105 / 179
本編
第104 共鳴の鈴 4
しおりを挟む
「ギガイ様、こんな物はイヤです……」
「大丈夫だ、鈴も石も個数はだいぶ少なくしてある。それにサイズも小さい石だけだ。お前が大人しくさえしていれば、大した刺激に成らない程度だ」
話しはそれで終いだと、レフラの衣類を手早く戻す。
でも、ズボンをはき直すだけでも、チリンと鈴が揺れていた。それに併せて石が震え出したのか、レフラの表情がサッと変わる。
出来るだけ動かないように努めているのか、身体が不自然に強張っていた。
(振動は平気なはずだが、場所が場所だけに、気になって動けない、といったところか)
まぁ、ギガイとしては、それが狙いなのだから、ちょうど良かった。
(表情も、厚めのベールに切り替えれば、隠れるだろうからな)
手早く髪も結い直して、格好を調えたギガイが、レフラの身体をいつものように抱え上げた。
「じゃあ、戻るぞ」
外へ向かって歩き出したギガイの襟元を、レフラがギュッと握りしめる。
多少震えたところで、欲を吐き出したばかりの身体だ。
この程度の振動なら、快感に煽られてしまう事はないはずだった。それでも、外が近付いてくるに連れて、不安が増しているのかもしれない。
「ほ、本当に、このまま出るんですか?」
「あぁ。大人しくさえしていれば、大丈夫だ。そんなに不安がるな」
「でも、恥ずかし過ぎます……もし、誰かに気付かれてしまったら……」
「その時は、そいつを消してやる」
レフラの頭をくしゃくしゃと撫でながら、それなら問題ないだろう、とギガイが確認をした。
「ダ、ダメです!! いつもそんな理由で、処分しようとしないで下さい!!」
途端に顔を引き攣らせたレフラが、ギガイの服を握って揺すり出した。
「大丈夫だから、落ち着け。8割程度しか本気じゃない」
「8割って、ほとんど本気ですよね! 全く落ち着けないです! しかも、この微妙な2割は何なんですか?」
「残りの2割はお前次第だな」
「私、次第ですか?」
「あぁ、1割はお前の望み次第だ。お前が望むのなら消してやる。後の1割は、私が本気で殺したくなるかどうかだ。いくら私でも、無差別な殺傷をする気はないからな」
処分を回避できる可能性を与えているのだから、ギガイにすれば、だいぶ温情をかけている。それなのに、レフラから向けられる視線は、強張りつつも、非難めいたままだった。
「なんだ、可愛げのない視線だな」
ニヤッと笑って、睨まれた目の仕返しに、ギガイがレフラの鼻を摘まんだ。レフラが小動物が精一杯威嚇するような声を上げながら、パシパシとギガイの手を払い落とした。
「だって、あまり大差が無いと思います! それに、私が決めて良いなら、そんな事で止めて下さい!」
ギガイへ精一杯反抗して、噛みつくような、可愛くない姿が愛らしい。レフラの素直さが好ましくて、ギガイはますます込み上げる笑いを噛み殺した。
(私にこんな目を向けるのは、お前ぐらいだな)
そのレフラでさえも、隷属だと信じきっていた頃は、従順でいるばかりだった。
愛おしさを込めて頭を撫でる。
「何を言っている。“そんな事”では、ないだろう」
「でも、絶対にダメです!!」
こんな手には誤魔化されない、というように、頭を撫でるギガイの手をレフラが握って押し止めた。
「なら、私が本気で殺したくならないよう、気が付かれないように、お前が務めるしかないな」
周りの人間を簡単に、切り捨てられないレフラなのだ。
(ここまで言っておけば、だいぶ大人しくしているだろう)
ギガイとしても、意地悪をしたい訳ではないけれど、さっきのような事は困るのだ。
(まさか腕から離す事態になるとは、思わなかったからな)
もし何か生じても、自分なら十数秒で駆けつけられる場所だった。それにこの一時だけは、他に配置していた近衛隊も集めて、警備も厚く積んでいた。
ギガイが戻るまでの十数秒で、叛賊がレフラへたどり着く事など不可能な陣形を組ませたはずだった。
(それにも関わらず、レフラ自身が陣形の内に招いてしまうとはな……)
ギガイの予想外の行為をしでかすレフラに、ギガイは内心で溜息を吐いた。
怒ってはいないし、咎める気もない。出来るだけ、望む事はさせてやりたい。だけど、それは何があっても守れる自分がそばに居る時だけにして欲しかった。
「大丈夫だ、鈴も石も個数はだいぶ少なくしてある。それにサイズも小さい石だけだ。お前が大人しくさえしていれば、大した刺激に成らない程度だ」
話しはそれで終いだと、レフラの衣類を手早く戻す。
でも、ズボンをはき直すだけでも、チリンと鈴が揺れていた。それに併せて石が震え出したのか、レフラの表情がサッと変わる。
