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一橋豊千代の生母(母堂)のお富の方が将軍・家治の正室・倫子の毒殺に手を貸した理由について推理する
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「富…、いや、岩田が倫子が最期の中年寄であったと…」
家治は呻くようにそう繰り返した。
それに対して直熙は富で統一することを提案した上で、
「されば…、畏れ多くも上様にあらせられましては、大奥へとお渡りあそばされますことが少なく…」
ゆえに倫子に附属していた中年寄、もっと言うと、倫子の毒見役の中年寄が岩田もといお富の方だと知らないのも無理はないと、直熙は家治のことを「フォロー」して見せたのだが、しかし、かえって家治の「疵口」を広げるだけに終わった。
家治の「疵口」とは他でもない、家治は愛妻家を気取っていながらその実、愛妻であった筈の倫子に仕える中年寄さえ知らなかったことであり、それはひいては、
「愛妻家失格…」
そう痛罵されても致し方なしで、そのことは誰よりも家治自身が良く自覚しているところであった。
「されば…、岩田、いや、お富の方が一橋治済に見初められたのはいつ頃にて…」
意知は家治の「自己嫌悪」を振り払うかのように、直熙に尋ねた。実際、意知としては今、ここで家治に自己嫌悪に浸ってもらっては困るのであった。
一方、意知より、岩田もとい富が一橋治済より見初められた時期を問われた直熙は、
「されば明和8(1771)年の7月の半ば頃であったかと…」
そう答えたので、意知を唸らせた。
「それは…、畏れ多くも御台様がご薨去、いや、毒殺される一月程前と…」
意知は確かめるように、それも御台様こと倫子の死因をはっきりと毒殺だと断定してそう告げた。それに対して咎め立てする者は誰一人としていなかった。
「あの…、一橋治済が大奥にて畏れ多くも御台様に中年寄として仕え奉りし岩田、いえ、お富の方を見初めたということは、治済は大奥に渡られたことがあると?」
平蔵が疑問を差し挟んだ。どうやら平蔵は大奥を、
「男子禁制…」
即ち、将軍の他に老中や、それに今ここにいる直熙のような大奥を取り締まる留守居を除いては決して立ち入れない場所と誤解している様子であった。
「いや、畏れ多くも将軍家のご家族にてあらせられし御三卿や、それに御三家の諸侯につきても大奥に渡ることができるのだ」
意知が平蔵にそう教えると、家治も「左様」と口を挟んだかと思うと、
「賢丸もまだ幼き頃には良く大奥に遊びに参ったものぞ…」
往時を偲ぶかのようにそう言った。賢丸とは松平定信のことであり、定信は白河藩へと養嗣子として出される前はその生家である御三卿の田安家にてスクスクと育ち、その折、大奥にも度々、出入りしていたことを家治は平蔵に、それに意知にも教えたのだ。
一方、直熙はその頃の事情を良く知っていたので家治の言葉に頷いた。それと言うのも直熙が留守居に就いたのは明和7(1770)年の3月のことであり、その頃は定信はまだ、生家である田安家にて暮らしていた。つまりは御三卿の人間というわけで、それゆえ大奥にも度々出入りしては、御客会釈の大崎などに抱いてもらっていたことを思い出した。
ともあれ、平蔵は一橋治済が大奥に出入りできたことに合点がゆくと、「もしかして…」と口にした。
「何だ?」
家治は平蔵にその先を促したので、平蔵は若干の躊躇を見せつつも、「されば…」と切り出すと、
「一橋治済はもしかして…、畏れ多くも御台様に一服盛りしことを条件に、お富の方を…、その当時は岩田と名乗り、畏れ多くも御台様に中年寄として仕え奉りしお富の方を己が側妾として一橋邸へと迎え入れることにしたのではござりますまいか…」
そんな「推理」を口にした。そして実は意知も同じ「推理」を思い描いていた。
「されば…、お富の方は一橋治済に見初められたのではのうて、お富の方から一橋治済へとその…」
側妾になりたいと「アタック」したのか…、直熙がそう示唆したので、そうと察した平蔵は「恐らくは…」とこれを認めた。
すると今度は意知までもが、「もしかして…」と前置きして口を挟んだ。
「お富の方は一介の中年寄で終わるつもりは毛頭なく、されど大奥には高岳などの実力者が年寄として控えており、のみならず、次の年寄を伺う立場におりし御客応答…、それこそ大崎などのこれまた実力者が控えておりますれば、自身が大奥にてこれ以上、出世できる可能性はないやも知れぬと、それで…」
