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前編
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ミレーナ。
女性。
年齢20歳。
ミレーナは屋敷の庭で紅茶を嗜んでいる。
目の前に座る男性は婚約者のギブル。
ギブルは紅茶を一口飲むと、カップを置く。
「ミレーナ。
この紅茶、美味しいな。
以前とても美味しい紅茶を頂いたんだ。
それから紅茶に嵌まっているんだよ。
あの茶葉はなんという名前だったか?」
「特別に取り寄せたものですので。
御口に合えば幸いです。
ちなみにギブル様は誰から紅茶を頂いたのですか?
是非ともその方から直接、茶葉について聞いてみようかと思うのですが。」
「わざわざミレーナがそんなことする必要もないだろう。
今度聞いてくるさ。
そう言えば今度の―」
ギブルはそれとなく話を逸らす。
ギブルの行動をミレーナは内心嘲笑った。
(知ってますわよギブル様。
その紅茶、浮気相手から頂いたんですよね。
ちょうど2週間前だったかしら。
このまま話すとボロが出そうだから話題を変えたのでしょう?
単純なお人。)
ギブルは浮気をしている。
ミレーナはそれに気が付き、すぐに相手が誰かを調査した。
結論から言うと、結果は最悪だった。
(それにしてもギブル様の浮気相手があの公爵令嬢であらせられるルー様だったなんて。
私はもちろん、ギブル様より位の高いお方、ギブル様は一体どこで知り合ったのでしょうか?
まぁ、いまさらそんなこと気にしても仕方がないわ。
それより問題なのは、ルー様があらゆる面で私よりスペックが高いこと。
これが大問題よ。)
ミレーナはルーについて出来る限りの調査を行った。
そこで分かったのはルーが聖人と謳われるほどの素晴らしい性格の持ち主だということだ。
毎朝、教会で祈りを捧げ、貧困街の恵まれない子供を孤児院で保護し、資金を提供している。
家柄に捕らわれない平等な態度とその美しい容姿からルーは'女神様’と呼ばれいるらしい。
家柄、性格、認めたくはないが見た目まで、客観的にみてミレーナは勝ち目がない。
(一度、直接会う必要がありますわね)
◇◇
「あなたがミレーナ様ですわね。
はじめまして、ルーと申します。
お見知りおきを」
「様など付けないでください。
ミレーナとお呼びいただいて大丈夫ですルー様。」
「あら?それでは不公平ですわ。
なら私のこともルーとお呼びください、ミレーナ」
「…わかりました、ルー」
「フフフ、同世代のお友達が出来て私嬉しいです」
ミレーナは自分の人脈をフル活用してルーとのお茶会を約束した。
今いるのはルーの家が所有する森に建つ一軒の別荘である。
森の中を散策しながら、ルーとミレーナはギブルについて話し合っていた。
「見てくださいミレーナ!
綺麗な泉でしょう?
私ここが大好きなんです。」
「ええ、とても綺麗です。
…ルー、私とギブル様の関係はご存知でしょう?」
「ええ。
私もギブルとの関係を持ってからそのことを知りました。
私っていけない女ですね。
婚約者がいる男性を好きになるなんて。」
ここでミレーナは違和感を覚える。
(ルーと会話するのは初めてだけど、何かしらこの違和感。
何だか途轍もなく嫌悪感が。
でもどうして?)
「ミレーナにも迷惑をかけて。
私ってなんて罪な女。」
(これってもしかして?)
「そう思いませんかミレーナ!?
私はまるで物語に出てくるお姫様の様!!
ああ、どうして神様は私にこんな悲劇ばかり与えるのかしら。」
(なるほど。
ルーは自分が大好きなんですね。
だから婚約者によって引き裂かれる可哀そうな自分を見たくて私の婚約者に狙いを定めたと。
なるほど、なるほど。
ムカつくな、この女)
「え?」
ボッチャン!!
