23 / 33
パパとマイケルさんの攻防戦
そして、マイケルさんの退院の日が来た。
さすがにアポなしでは特にママは出かけてしまうかもしれないので、とりあえずママには
「会わせたい人がいる」
と言った。
「あら、あのイケメン作家さん? 市原健だっけ」
すると、ママはすぐにそう言った。
「う、うん。ま、まぁね」
「更紗ちゃん、恋人がいるんだったらもっと早くにママに言ってくれなきゃ。だったらあんなお見合いなんか進めないのに。
そしたら更紗ちゃん慌てて逃げ出して、痛い思いもしなかったでしょ」
口ごもりながらそう言う私に、ママは顔をしかめてそう返したけど、私が答えられずにいると、
「あ、このお見合いで? それだったらママに感謝しなさいよ。
それにしても、いきなり更紗ちゃんのお着物を着替えさせるなんて、余裕ないわよねぇ」
と、勝手な想像を始めてひとり盛り上がっている。でも、あのお見合いがなかったらこうはならなかったのは事実だし、誤解されたままの方がいいのかな。
退院の日、朝10時きっかりにマイケルさんは来た。後で聞くと、朝8時までに退院の準備をすべて終えて、会計が開くと同時に支払いをして病院をでてきたらしい。
ママにリビングに通された彼をちらりと見たパパは、こっそりと逃亡しかけたけど、パパの行動なんて全部お見通しのママにガードされて、超不機嫌な顔でリビングに入って来た。
「はじめまして、櫟原武と申します」
マイケルさんはパパが入ってくるのを見ると、飛び上がるように立ち上がり、そう言って緊張マックスで、ウチのロボちゃんたちの方がまだなめらかなんじゃないってくらい、カクカクのお辞儀をした。パパは
「ああ」
とだけ言って、マイケルさんが座っている反対側にある座椅子にどっかと座る。
かくしてパパとマイケルさんの攻防線が始まった。とは言っても、マイケルさんは緊張で、パパは不機嫌でおし黙ったまま膠着状態。
そんな男共を横目で見ながら、ママは手招きで私をキッチンに呼ぶと、、
「マイケルさん、お酒は?」
と、聞いた。確かにパパはお酒好きだけど弱いから、巧くすれば丸め込めるかもしれないとママは考えたんだろう。でも今、マイケルさんは病み上がり。まだ抗生剤は完全に手を離れていないはずだ。たとえ強くてもお酒は飲ませたくない。
「たぶん大丈夫だけど、風邪気味だから」
私は胸の前でバツを作りながらそう言って、棚からインスタントコーヒーの瓶を取り出すと、コーヒーを淹れ始めた。お酒ほど効果はないかもしれないけど、それでも少しは緊張が解けるはず。私はキッチンの棚を開けて、
「ママ、コレもらうね」
と、塩キャラメルを取り出した。ママはこのキャラメルが大好き。でもコレ、この辺ではちょっと離れたホームセンターでしか売ってなくって、ママは行ったときにまとめ買いするから、かなりの高確率でストックがあるのだ。それをフレッシュと一緒にカップに入れて1分30秒チンしたら、そこにコーヒーとお湯を入れ、砂糖も入れてかき混ぜる。頑張って、私はここにいるからという思いを込めて。
それをママに運んでもらう。ずいぶん治ったとはいえ、まだコーヒーを運べるほどまっすぐは歩けないのよね。
そして自分の前に置かれた明らかにパパとは色の違うコーヒーを見て、マイケルさんは私を見た。私は、黙って頷く。一口飲んだマイケルさんは、
「キャラメルラテ……」
とつぶやいて、もう一度私を見ると今度はマイケルさんが力強く頷いた。でも、
「突然お伺いして失礼しました。今日は折り入ってお話があって伺いました」
と、やっと今日の本題を切り出しそうとしたマイケルさんに、
「断る」
と、パパは内容も聞かない内にダメ出し。
「パパ、まだマイケルさん何にもいってないじゃない」
と、私が言うと、
「言わんでも判る。だから、ダメだ。ダメ、ダメ、ダメだ」
とパパはまるでだだっ子みたくダメを連発し始めた。
「だから」
「ダメだったら、ダメだ」