意知がそこで言葉を区切るや、
「御三卿、或いは御三家の側妾として一花咲かそうとした、と?」
家治がその先を引き取って見せたので、意知は「御意…」と答えると、
「さればその頃、一橋治済は治済で、大奥にて畏れ多くも御台様の毒殺に手を貸してくれそうな奥女中を探して大奥に渡ったのではござりますまいか…」
そう推理を展開し、意知のその推理に対して、直熙が「それは大いに考えられるな…」と意知の推理に「お墨付き」を与えるかのような発言をした。
「そはまた何ゆえぞ?」
家治が直熙に対して、意知の推理に「お墨付き」を与えるかのような発言をした理由について尋ねた。
「されば一橋治済は明和8(1771)年の7月、いや、それより前の5月頃より頻繁に大奥に出入りしておりましたゆえ…」
直熙がそう打ち明けたので、家治は目を丸くした。どうやら全く与り知らぬことのようであった。
御三卿や、それに御三家が大奥へと渡る折には事前に将軍に報告し、その許しを得ることになっていた。
だが元来、大奥にそれ程、興味もなければ関心もない家治は側近より御三卿、或いは御三家が例えば、
「明日、大奥に渡られしことを願い上げ奉り…」
そう告げられても、家治は機械的にこれを…、御三卿や御三家が大奥へと立ち入ることを認めていたのだ。
家治はそのことを思い出して、益々自己嫌悪に駆られた様子であった。
だが家治自身、今は自己嫌悪に駆られている場合ではないと、それに気付くや、自己嫌悪を振り払うかのように、
「さればそのような…、倫子の暗殺に手を貸してくれそうな奥女中を探していた治済に対して、このまま一介の中年寄…、もそっと申さば倫子の毒見役で終わりたくなかった岩田、こと富が治済めに側妾になりたいと願い出、それに対して治済めもこれは好都合とばかり、富に対して、己が側妾になりたくば、倫子の暗殺に手を貸せと、左様なる条件でも持ち出したと申すのか?」
家治は意知に対してそう確かめるように尋ねた。
「恐らくは…、無論、確たる証は何もござりませぬが、なれどその蓋然性がかなり高いのではないかと…」
意知はあくまで慎重な言い回しに終始した。
「なれど…、如何にお富の方が御三卿や、或いは御三家…、実際には一橋治済の側妾になりたいからと申して、一橋治済より斯かる条件を…、畏れ多くも御台様の暗殺に手を貸せなどと、斯かる条件を持ち出されては流石に尻込みするのではござりますまいか…、いや、先ほど、この平蔵自らが言い出したることなれど…」
岩田もとい、富の方から治済に対して側妾になりたいと願い出たのではあるまいか…、つまりは「アタック」を仕掛けたのではあるまいかと、その可能性に最初に触れたのは、謂わば「言い出しっぺ」は他ならぬ平蔵自身であったものの、しかし、冷静に考えてみれば、その条件…、己の側妾にしてやる条件として、倫子の暗殺、それも毒殺に手を貸せなどと、そのような条件を持ち出されては如何に「野心家」の富と言えども、流石に尻込みし、最悪、ご公儀に対して通報される恐れが、
「無きにしも非ず」
であり、治済もその「リスク」は承知していたものと思われ、そうであれば迂闊にそのような条件を持ち出すものだろうかと、平蔵は疑問に思えたのであった。
するとそうと察した直熙が、
「或いは、治済は相手がお富の方なれば、決して断ることはあるまいと、分かっていたのやも知れぬ…」
実に意外なことを言い出した。
「そはまた、何ゆえに?」
平蔵は首をかしげた。
「さればお富の方は申すまでもなく、岩本家の出…、岩田と称して、大奥にて中年寄として畏れ多くも御台様に仕え奉りし頃には宿元…、身元保証人は岩本正利であり、岩本正利の叔父はやはり申すまでもなく、一橋家の陪臣にて…、岩本喜内なる陪臣にて、事程左様に岩本家は一橋家と太い縁で結ばれており、そうであればその岩本家の出である、それも岩本正利を宿元とせしお富の方なれば、仮に畏れ多くも御台様の暗殺に手を貸して欲しいと持ちかけたとしても、よもやご公儀に通報することはあるまいと、自信を持っていたのではあるまいか…」
直熙のその推理に平蔵が「成程…」と相槌を打ったことから、直熙はいよいよ調子が乗ってきた。
「一方、お富の方はお富の方で大奥での出世を狙いつつも、しかし、それは無理やも知れぬとも思い、そこで御三卿や御三家の側妾になることで、もう一花咲かそうとした…、いや、もしかしたらそれも仕組まれたものやも知れず…」
直熙が実に思わせぶりなことを口にしたので、
「そはまた、一体、如何な意味ぞ?」
