my precious

神山 備

文字の大きさ
18 / 28

新しい時代

しおりを挟む
 そして海は夏、男の子を産んだ。名前は秀一郎とつけた。
みんながそのかわいい姿にメロメロになった。
 中でも一番はおばあ様。あれほど苦々しく本当に渋々といった感じで僕たちの結婚を承諾したのは誰なのかと、僕が時々彼女がいない場所で毒づくほどおばあさまは曾孫に夢中だ。
 海もそんなおばあ様を僕のようには邪険にはせず、頻繁に本家詣でをするし、その際にはかならずと言っていいほど料理好きな海は彼女の好みそうなものを自作して携えていく。

 また、海は母様のところにも秀一郎を連れて行く。
母様はあの人が妙子さんを選んで結城の家に帰らなくなってから、趣味に生きる生活をしていた。
でも……心の中ではあの人を求めていた。それに誰も気付かなかった。傍目にはとても楽しそうに生活を送っているように見えたのだから。
 そんな母様にあの人は何度か離婚を申し出たらしい。でも、母様は拒んだ。
「君は君の幸せを掴んで欲しい……」
あの人はそう言ったらしいけど、母様にとっては、幸せは“あの人”でしかなかったのかも知れない。
 母様は徐々に壊れていった。何度ものリストカット、そして心はあの人と出会う前の少女の頃に……
今は1人、施設に暮らしている。
「お義母様ね、秀一郎を見るとすごく優しいお顔になるのよ。でもね、ちょっぴり辛いの。たぶん、お義母様には秀一郎の本当のことが分かってると思うのよ、だから……」

 そんなできた嫁を誰も非難するものなどあろうはずはなく、子供ができないと分かった時に僕がした別れの決心など無駄な取り越し苦労だったのかも知れないと、そんな風にも思ったりもした。
 でも、それは少し違うのかもしれない。秀一郎がいてくれたからこそ、秀一郎が健史の子供であったからこそ、僕も海も周囲に優しくなれたのかもしれない。

 僕たちの宝物-秀一郎は、健史に似て優しく、明るく、そして賢く育っていった。

 だけど結婚して7年……僕たちに予想もしなかった事態が起こった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

密室に二人閉じ込められたら?

水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?

処理中です...