パパは話も聞かずにダメダメの連発で、しまいにはそっぽを向いてしまってマイケルさんと目も合わせない。まったく、とりつく島もないっていうのは、こういうのを言うのだろうか。確かに反対はされるとは思ってたけど、このリアクションは予想外だ。仕方がないなと私たちは顔を見合わせてため息をついた後、マイケルさんが
「じゃぁ、日を改めてお伺い……」
言いかけた時だった、
「パパ、いい加減にしなさい!」
とママの怒号が響いた。
「何がダメなのか、言わないのは反則技でしょ」
そんなママの剣幕に、パパはごにょごにょと小さな声で、
「51なら更紗より俺の方が歳が近いじゃないか。あっと言う間に一人になったらどうすんだ」
とつぶやく。ママはそれに対して、
「今からなら、平均寿命まで25年以上あります。それに、そんなのどっちが早いかなんて誰にもわかんないでしょ」
と、返す。パパは
「そりゃそうだが」
と、一旦は頷いたけど、
「一時の感情で盛り上がってもすぐに話が合わなくなるぞ。それにだな、その容姿だ、今まで一度も結婚してないらしいが、それは遊んでたからじゃないのか。更紗、元社長だとか、人気作家だとかそんな上っ面ばかりみてると泣きを見るぞ」
なんて、マイケルさんの前なのにさんざんなことを言う。
「パパ! ひどいよ。歳なんて逆立ちしたってどうにもならないし、顔もそうよ。整形しろって言うの!」
と、私は怒った。話が合わないなんてとんでもない、下手すれば高校の同級生(機械科には女の子なんていなかったから、主にデザイン科の子たちだからだけど)よりもロボット談義には花が咲くくらいよ。すると、マイケルさんは私の手を握って言った。
「更紗ちゃん、待って。大事なお嬢さんの結婚相手がこんなチャラチャラした男なんてね、お義父さんの心配は解るよ」
「マイケルさんはチャラチャラしてません! 見た目で判断してるのはパパの方じゃない」
そして口をとがらせてパパを睨みながらそう言う私に、
「解ってもらうまで、何度もお伺いするから」
マイケルさんは、そう言ってポンポンと優しく頭を叩いた。
「いいえ、市原さん、何度も来てもらう必要はないですよ」
すると、ママは急にそう言った。いきなり何? 賛成してくれてたんじゃないの?? 驚く私に更にママはまくし立てる。
「パパ、更紗ちゃんは今いくつ? 36歳にもなるのよ。それまでこの子が彼氏一人連れてきたことがあった? なかったでしょ。まぁ、だいたいは正巳ちゃんが握りつぶしてたってこともあるけど、そんな更紗ちゃんがやっと連れてきた人を無碍に追い返して、この先誰かいい人が現れる保証でもあるって言うのかしら。
それに、パパのお眼鏡に叶う男なんて世界中探したって一人もいないし、内心、悪くないって思ってるんでしょ。でなきゃ、こんなだだっ子みたいな反対の仕方なんてしないわよね。反対する理由が見つからないなから、だだこねてるんでしょ」
へっ? 今までも正巳が握りつぶしていたとか、何か聞き捨てならないことを聞いた気がするけど、ま、いっか。
その言葉はパパには図星だったらしく、首をすくめながら小さな声で、
「ああ、思った以上にいい奴そうだな」
と言った。ああ、許してもらえるんだとほっとしたのもつかの間、ママは私たちに目を移すと、
「じゃぁ、問題ないわね。という訳で、更紗ちゃん、今すぐお嫁に行きなさい」
と言ったのだ。
「「い、今すぐ!!」」
ママの爆弾発言にママ以外の3人がカミ方も一緒にハモってしまった。
「そう、今すぐ。市原さん一人暮らしなんでしょ」
「はぁ、それはそうですけど……」
「じゃぁ、問題ないでしょ」
「いいの?」
目を丸くして見つめあうマイケルさんと私に、ママは力強く頷く。
「い、今すぐなんて俺は許さんぞ。やっぱりこの結婚反対だ」
このぶっ飛び発言に呆気にとられていたパパだけど、ママに見事に押し切られていることに気づいて慌てて踵を返す。
「どうせ結婚するんですよ、今でも一月先でもそう変わりはないでしょ」
それに対してママは一歩も退かない。
「それはそうだが、心の準備というものがだな」
そして最後の抵抗を続けるパパだったが、
「36年もあって何が心の準備なの?