家治が身を乗り出すようにしてそう尋ねた。
「されば一橋治済は畏れ多くも御台様…、まずは御台様のお命を頂戴するに当たり、当初より御台様に中年寄として仕え奉りしお富の方に目をつけていたものと思われまする…」
「それは…、治済めが大奥に頻繁に出入りするようになった5月頃…、明和8(1771)年の5月頃には、という意味かえ?」
家治がそう尋ねるや、直熙は「御意」と答えると、先を続けた。
「されば御台様の暗殺、それも毒殺につきましては…、萬壽姫様にも同じことが申せましょうが、毒見役の中年寄の協力が絶対に不可欠であり、斯様に申し上げましては語弊がござりましょうが…」
直熙がそこでいったん言葉を区切るや、そうと察したらしい家治が、
「幸運にもその毒見役の中年寄が岩本家…、一橋家とは縁のありし岩本家の出であったと…」
先回りしてそう答えてくれたので、直熙はホッとした様子を浮かべつつ、「御意」と答えると、再び先を続けた。
「されば一橋治済はしかし、直ぐにそのお富の方にそのような…、御台様の暗殺などと、斯かる重大事を持ちかけたとも思えず、まずはその人となりなどにつきて、知ろうとしたのではないかと…」
「人となり…、富の人となり、とやらを知ろうとしたと?治済めが…」
「御意。同時に畏れ多くも萬壽姫様に中年寄として仕え奉りし高橋の人となりなどにつきても…」
「いかさま…、倫子の暗殺、それも毒殺には倫子の毒見役でありし富の協力は元より、萬壽の毒見役でありし高橋が協力、それも黙認という協力が必要ゆえ、か?」
「御意。さればその結果、お富の方にしろ、高橋にしろ、大奥にて出世を狙うていることが…、それも恐らくは年寄になりたいとの野望がありしことに治済は気付いたのではござりますまいか…」
「だが、高橋は兎も角、富は同時にこれ以上の出世は無理やも知れぬとも思っており、治済めもそれを看取し得たために、己が側妾にならぬかと、富に左様に持ちかけた、と?」
「結果的にはそうかも知れませぬが…」
またしても直熙は実に思わせぶりなことを口にして、「結果的には?」と家治の首をかしげさせた。
「御意…、さればもしかするとお富の方は出世を…、大奥での出世を諦めてはいなかったのやも知れませぬ…」
「なれど実際、富は大奥での出世を諦めた…、と申すからには、さしずめ治済めが富に大奥での出世を諦めさせたと?」
「御意…、さればこれはそれがし…、この直熙めがあくまで想像の産物にて…」
「構わぬ。申せ」
「ははっ。されば治済は…、その当時は未だ嫡男に恵まれてはおりませなんだ治済は側妾を探しており、そこでお富の方には己の側妾となってもらい嫡男をなそうと考え、一方、高橋には仮に己が嫡男が晴れて…、まずは次期将軍として西之丸入りを果たせし暁には嫡男…、次期将軍附の年寄として西之丸の大奥を、そしていよいよ晴れて征夷大将軍として本丸入りを果たせし暁には将軍附の年寄として本丸の大奥を、それぞれ仕切らせようと目論んだのではござりますまいか…」
直熙のその推理に、さしもの意知も思わず、「うーむ」と心の中で唸ったものである。流石にそこまでは考えが及ばなかったからだ。これが年の功というやつだろうと、意知は思った。
一方、家治も意知と同様、その推理に心の中で唸り声を上げたものの、
「逆の可能性はなかったのか?」
一応、そう尋ねた。すると直熙はこの問いを予期していたらしく、
「されば逆とは、高橋には側妾になってもらい…、ということでござりまするな?」
そう確かめるように尋ね、それに対して将軍・家治が頷いてみせるや、
「されば治済と致しましては、より近き者…、一橋家と近き家柄の出の者を側妾にしようと思いましたる筈にて…」
「成程…、富が実家の岩本家と、高橋が実家の平塚家とでは、岩本家の方が平塚家よりも一橋家に近きゆえ、か?」
「御意…、されば岩本家は一橋家とそれこそ直接に繋がっていると申し上げましても差し支え、これなく候…、それに比して平塚家はあくまでその岩本家と縁が…、それも直接ではのうて、黒川家を通じて繋がりがあるに過ぎず…」
「それで治済はその岩本家の出である富を側妾にと、そして富との間で嫡男をなそうと、そう思えばこそ、富には大奥にての出世は諦めてもらうことにしたと?」
「御意…、いえ、正確には次期将軍、そして将軍の母堂として大奥にて思う存分、権勢を振るえば良いと、左様に口説いたのではござりますまいか?治済は、お富の方に対して…」
「それで富は納得したと申すか?」
「最終的には…」
「最終的には?」
