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7 なくなった手紙
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今日は午後から埋葬の為、墓地へと向かうことになっている。
衣装を持って部屋へ戻ったミリーメイは、私に黒いドレスを着せながら、この後の日程を話した。
「正午になりましたら、公爵閣下と馬車に乗って墓地へ移動していただきます」
「え? まさかお父さまと二人きりで馬車に乗るの?」
驚きのあまり声が裏返ってしまった。
(大丈夫なの? 昨日お父さまは私を見て倒れたばかりなのに?)
「はい、墓地には領民や当主となられたローレンス公爵閣下に所縁のある方々も多くこられます。リディアお嬢様が同じ馬車に乗っていらっしゃれば細かい説明の必要がなくなります……と執事のセバスチャンが言ってました」
「そう……」
執事が言うのなら、そうした方がいいだろう。
セバスチャンは、長年マクスウェル公爵家で働いている執事、亡くなった公爵夫妻からの信頼も絶大だった。
彼もメイドのリディアを知っていて、昨日はお父さま同様に私の容姿を見て驚いていた。
しかし、仕事が出来る人は違うのだ。彼はすぐに冷静を取り戻していた。
今日のこともそう。
同じ馬車から降りることで、私とお父さまを仲の良い親子だと周りに思わせると考えていたなんて。
周りに……。
先に行われた葬儀に参列できるのは貴族だけだったが、埋葬する墓地にはさまざまな人々が訪れる。
どれだけたくさんの人々が訪れるのだろう。
ふと、ノエルから『墓地が披露目の場所となる』と言われたことを思い出した。
(大丈夫かしら……)
不安だ。
マクスウェル公爵家の者として認めてもらえるのか。
それに『メイドのリディア』を知る者は驚くはずだ。
昨日のお父さまのように。
「そういえば、お父さまの体調は? 大丈夫なの?」
実はずっと気になっていた。
「公爵様ですか? 公爵様なら、ここへ来る前にお庭に出ていらっしゃる所を見かけましたが、お元気そうでしたよ」
ミリーメイは話しながら、私の髪を結いはじめた。
「マクスウェル公爵家の墓地は、王都を抜けて最初に見える小高い丘の上にあります。その場所からは、公爵領の広大なブドウ畑が一望できるんですよ。墓地というところを除けばお出かけには最高の場所です。ただ、風が強いので髪はしっかりと纏めておきますね」
ミリーメイは髪を細かく編み込み、一つに纏めてくれた。
完成した髪形はとてもキレイだった、けれど……これは……。
ミリーメイは前世の私、メイドのリディアを知らない。だからこれは故意ではない。
わかっているが、一瞬顔を引き攣らせてしまった。
「お気に召されませんでしたか?」
私の顔を見たミリーメイが不安そうに眉を曇らせた。
「違うの、すごくキレイで驚いてしまったの」
笑みを浮かべ「ありがとう」と告げた。
ミリーメイが嬉しそうに微笑む。
「若奥様の髪の手入れもさせていただいておりました」
「お母さまの髪を……」
「はい。短い間でしたが、若奥様には娘と歳が近いからと大変気にかけていただきました。リディアお嬢様のお話もよくお聞きしました」
「私の?」
「はい、お手紙を見せていただいたこともあります。とても美しい文字でしょうって、すごく嬉しそうに笑っていらっしゃいました。……そう言えば、あのお手紙は何処に仕舞われていたのでしょう? お部屋を片付けた時には見当たらなかったのですが……」
「そう……」
見つからなかった私の手紙。
お母さまが何か理由があって隠したのだとしたら……。
思い当たるのは、隠し扉の中にあった箱だ。
衣装を持って部屋へ戻ったミリーメイは、私に黒いドレスを着せながら、この後の日程を話した。
「正午になりましたら、公爵閣下と馬車に乗って墓地へ移動していただきます」
「え? まさかお父さまと二人きりで馬車に乗るの?」
驚きのあまり声が裏返ってしまった。
(大丈夫なの? 昨日お父さまは私を見て倒れたばかりなのに?)
「はい、墓地には領民や当主となられたローレンス公爵閣下に所縁のある方々も多くこられます。リディアお嬢様が同じ馬車に乗っていらっしゃれば細かい説明の必要がなくなります……と執事のセバスチャンが言ってました」
「そう……」
執事が言うのなら、そうした方がいいだろう。
セバスチャンは、長年マクスウェル公爵家で働いている執事、亡くなった公爵夫妻からの信頼も絶大だった。
彼もメイドのリディアを知っていて、昨日はお父さま同様に私の容姿を見て驚いていた。
しかし、仕事が出来る人は違うのだ。彼はすぐに冷静を取り戻していた。
今日のこともそう。
同じ馬車から降りることで、私とお父さまを仲の良い親子だと周りに思わせると考えていたなんて。
周りに……。
先に行われた葬儀に参列できるのは貴族だけだったが、埋葬する墓地にはさまざまな人々が訪れる。
どれだけたくさんの人々が訪れるのだろう。
ふと、ノエルから『墓地が披露目の場所となる』と言われたことを思い出した。
(大丈夫かしら……)
不安だ。
マクスウェル公爵家の者として認めてもらえるのか。
それに『メイドのリディア』を知る者は驚くはずだ。
昨日のお父さまのように。
「そういえば、お父さまの体調は? 大丈夫なの?」
実はずっと気になっていた。
「公爵様ですか? 公爵様なら、ここへ来る前にお庭に出ていらっしゃる所を見かけましたが、お元気そうでしたよ」
ミリーメイは話しながら、私の髪を結いはじめた。
「マクスウェル公爵家の墓地は、王都を抜けて最初に見える小高い丘の上にあります。その場所からは、公爵領の広大なブドウ畑が一望できるんですよ。墓地というところを除けばお出かけには最高の場所です。ただ、風が強いので髪はしっかりと纏めておきますね」
ミリーメイは髪を細かく編み込み、一つに纏めてくれた。
完成した髪形はとてもキレイだった、けれど……これは……。
ミリーメイは前世の私、メイドのリディアを知らない。だからこれは故意ではない。
わかっているが、一瞬顔を引き攣らせてしまった。
「お気に召されませんでしたか?」
私の顔を見たミリーメイが不安そうに眉を曇らせた。
「違うの、すごくキレイで驚いてしまったの」
笑みを浮かべ「ありがとう」と告げた。
ミリーメイが嬉しそうに微笑む。
「若奥様の髪の手入れもさせていただいておりました」
「お母さまの髪を……」
「はい。短い間でしたが、若奥様には娘と歳が近いからと大変気にかけていただきました。リディアお嬢様のお話もよくお聞きしました」
「私の?」
「はい、お手紙を見せていただいたこともあります。とても美しい文字でしょうって、すごく嬉しそうに笑っていらっしゃいました。……そう言えば、あのお手紙は何処に仕舞われていたのでしょう? お部屋を片付けた時には見当たらなかったのですが……」
「そう……」
見つからなかった私の手紙。
お母さまが何か理由があって隠したのだとしたら……。
思い当たるのは、隠し扉の中にあった箱だ。
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