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本編
第174 続いていく日々 3
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「よか、たぁぁ…………びっくり、しました……」
ホッとした弾みで、ポロッと零れた涙をギガイの指が拭い取る。
「ここまで怯えるとはな。だが、元を正せば、お前が悪いぞ。お前に泣かれるのは、苦手だと言ってるだろ」
結局泣かせてしまった気まずさで、ギガイから嗜める勢いが削がれてしまう。
「お前もそれなのに、あぁやって落ち込んだマネは、あまりするな。その度に、私もハラハラしてしまう」
とは言っても。頻繁でもなく、どうしても、という時にだけ見せる、ささいな悪戯程度だ。ギガイだって、嗜める程じゃない、と分かっている。
それでも今まで見てきた姿も重なって、レフラのそういった姿はギガイを落ち着かない気持ちにさせるのだ。
「本当に泣きたい時ならば泣けば良い。それでお前が笑うようになるなら、構いはしない。だが、それ以外なら止めてくれ」
「……ごめんなさい」
今度こそ演技ではなく、レフラは本気で落ち込んだようだった。
(やっぱりコレのこういった様子には、私も弱いな)
途端に甘やかして癒したくなる。そんな気持ちのままに、ギガイはレフラの頭をクシャクシャと撫でた。
「あぁ。私ももう少し、お前に譲歩するように努めよう。だから、ワガママを言うにしても、他の方法で言ってくれないか?」
「……ワガママは、良いんですか……?」
「……今さら何を言っている」
最近では、ギガイはレフラに振り回されっぱなしだというのに。
まったく、と心の中で呟いて、ギガイはレフラを抱えたまま立ち上がった。突然変わった視点の高さに驚いたのだろう。腕の中でレフラが、「うわっ」と小さく声を出して、ギガイの腕にしがみつく。
「ギガイ様、もう寝るんですか?」
「いや、今夜は久しぶりにゆっくり出来るからな」
そう言いながらも、寝室へ向かうギガイにレフラは不思議そうな表情を浮かべている。ギガイはその頬を指の背で擽り、そのまま耳殻へと指先を伸ばした。
「っぁ……」
縁を指先で掠めて軽く揉めば、寝室へ向かう目的が伝わったのか。小さく声を漏らしたレフラの頬が、ピンクに染まる。
「抱く時ならば、意地悪をしても良いことになっているからな。久しぶりに、ゆっくり寝台で鳴いてもらおうか」
「だ、だめ! 降ろして! やることが、そう言えば、やることがあるんです! だから、降ろしてください!」
「ダメだ、諦めろ」
「そ、そうだ! 泣いちゃいます! 意地悪されたら、泣いちゃうから」
「あぁ、啼かせてやろう。私が与える快楽に啼くお前は、愛らしいからな」
「ギガイ様の意地悪! ひどいです~~ッ!」
「最近では、私をさんざん翻弄しているのはお前だろう。私だけが耐えるというのは不公平ではないか?」
「うぅぅ~~~」
「私だけへ “我慢しろ” と、お前はそんな意地悪なことは言わないだろう?」
わざとレフラの言葉を使って聞き返せば、葛藤しているのだろう。唸り声の合間に何かを言いかけては、口を閉じる。ギガイのローブの胸元も、レフラの手の中でぐしゃぐしゃになっていた。
レフラの指を1本ずつ外させて、身体を寝台の上に横たえる。ここまできても、まだ覚悟が出来ていないのか、レフラがギガイへ慌てて腕を伸ばしてきた。離れたギガイの身体を引き留めて、動きを制止したいのだと見て取れる。
抵抗にならない抵抗に、ギガイはククッと笑ってしまう。
「なんだ、座位の方が良かったのか」
首筋に掴まらせたまま、寝台の上に座り直す。正面に向かい合うように膝に抱え上げられれば、それだけで脚は大きく開かれるのだ。まさかそんな姿勢に持ち込まれるとは思わなかったのか。慌てて腕を解いて、ギガイの胸を押すレフラの顔は、真っ赤になっていた。