「御意…、されば治済は今…、その当時…、明和8(1771)年時におけし大奥の状況…、人事につきても懇々と諭したのやも知れませぬ…」
「大奥の人事、とな?」
「御意…、されば大奥…、本丸の大奥にては畏れ多くも上様に仕え奉りし年寄…、所謂、将軍附の年寄として松島や高岳、瀧川や梅田、清橋や浦田が控えており、しかも皆、壮健にて…、その上、次期年寄とも言うべき御客会釈としてもやはり大崎など錚々たる面々が控えていると…」
「それゆえ、大奥での出世は諦めろ、と?」
「恐らくは…」
「なれど…、確か梅田は…」
意知が口を挟むや、やはり直熙はそれを予期していたらしく、「左様…」と答えるや、
「お富の方の母…、父・岩本正利が妻女はその梅田が養女にて…」
「と言うことは、梅田はお富の方にとっては養祖母に当たるのでは?」
意知がそう応ずると、やはり直熙は「左様…」と答え、
「なれど、それと大奥での出世はまた別と申すものにて…」
そう答えたのであった。
「そは…、梅田が富の養祖母だからと申して、それだけで梅田が富を例えば年寄に引き上げることはない、と?」
家治がそう尋ねたので、直熙は「御意」と答え、
「されば年寄はおろか、御客会釈に引き上げることさえもないかと…、いえ、実際のところは分かりかねまするが、なれど治済はお富の方に対して斯様に説明して、大奥での出世が如何に難しいか、それを悟らせたのではござりますまいか…」
そう付け加えたのであった。
「それで…、富はそれなればと、御三卿、或いは御三家の側妾として一花咲かせる道を選んだと申すか?」
「或いは治済より、己が側妾にならぬかと、ズバリ持ちかけたのやも知れませぬ…」
「己が側妾として嫡男をあげてくれれば、その子を必ずや次期将軍、そして将軍に据えてみせるゆえ、さればそなたは次期将軍、そして将軍の生母としてまず西之丸、次いで本丸、それぞれの大奥にて大いに権勢を振るえる…、とでも?」
「御意…、なれどそのためには是非とも、してのけてもらわねばならぬ仕事がある、と…」
「その仕事こそ、倫子が暗殺、それも毒殺と申すのだな?」
「御意…」
「一方で高橋も…、高橋はさしずめ、出世…、富が諦めし大奥での出世とひきかえに、倫子の暗殺、それも毒殺の計画に乗ったと申すのだな?」
「御意…、されば治済は高橋に対しましては、お富の方に対して為しましたに相違なき説明…、現状、大奥での出世は難しいのではあるまいかと、その説明とは真逆の説明にて、高橋の協力をも取り付けたのではないかと…」
「真逆と申すからには…、さしずめ、大奥での出世は思うがまま、とでも?」
「御意…」
「なれど高橋はそのような説明…、言うなれば空手形を信じたと申すか?」
「御意…、何しろ、御三卿の一橋家の当主たる治済が言葉にて…」
「それで高橋もよもや治済がその空手形を不渡りにすることはない、と?」
「御意…、それに仮に治済がその空手形を不渡りにせし暁には脅しの材料にすれば良い、とでも…」
「さしずめ…、治済より倫子の暗殺、それも毒殺計画を打ち明けられ、実際、それを実行に移したと、そのことを全て、ぶちまける、とでも申して脅すと申すか?」
「御意…、それに治済が思惑通り、晴れて己にも嫡男が…、お富の方との間に嫡男に恵まれ、その嫡男が畏れ多くも大納言様に代わりし次期将軍として西之丸入りを果たし、そして次いで征夷大将軍として晴れて本丸入りを果たせし暁には、高橋もそれに伴い、まずは西之丸の大奥、次いで本丸の大奥にて、それぞれ年寄として権勢を振る得るやも、と…」
「されば治済は…、明和8(1771)年の時点で高橋には家基が暗殺、毒殺計画をも打ち明けていたと申すか?」
「御意…、いえ、あくまでこの直熙が想像の産物にて…」
直熙はそう付け加えることを忘れなかったが、それでも家治は、それに意知も平蔵もその可能性が極めて高いと確信した。そうでもしなければ…、何もかも秘事を打ち明けないことには高橋に将軍正室の暗殺という重大犯罪に手を貸させることなど到底不可能に思えたからだ。
そしてそれはお富の方にも当て嵌まるだろう。
即ち、明和8(1771)年の時点では既に、家基という立派な次期将軍が存在していた。
にもかかわらず、治済はお富の方に対して、将軍・家治の正室の倫子の暗殺、それも毒殺に手を貸すこととひきかえに、己の側妾に取り立て、その上、嫡男をなした暁には家基に代わる次期将軍に据えてやると、そのような「オファー」をお富の方に出したとして、その場合には、
「家基という次期将軍がいるにもかかわらず、何ゆえにそのようなことが可能なのか…」
