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第一部
柔らかな夜 1
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「目が覚めたか」
身体がふわふわと漂う感じがするのは寝起きのせいなのか。レフラはぼんやりとした頭で何度か瞬きをして、周りを見回した。
部屋とは違う場所だった。どこか薄らと霞がかる室内に小首を傾げれば、レフラの髪から滴が垂れたのかポチャッと水音が聞こえてくる。間近から聞こえた音を辿れば、身体を包むのは布団ではなくゆらゆらと揺れるお湯だった。
「…ここは?」
「お前の宮の浴室だが?」
なぜこんな所にいるのか分からない、そういう意味での言葉だった。真後ろから聞こえた声に心臓が大きく跳ね上がる。一気に覚醒した頭で理由を察して、レフラはあぁ、そうかと身体の力を抜いた。
「どこか痛む所はあるか?」
お湯の中でギガイの掌がレフラの下腹部に添えられる。そこは最後にギガイの精を注がれた場所に近いようだった。
一体どこを開かれたのだろう。子を成す場所とは異なっていた。レフラ自身でも分からないような場所だった。摩るギガイの掌から、そんな所まで一方的に支配された現状を再認識させられる。
その状況にこの身体は本当に隷属なのだと、改めて思い知らされた。だがその事に悲しみはもう感じなかった。
今の所は痛みもない。レフラは後ろから抱かれた姿勢のまま、ギガイの方を振り返る。
優しい琥珀色の眼光がレフラの顔を見下ろしていた。その目を見つめながら大丈夫だと、レフラは首を振って見せた。
「そうか」
ギガイの目が細められ、わずかに口角が上がっていた。優しく微笑まれたような表情にレフラの胸の底が切なく疼いた。
(やっぱり交わる時以外はこんなに優しい)
隷属でもどれだけ交わる行為が辛くても、この優しさは心地良かった。隷属としての苦痛もこの心地良さも子を成すまでの事なのだ。限られた期間だけだという想いは、レフラの行動の歯止めを緩める。レフラは目を閉じてギガイの胸元に擦り寄った。
濡れたギガイの指先が張り付く髪を掻き上げれば、日頃は前髪で隠れている額が露わになる。そのまま唇が触れるように落ちてくる。チュッチュッと眦、頬へと戯れるように繰り返しながら、辿り着いた唇へとキスを繰り返す。
唇に触れたギガイのそれはいつものように深まる事なく、唇だけを啄んでくる。何度も優しく繰り返されるその刺激に、直接身体の内に与えられるような快楽とは違う、じんわりとした気持ち良さがレフラの中に広がっていった。
「っくぅっ…ん…」
思わず鼻から抜けるような甘い声が漏れてしまう。耳に届いたその音を認識した途端、顔が一気に熱くなる。まさかこんな甘えたような音が出るとは思わなかったのだ。恥ずかしさにレフラは慌ててキスから逃れて、唇に手の甲を押し当てた。
「これではさっさと逆上せてしまいそうだな」
頬の紅さを指摘するように、小さく笑いながらギガイの指がなぞってくる。その指も声もまた柔らかくて、レフラの頬はさらに熱を増した気がした。
身体がふわふわと漂う感じがするのは寝起きのせいなのか。レフラはぼんやりとした頭で何度か瞬きをして、周りを見回した。
部屋とは違う場所だった。どこか薄らと霞がかる室内に小首を傾げれば、レフラの髪から滴が垂れたのかポチャッと水音が聞こえてくる。間近から聞こえた音を辿れば、身体を包むのは布団ではなくゆらゆらと揺れるお湯だった。
「…ここは?」
「お前の宮の浴室だが?」
なぜこんな所にいるのか分からない、そういう意味での言葉だった。真後ろから聞こえた声に心臓が大きく跳ね上がる。一気に覚醒した頭で理由を察して、レフラはあぁ、そうかと身体の力を抜いた。
「どこか痛む所はあるか?」
お湯の中でギガイの掌がレフラの下腹部に添えられる。そこは最後にギガイの精を注がれた場所に近いようだった。
一体どこを開かれたのだろう。子を成す場所とは異なっていた。レフラ自身でも分からないような場所だった。摩るギガイの掌から、そんな所まで一方的に支配された現状を再認識させられる。
その状況にこの身体は本当に隷属なのだと、改めて思い知らされた。だがその事に悲しみはもう感じなかった。
今の所は痛みもない。レフラは後ろから抱かれた姿勢のまま、ギガイの方を振り返る。
優しい琥珀色の眼光がレフラの顔を見下ろしていた。その目を見つめながら大丈夫だと、レフラは首を振って見せた。
「そうか」
ギガイの目が細められ、わずかに口角が上がっていた。優しく微笑まれたような表情にレフラの胸の底が切なく疼いた。
(やっぱり交わる時以外はこんなに優しい)
隷属でもどれだけ交わる行為が辛くても、この優しさは心地良かった。隷属としての苦痛もこの心地良さも子を成すまでの事なのだ。限られた期間だけだという想いは、レフラの行動の歯止めを緩める。レフラは目を閉じてギガイの胸元に擦り寄った。
濡れたギガイの指先が張り付く髪を掻き上げれば、日頃は前髪で隠れている額が露わになる。そのまま唇が触れるように落ちてくる。チュッチュッと眦、頬へと戯れるように繰り返しながら、辿り着いた唇へとキスを繰り返す。
唇に触れたギガイのそれはいつものように深まる事なく、唇だけを啄んでくる。何度も優しく繰り返されるその刺激に、直接身体の内に与えられるような快楽とは違う、じんわりとした気持ち良さがレフラの中に広がっていった。
「っくぅっ…ん…」
思わず鼻から抜けるような甘い声が漏れてしまう。耳に届いたその音を認識した途端、顔が一気に熱くなる。まさかこんな甘えたような音が出るとは思わなかったのだ。恥ずかしさにレフラは慌ててキスから逃れて、唇に手の甲を押し当てた。
「これではさっさと逆上せてしまいそうだな」
頬の紅さを指摘するように、小さく笑いながらギガイの指がなぞってくる。その指も声もまた柔らかくて、レフラの頬はさらに熱を増した気がした。
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