DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート

みーくん

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第七章

第五話

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娘の口調が急に変わった。

グレたのだろうか…?

おっさんは落ち着くために、
とりあえず冷えた焼酎ミニ五郎をグビリ。

煙草を咥え深く吸い込む。

「んで…その…」

なんと声を掛けようかと、
いまいちどもるおっさんに…

「なんかさ~、
  マジ急にいろいろブワッて蘇ってきたんだけど~?
  あーし、たぶんこの地下の、もっとヤバ深いとこで産まれてさ?
  で、気づいた時にはさ~、あの神殿?っぽいとこ?
  あそこにず~~っとひとりで引きこもってたっぽいんよね~~~」

おっさんは口調についてあえてツッコまず、
静かに焼酎をもう一口あおった。
(グレたんか……?)
そんな思いが一瞬よぎるも、
煙草を深く吸って、話を戻す。

「……で、この地下には何があって、
なんで我々は、さっきは降りれなかったんだ?」

するとテティスは、頬杖をつきながら軽く笑って──

「たぶんだけど、今はもうイケるっしょ~
  あーし、記憶バチッと戻ったからさ~、
  階段くんも“認識”してくれたっぽいの。
  つーかさ~、あれマジ細かくてウケるんだけど~、
  踏み方とかリズムとか?めっちゃ制限ガチガチでさ?
  てきとーに歩いたら、マジ一生ぐ~るぐる。永遠にエンドレス階段っつーやつ?」


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

それから皆で軽く仮眠をとり、
改めて出発することにした。

おっさんは念のため、扉にそっと耳を当てる。
……外からの物音や気配は、特に感じられない。

「オケ丸水産~♪、じゃああーし先行っちゃうね~?
  マジちゃんとついてきてよ?ガチで?
  あーしが踏んだとこ踏まないと……ふつーに詰むから~~!」

そう言ってテティスは、作業服の裾と袖をキュッとまくり、
どこか“やる気スイッチ”が入ったような表情で、
さっそうと歩き出した。

すぐ後ろにトゥエラがピョコピョコと続き、
その後をリリが慎重にたどる。

おっさんは少し遅れて立ち上がり、
「なんだこれ……」とボヤきつつ、
ステップに遅れぬようついていく。

──で、気づく。

目の前のテティスがやっている動き。
……これ、アレだ。

だいたい畳一枚分くらいの石段を、
仮に“九分割”したとすると──
その上を、前後左右にハイペースで行ったり来たり、軽やかにステップ。
不意にクルッと跳ねて一段下に飛び、
また同じようなパターンを繰り返す。

おっさんはそれを見て思い出した。
若かりし頃、
ゲーセンで流行り、だいぶのめり込んだ…

──まさかの…

前後左右ダンスダンス跳舞遊戯レボリューションじゃねーか……!?



➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

遅れてはいかんと、
おっさんもドゥルンと突き出た腹で後に続く。
トゥエラやリリを気にしてる余裕は、今はない。

とにかくテティスの足元に全集中。

「前、右、左、前、後ろ、両足で左右……っと」

必死に身体を動かすと──

ピカッ!

足元の石段が、唐突に光り始めた。

「んあ!?」

驚いたおっさんが顔を上げると、
それまで1メートル先も見えなかった闇の中に──

↑ ↓ → ← ⇅ ←→ ↑↑↑……

光の矢印が、
まるで天から落ちてくるように降り注ぐ!

ズンドン ズンドン ズンドン ズンドン♪

どこからともなく重低音のビートまで鳴り響きはじめ、
空間そのものが音楽に包まれていく。

おっさん、
わけもわからず必死に矢印通りにステップを踏む!

ゆっくり目に降りてくる矢印に、
身体が慣れて来た頃、

目の前のリリがミスをした。
おっさんにとっては、
まだ【EASY MODE】のステップだったが──
どうやら脚がもつれたらしい。

次の瞬間、
【BAD】の光がビュンッと飛び──
直撃したリリの姿が、光の粒子になって、
おっさんの一段後ろへとワープしてしまった。

「ねぇ~~マジでちゃんと見てってば~、
 合わせてくんねーと進めないっしょ?」

先頭を行くテティスが、ピシッと声を飛ばす。

一方のトゥエラは、すごかった。
もともと身体能力はおかしいくらいに高かったが、
今やほぼ完全に、テティスとシンクロするような動きでステップを踏んでいる。

それどころか──
もはや足ではなく、
片手逆立ちで石段を踏みつけるという、
高度なアドリブまで繰り出していた。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

なにやら、どこからともなく…
三味線のような音色が聴こえてきた──

♪ Ay-yi-yi-ya~♪

その瞬間、おっさんの海馬に、目に──炎が灯る。

ズン♪ ズン♪ ズン♪ ズン♪ ズン♪

体脂肪37%の肉塊が──宙を、舞う。

前後左右の同時押し──即、開脚両手着き!

そこから繋がる流麗な回転倒立ッ!

ヘルメットで回転しながら、迫り来る矢印を──
両手でバシバシ叩きまくる!!

アイ・アイ・アイ・アイ~  
カンタ・イ・ノ・ジョーレス~  
ポルケ・カンタンド・セ・アレグラン~  
シエリート・リンド~ ロス・コラソネ~ス♪

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

汗を飛び散らし、
リズムと同化し踊りまくった結果──
おっさんの前には、もう誰もいなかった。

あのテティスさえも、
一段後ろでおっさんの動きを追っている。

どうやら、GOOD良い以上の絶妙なタイミングでタップをすると──

COOL凄い!とかFREEZEヤバくね?!などという加点対象になり、
ノーミスのテティスよりも前に飛ばされるらしい。

トゥエラはテティスの真横で、
まるでペアダンスのような見事な連携。
リリはというと……いつの間にか休憩所に戻されていた。

自動ワープ判定は、なかなかに厳しいらしい。

そうして、おっさんが何曲もの懐メロを踊り抜いたそのとき──

視界いっぱいに、
まばゆい光とともに現れるメッセージ。



【 STAGE CLEAR!  YOU ARE PERFECT! 】



まるで勝者を讃えるように、
音楽がフェードアウトしていく。
奈落のような階段に響いていたビートも静まり、
ほんの少しだけ──“闇が後ずさった”ように見えた。
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