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オリジン
蛟様 後編・二
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姉が突然居なくなってから一週間。
星一郎には何が何だが分からなかった。母と祖父は「先に家に帰った」と言い張っていたが、そうじゃ無い事は小学生の星一郎にだって分かる。
祖父の家への帰省も予定より一週間延びていた。
その間、星一郎は欲しいものを何でも買ってもらえて食卓には毎日ご馳走が並んだ。
嬉しいはずなのに星一郎は何故だか喜べなかった。
そして星一郎の日常は彼にとって突然終わった。
星一郎は家族から何も聞かされないまま、河伯家の手へと渡った。
星一郎が連れてこられたのはその施設の中で最も深く秘匿されている場所だった。
山腹に建てられた施設、その一部は山を掘り進めそこへ埋まるようにしてたてられていた。
無数に入り混じる通路の一つが、その洞窟へと続いていた。
洞窟の奥、突き当たりには大きな湖が広がっている。少なくともその端を見る事は出来ない。
湖の目の前、しめ縄で区切られた場所に星一郎は座らされていた。ゴザのようなものが敷かれている。
頭には布の目隠しがされているがそれ以外拘束は何もされていなかった。
星一郎は座ったまま身動き一つしない。逃げ出そうともせず、喚くこともなかった。
手足が動かせないのだ。声も出なかった。頭も働かず、ぼんやりとした夢の中にいるような心地だった。
星一郎はここへ入る前に錠剤を飲まされていた。きっとそれのせいなのだろう。
重い引きずるような音が星一郎に近づいてくる。
人が大勢で何かを運んでいる。
運ばれてきたのは石版と呼べる代物だった。
研磨された表面は洞窟内の僅かな照明を受けて鈍い光を放っている。
石板には人の形に似た窪みが空いていた。
窪みの中には革のベルトが取り付けられ、そこに星一郎の四肢が固定された。
両腕を広げ脚を揃えたその格好はキリストの磔刑と同じだった。
磔だ。自分がどんな姿勢をとっているのか目隠しされていても分かった。
この先の末路が嫌でも頭に浮かんだ。
殺される。
星一郎は槍で心臓を一突きにされ血を沢山流して苦しむ自分の姿を想像してしまう。
星一郎が縛られた石板。子供を収めるにはその窪みは歪に思えた。
より深く掘られた中央部には星一郎の身体がすっぽり治っている。
しかし両手の方に伸びる溝は子供の腕に比べ太く平べったかった。反対に足の方はほとんどなく、丸い窪みが空いているだけで星一郎の足はみ出している。
石板の上から太い鎖が巻かれこれまた頑丈そうな南京錠で閉じられた。
作業が終わると星一郎は目隠しを外された。
洞窟の世界に暗く底知れない湖が視界一杯に広がっていた。
そこには星一郎を安心させるものは一つもなく、目隠しの暗闇とさほど変わらなかった。
首は少しだけ自由に動かせた。
星一郎は自分を縛っている石板を認識する。
石板の窪み以外の場所には文字が彫ってあったが、漢字ばかりで星一郎には読めなかった。
星一郎を石板に縛った者たちは作業が終わるとすぐに帰っていった。
星一郎は一人取り残された。
身動きの取れない星一郎は目の前に広がる湖を眺めるしかなかった。
果ての見えないそこに何か居る気がした。
数日後。
星一郎が洞窟に残されたまま既に短く無い時間が経過している。
その間、誰一人としてこの場に立ち入るものは無かった。
星一郎は多くの時間を眠って過ごした。飲まされた薬の効果は薄れる気配がなく、相変わらず声も出せず、思考はぼんやりとしたままだった。
星一郎は家族が迎え来る夢をよく見ていた。家に帰りたい。その一心だけが星一郎の思いだった。
だが、夢に出る家族の姿が次第に違うものになっているような気がした。それが何なのか星一郎には分からず怖かった。
眠ることしか出来ない星一郎は眠る事が怖くなっていた。
何も食べていない筈なのに、何故か空腹は感じない。
いや、確かに空腹を感じていた筈だ。今は感じていないだけだ。
