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主人公はふたりいる。
風紀委員長 × モブその三
ぽっかりと中天高く、煌々と満月が光り輝いている。夜の公園にあって、相手の表情がはっきり見えるほどの明るさに、クラクラと眩暈がする。ふたりきりのこの状況、なんとしても逃げ出したい。
なんだって、こんなことになったかな。
最初は四人だったんだよ!
男子三人、女子ひとりのな!
昼の明るい時間から、俺こと男モブその三の三浦創太と女モブその三の三峰依子は乙女ゲームの攻略対象にダブルデートに誘われたんだよ。
ダブルデートでなんで男女比が三対一なのかって?
俺がBでLするネコちゃん枠なんだよ‼︎
だいたいこの世界は『爪弾くは君の調べ』っていう十八禁乙女ゲームなんだよ。前世男子高校生の俺とOLさんだった峰さんは、どうやっても悲惨な目に遭うモブその三。勘違いヒロインたちが自爆したおかげで骨折と脳震盪程度で済んだけど、なぜか攻略対象に告白されている。
峰さんはいいよ!
女の子だし藤宮生徒会長はイケメンで峰さん自身も程々にお嬢様だからね。
だがしかし、俺は男だ。攻略対象の高根沢風紀委員長も男だ。『ツマキミ』は主人公の性別も選べるゲームだったから、BでLする展開もアリだった。だから風紀委員長も男の俺に告白するのに躊躇いがない。
俺は躊躇いだらけだけどな!
世界観が同性婚に偏見がないから、正面から正攻法で両親を通してお誘いされたら断れないんだよ!
峰さんも会長からのお誘いを断るのに『浦っちが一緒なら』なんて遠回しなことを言うもんだから、『じゃあ一緒に』って風紀委員長が言い出して。
健全に昼間のダブルデートをして夕食を食べ(坊ちゃんたちセレクトのおっそろしく上品な店だった)、一番最初に峰さんを自宅に送り届け、その後すぐに会長が所用があると言って別れて⋯⋯。
夜の公園にふたりきり⋯⋯⋯⋯。
「創太」
いつのまにか、名前呼びだ。
「月が綺麗だね」
ぶっちゃけてきやがった! 夏目漱石かよ。
いや、なんならうちの両親のところには婚約の打診も来てるけど。同性婚は偏見はないとは言え跡取り問題もあるから、実質告白するのはものすごい勇気が必要なはず。でも高根沢風紀委員長は正面から来たからね!
「びゅーてぃふぉーむーんの意味なら、俺もそう思います。千円札の人の翻訳だったらゴメンなさい」
「残念、知ってたのか。肯定してくれたら、プロポーズの返事を快諾してくれたことにしようと思ったのに」
青白い月光の下なのに、温かい笑顔で委員長はあっけらかんと言った。
あぶねー! 曖昧にソウデスネなんて言ってたら、明日には結納の品が届くところだったぜ‼︎
「創太は同性という以外に、俺に応えられない理由があるのか?」
それを言われると悩む。
一番初めにその問題があって、その意外の理由を考えたことがない。
立場上責任感があって、性格は男前。テストの成績も常に上位だし、鍛えていて逞しい。俺を軽々抱っこするくらいだもんな。家は金持ちで将来は安泰。
俺が女だったら、最高の物件だな。
「⋯⋯あれ? 俺が女だったら?」
風紀委員長が女だったらとか考えないで、ナチュラルに自分を女側に考えてるのがコワイ。
「どう、創太?」
「⋯⋯わかんない、です」
「そう、速攻で否定してくるかと思ったけど、結構脈ありか?」
高根沢風紀委員長が一歩近づいてきた。まるで野良猫を手懐けようとする保護士のようだ。
「美しい満月は、男を滾らせるって知ってた?」
男臭くニヤリと笑う。男はみんな狼だとでも言いたいのだろうか?
あんまりにも格好良くて、クラっとした。
月の魔法に流されそうだ。
⋯⋯いや、駄目だ。流されるな。俺はBでLなことは絶対しない!
助けて、峰さん!
