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最高検次長検事の藤川弘一郎による調査活動費の私的流用、それがカジノ利権を巡る取引に利用される。2
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「それにしても、浅井さんにしてみればたまったもんじゃありませんよね?告発状がそんな、カジノ利権を巡る汚い取引に使われたわけですから…」
「その通りだ。浅井事務官は何しろ1年間も待ったんだからな…、警視庁本部に藤川を告発してからずっと…、適正な捜査を遂げてくれるものと信じて…、それが1年後、つまり先々週に、警視庁本部から告発状は不受理と告げられて浅井事務官は大いに落胆したそうだ…」
「それはそうでしょうねぇ…」
「しかもそれなら告発状と共に提出した、藤川の横領を裏付ける例の指示書を返してくれるのかと思いきや…」
「検察との取引に利用するつもり満々の警視庁本部は勿論、返す気などさらさらなく…」
「ああ。それで浅井事務官は悟ったそうだ…」
「警視庁本部が検察との間で何かの取引に利用したと…」
「そういうことだ。だが、まさかカジノを巡る取引に利用されたとはその時はまだ気付かなかったそうだ」
「その時はまだ、ってことは結局、浅井さんは気付いたわけですね?告発状とそれを裏付ける証拠がカジノ利権を巡る取引に利用されたことに…」
「ああ。その通りだ。繰り返すが、先々週、俺は警視総監から浅井事務官の告発状の内容を聞かされ、かつ、告発状不受理にすると聞かされたその日、とうの本人とも言うべき浅井事務官の元にも当然、告発状不受理の通知が届き、そこで浅井事務官は警視庁が検察と何か取引を持ちかけたに違いないと、そうと察して、そこで浅井事務官はその取引が何であるのか、それを知るべく、通知の一週間前、ならびに一週間後の新聞を新聞を丹念に読み込んだそうだ…」
「何かヒントとなる情報が得られるかも知れないと?」
「そうだ」
「それで浅井さんは見つけたわけですね?その警察と検察の汚い取引を…」
「そういうことだ。俺が警視総監から浅井事務官の告発状の内容を告げられた翌日…」
「すなわち、浅井さんの元にも告発状不受理の通知が警視庁から届いたその翌日…、ってことは浅井さんの告発状不受理と同時に汚い取引が…、カジノ管理委員会委員長のポストをそれまでの検察から警察へと引き渡すことを条件に藤川の横領については目をつぶると…、そんな汚い取引が行われたと…」
「そういうことだ」
「ってことはさっきの新聞の切り抜きももしかして浅井さんが?部長に改めて告発状を提出する際に…」
俺がそう尋ねると、押田部長は頷いた。
「告発状と、それを裏付ける指示書、そしてさらにどうして自分の告発状が…、警視庁捜査二課に提出した告発状が1年間も店晒しにされ続けた挙句、不受理になったのかと、その理由を講釈すべく、浅井事務官は新聞の切り抜きも俺によこしたわけだ…。先週にな…」
「つまり浅井さんはその新聞から汚い取引を察してから6日後に、今度は部長を頼られたわけですね?」
俺は暗算しながらそう尋ねた。
「その通りだ」
「ですが…、カジノ利権うんぬんはあくまで推測に過ぎませんよね?」
志貴が慎重な口ぶりで尋ねた。確かにその通りであった。今の時点ではカジノ利権うんぬんはあくまで、浅井事務官の推測に過ぎなかった。
それに対して押田部長も、「その通りだ」とまずは部下である志貴の意見を認めた上で、
「だが、そうでも考えないことにはどうして捜査二課が浅井事務官のその告発状を1年間も店晒しにし続けたのか、その理由が説明できまい?これで例えば、立件のハードルが高いというならまだしも、浅井事務官は藤川の調査活動費流用を裏付ける決定的な証拠とも言うべき、藤川当人の直筆による指示書まで告発状に添えていたんだぞ?そうであれば立件のハードルがそれほど高いとは思えない…、それどころか極めて低いと言えるだろう。しかも最高検の次長検事ともなれば、捜査二課にしてみれば相手に不足はないだろう。にもかかわらず、捜査二課は告発状を1年間も店晒しにし続けた…、つまりは動かなかった…、となればその背景事情にカジノ利権があった…、そう考える他に一体、どう解釈すれば良いと言うんだ?」