時折り、強烈な眠気に襲われるのだ。
目が覚める度に星一郎は自分の身体に起きる異変を自覚していた。
暗いはずの洞窟を湖の遠くの方まで見渡せるようになった。
空腹を感じなくなった。
そして今は体全体に痒みを感じるようになった。熱を帯びたようなヒリヒリとした痒みだ。
幸いなことに麻痺した脳はそれをさほど気にしないようにしてくれた。
相変わらず声は出ず、身体も動かなかった。
一ヶ月後。
洞窟は無音ではなくっていた。
ごぅぅぅん。
いつからだろうか、大気を揺らす低音が洞窟内に木霊している。
甲高い足音が響く。一ヶ月ぶりの来訪者だった。
「うふふふふ」
足音は二つ。
河伯婦人とその従者だ。
「やっぱり子供は順応が早いわ」
石板の前まで来ると花壇に植えられた花の成長を喜ぶような調子でそう笑う。
河伯婦人の足元にはカラカラに干からびたお面のような物が転がっている。
星一郎の顔だ。
剥がれ落ちたその皮膚は脱ぎ捨てられたように元の形を保ったままだ。
剥がれ落ちたのはそれだけではない。髪や服の残骸が転がっていた。
河伯婦人は石板に縛られた星一郎を覗き込んだ。
自分を覗き込むその顔を六つの眼が見つめ返す。
「どうかしら? 産まれ変わった気分は」
石板に縛られた異形の存在は風が唸るような音で答えた。
異形の星一郎はのっぺらぼうの顔に六つの黒い真珠のような目をつけている。しかし口はなく喉からは空気が漏れていた。
アルビノのように白い肌は僅かに湿っていてた。爬虫類のように弾力のあるその皮膚にはよく見れば透明色の短い毛で覆われていた。
太く肥大化した腕は鰭のように平だ。指はなく、鰭の先に伸びたゴツゴツとした骨格がその名残を感じさせる。
胴体は長細く伸びていた。白い柔さがそうな腹に幾多もの乳房がぶら下がっている。
胴の先、その足に当たる部分には肉でできた塊となっていた。
まるで足枷のように肉の塊は下半身を覆いその身動きを不自由なものにしていた。薄く貼った白皮は黒ずんでいてドクンドクンと鼓動している。
その躰は石板にピッタリ収まっていた。
「蛟様に相応しい姿になっわね」
「これで姉弟ともども河伯家の仲間入りですわね」
「今その話はよくてよ?」
「あらあら、ごめんあそばせ」
ごぅぅぅん。
低音の唸りが地響きのように強く鳴る。
それは湖の底から聞こえてきていた。
「そろそろかしら」
河伯婦人が小さな鍵を取り出した。南京錠の鍵だ。大きくて頑丈な南京錠に対して鍵はとても小さかった。
錠を外す。石板を縛っていた鎖が音を立てて落ちる。
自由になった星一郎はどすんと音を立てて地面に落ちると項垂れるような姿勢を取った。
「うふふ。元気でね坊や」
早歩きで河伯婦人は立ち去る。口では別れの言葉を言うも振り返りもせず一目散に外へ出ようとする。
まるで逃げるかのような足取りだった。
洞窟に反響する唸り声はその音量を増してゆく。
再び取り残された星一郎は重い頭を上げて湖を見つめる。
洞窟の灯りは消えていた。
異形の雌となった彼は何を思うのか、やがてその時が来る。
それが現れた。
長い身体が湖から這い出てくる。その姿は大蛇と形容するに相応しい。鱗に覆われた巨大な蛇の体に鯰のような髭のついた頭がついている。
洞窟にはもう誰も居ない。星一郎だけがその姿を視ている。
蛟様がご降臨なされた。
蛟様が星一郎に顔を近づける。
星一郎は身体を倒して腹を見せた。
蛟様の顎が割れた。
そう形容するしかないだろう。魚に似た強靭な印象を受ける硬い顎が、三方向へ開く。その中からぬるりと太いものが溢れた。
管だ。赤黒い色をした太い肉の管が割れた顎から突き出した。
先端がかえしのように膨らんだその管を。星一郎の下半身の球体へ突き刺した。
柔らかい肉塊で出来た星一郎の球体は蛟様の管を易々と受け入れた。
深々と突き刺さった管は肉に包まれピッタリと締め上げられる。抜けなくなる。
ずるずる……。ずるずる……。
蛟様は星一郎の身体を引っ張るようにして湖の中へと連れ込んでいく。
これから行われるのが食事なのか、はたまた別の何かなのか。それは誰にも分からない。
