【勇者】が働かない乱世で平和な異世界のお話

aruna

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第1章 P勇者誕生の日

「エピローグ」

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 それから数日後。

 “黄金山地”はンシャリ村とサマーディ村の共用財産という事で合意し、ンシャリ村の勝手な脱税によって長きに渡って募らせていたサマーディ村の怨念も、そこの譲歩によりいくらか溜飲を下げる事となり、フエメ曰く、「あなた達若い世帯が頑張って活躍すれば、ンシャリ村の評価も変えられる」という話だった。

 まぁ脱税体質なのは村長や親父みたいな上の世代の話であって、俺やクロみたいなガキ世代がその色に染まらなければ救いはある、そういう事だろう。

 とは言っても、俺は村で一番怠惰で怠け者の自覚があるし、その役はクロ、もしくはそれより下のちびっ子達に任せようと思う。

 俺に出来るのはここまで、今回だけでも十分過ぎる成果を出した、だからこれでリタイアしても文句は無いはずだ。

 ちなみに黒龍の討伐について、俺は真相を隠し、表向きは黒龍と朝貢条約を結んだという話になっている。

 俺が黒龍を上手く説得し、村を滅ぼすよりも生かして貢がせた方が得だと黒龍に説いて、その結果として年に一度、大樽に入った酒を“失われた聖域”まで届ける事と引き換えに黒龍は縄張りを遠くの地方に遷すという事にしておいた。

 これにより俺が【勇者】である秘密を保てるし、黒龍が生きている事によってンシャリ村とサマーディ村の対立も抑えられるかもしれない、という狙いだ。

 そして連れて帰ったミュトスだが、その翌日から元気に炭鉱掘りに従事し、村では貴重な若い労働力として抜群の成果を出してくれていた。

 ミュトスも魔族だが、村では三人目である故に、比較的早くに皆から受け入れられた。

 ミュトスの力は絶大であり、インフラの無い“黄金山地”に素手で井戸や温泉を掘ったりと非常に重宝しているので、上手くミュトスを籠絡して、このままずっと村の労働力として働かせたい所だ。

 そんなこんなで、俺は俺の周りのこんがらがった問題を全て解決して、自分の念願を果たそうという所まで来たのであった。




「それでメリーさん、俺のレベルって、今いくつになってますか?」

 俺はまだ来客のいない朝の教会で、事の真相をひとしきり説明した後に、メリーさんにステータスの更新をして貰った。
 理由は勿論、転職の為。
 もし本当に黒龍と神狼を俺が倒している事になっているのであれば、レベルはカンストしていても不思議では無いというか、カンストしていなければおかしい。
 だから俺は今日この日に【勇者】をリタイアしようと、メリーさんにレベルを確認したのであった。

「レベルは・・・99、カンストしています・・・」

 メリーさんのその言葉を聞いて、俺は喜びをあらわにガッツポーズした。

 まさしく命を賭けて冒険したのだ、レベルカンストくらいの見返りくらいあってもいい。

 【勇者】の隠蔽の為に報酬も名誉も捨てて孤独な戦いをした、それが報われた今、俺はまさしく喜びの絶頂を感じていたのであった。

 俺はだらしなくニヤけた顔でメリーさんに促した。

「スキルとかも確認したいので、ライセンス見せて貰ってもいいですか、あと転職したいですッ!!!」

 本来なら数年かかる転職を、僅かひと月足らずで行えてしまうのもまさしく【勇者】の本領発揮と言った所だが、これからその重すぎる役職とおさらばすると思うと、僅かながらに感慨や感傷のようなものも感じるが、それでもここ数日の濃厚過ぎる日々を思えば、ここいらが潮時だろう、一刻も早く転職したくてしょうがなかった。

 メリーさんは引き止めるだろうが、決意の固さと俺が味わった地獄を誇張して説明すれば、説得は容易だという勝算があった。

 たとえば事故に遭って後遺症で魔物を狩る事が出来ないとか、イップスになって剣を握れないとか、適当にそれっぽい演技で同情を引けば、普通の人間ならそれで仕方ないと思うのだから。

