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本編
第110 琥珀の刻 2
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「綺麗ですね……」
ガラス管の中を澄んだ緑色の液体が上がっては、下がっていく。窓ガラス越しに射し込む光が、ガラスと液体を煌めかせていた。
ほぅ、と感嘆の息を、レフラが吐いている。初めて見るその大きなオブジェに、気持ちを奪われているのだろう。
大きく開かれた目は、煌めくガラスや液体以上に、キラキラと光りを反射していた。
レフラはギガイの寵愛を、一身に受けている立場だ。この程度の物など、望めばすぐに手に入るだろう。それでも、レフラから何かを求めた事は、ほとんどない。3人が知る限りでレフラが求めた物なんて、せいぜい共に耕している畑ぐらいだ。
何かと遠慮がちな、レフラの性格のせいもあるだろう。でも望む事さえ思い至らない様子が、3人にはずっと気掛かりだった。
周りを見回せば、少し離れた位置で、こちらを気に掛けている上等そうな服の男がいた。
店の責任者ならば、今はギガイの方へ付いているだろうから、恐らく副責任者といった所だろう。ラクーシュに合図をしてその男を近付ける。
「これはインテリアなのか?」
「いいえ、お求め頂くことも可能でございます。ただ納品には、1ヶ月ほどのお時間は頂いております」
その答えに、「分かった」と片手を上げて背を向けたリランに会わせて、男が一礼をしてまた距離を取る。
「レフラ様、購入可能だそうですよ」
「えっ?」
2人のやり取りを、エルフィルのそばで聞いていたレフラが、戸惑ったような声を上げた。
「ギガイ様へお強請りされてはどうですか?」
「えっ? これをですか?」
「はい、きっと買って下さると思いますよ」
ニコッと笑ったリランが促すように、ギガイの方を振り返る。
「あっ! いえ、大丈夫です! こんな高そうな物を、いくら何でもお願いするわけにはいきません!」
“遠慮” や “諦め“ というよりは、初めからそういった行為への “対象外” とでも思っているようなレフラなのだ。
レフラにすれば、全く思っていなかった事態なのだろう。
一瞬、ポカンとしたように返事をした後、胸の前で慌てたように手を振って、拒否をした。
「ですが、だいぶ気に入られたご様子ですし」
「でも、いつもの小物を買って頂くのと、訳が違いますから」
「とても綺麗だと、思いませんか?」
「それは、思いますけど……」
もう1度、水時計をレフラが見上げたタイミングだった。ちょうど近付いてきていた気配に、リランがスッと立ち位置を譲る。
「でも、やっぱりダメです」
「なぜだ? 気に入ったのなら、買えば良い」
「えっ!? ギガイ様??」
突然抱き上げられて、驚いたのだろう。レフラが「ひゃっ!」と、可愛らしい声を上げた。
「もお、ギガイ様!ビックリして、心臓が止まっちゃいます!」
「それは困るな」
そんな抗議するレフラの姿を、店の者達が再びあんぐりと見つめていた。
見慣れたリランたち3人や、当のギガイは、特に気にする素振りもない。ギガイなんかに至っては、クツクツ笑ってその抗議を去なしていた。
「これが欲しいのか?」
「あっ、いえ、欲しいという訳ではありません」
「じゃあ、要らないのか?」
「要らないとか、そういったことじゃなくて……」
「では、やっぱり要るんだな?」
「……ギガイ様、そんな意地悪な聞き方は、止めて下さい……」
根が素直で、駆け引きが苦手なレフラなのだ。本当に困っているのだろう。ギガイを見上げる顔は、すっかり眉尻が下がっていた。
ガラス管の中を澄んだ緑色の液体が上がっては、下がっていく。窓ガラス越しに射し込む光が、ガラスと液体を煌めかせていた。
ほぅ、と感嘆の息を、レフラが吐いている。初めて見るその大きなオブジェに、気持ちを奪われているのだろう。
大きく開かれた目は、煌めくガラスや液体以上に、キラキラと光りを反射していた。
レフラはギガイの寵愛を、一身に受けている立場だ。この程度の物など、望めばすぐに手に入るだろう。それでも、レフラから何かを求めた事は、ほとんどない。3人が知る限りでレフラが求めた物なんて、せいぜい共に耕している畑ぐらいだ。
何かと遠慮がちな、レフラの性格のせいもあるだろう。でも望む事さえ思い至らない様子が、3人にはずっと気掛かりだった。
周りを見回せば、少し離れた位置で、こちらを気に掛けている上等そうな服の男がいた。
店の責任者ならば、今はギガイの方へ付いているだろうから、恐らく副責任者といった所だろう。ラクーシュに合図をしてその男を近付ける。
「これはインテリアなのか?」
「いいえ、お求め頂くことも可能でございます。ただ納品には、1ヶ月ほどのお時間は頂いております」
その答えに、「分かった」と片手を上げて背を向けたリランに会わせて、男が一礼をしてまた距離を取る。
「レフラ様、購入可能だそうですよ」
「えっ?」
2人のやり取りを、エルフィルのそばで聞いていたレフラが、戸惑ったような声を上げた。
「ギガイ様へお強請りされてはどうですか?」
「えっ? これをですか?」
「はい、きっと買って下さると思いますよ」
ニコッと笑ったリランが促すように、ギガイの方を振り返る。
「あっ! いえ、大丈夫です! こんな高そうな物を、いくら何でもお願いするわけにはいきません!」
“遠慮” や “諦め“ というよりは、初めからそういった行為への “対象外” とでも思っているようなレフラなのだ。
レフラにすれば、全く思っていなかった事態なのだろう。
一瞬、ポカンとしたように返事をした後、胸の前で慌てたように手を振って、拒否をした。
「ですが、だいぶ気に入られたご様子ですし」
「でも、いつもの小物を買って頂くのと、訳が違いますから」
「とても綺麗だと、思いませんか?」
「それは、思いますけど……」
もう1度、水時計をレフラが見上げたタイミングだった。ちょうど近付いてきていた気配に、リランがスッと立ち位置を譲る。
「でも、やっぱりダメです」
「なぜだ? 気に入ったのなら、買えば良い」
「えっ!? ギガイ様??」
突然抱き上げられて、驚いたのだろう。レフラが「ひゃっ!」と、可愛らしい声を上げた。
「もお、ギガイ様!ビックリして、心臓が止まっちゃいます!」
「それは困るな」
そんな抗議するレフラの姿を、店の者達が再びあんぐりと見つめていた。
見慣れたリランたち3人や、当のギガイは、特に気にする素振りもない。ギガイなんかに至っては、クツクツ笑ってその抗議を去なしていた。
「これが欲しいのか?」
「あっ、いえ、欲しいという訳ではありません」
「じゃあ、要らないのか?」
「要らないとか、そういったことじゃなくて……」
「では、やっぱり要るんだな?」
「……ギガイ様、そんな意地悪な聞き方は、止めて下さい……」
根が素直で、駆け引きが苦手なレフラなのだ。本当に困っているのだろう。ギガイを見上げる顔は、すっかり眉尻が下がっていた。
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