星一郎であったお貢ぎは深い湖の底へと身を沈めていく中、ふと夢に見た光景を思い出す。
そうだ、自分は待っていたのだ。
こうして誰かが迎えに来る時を……。
星一郎には何が何だが分からなかった。母と祖父は「先に家に帰った」と言い張っていたが、そうじゃ無い事は小学生の星一郎にだって分かる。
祖父の家への帰省も予定より一週間延びていた。
その間、星一郎は欲しいものを何でも買ってもらえて食卓には毎日ご馳走が並んだ。
嬉しいはずなのに星一郎は何故だか喜べなかった。
そして星一郎の日常は彼にとって突然終わった。
星一郎は家族から何も聞かされないまま、河伯家の手へと渡った。
星一郎が連れてこられたのはその施設の中で最も深く秘匿されている場所だった。
山腹に建てられた施設、その一部は山を掘り進めそこへ埋まるようにしてたてられていた。
無数に入り混じる通路の一つが、その洞窟へと続いていた。
洞窟の奥、突き当たりには大きな湖が広がっている。少なくともその端を見る事は出来ない。
湖の目の前、しめ縄で区切られた場所に星一郎は座らされていた。ゴザのようなものが敷かれている。
頭には布の目隠しがされているがそれ以外拘束は何もされていなかった。
星一郎は座ったまま身動き一つしない。逃げ出そうともせず、喚くこともなかった。
手足が動かせないのだ。声も出なかった。頭も働かず、ぼんやりとした夢の中にいるような心地だった。
星一郎はここへ入る前に錠剤を飲まされていた。きっとそれのせいなのだろう。
重い引きずるような音が星一郎に近づいてくる。
人が大勢で何かを運んでいる。
運ばれてきたのは石版と呼べる代物だった。
研磨された表面は洞窟内の僅かな照明を受けて鈍い光を放っている。
石板には人の形に似た窪みが空いていた。
窪みの中には革のベルトが取り付けられ、そこに星一郎の四肢が固定された。
両腕を広げ脚を揃えたその格好はキリストの磔刑と同じだった。
磔だ。自分がどんな姿勢をとっているのか目隠しされていても分かった。
この先の末路が嫌でも頭に浮かんだ。
殺される。
星一郎は槍で心臓を一突きにされ血を沢山流して苦しむ自分の姿を想像してしまう。
星一郎が縛られた石板。子供を収めるにはその窪みは歪に思えた。
より深く掘られた中央部には星一郎の身体がすっぽり治っている。
しかし両手の方に伸びる溝は子供の腕に比べ太く平べったかった。反対に足の方はほとんどなく、丸い窪みが空いているだけで星一郎の足はみ出している。
石板の上から太い鎖が巻かれこれまた頑丈そうな南京錠で閉じられた。
作業が終わると星一郎は目隠しを外された。
洞窟の世界に暗く底知れない湖が視界一杯に広がっていた。
そこには星一郎を安心させるものは一つもなく、目隠しの暗闇とさほど変わらなかった。
首は少しだけ自由に動かせた。
星一郎は自分を縛っている石板を認識する。
石板の窪み以外の場所には文字が彫ってあったが、漢字ばかりで星一郎には読めなかった。
星一郎を石板に縛った者たちは作業が終わるとすぐに帰っていった。
星一郎は一人取り残された。
身動きの取れない星一郎は目の前に広がる湖を眺めるしかなかった。
果ての見えないそこに何か居る気がした。
数日後。
星一郎が洞窟に残されたまま既に短く無い時間が経過している。
その間、誰一人としてこの場に立ち入るものは無かった。
星一郎は多くの時間を眠って過ごした。飲まされた薬の効果は薄れる気配がなく、相変わらず声も出せず、思考はぼんやりとしたままだった。
星一郎は家族が迎え来る夢をよく見ていた。家に帰りたい。その一心だけが星一郎の思いだった。
だが、夢に出る家族の姿が次第に違うものになっているような気がした。それが何なのか星一郎には分からず怖かった。
眠ることしか出来ない星一郎は眠る事が怖くなっていた。
何も食べていない筈なのに、何故か空腹は感じない。
いや、確かに空腹を感じていた筈だ。今は感じていないだけだ。
時折り、強烈な眠気に襲われるのだ。
目が覚める度に星一郎は自分の身体に起きる異変を自覚していた。