それにね、更紗ちゃんの歳を考えると、できるだけ早くしないとどんどん大変になるのよ。妻の定年はまだまだだけど、女の定年は意外と早いのよ。パパは孫の顔見たくないの?」
『孫』という伝家の宝刀を抜かれてグッとうなったまま押し黙ってしまった。
私は完全に置物みたくなってしまったパパの隣で超上機嫌なママに、
「さぁさぁ、パパも大人しくなったことだし、更紗ちゃん当座の服だけ鞄に詰めてらっしゃい。後は宅配でってあげるから」
と自室に追いやられ、慌ただしく荷物を詰めると、マイケルさんが部屋に来てそれを玄関に運んでくれる。でも……本当にコレでいいのだろうか。
「行ってきます」
私は、いつも会社に行くときみたいにそう言って奥に声をかける。すると、パパが玄関先に出てきた。見送ってくれるのかと思ったら、パパは一直線に横にあるトイレに入って行く。なんだトイレなの? だけど、
「おう、二度と帰って来んな。意地でも幸せにしてもらえ。俺はもう知らん」
トイレの中からくぐもった音でそんな声が聞こえた。
パパ、許してくれてありがとう。うん、意地でも幸せになるね。
さすがにアポなしでは特にママは出かけてしまうかもしれないので、とりあえずママには
「会わせたい人がいる」
と言った。
「あら、あのイケメン作家さん? 市原健だっけ」
すると、ママはすぐにそう言った。
「う、うん。ま、まぁね」
「更紗ちゃん、恋人がいるんだったらもっと早くにママに言ってくれなきゃ。だったらあんなお見合いなんか進めないのに。
そしたら更紗ちゃん慌てて逃げ出して、痛い思いもしなかったでしょ」
口ごもりながらそう言う私に、ママは顔をしかめてそう返したけど、私が答えられずにいると、
「あ、このお見合いで? それだったらママに感謝しなさいよ。
それにしても、いきなり更紗ちゃんのお着物を着替えさせるなんて、余裕ないわよねぇ」
と、勝手な想像を始めてひとり盛り上がっている。でも、あのお見合いがなかったらこうはならなかったのは事実だし、誤解されたままの方がいいのかな。
退院の日、朝10時きっかりにマイケルさんは来た。後で聞くと、朝8時までに退院の準備をすべて終えて、会計が開くと同時に支払いをして病院をでてきたらしい。
ママにリビングに通された彼をちらりと見たパパは、こっそりと逃亡しかけたけど、パパの行動なんて全部お見通しのママにガードされて、超不機嫌な顔でリビングに入って来た。
「はじめまして、櫟原武と申します」
マイケルさんはパパが入ってくるのを見ると、飛び上がるように立ち上がり、そう言って緊張マックスで、ウチのロボちゃんたちの方がまだなめらかなんじゃないってくらい、カクカクのお辞儀をした。パパは
「ああ」
とだけ言って、マイケルさんが座っている反対側にある座椅子にどっかと座る。
かくしてパパとマイケルさんの攻防線が始まった。とは言っても、マイケルさんは緊張で、パパは不機嫌でおし黙ったまま膠着状態。
そんな男共を横目で見ながら、ママは手招きで私をキッチンに呼ぶと、、
「マイケルさん、お酒は?」
と、聞いた。確かにパパはお酒好きだけど弱いから、巧くすれば丸め込めるかもしれないとママは考えたんだろう。でも今、マイケルさんは病み上がり。まだ抗生剤は完全に手を離れていないはずだ。たとえ強くてもお酒は飲ませたくない。
「たぶん大丈夫だけど、風邪気味だから」
私は胸の前でバツを作りながらそう言って、棚からインスタントコーヒーの瓶を取り出すと、コーヒーを淹れ始めた。お酒ほど効果はないかもしれないけど、それでも少しは緊張が解けるはず。私はキッチンの棚を開けて、
「ママ、コレもらうね」
と、塩キャラメルを取り出した。ママはこのキャラメルが大好き。でもコレ、この辺ではちょっと離れたホームセンターでしか売ってなくって、ママは行ったときにまとめ買いするから、かなりの高確率でストックがあるのだ。それをフレッシュと一緒にカップに入れて1分30秒チンしたら、そこにコーヒーとお湯を入れ、砂糖も入れてかき混ぜる。頑張って、私はここにいるからという思いを込めて。
