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魔王国アディス~アライズ連合国

調査隊『ティターニア』水竜

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 アライズ連合国
 港町プエルト


 リディアは自身の邸宅のあるプエルトに着たので、ついでに仕事してくるっ!と一旦邸宅へと向かっていった。
 一応、領主やギルマスとしての責任感はあるんだな…と思わないでもない。

 俺は朝市がやっているだろう港へ向かう。
 もっと早い時間の方がよかったか?と思ったが、まだやっていたので一安心。

『………………キシャアァァァッ』

 いくつか閉まっているところもあるが俺は開いてるお店を廻り、目についた物をどんどん買い込んでいく。
 もちろん経費にするべく、領収書を貰うのは忘れない。

『………キシャアァァァッ』

 途中、屋台で売っていた焼きトウモロコシの醤油の匂いに負けて購入。
 焼きトウモロコシを囓りながら引き続きお店を廻る。

「おっ、兄ちゃんお目が高い!そっちを選ぶたぁなかなかの目をもってんなっ!」

 俺は目利きなんて出来ないので同じ物は『鑑定EX』で比べてもらい購入しているのは秘密である。
 それでも褒められるのは嫌ではないので…

「いやぁ、この店が良い物を置いているからですよ」

 と返すと「オマケだ!持ってきな…」と小ぶりだが新鮮な貝類を一袋貰ったり…

「いやぁ、お姉さんのお店だから買っちゃいますね」

 と言えば「おばさんを揶揄うんじゃないよっ!」と乾物をオマケしてくれたりと、俺はスキル外スキル『おべっか』を使い、いろいろといただいていた。

『…キシャアァァァッ』

 トウモロコシも食べ終わり、残った芯の部分を捨てるべくキョロキョロとゴミ箱を探すが近くに見当たらない。
 ま、いいか…と自分の『アイテムボックスEX+』内のゴミ箱に捨て、さて続きを…と大分海に近い方のお店まで来ていた。

『キシャアァァァッ!!』

「さっきからウルセエなっ!」

 ここであえて無視していた咆哮が聞こえる方向に目を向ける。

「やべえっ、弓じゃ効かねえぞっ!」
息吹ブレスくんぞっ!防御っ!」
「魔法だとっ!?」
「おらあぁっ!」
「往生せえやぁっ!」

 港の先………遠浅で漁師達がデカイ魔物と戦闘中だった。

 というか…港町の漁師さん達はアレがデフォルトなのだろうか?
 魔王国の漁師さん達とテンションが同じなんだけれど?
 耳が長い以外エルフさん要素が無いんですけど?

 しかしエルフ漁師さん達の分が少し悪い。まあ、エルフが海で戦うイメージってあまりないしな…。
 俺はデカイ魔物を鑑定する。

『シードラゴン Lv72』

 水竜の亜種………結構強い魔物なんじゃないかな?それで少し分が悪い程度ってことは、あのエルフ漁師さん達も相当だと思う…。

 シードラゴン………地球で言うところの西洋の竜ではなく東洋の竜に近い。アレだ、『龍球』の◯龍みたいな竜だな。
 シードラゴンはその長い体をしならせ鞭の如く振るってくる。

『ドバアァァァンッ!!』
「「「うわあぁぁぁっ!?」」」

 囲んでいたエルフ漁師さん達は大量の海水と共に吹き飛ばされ、シードラゴンは追撃と言わんばかりに息吹ブレスの準備に入った。

 その息吹ブレスの狙いは港を含め店の並ぶこの辺も範囲内のようだ。

『スクエアビット』

 俺はスクエアビットを広範囲に展開し、ソレを起点に結界を展開。
 港全体を覆える程の大きな結界。今の俺のステータス、スキルならこの程度の息吹ブレス

『キュウゥゥ………ドンッ!………パアァッ…』

 息吹ブレスは結界に当たった瞬間散らされ、吹き飛ばされ海に落ちたエルフ漁師さん達も港にも被害は無い。

「何だ?防御魔法シールド?」
「俺達を………港を覆って…」
「一体誰が…」

『キシャアァァァッ!!』

 息吹ブレスを散らされたことに怯むことなく、シードラゴンは「それなら物理でっ!」と言わんばかりに再びその長い尾からの薙ぎ払い。

『バシィッ!!』

 当然、結界を破れるワケもなく…。
 何だろう………スクエアビットが『ドヤァ』ってしてる感じがする。でもお前らも含めて全部俺の魔力だからな…。

 そして俺は…

『召喚魔法Lv8 海龍神』

 遠浅よりさらに沖の海面に巨大な魔方陣が描かれ輝く。
 そこから出現したのは『最後の幻想』に出てきそうな、シードラゴンより二回りは大きいであろう巨大な体躯の海龍神。

「………空龍神もそうだったけれど、俺より超強そうなんだが…」

 そんな感想を持った俺は悪くないと思う…。



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スキル外スキル『おべっか』=オマケが貰える確立アップ
耳が長い以外=薄褐色マッチョ半裸
スクエアビットが『ドヤァ』=気のせい
最後の幻想=ファイナルでファンタジー

シードラゴンとか何の捻りもない名前にしてしまった。考えるのが面倒とか思ったのは内緒です。
ちなみにリディアは仕事中なので「港の方が騒がしいなぁ」程度にしか思ってません。

次回もよろしくお願いします。
  
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