 俺は元々怠惰で無能でクズな詐欺師の家のバカ息子、期待する人間など元からいない、だからこれは仕方の無い事で済むのだ。

 俺はこの日の為に準備していた「魔物を見ると癲癇を発症して動けなくなる」演技を披露するのを心待ちにしながら、メリーさんの反応を待った。

 しかしメリーさんの反応は俺の全く予想しないものであった。

 普通ならここで物語のエピローグ、しんみりと二人でお疲れ様会をして、これからは一人の男と女として、末永く仲良くやっていきましょうね的なノリで綺麗に締めるべきシチュエーションだろう。

 少なくともこれが小説の物語の流れ的には、ここでどんでん返しとかオチをつけて読後感を台無しにするような展開はありえない、俺はクライマックスを踏破し、そしてその先に続くフラグをへし折って来たのだから。

 だが現実は物語では無いのだから、怠惰で愚昧な俺には、それに相応しい結末が与えられていた、それが世の摂理なのであった。




「・・・ごめんなさいライアさん、ライセンスを見せる前に、私は一つ、謝らないといけません、・・・私、ライアさんに、嘘をついていた事があるんです」

 と、メリーさんは神妙な顔で、この吉日、新たな門出を祝う日に於いては凄まじく不吉な事を告白した。

「ま、まさか、・・・実はメリーさんは男だったとか、ですかね?」

 取り敢えず一発目はふざけて茶化す。

 メリーさんの口ぶりから察するに、その真実は俺には受け止めきれないくらいに重いと悟る、そんな直感だけは冴えていた。

 故に心の平穏を保つ為に、軽いジャブとして茶化したのであった。

「い、いえ、私の性別も年齢も過去も、ライアさんに教えた通りです、私が嘘をついていたのは、ライアさんの事です」

「俺の事・・・?」

 取り敢えず最悪の想定をしてみる、メリーさんが秘密をバラして、それで【勇者】とバレた俺を取引の材料にしたとかそういう話で、メリーさんが「ごめんなさい」の合図をすると俺は気絶させられて、どこかに拉致されるとかそういう展開だろうか。

 だとしたら教会に来た時点で打つ手が無いし、万事休すだろう、俺に大した戦闘力も自衛能力も無い事は、自分が一番分かっていたからだ。

 なので俺は観念するフリをして、メリーさんにお願いをした。

「ふぅ・・・、ひとつ頼みごとなんだけど、最期に一服してきていいかな、最期の我儘なんだしさ、頼むよ・・・」

 俺はタバコのジェスチャーでメリーさんにタバコを吸ってきていいか訊ねると、メリーさんは「どうぞ」と特に警戒するでもなく、俺が外に出るのを普通に見送った。

 表に出て俺は改めて思考を整理する、どうやらメリーさんが俺を売った、という展開では無さそうだ。

 まぁ、流石にメリーさんがそんな事する訳も無いので早とちりも甚だしいのだが、取り敢えず俺にとっての最悪は実現しなかったと安堵し、今日もいい天気だなと青空を見上げて伸びをして、このまま一人で村を出て何処かに旅をしにいくのもアリかなと現実逃避した後に、でもやっぱり旅するのはダルいという事でメリーさんの真実を聞く覚悟を決めた。

 教会に入り直しメリーさんの前に立つと、俺は四股を踏んで構えた。

「よっしゃばっちこーい!、実は難病で寿命があと一年だろうと、実は俺が人間じゃなくてメリーさんの生み出したスタンドで、自分を人間と思い込んでるだけの化け物だろうと、今の俺はどんな真実だろうと前向きに受け止められる覚悟があるッ!!だからメリーさん、どんな真実だろうと受け止めるので早く話してください!!」