出来るだけ動かないように努めているのか、身体が不自然に強張っていた。
(振動は平気なはずだが、場所が場所だけに、気になって動けない、といったところか)
まぁ、ギガイとしては、それが狙いなのだから、ちょうど良かった。
(表情も、厚めのベールに切り替えれば、隠れるだろうからな)
手早く髪も結い直して、格好を調えたギガイが、レフラの身体をいつものように抱え上げた。
「じゃあ、戻るぞ」
外へ向かって歩き出したギガイの襟元を、レフラがギュッと握りしめる。
多少震えたところで、欲を吐き出したばかりの身体だ。
この程度の振動なら、快感に煽られてしまう事はないはずだった。それでも、外が近付いてくるに連れて、不安が増しているのかもしれない。
「ほ、本当に、このまま出るんですか?」
「あぁ。大人しくさえしていれば、大丈夫だ。そんなに不安がるな」
「でも、恥ずかし過ぎます……もし、誰かに気付かれてしまったら……」
「その時は、そいつを消してやる」
レフラの頭をくしゃくしゃと撫でながら、それなら問題ないだろう、とギガイが確認をした。
「ダ、ダメです!! いつもそんな理由で、処分しようとしないで下さい!!」
途端に顔を引き攣らせたレフラが、ギガイの服を握って揺すり出した。
「大丈夫だから、落ち着け。8割程度しか本気じゃない」
「8割って、ほとんど本気ですよね! 全く落ち着けないです! しかも、この微妙な2割は何なんですか?」
「残りの2割はお前次第だな」
「私、次第ですか?」
「あぁ、1割はお前の望み次第だ。お前が望むのなら消してやる。後の1割は、私が本気で殺したくなるかどうかだ。いくら私でも、無差別な殺傷をする気はないからな」
処分を回避できる可能性を与えているのだから、ギガイにすれば、だいぶ温情をかけている。それなのに、レフラから向けられる視線は、強張りつつも、非難めいたままだった。
「なんだ、可愛げのない視線だな」
ニヤッと笑って、睨まれた目の仕返しに、ギガイがレフラの鼻を摘まんだ。レフラが小動物が精一杯威嚇するような声を上げながら、パシパシとギガイの手を払い落とした。
「だって、あまり大差が無いと思います! それに、私が決めて良いなら、そんな事で止めて下さい!」
ギガイへ精一杯反抗して、噛みつくような、可愛くない姿が愛らしい。レフラの素直さが好ましくて、ギガイはますます込み上げる笑いを噛み殺した。
(私にこんな目を向けるのは、お前ぐらいだな)
そのレフラでさえも、隷属だと信じきっていた頃は、従順でいるばかりだった。
愛おしさを込めて頭を撫でる。
「何を言っている。“そんな事”では、ないだろう」
「でも、絶対にダメです!!」
こんな手には誤魔化されない、というように、頭を撫でるギガイの手をレフラが握って押し止めた。
「なら、私が本気で殺したくならないよう、気が付かれないように、お前が務めるしかないな」
周りの人間を簡単に、切り捨てられないレフラなのだ。
(ここまで言っておけば、だいぶ大人しくしているだろう)
ギガイとしても、意地悪をしたい訳ではないけれど、さっきのような事は困るのだ。
(まさか腕から離す事態になるとは、思わなかったからな)
もし何か生じても、自分なら十数秒で駆けつけられる場所だった。それにこの一時だけは、他に配置していた近衛隊も集めて、警備も厚く積んでいた。
ギガイが戻るまでの十数秒で、叛賊がレフラへたどり着く事など不可能な陣形を組ませたはずだった。
(それにも関わらず、レフラ自身が陣形の内に招いてしまうとはな……)
ギガイの予想外の行為をしでかすレフラに、ギガイは内心で溜息を吐いた。
怒ってはいないし、咎める気もない。出来るだけ、望む事はさせてやりたい。だけど、それは何があっても守れる自分がそばに居る時だけにして欲しかった。
21
あなたにおすすめの小説
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
黒豹拾いました
おーか
BL
森で暮らし始めたオレは、ボロボロになった子猫を拾った。逞しく育ったその子は、どうやら黒豹の獣人だったようだ。
大人になって独り立ちしていくんだなぁ、と父親のような気持ちで送り出そうとしたのだが…
「大好きだよ。だから、俺の側にずっと居てくれるよね?」
そう迫ってくる。おかしいな…?
育て方間違ったか…。でも、美形に育ったし、可愛い息子だ。拒否も出来ないままに流される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる