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予想外の横槍
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ほのかは、レディースクリニック受診から3日後、そのレディースクリニックで診察をしてくれた女医から電話をもらった。
「鳴澤さん、ちょっと聞きたいんだけど、あなたのご家族にこの病気の人はなかった?」
女医の口から出た病名は、父が若い頃かかったことのあると聞いている病だった。
「あ、亡くなった父がそうだったと思います」
ほのかがそう答えると、
「やっぱり。じゃぁ、そのお薬飲まない方が良いと思うわ」
お出ししたのに悪いんですけどと女医が言う。
普段、そのクリニックでは大体問診のみで薬を処方している。たいていの場合、本人の既往症の記入で服用の可不可が判断できるからだ。 だが、女医はこの時ほのかに血液検査をした。たいした理由ではない、訪れた時のほのかの顔色がよくなかったからだ。その原因は前日アメリカから帰国したばかりで疲労していたからであるが、医者のカンとでもいうのだろうか、調べた方がいいと女医は判断した。その結果、あるデータに異常が見つかったのだ。
「いえね、治療が必要な数値ではないんだけど、それでも高かったから、念のために親族に罹患者がいなかったか聞いてみたの。実は、この病気の人が経口避妊薬を服用すると、血栓ができやすくなるのよ。
生理痛ももちろん辛いけど、長くても月の1/3ほどでしょ? だけどもし、脳血栓にでもなれば、最悪死んでしまうし、助かってもずっと体が自由に動かせる確率は低いわ。
もちろん、必ずそうなるって訳じゃないけど、飲み続けることで効果を発揮する経口避妊薬だもの、リスクはそれなりに高いから」
と、ほのかに処方した薬を飲まないように言う。ほのかはショックだった。友人にもネットにも評価の高かったこの女医は確かに腕がいいのだろうと思う。だが、低容量ピルを服用できないとなると、産み分けはかなり難しくなるに違いないと思うと、なぜ余計な検査をしてくれたのだろうとも思う。知らなければ、突き進めたものを……
「じゃぁ、そうします。わざわざありがとうございます」
ほのかはそう言って電話を切り、まだまだたくさん残っている薬の袋を見ながらため息をついた。こんなことを聞いてしまうともう薬は飲めない。飲んだからといってすぐに血栓ができるわけではもちろんないが、10年後あるいは20年後に発症するとしてもいただけない。自分で動けなくなれば、今のように足繁く兄の許には通えないし、縦しんば夫が自分を放り出して結城家に戻れたとしても、今度はそのときには生まれているだろう子供から引き離される。夫は次男だが、巨大なグループ会社だ。大元ではなくても、傘下の社長には就任するだろうから、そうなったら夫は子供だけは絶対に手元に置くだろう。結城家の離れで1人寂しく過ごす生活など絶対にゴメンだ。 だだ、体質も母ではなく父に似ているのだと言われたのは少し嬉しい。でも、なぜよりによって病の形質遺伝なのか。ほのかは今計画していることを亡き父が押し止めようとしているような気がして目が潤んだ。
(お父様ごめんなさい。それでも……それでも私、秀の子供がほしいの……)
ほのかは天井を見つめて唇を噛みしめた。
「鳴澤さん、ちょっと聞きたいんだけど、あなたのご家族にこの病気の人はなかった?」
女医の口から出た病名は、父が若い頃かかったことのあると聞いている病だった。
「あ、亡くなった父がそうだったと思います」
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「やっぱり。じゃぁ、そのお薬飲まない方が良いと思うわ」
お出ししたのに悪いんですけどと女医が言う。
普段、そのクリニックでは大体問診のみで薬を処方している。たいていの場合、本人の既往症の記入で服用の可不可が判断できるからだ。 だが、女医はこの時ほのかに血液検査をした。たいした理由ではない、訪れた時のほのかの顔色がよくなかったからだ。その原因は前日アメリカから帰国したばかりで疲労していたからであるが、医者のカンとでもいうのだろうか、調べた方がいいと女医は判断した。その結果、あるデータに異常が見つかったのだ。
「いえね、治療が必要な数値ではないんだけど、それでも高かったから、念のために親族に罹患者がいなかったか聞いてみたの。実は、この病気の人が経口避妊薬を服用すると、血栓ができやすくなるのよ。
生理痛ももちろん辛いけど、長くても月の1/3ほどでしょ? だけどもし、脳血栓にでもなれば、最悪死んでしまうし、助かってもずっと体が自由に動かせる確率は低いわ。
もちろん、必ずそうなるって訳じゃないけど、飲み続けることで効果を発揮する経口避妊薬だもの、リスクはそれなりに高いから」
と、ほのかに処方した薬を飲まないように言う。ほのかはショックだった。友人にもネットにも評価の高かったこの女医は確かに腕がいいのだろうと思う。だが、低容量ピルを服用できないとなると、産み分けはかなり難しくなるに違いないと思うと、なぜ余計な検査をしてくれたのだろうとも思う。知らなければ、突き進めたものを……
「じゃぁ、そうします。わざわざありがとうございます」
ほのかはそう言って電話を切り、まだまだたくさん残っている薬の袋を見ながらため息をついた。こんなことを聞いてしまうともう薬は飲めない。飲んだからといってすぐに血栓ができるわけではもちろんないが、10年後あるいは20年後に発症するとしてもいただけない。自分で動けなくなれば、今のように足繁く兄の許には通えないし、縦しんば夫が自分を放り出して結城家に戻れたとしても、今度はそのときには生まれているだろう子供から引き離される。夫は次男だが、巨大なグループ会社だ。大元ではなくても、傘下の社長には就任するだろうから、そうなったら夫は子供だけは絶対に手元に置くだろう。結城家の離れで1人寂しく過ごす生活など絶対にゴメンだ。 だだ、体質も母ではなく父に似ているのだと言われたのは少し嬉しい。でも、なぜよりによって病の形質遺伝なのか。ほのかは今計画していることを亡き父が押し止めようとしているような気がして目が潤んだ。
(お父様ごめんなさい。それでも……それでも私、秀の子供がほしいの……)
ほのかは天井を見つめて唇を噛みしめた。
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