 ふぅーふぅーと、鼻息を荒くしながら俺はメリーさんに催促した。

 言葉とは裏腹に俺は真実が何か、フエメとの一件がトラウマとなり、残酷な真実、それを明かされる事を本気で恐れていたが、だが聞くと決めた以上はもう引き下がれないので玉砕覚悟で腹を括る。

 そして俺の覚悟に見合った驚愕の真実をメリーさんは告げた。



「それじゃあ行きますライアさん、実は、ライアさんの本当のジョブは、
 ──────────【勇者】ではありません・・・!!!」

「ファーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!?????」

 思わず肺が空っぽになるまで叫んでむせ込む。

 驚天動地、その真実はまさしく俺にとって世界がひっくり返るくらいに有り得ないような、目玉が飛び出そうになるくらいぶったまげた真実なのだから当然だ。

 俺が【勇者】で無かったのなら、隠す為にあれこれ死ぬ気で奔走した俺の努力も無駄だったという事になる。

 そう考えるとまだ【勇者】であった方が不本意ではあるものの、この数日間の俺の命懸けの努力は報われるという話だ。

 俺は声を震わせながらメリーさんに抗議した。


「【勇者】じゃないって、・・・待ってください、シェーンは【勇者】を探していたし、黒龍も【勇者】を探していた、・・・それに俺は【勇者】にだけ効かないというメアの呪いが唯一効いていない、そんな俺がどうして【勇者】じゃないんですか」

 俺自身思い返してみても、自分が【勇者】では無い伏線など一つも思い至らない、それに人間を超越した存在である黒龍、神狼、ユリシーズ、ミュトス、その全員が俺を【勇者】と呼んでいる、その俺が【勇者】で無い事の方がおかしい、だからこのどんでん返しは掟破りであり、俺の「勇者を辞める為に頑張る一世一代の頑張り物語」を根本から否定するような蛇足の真実でしかなかった。

 しかし現実は物語では無いので、そんな綺麗な結末も、俺の望む理想も叶えてはくれない。

 そして伏線が無いというのは俺視点の話であり、伏線は確かに存在していた、俺はそれに気づかなかっただけなのだ。

 だからメリーさんは申し訳なさそうにしながらも【勇者】だった俺への死刑宣告を続ける。

「ふふ、あ、ごめんなさい、まさかライアさんがそこまで【勇者】に対して執着してるとは思わなくて、私はてっきり・・・、ライアさんは【勇者】になった事を疎ましく思っていたと思ったので、・・・ええと、ライアさんが黒龍に【勇者】だと思われたのは多分、ライアさんのジョブによる影響だと思われます」

「そ、そうだ、・・・俺のジョブ、50キロをマラソンしたり単身で黒龍と渡り合ったりそういう無茶が出来るのに【勇者】じゃないって、だったら俺の本当のジョブはなんなんですか」

「ライアさんのジョブは、【詐術師プリテンダー】、レア過ぎて詳しい能力とかは知りませんが、レベル99になったのなら多分上級職で、そしてその【詐術師】の力でライアさんは周囲の人達に【勇者】だと思わせる事が出来たんだと思います」

「・・・つまり、俺が【詐術師】の何らかのスキルによる自己暗示で自分を【勇者】だと思ったから、黒龍も俺を【勇者】だと思い込んだ、そういう事ですか・・・、じゃあメアの呪いについては」

「メアさんの呪いは分かりませんが、ライアさんに呪いが効かないのは多分ライアさんがつけているロザリオのおかげだと思います」

「ロザリオ、おふくろから祝いにもらった、無敵の加護を付与するとかいうこれか、・・・まさかこれに本物の効力があったなんて信じられないですけど・・・」

 ロザリオは俺が【モンク僧侶】になりきりしている都合上、肌身離さず持ち歩いていた。
 持ち主に付与されるという無敵の加護を感じた事は無かったが、知らず知らずの内に呪いを跳ね除けていたのは寝耳に水としか言えない。

「ライアさんがそれをどこで手に入れたのかは知りませんが、それはいかなる呪いも跳ね除ける神の加護を付与された神器です、世界に二つと無い本物の神器、なのでそれを持っていたから、ライアさんには呪いが効かなかったのでしょう」

