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第九章
第五十四話
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久しぶりに王都へ戻ってきたおっさん一行。
カリファールの常夏とも、港町の温い海風とも違い、王都に吹く風は冷たく乾いていた。
頬を撫でていくその感触に、ようやく自分たちが薄着のままだったことを思い出す。
季節に例えるなら十一月頃だろうか。
ジャンパーを羽織るほどではないが、Tシャツ一枚では心許ない肌寒さ。
──そういえば、トゥエラとテティスには、暑いとか寒いという感覚がなかったんだったか。
そう思いながら後ろを振り返ると、ピシッとスーツを着込んだリリ以外は、やはり全員が薄着のままだった。
石垣の階段を登り、自宅にたどり着けば、古ぼけた中古住宅が迎えてくれる。
ホテルも宮殿も悪くはないが──やはり、ボロくても我が家が一番落ち着く。
トゥティパの三人は真っ先にリビングへ向かい、外すと姿を現すガラスの指輪のようなものをテーブルに置き、
「あ゛~」とか「ふぇ~」とか「はぁ……」などと、思い思いにため息をついた。
すると、パステルの背中からはファサッと蝶のような羽が広がり、彼女はリラックスした顔を見せた。
ソファに座りづらいんじゃないか──と一瞬思ったが、どうやらそんなことはないらしい。
背もたれに身体を預けると、羽は溶けるように霧散して消えてしまった。
「不思議なもんだな? それ、邪魔にはならないんだっぺか?」
そう尋ねると──
「上手く言えないのですが……ずっと仕舞っていると背中が凝るといいますか、むず痒いのですわ」
とのことだった。
……要するに、肩甲骨のでっけぇやつ、みたいなもんなのだろうか。
「パーパ? なんかさー、スパイス?ばっかで飽きたんですケド? 甘くて美味しーやつとか食べたいし?」
「トゥエラもー!」
そんな娘たちから晩メシの注文が入った。
確かに、あっちにいる間は、風土に引っ張られていたせいか、何を作ってもピリッとスパイシーな仕上がりになりがちだった気がする。
「家っぽくて甘めで美味いもんったら……」
おっさんは台所に立ち、肉や野菜、そして海でたまに見かけた毛の生えた深海ゴブリンから刈り取っておいたヤツなどを取り出して下拵えを始めた。
卵もまだあるが……冬が訪れる前に一度、樹海のコカトリスの所へ貰いに行かねばならない。
なんせ、あそこは本格的な冬になれば家が埋まるほど雪が降るのだ。
その前にログハウスの点検も兼ねて、肉や卵の採集に行くべか──と計画を練る。
そうこうしているうちに出来上がったのは──
「ほれ、すき焼きだっぺよ」
熱々の鉄鍋の下に板を敷き、テーブルへドカリと置いた。
甘めの醤油ダレで焼き煮込んだ具材が、くつくつと美味しそうな湯気を立てて腹っぺらし達の鼻をくすぐる。
「その卵をグルグル混ぜてな、それに漬けて食うんだぞ」
昔はみんな箸が苦手で、串みたいに使ってたもんだが、すっかり上手になって、毛も滑らずに掴めている。
「甘~くって、しょっぱ~くておいしー!」
しょっぱあましょ党の代表、トゥエラも超ご機嫌だ。
「ヤッバこれ…なんで肉甘いのに美味いの!?」
そういえば、すき焼きは作ったことが無かったのか?
いつも鍋を火にかけてから、メニューを考えていたから…すき焼きに辿り着かなかったのかも知れない。
「美味しいですわ~ほっぺが溶けちゃいそうですわ」
パステルも以前は、イリュージョンフードファイターのように口元で食材が消えていたのだが、最近はちゃんと口に入れてよく噛んで食べてくれる。
それでもその所作はすごく上品で、トゥエラを膝に乗せて面倒を見ながらの食事だというのに、汁の一滴すら飛ばすことはない。
「あぁ…あ、甘…お、おぉ──ムグムグ、ごくん
はぁぁ、旦那様…美味し過ぎます──」
リリが爆衣すると、鍋に入りそうで危ないな…と危惧していたが、なんと今回は堪えたようでパジャマは無事なままだった。
あえてご飯は出さず、少し具材の減ったスペースにうどんを投入する。
その上から野菜を被せて蓋代わりにし、台所で軽く焼いてきた肉を追加で放り込んでやった。
喉も渇くだろうと思い、深海ゴブリンの肘を絞り、肘ハイにして振る舞う。
「甘じょっぺぇから、サッパリしていいべ?」
トゥエラには、アルコールを飲ませても特に悪影響は出なさそうなのだが──。
本人が甘いものを好むので、深海ゴブリンから摂れた果肉を使ってやることにした。
「ほれ、トゥエラ。ソルティライチだ」
ほんのり酒を垂らした、ほろ酔いジュースを差し出す。
ジューサーでガラガラと回すとき──おっさんの股に、ヒュッと寒気が走ったのは内緒である。
「ぷっはぁ!パーパ、マジ神? 酸っぱいチューハイでリセットされて?