志貴にそう反論し、それに対して志貴も答えに詰まった様子をのぞかせた。
「さらに問題は、検察と警察との間で汚い取引が行われたと思しきその日…、つまりは俺の元へと警視総監から浅井事務官の告発状の中身を伝えに来たその日でもあるが、その日はさらに警視総監が就任した日でもあるんだよ…」
押田部長の言葉に俺は反応できず、逆に、志貴は反応し、押田部長はそんな好対照な俺たちの反応を見て取ると、志貴に対して俺に説明するよう促したのであった。ことの重大性について…。
志貴は勿論、「はい」と答え、鈍い俺のために噛み砕いて説明してくれた。
志貴の説明によるとつまりはこういうことであった。
現職の警視庁本部の刑事部長が逮捕されたことにより、警視総監の河井良昭が引責辞職、そこで極めて異例ではあったが副総監の小山文明が警視総監へと昇格したのであった。通常、警視総監ポストは警察庁長官官房長、あるいは警察庁警備局長、もしくは警察庁刑事局長からの昇格が殆どであり、副総監からの昇格はあまり例がなかった。
とは言え、まったくあり得ない人事というわけでもなく、何より今は非常時ということで、極めて稀ではあるものの、副総監であった小山文明が警視総監へと昇格、尚、空席となった副総監ポストは警務部長が兼職することとなった。
さて、警視総監は警察法第49条第1項により、
「警視総監は、国家公安委員会が都公安委員会の同意を得た上内閣総理大臣の承認を得て」
任免されるのであった。そうである以上、警視総監に任じられた者は初日はまず警察を所管する、つまりは警察の親分とも言うべき国家公安委員会委員長よりその辞令を受け取り、さらに都議会公安委員会委員にも挨拶をせねばならず、そして首相官邸を訪ねて時の総理大臣や官房長官、副長官にも挨拶回りをしなければならず、小山警視総監も当然そうしたはずであった。
押田部長によると新・警視総監の小山文明より電話がかかってきたのは夕刻、それも午後8時を過ぎた頃であったそうな。そうであれば当然、総理大臣や官房長官、副長官にも挨拶回りを済ませたはずであり、その折、藤川検事長の横領も当然、話題になったはずである。
浅井事務官の告発状を受理した当時の警視総監は河井良昭であり、そして、汚い取引が成立したのも当然、河井総監時代であるので、告発状の件も当然、河井から小山へと引き継がれたものと思われる。初日には辞令を受け取った警視総監が前の警視総監と総監室において事務引き継ぎも行うため、それゆえその場にて浅井事務官の告発状の件、すなわち藤川の横領を見逃す代わりにカジノ利権を検察から奪い取ったその汚い取引についても当然、河井から小山へと引き継がれたはずである。
新しい警視総監、すなわち小山文明が総理官邸へと出向いたのはその事務引き継ぎの後であり、そうであれば小山から総理や官房長官、副長官に対して前の警視総監、すなわち河井良昭より汚い取引の引き継ぎを受けたことを報告したものと思われる。
「あるいは、総理や官房長官、副長官から小山へと確認の意味で話題が出たのかも知れない…」
「前の総監…、河井よりも聞いていると思うが、カジノ利権は警察にやるから、その代わり、藤川の調査活動費の横領については目をつぶってやれ…、ってな具合に確認する意味で小山に切り出した、と?」
「その通りだ」
「ってことは…、小山の押田部長への連絡にはこのことは首相官邸…、総理や官房長官、副長官も了承済みだぞ…、もっと言えば特捜部は良からぬことを考えるなよ…、ってなメッセージもそこに込められていたってこと?」
俺は恐る恐る尋ね、それに対して押田部長と志貴は頷いた。
「藤川の調査活動費の横領…、警察はこれに目をつぶる代わりに、検察出身者が座っていたカジノ管理委員会委員長ポストは警察に明け渡す…、さらにカジノ管理委員会委員もその過半数を警察に明け渡す…、そんな汚い取引を首相官邸…、もっと言えば官房長官の草加が仕切っていたと仮定すれば、もしかして小山の押田部長への電話も草加からの命を受けて…、ってことは考えられないか?」
