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一人の新婚旅行
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一人ぽっちの新婚旅行は、何とも手持ち無沙汰だった。それでも最初の夜は挙式からほとんど寝てないこともあり、寝ることに費やして事なきを得たが、翌日人数分の土産を買ってしまうと、後は何のすることもなかった。仕方なくホテルに戻ってベッドの上でこれから何をしようかと思っていると、ふいにドアがノックされた。
「こんにちは、ガイドサービスです」
ドアの向こう側で、若い女性の声が響いた。
「すみません、そういうものは頼んでないんですが」
ここに来るまでは、普通に新婚旅行を楽しむつもりでいたのだ。そんなものを頼んだ覚えはまったくない。すると、ドアの外でその女性が、
「結城ほのかさんですよね」
と困った様子でそう尋ねた。
「確かに結城ほのかさんの名前で承ってるんですが?」
ほのかが頼んでいたのか。未来は、
「私はほのかさ……はい」
と否定しかけて途中で言葉を飲み込んだ。そうだ、ここでは自分がほのかなのだ。ほのかは自分のアリバイづくりに写真撮影の子を雇うぐらいの段取りの良さだ。もし、自分でそう言うサービスを利用するつもりなのなら、当然未来の名前で予約を入れたはずである。ということは、彼らとは別に未来にも観光をしておけということなのだろう。でないと帰ってから旅の話が何もできない。結城家の方は秀一郎に任すとしても、飯塚家と言うか、上河原の祖父には自分が話さねばならないだろうから。未来はほのかの気の回りの良さに半ば呆れながら、ドアを開けた。
扉の外にいたのは原住民っぽい女性と、3人の日本人男性。聞けば、女性は現地人とのハーフとのこと。
男たちはガイド女性とは別にほのかが頼んだらしい。今、フロントで偶然鉢合わせになったそうである。男たちは皆、背格好が秀一郎ぐらいなので、きっと彼らの誰かと撮った記念写真を秀一郎の顔と合成させる腹積もりなのだろう。ただ、それにしても3人もいるのかとは思ったが、
「みんなでわいわいやった方が楽しいじゃん。それに、男が一人だけだと、却ってほのかちゃん警戒しない?」
と、その中の一人にそう言われてなるほどなと思う。見知らぬ国で男性と一対一はさすがにキツい。
(どうせ何もする事がなかったんだし、あっちも好きにやってるんだもの。いいよね)
そして未来は彼らの手を取って観光に出かけ、南の島を楽しみ、夕食も彼らと共にした。おいしい食事においしい酒、楽しい会話。これが新婚旅行だと思い出さなければ、とてもすばらしい一日になった。ただ、二十歳をすぎたばかりの未来にはその酒の量は少し多かったようだ。食事を終えてホテルに向かう頃には足も覚束なくなって、男たちに支えられてでないと歩けなくなっていた。そして、その時には既に、ガイドの女性がいなくなっていたことに酔っていた未来は気づかなかった。
やがて、部屋にたどり着いた未来は、
「今日は本当にありがとうございました。楽しかったです」
と、頭を下げて部屋に入ろうとしたのだが……
「まだ、今日は終わっちゃねぇよ」
その中の一人が未来の閉めようとしたドアに足をつっこんでそう言った。
「寧ろ、これからじゃん」
「楽しませてくれんだろ? 未来ちゃん」
男たちは未来が本当の名前を呼ばれて驚いている間に、下卑た笑いを浮かべながらづかづかと部屋に入り込むと、未来の肩を掴んでベッドの上に放り投げた。
「こんにちは、ガイドサービスです」
ドアの向こう側で、若い女性の声が響いた。
「すみません、そういうものは頼んでないんですが」
ここに来るまでは、普通に新婚旅行を楽しむつもりでいたのだ。そんなものを頼んだ覚えはまったくない。すると、ドアの外でその女性が、
「結城ほのかさんですよね」
と困った様子でそう尋ねた。
「確かに結城ほのかさんの名前で承ってるんですが?」
ほのかが頼んでいたのか。未来は、
「私はほのかさ……はい」
と否定しかけて途中で言葉を飲み込んだ。そうだ、ここでは自分がほのかなのだ。ほのかは自分のアリバイづくりに写真撮影の子を雇うぐらいの段取りの良さだ。もし、自分でそう言うサービスを利用するつもりなのなら、当然未来の名前で予約を入れたはずである。ということは、彼らとは別に未来にも観光をしておけということなのだろう。でないと帰ってから旅の話が何もできない。結城家の方は秀一郎に任すとしても、飯塚家と言うか、上河原の祖父には自分が話さねばならないだろうから。未来はほのかの気の回りの良さに半ば呆れながら、ドアを開けた。
扉の外にいたのは原住民っぽい女性と、3人の日本人男性。聞けば、女性は現地人とのハーフとのこと。
男たちはガイド女性とは別にほのかが頼んだらしい。今、フロントで偶然鉢合わせになったそうである。男たちは皆、背格好が秀一郎ぐらいなので、きっと彼らの誰かと撮った記念写真を秀一郎の顔と合成させる腹積もりなのだろう。ただ、それにしても3人もいるのかとは思ったが、
「みんなでわいわいやった方が楽しいじゃん。それに、男が一人だけだと、却ってほのかちゃん警戒しない?」
と、その中の一人にそう言われてなるほどなと思う。見知らぬ国で男性と一対一はさすがにキツい。
(どうせ何もする事がなかったんだし、あっちも好きにやってるんだもの。いいよね)
そして未来は彼らの手を取って観光に出かけ、南の島を楽しみ、夕食も彼らと共にした。おいしい食事においしい酒、楽しい会話。これが新婚旅行だと思い出さなければ、とてもすばらしい一日になった。ただ、二十歳をすぎたばかりの未来にはその酒の量は少し多かったようだ。食事を終えてホテルに向かう頃には足も覚束なくなって、男たちに支えられてでないと歩けなくなっていた。そして、その時には既に、ガイドの女性がいなくなっていたことに酔っていた未来は気づかなかった。
やがて、部屋にたどり着いた未来は、
「今日は本当にありがとうございました。楽しかったです」
と、頭を下げて部屋に入ろうとしたのだが……
「まだ、今日は終わっちゃねぇよ」
その中の一人が未来の閉めようとしたドアに足をつっこんでそう言った。
「寧ろ、これからじゃん」
「楽しませてくれんだろ? 未来ちゃん」
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