コレ無限すき焼きっしょー!?」
テティスがジョッキを傾け、ギャルのくせにおっさんのような豪快な飲みっぷりを見せる。
──俺は神じゃねえけどよ。
そう心の中でツッコミつつ、ふと思い出した。
「そういえばよ。おめ達、明日あたり防具屋に行くんだっぺ?
そんで装備できあがってたら、見本の服はもういらねえんだっぺよ?」
問いかけると、パステルとテティスが怪訝そうに顔を見合わせる。
「オジサマ? わ、私達の服を……如何されるおつもりですの?」
「言っとくけど? パーパじゃ着れねーし? アレ、パーパが着たら流石に引くし?」
変態扱いされかけたので、慌てて首を振り、「俺が着るわけあんめ~」と否定してから訳を話す。
──前に建て替えた教会の女神像さん。
あそこに服をお供えすると喜ぶこと。
あの女神さんのおかげで、死にかけていた貴族が助かったし、悪党どもの壊滅にも力を貸してくれたこと。
そして何より──日々俺が愛飲している神の雫。
あれがいくら飲んでも減らず、冷えたまま最高であり続けてくれるのは、女神さんの加護あってのこと。
だからたまには礼をしに行かねば、と思っていたのだ。
「わ、私が……着させられるのかと……
いえ、なんでもありません」
リリは、どこかホッとしたような──しかし同時に、少し残念そうにも見える顔で頬を赤らめた。
……とはいえ、テティスやパステルが好むような露出多めの服が、彼女に似合うのだろうか?
家では家事姿、外ではスーツ姿しか知らないので、おっさんにはどうにも想像もつかない。
「そーゆーワケなのね? まぁ、あのワニのおっさんが作った装備着ちゃったら? フツーの服いんねーよね?」
トゥティパの三人分の装備だけで、平民の家が一軒買えるとか聞いたことがある。
……だが、おっさんはリリが怒らないなら特に気にすることもなかった。
そもそも、自分の財産がどの程度なのかすら把握していないのだ。
そんなこんなで夕食も終わり、そろそろ寝るかという頃になって──
「あのさ? あっちの部屋の方がチルいんだけど? あっち行かね?」
と、テティスが言い出した。
あっちというのは、ホビット族の街にある自宅のことだろう。
「わ、私も……あちらのお部屋の方が寛げますの。
ここはその……壁が薄いので……」
確かに、廃業した商店兼自宅を買い取ったこの家は、大したリフォームもしていない。
床はギシギシ鳴るし、戸の調子も悪い。
なんとなく気が乗らず、改装は手を付けないまま放ってあったのだ。
それに、あちらの家の方が風呂も大きい。
朝になれば王都まで送ってやればいいだけだし──
「んだばそうすっぺか」
と頷き、洗い物を済ませてから、みんなで転移することにした。
「オジサマ? 私も妖精女王の力をお借りして……王都まで飛べるようになりましたの。
ですので、明日はゆっくり過ごしてくださいましね?」
そう言ってパステルは、どこか恥ずかしそうに頬を染めながら部屋へと消えていった。
なんだっぺかね? とおっさんは首を傾げながら、隣に立つリリを見やる。
するとどういうわけか、彼女は「………」と浅い呼吸で俯き、顔を真っ赤に染めていた。
オデコに触れてみると、確かに熱があるようで──慌てて抱え上げ、そのまま螺旋階段を駆け上がり、自室へと運び込む。
ベッドにそっと寝かせたその瞬間──
「んはぁぁぁぁぁぁん❤︎」
リリのパジャマが爆散し、あられもない姿になってしまった。
「……もしかして……すき焼き中から、ずっと堪えてたのけ?