それをママに運んでもらう。ずいぶん治ったとはいえ、まだコーヒーを運べるほどまっすぐは歩けないのよね。
そして自分の前に置かれた明らかにパパとは色の違うコーヒーを見て、マイケルさんは私を見た。私は、黙って頷く。一口飲んだマイケルさんは、
「キャラメルラテ……」
とつぶやいて、もう一度私を見ると今度はマイケルさんが力強く頷いた。でも、
「突然お伺いして失礼しました。今日は折り入ってお話があって伺いました」
と、やっと今日の本題を切り出しそうとしたマイケルさんに、
「断る」
と、パパは内容も聞かない内にダメ出し。
「パパ、まだマイケルさん何にもいってないじゃない」
と、私が言うと、
「言わんでも判る。だから、ダメだ。ダメ、ダメ、ダメだ」
とパパはまるでだだっ子みたくダメを連発し始めた。
「だから」
「ダメだったら、ダメだ」
パパは話も聞かずにダメダメの連発で、しまいにはそっぽを向いてしまってマイケルさんと目も合わせない。まったく、とりつく島もないっていうのは、こういうのを言うのだろうか。確かに反対はされるとは思ってたけど、このリアクションは予想外だ。仕方がないなと私たちは顔を見合わせてため息をついた後、マイケルさんが
「じゃぁ、日を改めてお伺い……」
言いかけた時だった、
「パパ、いい加減にしなさい!」
とママの怒号が響いた。
「何がダメなのか、言わないのは反則技でしょ」
そんなママの剣幕に、パパはごにょごにょと小さな声で、
「51なら更紗より俺の方が歳が近いじゃないか。あっと言う間に一人になったらどうすんだ」
とつぶやく。ママはそれに対して、
「今からなら、平均寿命まで25年以上あります。それに、そんなのどっちが早いかなんて誰にもわかんないでしょ」
と、返す。パパは
「そりゃそうだが」
と、一旦は頷いたけど、
「一時の感情で盛り上がってもすぐに話が合わなくなるぞ。それにだな、その容姿だ、今まで一度も結婚してないらしいが、それは遊んでたからじゃないのか。更紗、元社長だとか、人気作家だとかそんな上っ面ばかりみてると泣きを見るぞ」
なんて、マイケルさんの前なのにさんざんなことを言う。
「パパ! ひどいよ。歳なんて逆立ちしたってどうにもならないし、顔もそうよ。整形しろって言うの!」
と、私は怒った。話が合わないなんてとんでもない、下手すれば高校の同級生(機械科には女の子なんていなかったから、主にデザイン科の子たちだからだけど)よりもロボット談義には花が咲くくらいよ。すると、マイケルさんは私の手を握って言った。
「更紗ちゃん、待って。大事なお嬢さんの結婚相手がこんなチャラチャラした男なんてね、お義父さんの心配は解るよ」
「マイケルさんはチャラチャラしてません! 見た目で判断してるのはパパの方じゃない」
そして口をとがらせてパパを睨みながらそう言う私に、
「解ってもらうまで、何度もお伺いするから」
マイケルさんは、そう言ってポンポンと優しく頭を叩いた。
「いいえ、市原さん、何度も来てもらう必要はないですよ」
すると、ママは急にそう言った。いきなり何? 賛成してくれてたんじゃないの?? 驚く私に更にママはまくし立てる。
「パパ、更紗ちゃんは今いくつ? 36歳にもなるのよ。それまでこの子が彼氏一人連れてきたことがあった? なかったでしょ。まぁ、だいたいは正巳ちゃんが握りつぶしてたってこともあるけど、そんな更紗ちゃんがやっと連れてきた人を無碍に追い返して、この先誰かいい人が現れる保証でもあるって言うのかしら。
それに、パパのお眼鏡に叶う男なんて世界中探したって一人もいないし、内心、悪くないって思ってるんでしょ。でなきゃ、こんなだだっ子みたいな反対の仕方なんてしないわよね。反対する理由が見つからないなから、だだこねてるんでしょ」
