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Edition:M
Chapter-36.5 Ver.M
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──※─※─※──
このグループの話は本編第1部Chapter-36.0
(https://www.alphapolis.co.jp/novel/177250435/358378391/episode/2971520)
からの分岐となります。
──※─※─※──
「…………」
俺がその人の右手を両手で握ると、その人物は少しだけ困惑したような表情になる。
「ミーラ・プリムス・セニールダー、俺の、マイケル・アルヴィン・バックエショフと、結婚を、約束して欲しい」
「…………」
ミーラは軽く目を閉じ、一瞬おいて、口元で微笑んだ後、
「はい」
と、まずは短く返事をした。
「私、ミーラ・プリムス・セニールダーは、マイケル・アルヴィン・バックエショフの、伴侶になることを、誓います」
キツめの顔立ちが、かえってその穏やかさを湛えるような表情で、ミーラはそう言った。
僅かな沈黙の後、
パチパチパチパチ……
まず、キャロとエミが、続いて、ジャックと姉弟子が、拍手をしてくれた。
「まぁ、ちゃんと言えただけ、良しとするしかないか」
姉弟子が、そんなことを言ってくる。
「ま、そうなるでしょうね」
キャロが、口元で笑いつつも、仕方ないわねー、と言ったように、眉をハの字にしながら、拍手しつつ、そう言った。
「いや……その、スマン、結局、こういう結論になっちまって……」
「こらこら」
俺が、感じた気まずさを、半ば無意識に口に出すと、キャロは口元では笑ったまま、少し憤ったように、眉を吊り上げる。
「そこで変な言い訳しない。ミーラが可哀相でしょうが」
「そ、そうか」
キャロに言われて、俺は、かえって更に気まずさを感じてしまった。
「それに、逆に私達も、アルヴィンがしっかり選択してくれて、ホッとしたところもある」
エミが、そう言ってきた。
「え? それってどういう……」
「そうね」
俺が訊き返しかけると、キャロが苦笑交じりに言う。
「私達は、ほら、アルヴィンにはその、単に男女の関係として以外の下心を持っていたから」
…………そういう、ことか。
「まぁ、それでもって気は、ないでもなかったけれど」
「アルヴィンが、自分の気持ちに正直になってくれて、良かったと思ってる」
キャロとエミが、2人とも苦笑して、そう言ってきた。
そのことは理解していた。
キャロとエミが、俺の“成り上がり”に期待して、傍にいることは。
それでも、俺が、感じてしまう心苦しさは……
俺の選択肢が、結果として、マイケル・アルヴィン・バックエショフと同じものだからだ。
彼が、ポッと出てきた本祖派のジジィ──シーガート神官長の孫娘と婚約してしまったことに、少なからず批判的な思考を持っていたにも関わらず。
俺もまた、強制イベントの如く俺の前に現れたセニールダー主席宣教師の孫娘であるミーラを、選んでしまった。
「アルヴィン……どうかしたのですか?」
俺の様子がおかしいと感じたのか、ミーラが声をかけてくる。
「…………アルヴィン」
「え?」
「歯ぁ食いしばれ」
バキッ!