アイツら達はこれを見越して、こっちの家を勧めたワケか」
どうにも回避できないリリの謎爆衣に、おっさんは小さくため息をつき、そっとバスタオルを掛けてやるのだった。
カリファールの常夏とも、港町の温い海風とも違い、王都に吹く風は冷たく乾いていた。
頬を撫でていくその感触に、ようやく自分たちが薄着のままだったことを思い出す。
季節に例えるなら十一月頃だろうか。
ジャンパーを羽織るほどではないが、Tシャツ一枚では心許ない肌寒さ。
──そういえば、トゥエラとテティスには、暑いとか寒いという感覚がなかったんだったか。
そう思いながら後ろを振り返ると、ピシッとスーツを着込んだリリ以外は、やはり全員が薄着のままだった。
石垣の階段を登り、自宅にたどり着けば、古ぼけた中古住宅が迎えてくれる。
ホテルも宮殿も悪くはないが──やはり、ボロくても我が家が一番落ち着く。
トゥティパの三人は真っ先にリビングへ向かい、外すと姿を現すガラスの指輪のようなものをテーブルに置き、
「あ゛~」とか「ふぇ~」とか「はぁ……」などと、思い思いにため息をついた。
すると、パステルの背中からはファサッと蝶のような羽が広がり、彼女はリラックスした顔を見せた。
ソファに座りづらいんじゃないか──と一瞬思ったが、どうやらそんなことはないらしい。
背もたれに身体を預けると、羽は溶けるように霧散して消えてしまった。
「不思議なもんだな? それ、邪魔にはならないんだっぺか?」
そう尋ねると──
「上手く言えないのですが……ずっと仕舞っていると背中が凝るといいますか、むず痒いのですわ」
とのことだった。
……要するに、肩甲骨のでっけぇやつ、みたいなもんなのだろうか。
「パーパ? なんかさー、スパイス?ばっかで飽きたんですケド? 甘くて美味しーやつとか食べたいし?」
「トゥエラもー!」
そんな娘たちから晩メシの注文が入った。
確かに、あっちにいる間は、風土に引っ張られていたせいか、何を作ってもピリッとスパイシーな仕上がりになりがちだった気がする。
「家っぽくて甘めで美味いもんったら……」
おっさんは台所に立ち、肉や野菜、そして海でたまに見かけた毛の生えた深海ゴブリンから刈り取っておいたヤツなどを取り出して下拵えを始めた。
卵もまだあるが……冬が訪れる前に一度、樹海のコカトリスの所へ貰いに行かねばならない。
なんせ、あそこは本格的な冬になれば家が埋まるほど雪が降るのだ。
その前にログハウスの点検も兼ねて、肉や卵の採集に行くべか──と計画を練る。
そうこうしているうちに出来上がったのは──
「ほれ、すき焼きだっぺよ」
熱々の鉄鍋の下に板を敷き、テーブルへドカリと置いた。
甘めの醤油ダレで焼き煮込んだ具材が、くつくつと美味しそうな湯気を立てて腹っぺらし達の鼻をくすぐる。
「その卵をグルグル混ぜてな、それに漬けて食うんだぞ」
昔はみんな箸が苦手で、串みたいに使ってたもんだが、すっかり上手になって、毛も滑らずに掴めている。
「甘~くって、しょっぱ~くておいしー!」
しょっぱあましょ党の代表、トゥエラも超ご機嫌だ。
「ヤッバこれ…なんで肉甘いのに美味いの!?」
そういえば、すき焼きは作ったことが無かったのか?
いつも鍋を火にかけてから、メニューを考えていたから…すき焼きに辿り着かなかったのかも知れない。
「美味しいですわ~ほっぺが溶けちゃいそうですわ」
パステルも以前は、イリュージョンフードファイターのように口元で食材が消えていたのだが、最近はちゃんと口に入れてよく噛んで食べてくれる。
それでもその所作はすごく上品で、トゥエラを膝に乗せて面倒を見ながらの食事だというのに、汁の一滴すら飛ばすことはない。
「あぁ…あ、甘…お、おぉ──ムグムグ、ごくん
はぁぁ、旦那様…美味し過ぎます──」
リリが爆衣すると、鍋に入りそうで危ないな…と危惧していたが、なんと今回は堪えたようでパジャマは無事なままだった。
あえてご飯は出さず、少し具材の減ったスペースにうどんを投入する。
その上から野菜を被せて蓋代わりにし、台所で軽く焼いてきた肉を追加で放り込んでやった。
喉も渇くだろうと思い、深海ゴブリンの肘を絞り、肘ハイにして振る舞う。
「甘じょっぺぇから、サッパリしていいべ?」
トゥエラには、アルコールを飲ませても特に悪影響は出なさそうなのだが──。
本人が甘いものを好むので、深海ゴブリンから摂れた果肉を使ってやることにした。
「ほれ、トゥエラ。ソルティライチだ」
ほんのり酒を垂らした、ほろ酔いジュースを差し出す。
ジューサーでガラガラと回すとき──おっさんの股に、ヒュッと寒気が走ったのは内緒である。
「ぷっはぁ!パーパ、マジ神? 酸っぱいチューハイでリセットされて?