お富の方の立場に立てば必ずやその疑問が浮かぶ筈であり、それゆえ治済は家基の暗殺まで考えていることをお富の方に打ち明けたものと思われた。
家治は呻くようにそう繰り返した。
それに対して直熙は富で統一することを提案した上で、
「されば…、畏れ多くも上様にあらせられましては、大奥へとお渡りあそばされますことが少なく…」
ゆえに倫子に附属していた中年寄、もっと言うと、倫子の毒見役の中年寄が岩田もといお富の方だと知らないのも無理はないと、直熙は家治のことを「フォロー」して見せたのだが、しかし、かえって家治の「疵口」を広げるだけに終わった。
家治の「疵口」とは他でもない、家治は愛妻家を気取っていながらその実、愛妻であった筈の倫子に仕える中年寄さえ知らなかったことであり、それはひいては、
「愛妻家失格…」
そう痛罵されても致し方なしで、そのことは誰よりも家治自身が良く自覚しているところであった。
「されば…、岩田、いや、お富の方が一橋治済に見初められたのはいつ頃にて…」
意知は家治の「自己嫌悪」を振り払うかのように、直熙に尋ねた。実際、意知としては今、ここで家治に自己嫌悪に浸ってもらっては困るのであった。
一方、意知より、岩田もとい富が一橋治済より見初められた時期を問われた直熙は、
「されば明和8(1771)年の7月の半ば頃であったかと…」
そう答えたので、意知を唸らせた。
「それは…、畏れ多くも御台様がご薨去、いや、毒殺される一月程前と…」
意知は確かめるように、それも御台様こと倫子の死因をはっきりと毒殺だと断定してそう告げた。それに対して咎め立てする者は誰一人としていなかった。
「あの…、一橋治済が大奥にて畏れ多くも御台様に中年寄として仕え奉りし岩田、いえ、お富の方を見初めたということは、治済は大奥に渡られたことがあると?」
平蔵が疑問を差し挟んだ。どうやら平蔵は大奥を、
「男子禁制…」
即ち、将軍の他に老中や、それに今ここにいる直熙のような大奥を取り締まる留守居を除いては決して立ち入れない場所と誤解している様子であった。
「いや、畏れ多くも将軍家のご家族にてあらせられし御三卿や、それに御三家の諸侯につきても大奥に渡ることができるのだ」
意知が平蔵にそう教えると、家治も「左様」と口を挟んだかと思うと、
「賢丸もまだ幼き頃には良く大奥に遊びに参ったものぞ…」
往時を偲ぶかのようにそう言った。賢丸とは松平定信のことであり、定信は白河藩へと養嗣子として出される前はその生家である御三卿の田安家にてスクスクと育ち、その折、大奥にも度々、出入りしていたことを家治は平蔵に、それに意知にも教えたのだ。
一方、直熙はその頃の事情を良く知っていたので家治の言葉に頷いた。それと言うのも直熙が留守居に就いたのは明和7(1770)年の3月のことであり、その頃は定信はまだ、生家である田安家にて暮らしていた。つまりは御三卿の人間というわけで、それゆえ大奥にも度々出入りしては、御客会釈の大崎などに抱いてもらっていたことを思い出した。
ともあれ、平蔵は一橋治済が大奥に出入りできたことに合点がゆくと、「もしかして…」と口にした。
「何だ?」
家治は平蔵にその先を促したので、平蔵は若干の躊躇を見せつつも、「されば…」と切り出すと、
「一橋治済はもしかして…、畏れ多くも御台様に一服盛りしことを条件に、お富の方を…、その当時は岩田と名乗り、畏れ多くも御台様に中年寄として仕え奉りしお富の方を己が側妾として一橋邸へと迎え入れることにしたのではござりますまいか…」
そんな「推理」を口にした。そして実は意知も同じ「推理」を思い描いていた。
「されば…、お富の方は一橋治済に見初められたのではのうて、お富の方から一橋治済へとその…」
側妾になりたいと「アタック」したのか…、直熙がそう示唆したので、そうと察した平蔵は「恐らくは…」とこれを認めた。
すると今度は意知までもが、「もしかして…」と前置きして口を挟んだ。
「お富の方は一介の中年寄で終わるつもりは毛頭なく、されど大奥には高岳などの実力者が年寄として控えており、のみならず、次の年寄を伺う立場におりし御客応答…、それこそ大崎などのこれまた実力者が控えておりますれば、自身が大奥にてこれ以上、出世できる可能性はないやも知れぬと、それで…」
意知がそこで言葉を区切るや、
「御三卿、或いは御三家の側妾として一花咲かそうとした、と?」
家治がその先を引き取って見せたので、意知は「御意…」と答えると、