俺はさらにそう尋ねると、押田部長にしろ志貴にしろそこまでは考えていなかった様子で、それでもすぐにそうに違いないと、二人とも俺の意見に深く頷いた。
「その通りだ。浅井事務官は何しろ1年間も待ったんだからな…、警視庁本部に藤川を告発してからずっと…、適正な捜査を遂げてくれるものと信じて…、それが1年後、つまり先々週に、警視庁本部から告発状は不受理と告げられて浅井事務官は大いに落胆したそうだ…」
「それはそうでしょうねぇ…」
「しかもそれなら告発状と共に提出した、藤川の横領を裏付ける例の指示書を返してくれるのかと思いきや…」
「検察との取引に利用するつもり満々の警視庁本部は勿論、返す気などさらさらなく…」
「ああ。それで浅井事務官は悟ったそうだ…」
「警視庁本部が検察との間で何かの取引に利用したと…」
「そういうことだ。だが、まさかカジノを巡る取引に利用されたとはその時はまだ気付かなかったそうだ」
「その時はまだ、ってことは結局、浅井さんは気付いたわけですね?告発状とそれを裏付ける証拠がカジノ利権を巡る取引に利用されたことに…」
「ああ。その通りだ。繰り返すが、先々週、俺は警視総監から浅井事務官の告発状の内容を聞かされ、かつ、告発状不受理にすると聞かされたその日、とうの本人とも言うべき浅井事務官の元にも当然、告発状不受理の通知が届き、そこで浅井事務官は警視庁が検察と何か取引を持ちかけたに違いないと、そうと察して、そこで浅井事務官はその取引が何であるのか、それを知るべく、通知の一週間前、ならびに一週間後の新聞を新聞を丹念に読み込んだそうだ…」
「何かヒントとなる情報が得られるかも知れないと?」
「そうだ」
「それで浅井さんは見つけたわけですね?その警察と検察の汚い取引を…」
「そういうことだ。俺が警視総監から浅井事務官の告発状の内容を告げられた翌日…」
「すなわち、浅井さんの元にも告発状不受理の通知が警視庁から届いたその翌日…、ってことは浅井さんの告発状不受理と同時に汚い取引が…、カジノ管理委員会委員長のポストをそれまでの検察から警察へと引き渡すことを条件に藤川の横領については目をつぶると…、そんな汚い取引が行われたと…」
「そういうことだ」
「ってことはさっきの新聞の切り抜きももしかして浅井さんが?部長に改めて告発状を提出する際に…」
俺がそう尋ねると、押田部長は頷いた。
「告発状と、それを裏付ける指示書、そしてさらにどうして自分の告発状が…、警視庁捜査二課に提出した告発状が1年間も店晒しにされ続けた挙句、不受理になったのかと、その理由を講釈すべく、浅井事務官は新聞の切り抜きも俺によこしたわけだ…。先週にな…」
「つまり浅井さんはその新聞から汚い取引を察してから6日後に、今度は部長を頼られたわけですね?」
俺は暗算しながらそう尋ねた。
「その通りだ」
「ですが…、カジノ利権うんぬんはあくまで推測に過ぎませんよね?」
志貴が慎重な口ぶりで尋ねた。確かにその通りであった。今の時点ではカジノ利権うんぬんはあくまで、浅井事務官の推測に過ぎなかった。
それに対して押田部長も、「その通りだ」とまずは部下である志貴の意見を認めた上で、
「だが、そうでも考えないことにはどうして捜査二課が浅井事務官のその告発状を1年間も店晒しにし続けたのか、その理由が説明できまい?これで例えば、立件のハードルが高いというならまだしも、浅井事務官は藤川の調査活動費流用を裏付ける決定的な証拠とも言うべき、藤川当人の直筆による指示書まで告発状に添えていたんだぞ?そうであれば立件のハードルがそれほど高いとは思えない…、それどころか極めて低いと言えるだろう。しかも最高検の次長検事ともなれば、捜査二課にしてみれば相手に不足はないだろう。にもかかわらず、捜査二課は告発状を1年間も店晒しにし続けた…、つまりは動かなかった…、となればその背景事情にカジノ利権があった…、そう考える他に一体、どう解釈すれば良いと言うんだ?」
志貴にそう反論し、それに対して志貴も答えに詰まった様子をのぞかせた。
