泡沫のゆりかご 二部 ~獣王の溺愛~

丹砂 (あかさ)

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本編

第162 それぞれの想い 10

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「お前を叱ったことと、同じだと言われてしまえば、仕方がない。お前を案じて隠すことは、止めておこう」

「ありがとうございます!」

「だが、本当にお前は簡単には護られてくれないな。じゃじゃ馬すぎて、私が秘密にすればするほど、自分でどうにかしようと、ますます傷だらけに成るぐらいだからな」

レフラを護り愛しむためだけに、得た力だっただけに、呆れて小言の1つや2つ出てしまうのは、仕方ないだろう。

「……すみません……」

先日の騒動を思い出したのか、申し訳なさそうにレフラが小さくなる。

「まぁ、それが私の御饌なのだから、仕方がない……だが、お前は私だけの御饌だというのに、アイツらへもそうやって心を寄せる姿は、正直言って腹立たしいがな」

こんな状況だと言うのに、相変わらず悋気は容易く湧き上がる。ギガイがギロッと睨み付ければ、3人は引き攣った笑顔を浮かべていた。

チョンチョンと、レフラがそんなギガイの胸元を引っ張ってくる。

「でも、ギガイ様が唯一です。だから、私はどちらか一方の幸せじゃなくて、ギガイ様と2人で幸せになっていきたい」

視線を戻せば、レフラが言葉と一緒に、フワッと柔らかく微笑んだ。

自分だけの御饌の世界に、自分以外が存在することは、どうしても黒族長としては不快感が残ってしまう。だけど、少しずつサナギが羽化をするように、そんな世界の中で変わっていくレフラの姿が、ギガイにとっては愛おしかった。

「まぁ、よい。それなら、数多の中で唯一だと、選ばれる優越感にでも浸って、そこは堪えてやろう」

レフラはクスクス笑って、3人からはホッと安堵の空気が漂ってくる。

「笑っているが、前にも告げたように、その分お前にもベッドの中では応えてもらうぞ。その時は頑張って堪えろ」

笑うレフラへ仕返しに耳元でそう言えば、一瞬キョトンとした顔になる。

「前に使った道具以外にも、献上された道具が色々あるからな」

「ギガイ様!? 2人っきりの時以外に、こういうことは言わないで!!」

ギガイの口を慌てて両手で塞いで、レフラが小声で訴えた。一気に込み上げた羞恥のせいだろう。ギガイをキッと睨み付ける目が潤んでいて、ギガイは劣情を煽られながら、ペロッとその掌を舐め上げた。

「ひゃぁっ!! だから! こうやって掌を舐めるのは止めて下さい、って何度も言ってます!」

「お前が私の口を防いだため、話せないのだから仕方ないだろう」

クツクツ笑って返せば「これぐらい、ギガイ様ならすぐに外せるくせに」とレフラが不満げに呟いていた。喉奥で笑いながら、その顔をまた一撫でする。

「さて、そろそろ発つ準備をしなくてはいけないが、お前は待っている間、しっかり食事と睡眠を取れ。これでは壊れてしまいそうで、触れるのが怖くなる」

「はい……」

「お前等もさっき告げたように、常に誰かはレフラに付いていろ」

「かしこまりました」

いつもと変わらず淡々と指示を受ける3人に反して、“発つ” という言葉に、すっかりレフラの表情は曇ってしまっていた。

「心配するな、私はそこまで弱くはないぞ」

むしろ覇王として君臨しているのだ。自分を凌ぐ力を持つ者はいない、と自負している。

「分かっています。ただ、今まで大切なものが無かったので、こんな不安が初めてで……ちゃんと、帰ってきて下さいね……」

だけどその訴えを聞けば、胸の内に湧き上がるのは愛おしさばかりだった。

「大丈夫だ。もう粗方、片はついているからな」

跳び族の地での争いは、イシュカ達一部の内乱者も捕らえ終え、すでに黒族の手を離れ始めた状態だった。

残る跳び族の保護等は、リュクトワスの指揮の元、現在もつつがなく行われている。

最後の始末をつければ、事は終わりになる。

(まぁ、その始末が面倒ではあるんだが)

それでも、レフラのためにも最速で片を付けるには、とギガイはいつも以上に思考を走らせ始めていた
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