「さればその頃、一橋治済は治済で、大奥にて畏れ多くも御台様の毒殺に手を貸してくれそうな奥女中を探して大奥に渡ったのではござりますまいか…」
そう推理を展開し、意知のその推理に対して、直熙が「それは大いに考えられるな…」と意知の推理に「お墨付き」を与えるかのような発言をした。
「そはまた何ゆえぞ?」
家治が直熙に対して、意知の推理に「お墨付き」を与えるかのような発言をした理由について尋ねた。
「されば一橋治済は明和8(1771)年の7月、いや、それより前の5月頃より頻繁に大奥に出入りしておりましたゆえ…」
直熙がそう打ち明けたので、家治は目を丸くした。どうやら全く与り知らぬことのようであった。
御三卿や、それに御三家が大奥へと渡る折には事前に将軍に報告し、その許しを得ることになっていた。
だが元来、大奥にそれ程、興味もなければ関心もない家治は側近より御三卿、或いは御三家が例えば、
「明日、大奥に渡られしことを願い上げ奉り…」
そう告げられても、家治は機械的にこれを…、御三卿や御三家が大奥へと立ち入ることを認めていたのだ。
家治はそのことを思い出して、益々自己嫌悪に駆られた様子であった。
だが家治自身、今は自己嫌悪に駆られている場合ではないと、それに気付くや、自己嫌悪を振り払うかのように、
「さればそのような…、倫子の暗殺に手を貸してくれそうな奥女中を探していた治済に対して、このまま一介の中年寄…、もそっと申さば倫子の毒見役で終わりたくなかった岩田、こと富が治済めに側妾になりたいと願い出、それに対して治済めもこれは好都合とばかり、富に対して、己が側妾になりたくば、倫子の暗殺に手を貸せと、左様なる条件でも持ち出したと申すのか?」
家治は意知に対してそう確かめるように尋ねた。
「恐らくは…、無論、確たる証は何もござりませぬが、なれどその蓋然性がかなり高いのではないかと…」
意知はあくまで慎重な言い回しに終始した。
「なれど…、如何にお富の方が御三卿や、或いは御三家…、実際には一橋治済の側妾になりたいからと申して、一橋治済より斯かる条件を…、畏れ多くも御台様の暗殺に手を貸せなどと、斯かる条件を持ち出されては流石に尻込みするのではござりますまいか…、いや、先ほど、この平蔵自らが言い出したることなれど…」
岩田もとい、富の方から治済に対して側妾になりたいと願い出たのではあるまいか…、つまりは「アタック」を仕掛けたのではあるまいかと、その可能性に最初に触れたのは、謂わば「言い出しっぺ」は他ならぬ平蔵自身であったものの、しかし、冷静に考えてみれば、その条件…、己の側妾にしてやる条件として、倫子の暗殺、それも毒殺に手を貸せなどと、そのような条件を持ち出されては如何に「野心家」の富と言えども、流石に尻込みし、最悪、ご公儀に対して通報される恐れが、
「無きにしも非ず」
であり、治済もその「リスク」は承知していたものと思われ、そうであれば迂闊にそのような条件を持ち出すものだろうかと、平蔵は疑問に思えたのであった。
するとそうと察した直熙が、
「或いは、治済は相手がお富の方なれば、決して断ることはあるまいと、分かっていたのやも知れぬ…」
実に意外なことを言い出した。
「そはまた、何ゆえに?」
平蔵は首をかしげた。
「さればお富の方は申すまでもなく、岩本家の出…、岩田と称して、大奥にて中年寄として畏れ多くも御台様に仕え奉りし頃には宿元…、身元保証人は岩本正利であり、岩本正利の叔父はやはり申すまでもなく、一橋家の陪臣にて…、岩本喜内なる陪臣にて、事程左様に岩本家は一橋家と太い縁で結ばれており、そうであればその岩本家の出である、それも岩本正利を宿元とせしお富の方なれば、仮に畏れ多くも御台様の暗殺に手を貸して欲しいと持ちかけたとしても、よもやご公儀に通報することはあるまいと、自信を持っていたのではあるまいか…」
直熙のその推理に平蔵が「成程…」と相槌を打ったことから、直熙はいよいよ調子が乗ってきた。
「一方、お富の方はお富の方で大奥での出世を狙いつつも、しかし、それは無理やも知れぬとも思い、そこで御三卿や御三家の側妾になることで、もう一花咲かそうとした…、いや、もしかしたらそれも仕組まれたものやも知れず…」
直熙が実に思わせぶりなことを口にしたので、
「そはまた、一体、如何な意味ぞ?」
家治が身を乗り出すようにしてそう尋ねた。
「されば一橋治済は畏れ多くも御台様…、まずは御台様のお命を頂戴するに当たり、当初より御台様に中年寄として仕え奉りしお富の方に目をつけていたものと思われまする…」