 村を追い出された神父の持ち物がまさか最上級の聖遺物である神器だとは思わないだろう。

 ロザリオの入手経路を考えればこれはどう考えても偶然だが、だが偶然に偶然を重ねてここまで来たが故に、それがただの偶然だとは思えない。

 そう、もしかしたら全ての仕掛け人がいる、そう思うとこの先の展開に不安しか感じ無いが、だがここまで来てしまったので、今更退くことも出来なかった。

「それで、俺が【勇者】に見せかけられた理由は分かりました、・・・でもじゃあなんでメリーさんは、俺を【勇者】だって騙したんですか、一体何のために・・・」

「それは・・・、ロクでも無い理由ですが、聞きたいですか?」

 ロクでも無い理由、そこに絡んで来るとしたら、親父、村長、リューピンという悪の枢軸のいずれかが絡むという事に違いない。

 メリーさんが俺を騙して得する事も無い筈なので本当にロクでも無い理由になる事請け合いだし知りたく無い気持ちも強いが、ここで知らんぷりをしても仕方ない。

 俺が観念して頷くと、メリーさんは静かに語ってくれた。

「・・・最初はその、「怠惰で不真面目なバカ息子を更生したい、宣告の資金すら自力で貯められないような怠け者の息子に喝を入れたい」と、ライアさんの両親から相談されたのがきっかけだったんです、その時に、普通は【乞食】とか【浪人】だと嘘をついたら、それで普通の人は転職する為に頑張ると私は言ったんですが、ペテンストさんが「あいつはそれだと余計怠けるから嘘でも【勇者】だと言ってくれ、後は俺が上手いことライアを乗せる」と言われ、それでライアさんが【勇者】だと騙すように言われていたんです」

 怠惰で無能で不真面目なバカ息子を更生させる為に、重すぎる役職を付与する事で無理矢理働かせる。
 貴族が放蕩息子に鬼嫁を取らせる事で遊びを控えさせるのと似た話か、そう考えると勘当されなかっただけマシとも言える。

「・・・なるほど、つまり親父の策略だった、そういう訳ですか」

 つまり親父は俺が自分を【勇者】だと思い込んでると知った上で俺のした行動のあれこれに意見していたという訳だ。

 そう考えると俺も随分やんちゃというか身の程知らずな事が多かったので恥ずかしいが、親父も恐らく俺が自分を【勇者】だと知ってもそれを吹聴せずに隠匿すると分かっていたのだろう。

 他のレア上級職なら間違いなく公開したが、【勇者】であるが故に俺は隠した、そしてそれは親父の想定通りの行動だったという事、つまり、俺は俺が【勇者】を隠しながら村の為に頑張るように親父に誘導されていた、それが親父が俺を【勇者】に仕立てあげた理由だ。

 現在の“黄金山地”を奪還してサマーディ村とも軽くだが和解した状況を見れば、停滞し詰んでいたンシャリ村にとってはまさしく起死回生、千載一遇の好手だったと言える。

 結果には文句無いし、命を賭けるハメになったのは不幸だが、不幸中の幸いで空回りでは無くトントン拍子の順調さでブン回りをした故に、今更文句を言う気も起こらなかった。

 そう、元はと言えば成人の儀でもある宣告の、その費用である10万デンを自力で工面出来なかった俺が悪いのだ。
 俺自身、宣告を受けなければ働かなくていいかもと楽観的に考えていた節は確かに存在していたし、人生についてもいつ死んでもいいと考えるくらいには舐め腐っていた。

 だからそんな俺を更生させる荒療治として俺を【勇者】に仕立てあげた両親を、俺が憎むのはお門違いだ、両親はただ怠惰で不真面目で無能なバカ息子を更生させようとしただけに過ぎないのだから。