ミレーナはムカついた衝動に従って、ルーを泉に落とした。
女性。
年齢20歳。
ミレーナは屋敷の庭で紅茶を嗜んでいる。
目の前に座る男性は婚約者のギブル。
ギブルは紅茶を一口飲むと、カップを置く。
「ミレーナ。
この紅茶、美味しいな。
以前とても美味しい紅茶を頂いたんだ。
それから紅茶に嵌まっているんだよ。
あの茶葉はなんという名前だったか?」
「特別に取り寄せたものですので。
御口に合えば幸いです。
ちなみにギブル様は誰から紅茶を頂いたのですか?
是非ともその方から直接、茶葉について聞いてみようかと思うのですが。」
「わざわざミレーナがそんなことする必要もないだろう。
今度聞いてくるさ。
そう言えば今度の―」
ギブルはそれとなく話を逸らす。
ギブルの行動をミレーナは内心嘲笑った。
(知ってますわよギブル様。
その紅茶、浮気相手から頂いたんですよね。
ちょうど2週間前だったかしら。
このまま話すとボロが出そうだから話題を変えたのでしょう?
単純なお人。)
ギブルは浮気をしている。
ミレーナはそれに気が付き、すぐに相手が誰かを調査した。
結論から言うと、結果は最悪だった。
(それにしてもギブル様の浮気相手があの公爵令嬢であらせられるルー様だったなんて。
私はもちろん、ギブル様より位の高いお方、ギブル様は一体どこで知り合ったのでしょうか?
まぁ、いまさらそんなこと気にしても仕方がないわ。
それより問題なのは、ルー様があらゆる面で私よりスペックが高いこと。
これが大問題よ。)
ミレーナはルーについて出来る限りの調査を行った。
そこで分かったのはルーが聖人と謳われるほどの素晴らしい性格の持ち主だということだ。
毎朝、教会で祈りを捧げ、貧困街の恵まれない子供を孤児院で保護し、資金を提供している。
家柄に捕らわれない平等な態度とその美しい容姿からルーは'女神様’と呼ばれいるらしい。
家柄、性格、認めたくはないが見た目まで、客観的にみてミレーナは勝ち目がない。
(一度、直接会う必要がありますわね)
◇◇
「あなたがミレーナ様ですわね。
はじめまして、ルーと申します。
お見知りおきを」
「様など付けないでください。
ミレーナとお呼びいただいて大丈夫ですルー様。」
「あら?それでは不公平ですわ。
なら私のこともルーとお呼びください、ミレーナ」
「…わかりました、ルー」
「フフフ、同世代のお友達が出来て私嬉しいです」
ミレーナは自分の人脈をフル活用してルーとのお茶会を約束した。
今いるのはルーの家が所有する森に建つ一軒の別荘である。
森の中を散策しながら、ルーとミレーナはギブルについて話し合っていた。
「見てくださいミレーナ!
綺麗な泉でしょう?
私ここが大好きなんです。」
「ええ、とても綺麗です。
…ルー、私とギブル様の関係はご存知でしょう?」
「ええ。
私もギブルとの関係を持ってからそのことを知りました。
私っていけない女ですね。
婚約者がいる男性を好きになるなんて。」
ここでミレーナは違和感を覚える。
(ルーと会話するのは初めてだけど、何かしらこの違和感。
何だか途轍もなく嫌悪感が。
でもどうして?)
「ミレーナにも迷惑をかけて。
私ってなんて罪な女。」
(これってもしかして?)
「そう思いませんかミレーナ!?
私はまるで物語に出てくるお姫様の様!!
ああ、どうして神様は私にこんな悲劇ばかり与えるのかしら。」
(なるほど。
ルーは自分が大好きなんですね。
だから婚約者によって引き裂かれる可哀そうな自分を見たくて私の婚約者に狙いを定めたと。
なるほど、なるほど。
ムカつくな、この女)
「え?」
ボッチャン!!
ミレーナはムカついた衝動に従って、ルーを泉に落とした。
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