彷徨いていたのか。
本来、丑の刻参りという儀式は他人の目に触れてはならない。
もし見られたのならばその目を封じなければならない。
それこそが呪いの作法だ。
男は目で耳で鼻で五感を駆使して私達を探している。儀式で高められた感覚により獣じみた動きで男は一歩一歩、私達に近づいて来ていた。
今すぐにでも逃げ出したい気持ちで一杯だが下手に動けば此方の存在に気付かれてしまうだろう。
幸い男と私達の間にはまだ距離がある。
男は一見しただけで太り過ぎだと分かる体型だ。運動不足の気も感じられる。
しかし、走って逃げれば撒けるだろうという打算はあの男の異様な執念に気圧され、実行に移せないでいた。
私にはあの男が自分のカンを気の所為だと断じ、この場を立ち去ってくれる事を願う事しか出来なかった。
桑村が私の方へ身を寄せそっと耳打った。
「あれヤバイよ。どうする?」
心臓が跳ね上がり、息が止まる。
―――馬鹿、喋るな!
虫の音にも劣るような小さな声だが男の耳には聞こえていた。
「そこかぁあああああ!」
絶叫を上げ男が此方へ突っ込んでくる。刃物を振り回し、ドスドスと思い足音が雪崩の様に迫る。
私達は藪を飛び出し無我夢中で駆けた。私にとって久方ぶりの全力疾走。気を抜けば若い頃の記憶が流れてきそうだった。
走っている最中、後ろでは男の叫びが聞こえていた。
正直、桑村を気にしている余裕なんてなかったのだがそれは杞憂だった。
桑村は常に私の前を走っていた。
何処をどうやって逃げたが記憶に無いが私達は何とか神社まで戻って来る事が出来た。
小屋へ駆け込み錠前を掛けた。へたり込むように倒れ、畳の上に大の字で転がる。
どっと疲れが押し寄る。日々、四十代に迫る肉体は私の想像以上に疲弊していた。チカチカと眩暈もする。
口が聞けるようになったのは数分後であった。
「戦利品は?」
復活した桑村が開口一番そう言った。まだ息の上がっていた私は無言でカメラを手渡した。
一発撮り。それも暗所でフラッシュ無しだった。
貼り付けてあったビニールを剥がし桑村が中身を検める。
「おぉ……」
「どうだった?」
桑村は私に見えるようにカメラの画面を此方へ向けた。
真っ暗闇の中に微かに映る木々と男のシルエットが見える。
「尻が良く撮れているわ」
撮影時、男は私達の方へ背を向けていたが月明かりに照らされ、そこだけがはっきりと写っていた。
思わず吹き出してしまった。どうやら少し余裕が戻ってきたようだ。
「ビックフットならこれでも十分なんだが」
「撮れた方でしょ。オナホ写ってれば完璧なんだけどね」
「回り込むべきだったか?」
「無理でしょ。あれ以上近づいたら殺されるわ」
冗談の様に言う桑村だが、冗談では無かった。無事に逃げることが出来たから良いが、もし捕まっていたと考えると笑えたものではない。
「予想以上にヤバイ奴だったわね」
「あぁ」
「どう?楽しかった?」
「は?」
頓珍漢な桑村の物言いに私は思わず桑村の顔を見合わせた。
心底愉しそうに桑村は笑っていた。
私には苦笑を浮かべる事しか出来なかった。
私と桑村は神社にある休息室で待機していた。
取材のため特別に許可を貰っての事だ。守衛を通じて神社の宮司に交渉し、一日だけ神社に泊まらせて頂いた。
目的は種付呪法、その現場の撮影だ。
持ち込んだパソコンには分割された映像が映っている。映像はどれも真っ暗で殆ど何も見えない。敷地内に設置されていた監視カメラの映像だ。これも許可を得て接続させて貰った。
もし、この映像に不審な影が映ればそこへ向かうという手はずだ。
一晩だけと言う約束。勝負は午前二時から二時半、丑三つ時だ。私は些細な動きも見落とさないようモニターを凝視していた。
水を刺したのは桑村だった。
「そう言えばさ。何で直ぐに帰ろうとしたの?」
「どう言う意味だ?」
突然の問いかけに桑村の真意が掴めず私は聞き返してしまった。
桑村はいやいやと呆れたような顔をした。
「いやさ。普通張り込まない?寄せられた体験談が実話である確かな証拠を得られるチャンスなのに。なんで人から聞いた話しだけで満足してるのさ」
