【R-18】僕の回復魔法はちょっとおかしい

京月

文字の大きさ
11 / 13

第十話

しおりを挟む
「アラン、患者さんだ」


「分かりました、お入りください」


「失礼します」


 入ってきたのは白い髪に赤い瞳をした美人だった。


「初めまして、名前を聞いてもよろしいですか?」


「ゼーラと言います。C級冒険者です」


「僕はアランと言います」


「ええ、存じております。とても素晴らしい方だとか」


 ほくそ笑むゼーラさん

 その目はまるで獲物を狙う肉食動物のようだ。


「そ、そうですか」


「アラン先生の噂はかなり広まってるのですよ、それこそこの国だけにとどまらず隣の獣人の国にまで」


「そんなにですか!?因みにどんな噂が…?」


「そうですね…凄腕の回復魔導士がギルドの診療所にいるっていう噂です」


「恐縮です」


「アラン先生に見合った噂だと思いますよ」


「ありがとうございます、それで今日は治療という事でよろしいのですか?」


「はい、実はここを怪我してしまいまして」


 ゼーラさんはそういうと髪をかき上げ自分の首筋を見せてくる。そこにはかなりの腫れが存在していた


「これは腫れ蛇に噛まれたんですか?」


「さすがアラン先生、おっしゃる通り腫れ蛇に噛まれてしまって腫れが引かないのです」


「なるほど、でも腫れ蛇はここら辺にはいませんよね。もしかしてゼーラさんは冒険者ギルドの別の支部から来たんですか?」


「先生は探偵ですか?その通り私はいつもは別の支部で冒険者として働いています。ちょっとした用事があってこっちに来たのですが途中でこの通り噛まれてしまって」


「そうだったんですか、それは災難でしたね。このくらいの腫れならすぐに治せますので安心して下さい」


「ありがとうございます。では早速お願いします」


「はい、『ヒール』」


「あっ!!ああああああ!!」


 ゼーラさんは反射的に首をすくめるように反応する。


「ゼーラさん、大丈夫ですか?」


「ええ…はぁ…はぁ…大丈夫です…ちなみにアラン先生」


「私…首筋か…性感帯なんです…ふふ」


 それを聞いた途端身もだえするゼーラさんに意識が集中してしまう


「あっ…あっ…あっ…はぁ…ああん」


「ゼ、ゼーラさん…もう少し声を抑えられませんか?」


「ふふ、そうしたいのですが、どうしても感じてしまって…!」


 これではダメだ、早めに治療を済ませなければ。


 僕は回復魔法の魔力を増やす。


「ああっ…先生…そんな急に…ダメ…ああああああああ!!」


「ゼーラさん、治療は終わりましたよ」


「もう先生…激しすぎ…ですよ」

 
 ゼーラさんが息を上げてる姿がとても魅力的に見える。


「じゃあ先生、私なりのお礼をしたいので今日ここに来て下さい」


 渡されのは宿屋の名前が書いてある紙だった。


「先生、待ってますよ」


 そう言い残すとゼーラさんは診療所を後にした。

 意志を強く持てばこの誘いを断れただろう。そう意志が強ければ…


 コンコン


「先生、待ってましたよ。ふふ、さあどうぞ中に」


 この日二人が部屋から出ることはなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「聞いたか隣の支部の回復魔導士の話」


「聞いた聞いた!なんでもものすごく気持ちが良いそうじゃないか」


「たまらないね、今度行きたいくらいだよ」


「そういえばゼーラの奴を最近見ないね」


「あんた知らないのかい?ゼーラは今隣の支部に向かってるよ」


「本当かい?」


「ああ、この前腫れ蛇に噛まれたから治療をしに行くって言ってそのまま」


「腫れ蛇くらいここの診療所でも治せるだろ!」


「そんなに行きたかったてことだね」


「あいつ、かなりの肉食系だしな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...