コレ無限すき焼きっしょー!?」
テティスがジョッキを傾け、ギャルのくせにおっさんのような豪快な飲みっぷりを見せる。
──俺は神じゃねえけどよ。
そう心の中でツッコミつつ、ふと思い出した。
「そういえばよ。おめ達、明日あたり防具屋に行くんだっぺ?
そんで装備できあがってたら、見本の服はもういらねえんだっぺよ?」
問いかけると、パステルとテティスが怪訝そうに顔を見合わせる。
「オジサマ? わ、私達の服を……如何されるおつもりですの?」
「言っとくけど? パーパじゃ着れねーし? アレ、パーパが着たら流石に引くし?」
変態扱いされかけたので、慌てて首を振り、「俺が着るわけあんめ~」と否定してから訳を話す。
──前に建て替えた教会の女神像さん。
あそこに服をお供えすると喜ぶこと。
あの女神さんのおかげで、死にかけていた貴族が助かったし、悪党どもの壊滅にも力を貸してくれたこと。
そして何より──日々俺が愛飲している神の雫。
あれがいくら飲んでも減らず、冷えたまま最高であり続けてくれるのは、女神さんの加護あってのこと。
だからたまには礼をしに行かねば、と思っていたのだ。
「わ、私が……着させられるのかと……
いえ、なんでもありません」
リリは、どこかホッとしたような──しかし同時に、少し残念そうにも見える顔で頬を赤らめた。
……とはいえ、テティスやパステルが好むような露出多めの服が、彼女に似合うのだろうか?
家では家事姿、外ではスーツ姿しか知らないので、おっさんにはどうにも想像もつかない。
「そーゆーワケなのね? まぁ、あのワニのおっさんが作った装備着ちゃったら? フツーの服いんねーよね?」
トゥティパの三人分の装備だけで、平民の家が一軒買えるとか聞いたことがある。
……だが、おっさんはリリが怒らないなら特に気にすることもなかった。
そもそも、自分の財産がどの程度なのかすら把握していないのだ。
そんなこんなで夕食も終わり、そろそろ寝るかという頃になって──
「あのさ? あっちの部屋の方がチルいんだけど? あっち行かね?」
と、テティスが言い出した。
あっちというのは、ホビット族の街にある自宅のことだろう。
「わ、私も……あちらのお部屋の方が寛げますの。
ここはその……壁が薄いので……」
確かに、廃業した商店兼自宅を買い取ったこの家は、大したリフォームもしていない。
床はギシギシ鳴るし、戸の調子も悪い。
なんとなく気が乗らず、改装は手を付けないまま放ってあったのだ。
それに、あちらの家の方が風呂も大きい。
朝になれば王都まで送ってやればいいだけだし──
「んだばそうすっぺか」
と頷き、洗い物を済ませてから、みんなで転移することにした。
「オジサマ? 私も妖精女王の力をお借りして……王都まで飛べるようになりましたの。
ですので、明日はゆっくり過ごしてくださいましね?」
そう言ってパステルは、どこか恥ずかしそうに頬を染めながら部屋へと消えていった。
なんだっぺかね? とおっさんは首を傾げながら、隣に立つリリを見やる。
するとどういうわけか、彼女は「………」と浅い呼吸で俯き、顔を真っ赤に染めていた。
オデコに触れてみると、確かに熱があるようで──慌てて抱え上げ、そのまま螺旋階段を駆け上がり、自室へと運び込む。
ベッドにそっと寝かせたその瞬間──
「んはぁぁぁぁぁぁん❤︎」
リリのパジャマが爆散し、あられもない姿になってしまった。
「……もしかして……すき焼き中から、ずっと堪えてたのけ?
アイツら達はこれを見越して、こっちの家を勧めたワケか」
どうにも回避できないリリの謎爆衣に、おっさんは小さくため息をつき、そっとバスタオルを掛けてやるのだった。
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