「それは…、治済めが大奥に頻繁に出入りするようになった5月頃…、明和8(1771)年の5月頃には、という意味かえ?」
家治がそう尋ねるや、直熙は「御意」と答えると、先を続けた。
「されば御台様の暗殺、それも毒殺につきましては…、萬壽姫様にも同じことが申せましょうが、毒見役の中年寄の協力が絶対に不可欠であり、斯様に申し上げましては語弊がござりましょうが…」
直熙がそこでいったん言葉を区切るや、そうと察したらしい家治が、
「幸運にもその毒見役の中年寄が岩本家…、一橋家とは縁のありし岩本家の出であったと…」
先回りしてそう答えてくれたので、直熙はホッとした様子を浮かべつつ、「御意」と答えると、再び先を続けた。
「されば一橋治済はしかし、直ぐにそのお富の方にそのような…、御台様の暗殺などと、斯かる重大事を持ちかけたとも思えず、まずはその人となりなどにつきて、知ろうとしたのではないかと…」
「人となり…、富の人となり、とやらを知ろうとしたと?治済めが…」
「御意。同時に畏れ多くも萬壽姫様に中年寄として仕え奉りし高橋の人となりなどにつきても…」
「いかさま…、倫子の暗殺、それも毒殺には倫子の毒見役でありし富の協力は元より、萬壽の毒見役でありし高橋が協力、それも黙認という協力が必要ゆえ、か?」
「御意。さればその結果、お富の方にしろ、高橋にしろ、大奥にて出世を狙うていることが…、それも恐らくは年寄になりたいとの野望がありしことに治済は気付いたのではござりますまいか…」
「だが、高橋は兎も角、富は同時にこれ以上の出世は無理やも知れぬとも思っており、治済めもそれを看取し得たために、己が側妾にならぬかと、富に左様に持ちかけた、と?」
「結果的にはそうかも知れませぬが…」
またしても直熙は実に思わせぶりなことを口にして、「結果的には?」と家治の首をかしげさせた。
「御意…、さればもしかするとお富の方は出世を…、大奥での出世を諦めてはいなかったのやも知れませぬ…」
「なれど実際、富は大奥での出世を諦めた…、と申すからには、さしずめ治済めが富に大奥での出世を諦めさせたと?」
「御意…、さればこれはそれがし…、この直熙めがあくまで想像の産物にて…」
「構わぬ。申せ」
「ははっ。されば治済は…、その当時は未だ嫡男に恵まれてはおりませなんだ治済は側妾を探しており、そこでお富の方には己の側妾となってもらい嫡男をなそうと考え、一方、高橋には仮に己が嫡男が晴れて…、まずは次期将軍として西之丸入りを果たせし暁には嫡男…、次期将軍附の年寄として西之丸の大奥を、そしていよいよ晴れて征夷大将軍として本丸入りを果たせし暁には将軍附の年寄として本丸の大奥を、それぞれ仕切らせようと目論んだのではござりますまいか…」
直熙のその推理に、さしもの意知も思わず、「うーむ」と心の中で唸ったものである。流石にそこまでは考えが及ばなかったからだ。これが年の功というやつだろうと、意知は思った。
一方、家治も意知と同様、その推理に心の中で唸り声を上げたものの、
「逆の可能性はなかったのか?」
一応、そう尋ねた。すると直熙はこの問いを予期していたらしく、
「されば逆とは、高橋には側妾になってもらい…、ということでござりまするな?」
そう確かめるように尋ね、それに対して将軍・家治が頷いてみせるや、
「されば治済と致しましては、より近き者…、一橋家と近き家柄の出の者を側妾にしようと思いましたる筈にて…」
「成程…、富が実家の岩本家と、高橋が実家の平塚家とでは、岩本家の方が平塚家よりも一橋家に近きゆえ、か?」
「御意…、されば岩本家は一橋家とそれこそ直接に繋がっていると申し上げましても差し支え、これなく候…、それに比して平塚家はあくまでその岩本家と縁が…、それも直接ではのうて、黒川家を通じて繋がりがあるに過ぎず…」
「それで治済はその岩本家の出である富を側妾にと、そして富との間で嫡男をなそうと、そう思えばこそ、富には大奥にての出世は諦めてもらうことにしたと?」
「御意…、いえ、正確には次期将軍、そして将軍の母堂として大奥にて思う存分、権勢を振るえば良いと、左様に口説いたのではござりますまいか?治済は、お富の方に対して…」
「それで富は納得したと申すか?」
「最終的には…」
「最終的には?」
「御意…、されば治済は今…、その当時…、明和8(1771)年時におけし大奥の状況…、人事につきても懇々と諭したのやも知れませぬ…」
「大奥の人事、とな?」