へっ? 今までも正巳が握りつぶしていたとか、何か聞き捨てならないことを聞いた気がするけど、ま、いっか。
その言葉はパパには図星だったらしく、首をすくめながら小さな声で、
「ああ、思った以上にいい奴そうだな」
と言った。ああ、許してもらえるんだとほっとしたのもつかの間、ママは私たちに目を移すと、
「じゃぁ、問題ないわね。という訳で、更紗ちゃん、今すぐお嫁に行きなさい」
と言ったのだ。
「「い、今すぐ!!」」
ママの爆弾発言にママ以外の3人がカミ方も一緒にハモってしまった。
「そう、今すぐ。市原さん一人暮らしなんでしょ」
「はぁ、それはそうですけど……」
「じゃぁ、問題ないでしょ」
「いいの?」
目を丸くして見つめあうマイケルさんと私に、ママは力強く頷く。
「い、今すぐなんて俺は許さんぞ。やっぱりこの結婚反対だ」
このぶっ飛び発言に呆気にとられていたパパだけど、ママに見事に押し切られていることに気づいて慌てて踵を返す。
「どうせ結婚するんですよ、今でも一月先でもそう変わりはないでしょ」
それに対してママは一歩も退かない。
「それはそうだが、心の準備というものがだな」
そして最後の抵抗を続けるパパだったが、
「36年もあって何が心の準備なの?
それにね、更紗ちゃんの歳を考えると、できるだけ早くしないとどんどん大変になるのよ。妻の定年はまだまだだけど、女の定年は意外と早いのよ。パパは孫の顔見たくないの?」
『孫』という伝家の宝刀を抜かれてグッとうなったまま押し黙ってしまった。
私は完全に置物みたくなってしまったパパの隣で超上機嫌なママに、
「さぁさぁ、パパも大人しくなったことだし、更紗ちゃん当座の服だけ鞄に詰めてらっしゃい。後は宅配でってあげるから」
と自室に追いやられ、慌ただしく荷物を詰めると、マイケルさんが部屋に来てそれを玄関に運んでくれる。でも……本当にコレでいいのだろうか。
「行ってきます」
私は、いつも会社に行くときみたいにそう言って奥に声をかける。すると、パパが玄関先に出てきた。見送ってくれるのかと思ったら、パパは一直線に横にあるトイレに入って行く。なんだトイレなの? だけど、
「おう、二度と帰って来んな。意地でも幸せにしてもらえ。俺はもう知らん」
トイレの中からくぐもった音でそんな声が聞こえた。
パパ、許してくれてありがとう。うん、意地でも幸せになるね。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
絶交した幼馴染と大学の合コンで再会した。
孤独な蛇
恋愛
中学生の浅野春樹は上級生と喧嘩騒動を起こしたことがあった。
その上、目つきが悪く地毛は茶髪のため不良少年のような扱いを受けて学校では孤立していた。
そんな中、幼馴染の深瀬志穂だけは春樹のことをいつも気遣ってくれていた。
同じ高校に行こうと声を掛けてくれる志穂の言葉に応えたい一心で受験勉強にも力を入れていた。
春樹にとって、学校で孤立していることは問題ではなかった。
昔から志穂が近くにいてくれるから……。
しかし、3年生なってから志穂の態度がよそよそしくなってきた。
登下校も別々になり、学校で話しかけてくることも無くなった。
志穂の心が自分から離れていってしまっている気がした春樹は焦っていた。
彼女と話がしたい。笑った顔が見たい。
志穂と一緒に帰ろうと、彼女が部活動を行っている体育館へ向かったのだが……。
そこで春樹が耳にしたのは、自分の悪口を言って部活の友達と楽しそうにしている志穂の声だった。
その瞬間、春樹の中で志穂に対する想いや信頼は……消滅した。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。