 真実に至った俺は、この茶番と呼ぶにはあまりにも密度が濃すぎて息が詰まる茶番に徒労感を感じながら、メリーさんに最後の真実を訊いた。

「じゃあ、全部嘘だったって、事なんですね、メリーさんとの信頼関係も、俺とメリーさんと交した契約も全部、・・・だって俺は【勇者】じゃないんですから」

 詐欺師の息子で【詐術師】の俺が聖職者であるメリーさんに一杯食わされていたというのもなんとも皮肉だが。
 沢山の人を欺こうとした俺に比べれば、俺一人を騙したメリーさんの罪など軽い物だ、だから俺はメリーさんを責める気は無いし、ここで関係が清算された事も、何となく村から出たいと思っていた俺からすれば好都合で前向きに捉えられた。

 だけどメリーさんは、やはり嘘が得意な人間では無かったようだ、だから嘘は無いと、俺のその言葉を聞いて慌てて弁解した。

「い、いえ、確かに私はライアさんを騙してました、それについては釈明の余地はありませんが・・・、それでもあの時、ライアさんが「私だけを守る勇者」になってくれるって言った時、私は確かに救われて、そして、ライアさんが「私だけの勇者」になってくれたらいいなって、確かに思いました、だから【勇者】は嘘でしたけど、私とライアさんの関係には、何一つ嘘は無いと、私は思っています」

「・・・つまり、この先も俺に手助けをして欲しいと、我儘ですね、【勇者】でも【モンク】でも無いただの嘘つき野郎で、その上で怠惰で不真面目で無能な俺に、これ以上何を望むって言うんですか」

 真実を知った俺は【勇者】で無くなった解放感よりも、ただただ人生に疲れて無気力になった厭世観の方が強く不貞腐れていて、メリーさんに対しても煩わしさしか感じていなかった。

 だけどそんな俺に対してメリーさんは、勇気を振り絞って本音を包み隠さずに話してくれた。

「・・・違うんですライアさん、・・・私は、クズで怠け者で最低だけど、それでも家族思いで村の為に頑張ってくれる、そんなライアさんだから、好きになるんです、惹かれるんです、【勇者】でなくても、何者だったとしても愛せます、だから私は、初めて会った時からずっと・・・、ライアさんの仲間になってお世話をしたいと、ライアさんの協力者になりたいと、そう思っていたんです」

「・・・・・・へ?」

 クズの俺でもいい、そんな肯定こそ嘘でなくては何なのか。
 どう考えても御為倒しであり欺瞞だ。
 怠けてばかりでロクに働きもしない癖に、口を開けば文句を言い適当に理屈を捏ねて手を抜くような俺を必要とする人間など、世界中探しても存在しないだろう。

 故にそんな見え見えの社交辞令に引っかかるほど、俺は馬鹿では無い。

「いや、有り得ないでしょ、こんな性格悪くて怠け者で寝てばかり遊んでばかりでその癖に社会を恨んで斜に構えて性根が腐ったクソガキに惹かれるって、メリーさんそれ、本気で言ってるなら目が腐ってるとしか言えませんよ」

 俺は顔だけで女を虜に出来るほど容姿が優れている訳でも無ければ、メリーさんを直接救うようなフラグを立てた訳でも無い、そんな俺をメリーさんが好む理由など存在しない。
 だから俺は煩わしさを隠さずに、吐き捨てるように言った。

 しかしメリーさんは真っ向から否定した俺に対しても引かなかったし、その言葉を聞いても俺に正面から向き合った。

「そうですね、普通の女ならライアさんの事なんて、顔と若さ以外では選ぶ理由は無いかもしれません、でも、私は普通じゃありませんから、だから私はライアさんに惹かれる理由が確かにあるんです」