「さぁな。あの取材での成果は予想以上だった。レポートを書くには十分すぎる程にだ。張り込んで変質者を待つなんて発想は思い浮かばなかったな」
事実だ。私の取材はあの場で終わっていた。だがこれでは弱い。私は更に理由を追加する。
「例え思い付いたとしても、そこまでやらないだろうな。守衛さんも言っていたが、ここに来る奴は危険過ぎる。体当たりでの取材はリスクが高い。割に合わんさ」
「えー勿体ない。そこが一番楽しいのに」
オカルトマニアの桑村と違い、私は取材を仕事として線引きしている。桑村が言っているのはその事だろう。
「自分自身が物語の登場人物に成れるチャンスなんて滅多にあるもんじゃないよ」
「我々の仕事は読者に体験談を伝える事だぞ。ミイラ取りがミイラになってどうする」
「なんかちがくない?それ」
それなりに長い付き合いだ。価値観の違いはお互いに理解している。言ってしまえば眠気覚ましの軽口。
私達の間では何度も繰り返された話題だった。
「おや?」
桑村がモニターを覗き込む。
「これ人じゃ無い?」
「どこだ?!」
「ここ、ほら動いてる!」
モニターに飛びついて食い入るよう見つめる。
「クソ。光源が少なすぎるこれだけじゃ何もわからん」
桑村が指さす先では確かに黒い影のような物が動いていた。しかし画面全体が暗くそのシルエットすらはっきりしない。残念ながら神社の用意したカメラには暗視効果はないのだ。
「直接行って確かめるしか無いな。行くぞ」
カメラ片手に小屋を飛び出すと私と桑村は雑木林へと向かった。
夜の雑木林は完全な暗闇だ。
だが、ライトをつける訳には行かない。そんな事をすれば相手に見つかってしまう。私達は手探りで雑木林を進んでいく事になるが、昼の間に予習が出来たおかげで私達は迷わずに済んだ。
暗がりの中では視界が効かない分、他の感覚が研ぎ澄まされる。
それは相手も同じだろう。うっかり近ずき過ぎては此方の存在に感づかれてしまう。私達は慎重に時間を掛けながらカメラの場所へと近づいた。
辺りにはこれといった光源は無い。だが晴れた夜空が月明かりを落とし、林の中に潜む男の姿を浮かび上がらせていた。
太った男だ。不健康そうな白い肌に、垂れた脂肪が積み重なり、男が動くたび不気味に揺れている。
闇夜に浮かぶ男の肉は大層不気味だ。
その様相に私は肉の妖怪ぬっぺふほふを思い浮かべた。
男は全裸だった。
衣服は何も付けていない。靴さえも。その代わり、しめ縄のような物を頭や腰、腕などに結んでいる。
一体どこからこの格好で居たのだろうか。見える範囲に鞄などは無い。
警察に通報すれば確実に逮捕できるだろう。
「ーーー!ーーー!」
男は何か叫びながら腰を振っている。激しいシャウトに声が潰れていてよく聞き取れないが、どうやら人の名前のようだ。
此方に背を向けている為手元は見えないが、その動きから自慰しているのは確実だった。
当たりだ。
私達は手頃な藪に身を隠し、男を観察することにした。
まごう事なき変態行為だが、これこそ私達が追っていた種付呪法だった。
目的の光景が目の前にある以上、私も桑村も真剣だ。
私はカメラを男に向けた。フラッシュは当然たけない。外に光が漏れるのを抑える為、カメラは黒いビニールに覆われている。
無音シャッター。
森の幻獣を扱うかのような手の込みようだが、その成果もあり撮影で発生する音も光も完全に断ち切れていた。
にもかかわらず男は何らかの気配を感じ取りその動きを止めた。
「ふぅー!はー!」
雑木林に男の荒い息伝いが続く。男は頭を大きく振り辺りを見回す。
月明かりに照らされ男の手元がきらりと光った。
こいつ、刃物を持ってやがる。
額に嫌な汗が滲んだのを感じた。守衛の言葉を思い出す。
彼は武器を持ってる奴も居ると言っていた。
私はせいぜい五寸釘とトンカチ辺りを想像していたが目の前の男が持っているのはより直接的な殺意の形だ。
人を切るのに申し分ない刃渡り。出刃包丁!