〈おしまい〉
ぽっかりと中天高く、煌々と満月が光り輝いている。夜の公園にあって、相手の表情がはっきり見えるほどの明るさに、クラクラと眩暈がする。ふたりきりのこの状況、なんとしても逃げ出したい。
なんだって、こんなことになったかな。
最初は四人だったんだよ!
男子三人、女子ひとりのな!
昼の明るい時間から、俺こと男モブその三の三浦創太と女モブその三の三峰依子は乙女ゲームの攻略対象にダブルデートに誘われたんだよ。
ダブルデートでなんで男女比が三対一なのかって?
俺がBでLするネコちゃん枠なんだよ‼︎
だいたいこの世界は『爪弾くは君の調べ』っていう十八禁乙女ゲームなんだよ。前世男子高校生の俺とOLさんだった峰さんは、どうやっても悲惨な目に遭うモブその三。勘違いヒロインたちが自爆したおかげで骨折と脳震盪程度で済んだけど、なぜか攻略対象に告白されている。
峰さんはいいよ!
女の子だし藤宮生徒会長はイケメンで峰さん自身も程々にお嬢様だからね。
だがしかし、俺は男だ。攻略対象の高根沢風紀委員長も男だ。『ツマキミ』は主人公の性別も選べるゲームだったから、BでLする展開もアリだった。だから風紀委員長も男の俺に告白するのに躊躇いがない。
俺は躊躇いだらけだけどな!
世界観が同性婚に偏見がないから、正面から正攻法で両親を通してお誘いされたら断れないんだよ!
峰さんも会長からのお誘いを断るのに『浦っちが一緒なら』なんて遠回しなことを言うもんだから、『じゃあ一緒に』って風紀委員長が言い出して。
健全に昼間のダブルデートをして夕食を食べ(坊ちゃんたちセレクトのおっそろしく上品な店だった)、一番最初に峰さんを自宅に送り届け、その後すぐに会長が所用があると言って別れて⋯⋯。
夜の公園にふたりきり⋯⋯⋯⋯。
「創太」
いつのまにか、名前呼びだ。
「月が綺麗だね」
ぶっちゃけてきやがった! 夏目漱石かよ。
いや、なんならうちの両親のところには婚約の打診も来てるけど。同性婚は偏見はないとは言え跡取り問題もあるから、実質告白するのはものすごい勇気が必要なはず。でも高根沢風紀委員長は正面から来たからね!
「びゅーてぃふぉーむーんの意味なら、俺もそう思います。千円札の人の翻訳だったらゴメンなさい」
「残念、知ってたのか。肯定してくれたら、プロポーズの返事を快諾してくれたことにしようと思ったのに」
青白い月光の下なのに、温かい笑顔で委員長はあっけらかんと言った。
あぶねー! 曖昧にソウデスネなんて言ってたら、明日には結納の品が届くところだったぜ‼︎
「創太は同性という以外に、俺に応えられない理由があるのか?」
それを言われると悩む。
一番初めにその問題があって、その意外の理由を考えたことがない。
立場上責任感があって、性格は男前。テストの成績も常に上位だし、鍛えていて逞しい。俺を軽々抱っこするくらいだもんな。家は金持ちで将来は安泰。
俺が女だったら、最高の物件だな。
「⋯⋯あれ? 俺が女だったら?」
風紀委員長が女だったらとか考えないで、ナチュラルに自分を女側に考えてるのがコワイ。
「どう、創太?」
「⋯⋯わかんない、です」
「そう、速攻で否定してくるかと思ったけど、結構脈ありか?」
高根沢風紀委員長が一歩近づいてきた。まるで野良猫を手懐けようとする保護士のようだ。
「美しい満月は、男を滾らせるって知ってた?」
男臭くニヤリと笑う。男はみんな狼だとでも言いたいのだろうか?
あんまりにも格好良くて、クラっとした。
月の魔法に流されそうだ。
⋯⋯いや、駄目だ。流されるな。俺はBでLなことは絶対しない!
助けて、峰さん!
〈おしまい〉
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