「・・・それって、メリーさんがいき遅れのアラサーだからですか?」

 曇りの無い瞳で見つめられた俺はその眩しさに気後れしつつ軽口を叩く。
 有り得ないと思いつつも、何かを期待をしている自分がいた。

「ち、違います、いえ、それも確かに少しは含まれるかもしれませんが、私がライアさんを好いているのは、ライアさんが、・・・似ているからです」

「・・・初恋の男に?」

「ち、違います、・・・いえ、似たようなものかもしれませんが、ライアさんが似ているのは、・・・私の、・・・お父さんです、妹の手で処刑されてしまいましたが、悪辣な所も、弱者に平気で非道い事を出来る所も、腐った眼差しも、そして、・・・家族思いな所も、全部似ているんです、だから私はライアさんの事を知るうちに、ライアさんに惹かれていくんです」

「・・・父親、つまりメリーさんは俺に父性を求めていると、お世話すると言いつつも、自分が甘やかされたいと、そういう事ですか」

「違います、もっと単純で簡単な理屈です、私、小さい頃の夢は「お父さんのお嫁さん」だったんです、いつも優しくて平日も昼間から一緒に遊んでくれて面白い話を沢山してくれるお父さんの事が私は大好きだったんです、裏では悪い事もいっぱいしてましたけど、お金持ちなのにお母さん一筋で、人生舐め腐ったような目をしてて怠け者だけど、それでも家族にはいつも優しい、そんなお父さんとライアさんが重なる度に、私の人生にとってライアさんの存在がかけがえのない物なんだって、思うんです」

 以前話してもらった時には漠然としていてはっきりとしなかったが、やはり【聖女】の妹に処刑されたメリーさんの父親はロクでも無い人間だったらしい。
 そのせいでメリーさんの恋愛観は歪みまくって、この容姿で名家の生まれにも関わらずにいき遅れになってしまったのだろう。
 そして俺にはその父親の気持ちが何となく理解出来てしまった、恐らく手塩にかけた長女を嫁にやりたくない父親のエゴにより、メリーさんは縁談を組まれる事もなく、自然といき遅れてしまったのだ。

 だからそれは生まれた時から親から与えられた「呪縛」のような物であり、今なおメリーさんを束縛している、ともすれば【聖女】の妹との確執よりも根が深い問題なのだろう。

 総括すると、メリーさんは怠惰で無能なクズである俺の協力者になる為の人生を送って来たという訳だ、ある意味俺にとっては運命の相手とも言えるのかもしれない。

 それを言葉で理解した時、俺はこの運命が真実で偶然なのか疑問を感じたし、心で理解した時に、親から与えられた運命などは否定する物であり、それに縛られて生きるような人生は認められないと思った。

 いや、メリーさんにこのままお世話されて、村で怠惰に悪辣に自堕落に暮らすという未来に魅力を感じない訳では無いが。

 だが、矛盾しているかもしれないが、メリーさんは俺の協力者どれいだ、ならその思想は神から与えられた運命では無く、俺の嘘によって自分の手で支配コントロールされている物で無くては気が済まない。
 俺以外の要因で俺に好意を持たれる事ほどに、俺にとって侮辱的で、そして不確かで信用出来ない関係性も他に無いのだから。

 これがお金なら、金に綺麗も汚いも存在しないから、俺はドブや便所に落ちてる金でも構わず拾える。

 だが思想、魂には、明確に貴賤が存在する。
 檻に閉じ込められた家畜が野生の獣と違うように、環境が与える思想、意志には、明確な優劣が存在するのだ。

 人生の困難を経験した事が無い純粋培養の貴族が飢餓に耐えられないように、魂の崇高さは、その魂が選択する行動によってその人間の貴賤と価値を変えるものだ。

 だから俺はメリーさんの父親由来の嗜好を好まないし、そのままのメリーさんでいてもらう事も認められない、そんな恣意的で加工された人間をあてがわれても、俺は信用し切れないし愛せないからだ。

 いつでも何度でも、俺に牙を向き、そして歯向かい反抗する、俺はそれを利害によって恭順させる。

 それこそが俺の中に於ける俺の友人、もしくは協力者の定義であり、盲目的に俺を崇拝したり尊敬する奴隷のような存在を、俺は人間と見なさない、犬馬の労と呼ばれるように、絶対に謀反を起こさない家臣などただの家畜と同じ動物だと思っているからだ。