「さらに問題は、検察と警察との間で汚い取引が行われたと思しきその日…、つまりは俺の元へと警視総監から浅井事務官の告発状の中身を伝えに来たその日でもあるが、その日はさらに警視総監が就任した日でもあるんだよ…」
押田部長の言葉に俺は反応できず、逆に、志貴は反応し、押田部長はそんな好対照な俺たちの反応を見て取ると、志貴に対して俺に説明するよう促したのであった。ことの重大性について…。
志貴は勿論、「はい」と答え、鈍い俺のために噛み砕いて説明してくれた。
志貴の説明によるとつまりはこういうことであった。
現職の警視庁本部の刑事部長が逮捕されたことにより、警視総監の河井良昭が引責辞職、そこで極めて異例ではあったが副総監の小山文明が警視総監へと昇格したのであった。通常、警視総監ポストは警察庁長官官房長、あるいは警察庁警備局長、もしくは警察庁刑事局長からの昇格が殆どであり、副総監からの昇格はあまり例がなかった。
とは言え、まったくあり得ない人事というわけでもなく、何より今は非常時ということで、極めて稀ではあるものの、副総監であった小山文明が警視総監へと昇格、尚、空席となった副総監ポストは警務部長が兼職することとなった。
さて、警視総監は警察法第49条第1項により、
「警視総監は、国家公安委員会が都公安委員会の同意を得た上内閣総理大臣の承認を得て」
任免されるのであった。そうである以上、警視総監に任じられた者は初日はまず警察を所管する、つまりは警察の親分とも言うべき国家公安委員会委員長よりその辞令を受け取り、さらに都議会公安委員会委員にも挨拶をせねばならず、そして首相官邸を訪ねて時の総理大臣や官房長官、副長官にも挨拶回りをしなければならず、小山警視総監も当然そうしたはずであった。
押田部長によると新・警視総監の小山文明より電話がかかってきたのは夕刻、それも午後8時を過ぎた頃であったそうな。そうであれば当然、総理大臣や官房長官、副長官にも挨拶回りを済ませたはずであり、その折、藤川検事長の横領も当然、話題になったはずである。
浅井事務官の告発状を受理した当時の警視総監は河井良昭であり、そして、汚い取引が成立したのも当然、河井総監時代であるので、告発状の件も当然、河井から小山へと引き継がれたものと思われる。初日には辞令を受け取った警視総監が前の警視総監と総監室において事務引き継ぎも行うため、それゆえその場にて浅井事務官の告発状の件、すなわち藤川の横領を見逃す代わりにカジノ利権を検察から奪い取ったその汚い取引についても当然、河井から小山へと引き継がれたはずである。
新しい警視総監、すなわち小山文明が総理官邸へと出向いたのはその事務引き継ぎの後であり、そうであれば小山から総理や官房長官、副長官に対して前の警視総監、すなわち河井良昭より汚い取引の引き継ぎを受けたことを報告したものと思われる。
「あるいは、総理や官房長官、副長官から小山へと確認の意味で話題が出たのかも知れない…」
「前の総監…、河井よりも聞いていると思うが、カジノ利権は警察にやるから、その代わり、藤川の調査活動費の横領については目をつぶってやれ…、ってな具合に確認する意味で小山に切り出した、と?」
「その通りだ」
「ってことは…、小山の押田部長への連絡にはこのことは首相官邸…、総理や官房長官、副長官も了承済みだぞ…、もっと言えば特捜部は良からぬことを考えるなよ…、ってなメッセージもそこに込められていたってこと?」
俺は恐る恐る尋ね、それに対して押田部長と志貴は頷いた。
「藤川の調査活動費の横領…、警察はこれに目をつぶる代わりに、検察出身者が座っていたカジノ管理委員会委員長ポストは警察に明け渡す…、さらにカジノ管理委員会委員もその過半数を警察に明け渡す…、そんな汚い取引を首相官邸…、もっと言えば官房長官の草加が仕切っていたと仮定すれば、もしかして小山の押田部長への電話も草加からの命を受けて…、ってことは考えられないか?」
俺はさらにそう尋ねると、押田部長にしろ志貴にしろそこまでは考えていなかった様子で、それでもすぐにそうに違いないと、二人とも俺の意見に深く頷いた。
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