ホッとした弾みで、ポロッと零れた涙をギガイの指が拭い取る。
「ここまで怯えるとはな。だが、元を正せば、お前が悪いぞ。お前に泣かれるのは、苦手だと言ってるだろ」
結局泣かせてしまった気まずさで、ギガイから嗜める勢いが削がれてしまう。
「お前もそれなのに、あぁやって落ち込んだマネは、あまりするな。その度に、私もハラハラしてしまう」
とは言っても。頻繁でもなく、どうしても、という時にだけ見せる、ささいな悪戯程度だ。ギガイだって、嗜める程じゃない、と分かっている。
それでも今まで見てきた姿も重なって、レフラのそういった姿はギガイを落ち着かない気持ちにさせるのだ。
「本当に泣きたい時ならば泣けば良い。それでお前が笑うようになるなら、構いはしない。だが、それ以外なら止めてくれ」
「……ごめんなさい」
今度こそ演技ではなく、レフラは本気で落ち込んだようだった。
(やっぱりコレのこういった様子には、私も弱いな)
途端に甘やかして癒したくなる。そんな気持ちのままに、ギガイはレフラの頭をクシャクシャと撫でた。
「あぁ。私ももう少し、お前に譲歩するように努めよう。だから、ワガママを言うにしても、他の方法で言ってくれないか?」
「……ワガママは、良いんですか……?」
「……今さら何を言っている」
最近では、ギガイはレフラに振り回されっぱなしだというのに。
まったく、と心の中で呟いて、ギガイはレフラを抱えたまま立ち上がった。突然変わった視点の高さに驚いたのだろう。腕の中でレフラが、「うわっ」と小さく声を出して、ギガイの腕にしがみつく。
「ギガイ様、もう寝るんですか?」
「いや、今夜は久しぶりにゆっくり出来るからな」
そう言いながらも、寝室へ向かうギガイにレフラは不思議そうな表情を浮かべている。ギガイはその頬を指の背で擽り、そのまま耳殻へと指先を伸ばした。
「っぁ……」
縁を指先で掠めて軽く揉めば、寝室へ向かう目的が伝わったのか。小さく声を漏らしたレフラの頬が、ピンクに染まる。
「抱く時ならば、意地悪をしても良いことになっているからな。久しぶりに、ゆっくり寝台で鳴いてもらおうか」
「だ、だめ! 降ろして! やることが、そう言えば、やることがあるんです! だから、降ろしてください!」
「ダメだ、諦めろ」
「そ、そうだ! 泣いちゃいます! 意地悪されたら、泣いちゃうから」
「あぁ、啼かせてやろう。私が与える快楽に啼くお前は、愛らしいからな」
「ギガイ様の意地悪! ひどいです~~ッ!」
「最近では、私をさんざん翻弄しているのはお前だろう。私だけが耐えるというのは不公平ではないか?」
「うぅぅ~~~」
「私だけへ “我慢しろ” と、お前はそんな意地悪なことは言わないだろう?」
わざとレフラの言葉を使って聞き返せば、葛藤しているのだろう。唸り声の合間に何かを言いかけては、口を閉じる。ギガイのローブの胸元も、レフラの手の中でぐしゃぐしゃになっていた。
レフラの指を1本ずつ外させて、身体を寝台の上に横たえる。ここまできても、まだ覚悟が出来ていないのか、レフラがギガイへ慌てて腕を伸ばしてきた。離れたギガイの身体を引き留めて、動きを制止したいのだと見て取れる。
抵抗にならない抵抗に、ギガイはククッと笑ってしまう。
「なんだ、座位の方が良かったのか」
首筋に掴まらせたまま、寝台の上に座り直す。正面に向かい合うように膝に抱え上げられれば、それだけで脚は大きく開かれるのだ。まさかそんな姿勢に持ち込まれるとは思わなかったのか。慌てて腕を解いて、ギガイの胸を押すレフラの顔は、真っ赤になっていた。
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