 愛も正義も不確かなものだ、だから俺は金と利害だけを信用するし、それらで結ばれた関係性こそ確かなものであり、信用に値すると考えている。

 それは、全ての人間が他人を騙し、裏切るものだと考えているからこその俺の価値観であり、それを他人に押し付けるつもりは無い。 
 だが俺は不確かな愛を信じるつもりも、それを受け入れるつもりもないという、そういう話だった。



 ライア・ノストラダムスは愛を知った上で、愛を疑う男だった。
 愛を知らずして愛を否定する人間はいるだろう、愛に裏切られて愛を憎む人間もいるだろう。
 だがライアは、愛を否定するでも憎むでも無く、ただ、それを不確かで形式的なモノであると認識しているが故に、唯物論的な思想により、愛にも理由があって、その根拠があるが故に、愛を一括りで考えていなかったというだけの話だ。
 ライアにとって愛とは「依存」「執着」「見栄」「本能」「嘘」など、いずれかの要因の副作用的なものであるが故に、真実の愛という言葉を聞いても、それが何なのか思いあたる物は無かった。

 だから愛を信じないし、愛を望まない。

 愛情を理解出来ない、だから愛を持たない。

 そんな男だった。




「・・・メリーさんが父親の面影を持つ俺に惹かれるという事情は理解出来ました、でも、俺がメリーさんに感じているものは「性欲」と自分が楽をしたいという「依存」だけです、メリーさんが俺に求めているものを俺は支払う事は出来ませんし、全てをかけてメリーさんを守ると言いましたが、あれは嘘です、俺は俺が一番大事な人間です、だからもしメリーさんがピンチになっても守らない事もありますし、それでも俺を好きになるなら、メリーさんは我が身が一番可愛くて他の人間を道具だと思っているような人間じゃないと釣り合わないというか、それくらいのクズじゃないと俺とは釣り合わないので、だから・・・」

 と、言っていて俺は気づく。

 俺の言葉を聞いているメリーさんの顔に、幻滅も失望も混じっていない。

 こんな最低の説明をしている俺を見て、メリーさんは目を輝かせている事に。

「ライアさん、私の過去、忘れてしまいましたか?、私は救いが無いくらいどうしようもないクズの、それでいて、自分をお姫様だと思って他人を奴隷のように扱う事になんの疑問も抱かなかった人間です、悪辣な悪事も悪逆な非道も阿漕な汚職も、全部経験して来た人間です、その私の人生の終着点にライアさんと出会った事、そして、ライアさんに惹かれた事、その全てが私にとって救いであり、幸せなんです、嫁にしてくれとは言いません、気持ちが迷惑なら距離を取ります、でも、私をこれからもライアさんの協力者おともだちでいさせてくれる事、それだけはどうか認めてくれませんか、今の私にはライアさんが必要なんです、・・・騙していた身で、図々しい話だとは思いますが」

 ──────そうだ、メリーさんはただの純粋培養のお嬢様では無い。
 俺とよく似た父親に育てられ俺に近い思想を育まれて、そこから数々の経験を経て、俺の倍近い人生を送って来た先輩なのだ。

 そんなメリーさんの人生が、俺と出会う為に生まれてきたもので、メリーさんに自由も意志も無いと考えることこそ烏滸がましく、メリーさんに対する侮辱になる。

 そもそも俺は【勇者】でも何でもない、クズで無価値なクソガキだ。

 そんな俺を好いてくれる人間など、【勇者】でなくても評価してくれる人間など、この世に二人としていない、だからきっと、メリーさんは俺の事を全て理解した上で、俺を好いていてくれている。