「御意…、されば大奥…、本丸の大奥にては畏れ多くも上様に仕え奉りし年寄…、所謂、将軍附の年寄として松島や高岳、瀧川や梅田、清橋や浦田が控えており、しかも皆、壮健にて…、その上、次期年寄とも言うべき御客会釈としてもやはり大崎など錚々たる面々が控えていると…」
「それゆえ、大奥での出世は諦めろ、と?」
「恐らくは…」
「なれど…、確か梅田は…」
意知が口を挟むや、やはり直熙はそれを予期していたらしく、「左様…」と答えるや、
「お富の方の母…、父・岩本正利が妻女はその梅田が養女にて…」
「と言うことは、梅田はお富の方にとっては養祖母に当たるのでは?」
意知がそう応ずると、やはり直熙は「左様…」と答え、
「なれど、それと大奥での出世はまた別と申すものにて…」
そう答えたのであった。
「そは…、梅田が富の養祖母だからと申して、それだけで梅田が富を例えば年寄に引き上げることはない、と?」
家治がそう尋ねたので、直熙は「御意」と答え、
「されば年寄はおろか、御客会釈に引き上げることさえもないかと…、いえ、実際のところは分かりかねまするが、なれど治済はお富の方に対して斯様に説明して、大奥での出世が如何に難しいか、それを悟らせたのではござりますまいか…」
そう付け加えたのであった。
「それで…、富はそれなればと、御三卿、或いは御三家の側妾として一花咲かせる道を選んだと申すか?」
「或いは治済より、己が側妾にならぬかと、ズバリ持ちかけたのやも知れませぬ…」
「己が側妾として嫡男をあげてくれれば、その子を必ずや次期将軍、そして将軍に据えてみせるゆえ、さればそなたは次期将軍、そして将軍の生母としてまず西之丸、次いで本丸、それぞれの大奥にて大いに権勢を振るえる…、とでも?」
「御意…、なれどそのためには是非とも、してのけてもらわねばならぬ仕事がある、と…」
「その仕事こそ、倫子が暗殺、それも毒殺と申すのだな?」
「御意…」
「一方で高橋も…、高橋はさしずめ、出世…、富が諦めし大奥での出世とひきかえに、倫子の暗殺、それも毒殺の計画に乗ったと申すのだな?」
「御意…、されば治済は高橋に対しましては、お富の方に対して為しましたに相違なき説明…、現状、大奥での出世は難しいのではあるまいかと、その説明とは真逆の説明にて、高橋の協力をも取り付けたのではないかと…」
「真逆と申すからには…、さしずめ、大奥での出世は思うがまま、とでも?」
「御意…」
「なれど高橋はそのような説明…、言うなれば空手形を信じたと申すか?」
「御意…、何しろ、御三卿の一橋家の当主たる治済が言葉にて…」
「それで高橋もよもや治済がその空手形を不渡りにすることはない、と?」
「御意…、それに仮に治済がその空手形を不渡りにせし暁には脅しの材料にすれば良い、とでも…」
「さしずめ…、治済より倫子の暗殺、それも毒殺計画を打ち明けられ、実際、それを実行に移したと、そのことを全て、ぶちまける、とでも申して脅すと申すか?」
「御意…、それに治済が思惑通り、晴れて己にも嫡男が…、お富の方との間に嫡男に恵まれ、その嫡男が畏れ多くも大納言様に代わりし次期将軍として西之丸入りを果たし、そして次いで征夷大将軍として晴れて本丸入りを果たせし暁には、高橋もそれに伴い、まずは西之丸の大奥、次いで本丸の大奥にて、それぞれ年寄として権勢を振る得るやも、と…」
「されば治済は…、明和8(1771)年の時点で高橋には家基が暗殺、毒殺計画をも打ち明けていたと申すか?」
「御意…、いえ、あくまでこの直熙が想像の産物にて…」
直熙はそう付け加えることを忘れなかったが、それでも家治は、それに意知も平蔵もその可能性が極めて高いと確信した。そうでもしなければ…、何もかも秘事を打ち明けないことには高橋に将軍正室の暗殺という重大犯罪に手を貸させることなど到底不可能に思えたからだ。
そしてそれはお富の方にも当て嵌まるだろう。
即ち、明和8(1771)年の時点では既に、家基という立派な次期将軍が存在していた。
にもかかわらず、治済はお富の方に対して、将軍・家治の正室の倫子の暗殺、それも毒殺に手を貸すこととひきかえに、己の側妾に取り立て、その上、嫡男をなした暁には家基に代わる次期将軍に据えてやると、そのような「オファー」をお富の方に出したとして、その場合には、
「家基という次期将軍がいるにもかかわらず、何ゆえにそのようなことが可能なのか…」
お富の方の立場に立てば必ずやその疑問が浮かぶ筈であり、それゆえ治済は家基の暗殺まで考えていることをお富の方に打ち明けたものと思われた。
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