いつの間にか、俺の背後に立っていた姉弟子の強烈な、上段への右ストレートが、俺の顔面に炸裂していた。
「リリーさん!?」
ミーラや、キャロ達の驚いたような声が聞こえてくる。
「つ、ぅ……」
「お前な」
間髪入れず、姉弟子はよろめいた俺の胸倉を掴み、引きずり寄せるようにする。
「なにか事情を抱えてるのは私も師匠も知っている。それがなんなのかまでは知らないし、詮索するつもりもないがな」
「姉弟子…………」
「けどな、お前、人間らしい感情まで、それで封じて生きていくつもりじゃないだろうな?」
「それは…………」
「やめてください、リリーさん!」
ミーラが、俺に迫る姉弟子を剥がすようにして、割って入り、俺を庇うようにして立ちはだかった。
俺はよろけて、ミーラの背後で膝をついてしまう。
「…………」
姉弟子はミーラを見つめた後、視線を俺に移す。
「望んで手に入らない物の方が少ない人間が、何も望まないことを望むのか? それがどれほどの傲慢か、理解できないような人間なのか?」
俺は、ゆっくり立ち上がる。
「すまない、ミーラ」
「いいえ、大丈夫です」
姉弟子と対峙するようにしたまま、ミーラは背後の俺に言う。
「違う、そのことじゃない。いや、そういうことなのかもしれないけれど」
「アルヴィン?」
ミーラが、チラリ、と、俺を視線で振り返った。
「ミーラ! 俺は君が好きだ!」
「あ、アルヴィン!?」
俺の絶叫するような声に、ミーラ本人のみならず、キャロやエミまで驚いたような声を出した。
「はっきり言って一目惚れだ。でも、それを裏切らない程、君は俺の理想なんだ!」
「やーれやれ、やっと本音を吐いたわね」
頭をかくような仕種をしながら、やれやれと言った感じで言ったのは、キャロだった。
「言われなくても、私もキャロも、アルヴィンがそう望まない限り、アルヴィンの前から消えたりしない」
「苦しむ必要なんかないって、最初から言ってあったはずよね?」
エミの言葉に、キャロが続けるように言う。
「だいたいよ、アルヴィンは、面倒くさいことが嫌なんじゃなかったんじゃなかったのかよ?」
ジャックが、ため息交じりにそう言った。
「ジャック……」
「なんで自分から面倒くさい思考に陥ってくかね、その必要もねぇってのに」
「ミーラ」
俺は、ミーラの両肩を掴んで正面に見据えながら、問う。
「君も、それで良いのか?」
「はい、もちろんです! アルヴィンの気持ち、理解します」
「ミーラが一番だって、俺は言う、けれど…………3人とも、俺についてきてくれ!」
また、絶叫のような声を上げていた。
「ええ」
「もちろん」
キャロに、エミが言い────
「はい、私も、もちろんついて行きます!」
ミーラが、はっきりと、笑顔でそう言った。
「しっかりしろよ、親友!」
囃すように、ジャックがそう言った。
「もう、俺は、決めたぞ、決めたんだ!」
そうだ、もう、後悔なんかしない。
なにをクヨクヨするものか、ゆくぞこの道どこまでも、だ。
このグループの話は本編第1部Chapter-36.0
(https://www.alphapolis.co.jp/novel/177250435/358378391/episode/2971520)
からの分岐となります。
──※─※─※──
「…………」
俺がその人の右手を両手で握ると、その人物は少しだけ困惑したような表情になる。
「ミーラ・プリムス・セニールダー、俺の、マイケル・アルヴィン・バックエショフと、結婚を、約束して欲しい」
「…………」
ミーラは軽く目を閉じ、一瞬おいて、口元で微笑んだ後、
「はい」
と、まずは短く返事をした。
「私、ミーラ・プリムス・セニールダーは、マイケル・アルヴィン・バックエショフの、伴侶になることを、誓います」
キツめの顔立ちが、かえってその穏やかさを湛えるような表情で、ミーラはそう言った。
僅かな沈黙の後、
パチパチパチパチ……
まず、キャロとエミが、続いて、ジャックと姉弟子が、拍手をしてくれた。
「まぁ、ちゃんと言えただけ、良しとするしかないか」
姉弟子が、そんなことを言ってくる。
「ま、そうなるでしょうね」
キャロが、口元で笑いつつも、仕方ないわねー、と言ったように、眉をハの字にしながら、拍手しつつ、そう言った。
「いや……その、スマン、結局、こういう結論になっちまって……」
「こらこら」
俺が、感じた気まずさを、半ば無意識に口に出すと、キャロは口元では笑ったまま、少し憤ったように、眉を吊り上げる。
「そこで変な言い訳しない。ミーラが可哀相でしょうが」
「そ、そうか」
キャロに言われて、俺は、かえって更に気まずさを感じてしまった。
「それに、逆に私達も、アルヴィンがしっかり選択してくれて、ホッとしたところもある」
エミが、そう言ってきた。
「え? それってどういう……」
「そうね」
俺が訊き返しかけると、キャロが苦笑交じりに言う。
「私達は、ほら、アルヴィンにはその、単に男女の関係として以外の下心を持っていたから」
…………そういう、ことか。
「まぁ、それでもって気は、ないでもなかったけれど」
「アルヴィンが、自分の気持ちに正直になってくれて、良かったと思ってる」
キャロとエミが、2人とも苦笑して、そう言ってきた。
そのことは理解していた。
キャロとエミが、俺の“成り上がり”に期待して、傍にいることは。
それでも、俺が、感じてしまう心苦しさは……
俺の選択肢が、結果として、マイケル・アルヴィン・バックエショフと同じものだからだ。
彼が、ポッと出てきた本祖派のジジィ──シーガート神官長の孫娘と婚約してしまったことに、少なからず批判的な思考を持っていたにも関わらず。
俺もまた、強制イベントの如く俺の前に現れたセニールダー主席宣教師の孫娘であるミーラを、選んでしまった。
「アルヴィン……どうかしたのですか?」
俺の様子がおかしいと感じたのか、ミーラが声をかけてくる。
「…………アルヴィン」
「え?」
「歯ぁ食いしばれ」
バキッ!