 俺がありのままのメリーさんでいいと言ったように、メリーさんは嘘偽りの無いありのままの俺を受け入れてくれているのだ。

 メリーさんの優しい眼差しに俺は、言葉よりも感情で自然と絆されてしまった。

 メリーさんは自分を我儘で自分勝手で救いの無い人間だと言っていたが、それでもメリーさんの優しい眼差しは聖母のように、その微笑みだけで心を満たしてくれた。

 だから俺は、嘘とか真実とか関係無しに、嘘でもいいからメリーさんを信じたいと、そう思ってしまったのだった。

「・・・じゃあ、これからも一生、俺の協力者でいてくれますか、【勇者】でも何でもないのになんの協力者か分からないですけど、それでも俺の協力者として、一生俺に協力してくれますか」

 まるでプロポーズみたいなことを、動揺や不安を綯い交ぜにしたまま、ただ本能的にそうしたいと思ったことを、俺は打算も裏表も無しに言葉にした。

 腐れ縁や打算、ビジネスパートナーでもなんでも無い、ただの協力者おともだちの関係性は、俺には初めての存在だった。

 それ故にそれが俺にとってどれだけ貴重でかけがえの無いものになるか、俺は全く想像せずに。
 ただメリーさんにこれからも毎日セクハラして、その整った女優顔を呆れさせたり照れさせたりする権利をこれからも有していたいと、そんなくだらない「性欲」に唆されて、俺はメリーさんとの関係性を再構築する事にしたのだ。

 メリーさんは本人に自覚が無くても間違いなくこの世界におけるジョーカーだ、俺の客観的な評価で見れば危険性の塊と言えるくらいぶっ飛んでいて、予想外、不確定性の極みにあって常にトラブルを運んでくる死神のような存在だ。
 メリーさんと関わる事により【聖女】とリューピンの絡む抗争に巻き込まれる可能性が一気に高まるし、きっと、【勇者】で無くなった俺を、再び地獄へと引き込む道なのだろう。

 平凡で底辺な生まれの俺とは、生まれ持ったが違い過ぎる存在、きっと宣告したのがメリーさんで無ければ、俺はここまで苦労もしなかったに違いないのだから。

 蛇の道は蛇、メリーさんの立場や思惑は分からないが、ただ俺の直感としてメリーさんの「格」は間違いなく古今無双、傾国傾城と呼ばれるような傑物の位に位置する、故に、メリーさんに平穏な運命などこの世界の神様は与えないに違いないのだから。

 だから俺は自分の望む平穏の真逆に進む事になると理解した上で、熟考した上で再びメリーさんの存在を心から求めた。

 今度は嘘じゃなくて、打算でも無くて、ただ、俺がメリーさんに、いつの間にか、知らず知らずのうちに、ただ、純粋に、絆されて  
 ─────────惹かれていたから。

 その愛は「性欲」でも「依存」でもない「  くうはく」だ。

 愛には理由などない事を、俺は知らなかった。

 だから名前のつかないその感情を不思議に思いながらも、メリーさんに不器用に手を差し出したのだ。

 メリーさんは俺の手を優しく、そして宝物を掴むようにしっかりと握り締めた。

「それじゃあ、あらためてよろしくお願いしますね、ライアさん、何が出来るか分かりませんけど、これからは、私に出来る全てで、ライアさんの事を守りますから」

「・・・えっと、不束ものですが、末永くよろしくお願いします」



 始まりは嘘だった。

 その男は偽りだらけだった。

 だが女は、男の嘘を愛した。

 それだけの話であり、ここまでは冗長とした茶番だった。





「それでメリーさん、転職した俺のジョブは何ですか?」

「ライアさんのジョブは、・・・です」

「・・・?、あの、もう一度言ってください、俺のジョブは」

「ライアさんのジョブは









 ────────【勇者】です、【勇者】、今度こそ間違いなく本物の」





「──────────え?」






 だが意味の無い茶番など存在しない。

 プロローグの無いエピローグなど存在しない。

 ここからが【勇者】ライアの真の物語の始まりであり。

 伝説もおとぎ話も伝記も活劇も冒険譚も叙事詩も超越した、一大喜劇の幕開けとなるのであった。
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。

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