驚愕の事実だ。この男は、オナホールと出刃包丁を持って彷徨いていたのか。
本来、丑の刻参りという儀式は他人の目に触れてはならない。
もし見られたのならばその目を封じなければならない。
それこそが呪いの作法だ。
男は目で耳で鼻で五感を駆使して私達を探している。儀式で高められた感覚により獣じみた動きで男は一歩一歩、私達に近づいて来ていた。
今すぐにでも逃げ出したい気持ちで一杯だが下手に動けば此方の存在に気付かれてしまうだろう。
幸い男と私達の間にはまだ距離がある。
男は一見しただけで太り過ぎだと分かる体型だ。運動不足の気も感じられる。
しかし、走って逃げれば撒けるだろうという打算はあの男の異様な執念に気圧され、実行に移せないでいた。
私にはあの男が自分のカンを気の所為だと断じ、この場を立ち去ってくれる事を願う事しか出来なかった。
桑村が私の方へ身を寄せそっと耳打った。
「あれヤバイよ。どうする?」
心臓が跳ね上がり、息が止まる。
―――馬鹿、喋るな!
虫の音にも劣るような小さな声だが男の耳には聞こえていた。
「そこかぁあああああ!」
絶叫を上げ男が此方へ突っ込んでくる。刃物を振り回し、ドスドスと思い足音が雪崩の様に迫る。
私達は藪を飛び出し無我夢中で駆けた。私にとって久方ぶりの全力疾走。気を抜けば若い頃の記憶が流れてきそうだった。
走っている最中、後ろでは男の叫びが聞こえていた。
正直、桑村を気にしている余裕なんてなかったのだがそれは杞憂だった。
桑村は常に私の前を走っていた。
何処をどうやって逃げたが記憶に無いが私達は何とか神社まで戻って来る事が出来た。
小屋へ駆け込み錠前を掛けた。へたり込むように倒れ、畳の上に大の字で転がる。
どっと疲れが押し寄る。日々、四十代に迫る肉体は私の想像以上に疲弊していた。チカチカと眩暈もする。
口が聞けるようになったのは数分後であった。
「戦利品は?」
復活した桑村が開口一番そう言った。まだ息の上がっていた私は無言でカメラを手渡した。
一発撮り。それも暗所でフラッシュ無しだった。
貼り付けてあったビニールを剥がし桑村が中身を検める。
「おぉ……」
「どうだった?」
桑村は私に見えるようにカメラの画面を此方へ向けた。
真っ暗闇の中に微かに映る木々と男のシルエットが見える。
「尻が良く撮れているわ」
撮影時、男は私達の方へ背を向けていたが月明かりに照らされ、そこだけがはっきりと写っていた。
思わず吹き出してしまった。どうやら少し余裕が戻ってきたようだ。
「ビックフットならこれでも十分なんだが」
「撮れた方でしょ。オナホ写ってれば完璧なんだけどね」
「回り込むべきだったか?」
「無理でしょ。あれ以上近づいたら殺されるわ」
冗談の様に言う桑村だが、冗談では無かった。無事に逃げることが出来たから良いが、もし捕まっていたと考えると笑えたものではない。
「予想以上にヤバイ奴だったわね」
「あぁ」
「どう?楽しかった?」
「は?」
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