暗いはずの洞窟を湖の遠くの方まで見渡せるようになった。
空腹を感じなくなった。
そして今は体全体に痒みを感じるようになった。熱を帯びたようなヒリヒリとした痒みだ。
幸いなことに麻痺した脳はそれをさほど気にしないようにしてくれた。
相変わらず声は出ず、身体も動かなかった。
一ヶ月後。
洞窟は無音ではなくっていた。
ごぅぅぅん。
いつからだろうか、大気を揺らす低音が洞窟内に木霊している。
甲高い足音が響く。一ヶ月ぶりの来訪者だった。
「うふふふふ」
足音は二つ。
河伯婦人とその従者だ。
「やっぱり子供は順応が早いわ」
石板の前まで来ると花壇に植えられた花の成長を喜ぶような調子でそう笑う。
河伯婦人の足元にはカラカラに干からびたお面のような物が転がっている。
星一郎の顔だ。
剥がれ落ちたその皮膚は脱ぎ捨てられたように元の形を保ったままだ。
剥がれ落ちたのはそれだけではない。髪や服の残骸が転がっていた。
河伯婦人は石板に縛られた星一郎を覗き込んだ。
自分を覗き込むその顔を六つの眼が見つめ返す。
「どうかしら? 産まれ変わった気分は」
石板に縛られた異形の存在は風が唸るような音で答えた。
異形の星一郎はのっぺらぼうの顔に六つの黒い真珠のような目をつけている。しかし口はなく喉からは空気が漏れていた。
アルビノのように白い肌は僅かに湿っていてた。爬虫類のように弾力のあるその皮膚にはよく見れば透明色の短い毛で覆われていた。
太く肥大化した腕は鰭のように平だ。指はなく、鰭の先に伸びたゴツゴツとした骨格がその名残を感じさせる。
胴体は長細く伸びていた。白い柔さがそうな腹に幾多もの乳房がぶら下がっている。
胴の先、その足に当たる部分には肉でできた塊となっていた。
まるで足枷のように肉の塊は下半身を覆いその身動きを不自由なものにしていた。薄く貼った白皮は黒ずんでいてドクンドクンと鼓動している。
その躰は石板にピッタリ収まっていた。
「蛟様に相応しい姿になっわね」
「これで姉弟ともども河伯家の仲間入りですわね」
「今その話はよくてよ?」
「あらあら、ごめんあそばせ」
ごぅぅぅん。
低音の唸りが地響きのように強く鳴る。
それは湖の底から聞こえてきていた。
「そろそろかしら」
河伯婦人が小さな鍵を取り出した。南京錠の鍵だ。大きくて頑丈な南京錠に対して鍵はとても小さかった。
錠を外す。石板を縛っていた鎖が音を立てて落ちる。
自由になった星一郎はどすんと音を立てて地面に落ちると項垂れるような姿勢を取った。
「うふふ。元気でね坊や」
早歩きで河伯婦人は立ち去る。口では別れの言葉を言うも振り返りもせず一目散に外へ出ようとする。
まるで逃げるかのような足取りだった。
洞窟に反響する唸り声はその音量を増してゆく。
再び取り残された星一郎は重い頭を上げて湖を見つめる。
洞窟の灯りは消えていた。
異形の雌となった彼は何を思うのか、やがてその時が来る。
それが現れた。
長い身体が湖から這い出てくる。その姿は大蛇と形容するに相応しい。鱗に覆われた巨大な蛇の体に鯰のような髭のついた頭がついている。
洞窟にはもう誰も居ない。星一郎だけがその姿を視ている。
蛟様がご降臨なされた。
蛟様が星一郎に顔を近づける。
星一郎は身体を倒して腹を見せた。
蛟様の顎が割れた。
そう形容するしかないだろう。魚に似た強靭な印象を受ける硬い顎が、三方向へ開く。その中からぬるりと太いものが溢れた。
管だ。赤黒い色をした太い肉の管が割れた顎から突き出した。
先端がかえしのように膨らんだその管を。星一郎の下半身の球体へ突き刺した。
柔らかい肉塊で出来た星一郎の球体は蛟様の管を易々と受け入れた。
深々と突き刺さった管は肉に包まれピッタリと締め上げられる。抜けなくなる。
ずるずる……。ずるずる……。
蛟様は星一郎の身体を引っ張るようにして湖の中へと連れ込んでいく。
これから行われるのが食事なのか、はたまた別の何かなのか。それは誰にも分からない。
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