いつの間にか、俺の背後に立っていた姉弟子の強烈な、上段への右ストレートが、俺の顔面に炸裂していた。
「リリーさん!?」
ミーラや、キャロ達の驚いたような声が聞こえてくる。
「つ、ぅ……」
「お前な」
間髪入れず、姉弟子はよろめいた俺の胸倉を掴み、引きずり寄せるようにする。
「なにか事情を抱えてるのは私も師匠も知っている。それがなんなのかまでは知らないし、詮索するつもりもないがな」
「姉弟子…………」
「けどな、お前、人間らしい感情まで、それで封じて生きていくつもりじゃないだろうな?」
「それは…………」
「やめてください、リリーさん!」
ミーラが、俺に迫る姉弟子を剥がすようにして、割って入り、俺を庇うようにして立ちはだかった。
俺はよろけて、ミーラの背後で膝をついてしまう。
「…………」
姉弟子はミーラを見つめた後、視線を俺に移す。
「望んで手に入らない物の方が少ない人間が、何も望まないことを望むのか? それがどれほどの傲慢か、理解できないような人間なのか?」
俺は、ゆっくり立ち上がる。
「すまない、ミーラ」
「いいえ、大丈夫です」
姉弟子と対峙するようにしたまま、ミーラは背後の俺に言う。
「違う、そのことじゃない。いや、そういうことなのかもしれないけれど」
「アルヴィン?」
ミーラが、チラリ、と、俺を視線で振り返った。
「ミーラ! 俺は君が好きだ!」
「あ、アルヴィン!?」
俺の絶叫するような声に、ミーラ本人のみならず、キャロやエミまで驚いたような声を出した。
「はっきり言って一目惚れだ。でも、それを裏切らない程、君は俺の理想なんだ!」
「やーれやれ、やっと本音を吐いたわね」
頭をかくような仕種をしながら、やれやれと言った感じで言ったのは、キャロだった。
「言われなくても、私もキャロも、アルヴィンがそう望まない限り、アルヴィンの前から消えたりしない」
「苦しむ必要なんかないって、最初から言ってあったはずよね?」
エミの言葉に、キャロが続けるように言う。
「だいたいよ、アルヴィンは、面倒くさいことが嫌なんじゃなかったんじゃなかったのかよ?」
ジャックが、ため息交じりにそう言った。
「ジャック……」
「なんで自分から面倒くさい思考に陥ってくかね、その必要もねぇってのに」
「ミーラ」
俺は、ミーラの両肩を掴んで正面に見据えながら、問う。
「君も、それで良いのか?」
「はい、もちろんです! アルヴィンの気持ち、理解します」
「ミーラが一番だって、俺は言う、けれど…………3人とも、俺についてきてくれ!」
また、絶叫のような声を上げていた。
「ええ」
「もちろん」
キャロに、エミが言い────
「はい、私も、もちろんついて行きます!」
ミーラが、はっきりと、笑顔でそう言った。
「しっかりしろよ、親友!」
囃すように、ジャックがそう言った。
「もう、俺は、決めたぞ、決めたんだ!」
そうだ、もう、後悔なんかしない。
なにをクヨクヨするものか、ゆくぞこの道どこまでも、だ。
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