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「――もう少し広いとこに引っ越そっかな」
「え?」
先輩との三回たて続けのセックスを終え、中で出されたばかりの精液をおまんこから垂れ流しながらベッドの上でぐったりしている僕に、何の気ない調子で黒木先輩はそう話しかけてきた。
「親が持ってるマンションでもう少し広い所があるんだよ。そこをもらえないか、親に話してみようかと思って」
「……」
セックスの余韻からまだ醒めない中、僕はぼんやりとその黒木先輩の話を聞いていた。
先輩はこの春に大学を卒業し、社会人となった。といっても就職活動などろくにおこなっておらず、親が経営する企業の系列会社に役員候補として迎えられたということで、新入社員ながら給料もかなりもらっているらしい。
正直、格差社会の現実を目の当たりにする思いだ。もっとも、その格差社会の勝ち組に愛人として囲われている身としては、そうした社会の枠組みをいちがいには否定することもできないのだけれど……。
「俺も社会人になったわけだし、そろそろ結婚しようと思ってさ」
「えっ……!?」
黒木先輩のその言葉に、僕はびっくりしてベッドの上に跳ね起きた。ただの引っ越しならこれまでと同じ同棲生活が続くと思ったのだけれど、先輩が結婚するとなるとそうはいかない。
僕はとうとう黒木先輩のもとから追い出され、身寄りのない女として路頭に迷うことになる……。
そんな絶望に襲われ、身体が震えだしそうになる僕を見て黒木先輩は逆に驚いた顔をし、「ああ、違う違う」と言って顔の前で手を振った。
「誰か別の女とするわけじゃないよ。ケイちゃんと結婚しようと思って」
「え……?」
もう一度。今度こそ僕は心底びっくりして裸のままベッドの上に固まった。頭の中が真っ白になり、何をどうしたらいいかわからない。
そんな僕に黒木先輩はやさしく笑いかけると、なおも続けて言った。
「ていうか、こんだけ毎日セックスしてるんだから普通そう思わない? 俺も色んな女とセックスしてきたけど、ケイちゃんの身体が一番みたいだ。そろそろ避妊すんのやめてケイちゃんに種付けしてみたいって、そういう気分になっちゃったんだよ」
爽やかな笑顔で、僕のおっぱいとおまんこを交互に見つめながら、もう決まったことだからというように黒木先輩は言った。
色んな女とセックスしてきたけど僕の身体が一番。そろそろ避妊するのをやめて僕に種付けしたい。……プロポーズの言葉としてこれ以上ゲスなものがかつてあっただろうか。
この五年間、黒木先輩がどんな思いで僕と向き合ってきたのかがよくわかる。これから僕と二人でどんな関係をつくっていきたいかということも……。
ただ、そんなことは僕にとってどうでもよかった。
戸籍上は失踪者扱いの僕とどうやって結婚するつもりなのだろうかという疑問はある……けれど、問題はそんなところにあるわけではない。
五年間、先輩と一緒に暮らしてきて、毎日セックスしてきた。傍目から見ればラブラブな同棲生活を送ってきたと言えるだろう。
だが僕は、女として黒木先輩と結婚したいと思ったことはない。そうなる可能性を考えたことさえ、一度もないのだ。
「……」
黒木先輩にいじめられていた頃の記憶と、この部屋で毎日先輩とセックスして過ごした日々の思い出とがごちゃまぜになって僕の意識を埋め尽くした。
理不尽に暴力をふるわれた屈辱と痛み、快楽のあえぎと中出しされたときの絶頂感が交互に僕の心と身体に蘇り、僕はもうどうしたらいいかわからなくなった。
やがて僕は泣き出した。そんな僕をどう思ったのか、黒木先輩はベッドにあがり、裸のまま泣いている僕をやさしく抱きしめた。
先輩が口にしようとしている言葉がわかった。その言葉をかけられたとき、僕の口がどんな答えを返すかということも。
けれども、ぐちゃぐちゃの頭で何も考えられないまま、僕は先輩がその言葉を口にするのを待った。
「ね、ケイちゃん。俺と結婚しよ?」
「……はい。結婚します」
僕のその言葉を待っていたかのように黒木先輩は僕をベッドに横たえ、いつものように僕の膣内に入り込んできた。
「あ……ああん……♡」
プロポーズの高ぶりからだろうか、いつもよりも激しくガッつくように僕の身体を貪る黒木先輩を感じるうち、いきなりプロポーズされた戸惑いや、先輩と結婚することになったという事実さえ、すぐに僕の中から消え失せた。
その代わり、僕の頭の中は、そろそろ避妊するのをやめて僕に種付けしたいという先輩の言葉でいっぱいになった。
これだけ毎日中出しセックスしているのだから、避妊をやめたら僕はたちまち妊娠するだろう。
そうすれば僕は黒木先輩の子供を身籠ることになる。かつて僕を執拗にいじめ抜いた、顔を見るのも嫌だった先輩との子供を……。
「あんっ♡ あんっ♡ 気持ちいいっ♡ 気持ちいいよぉっ♡♡♡」
その事実が僕の身体にもたらしたのは、先輩とのセックスの快楽を何倍にも何十倍にもする、救いようのない媚薬だった。
お腹の内側までも先輩に犯され、子種を植えつけられてこの身体を蝕まれてゆく……そのことを思うと僕のおまんこはまるで飢餓を覚えたように先輩の中出しを求めるのだった。
僕はこれからもこの人の慰み者にされ、欲望を流し込まれるだけのメスとして生きていくのだと思った。そう思いながら先輩とするセックスは、なぜだろう、こんな頭がおかしくなるほど気持ちいい――
「出してっ♡ 中に出してっ♡ 早くっ♡ 早くわたしを妊娠させてぇっ♡♡♡」
僕を組み伏せ、満足気な笑みを浮かべて激しく腰を打ちつけてくる先輩の顔を見上げながら、僕はだらしなくよだれを垂らし、快楽の涙を流した。
両脚をきつく先輩の腰に巻きつけ、その頭をかき抱いて全身でしがみつきながら僕は、大嫌いな男の精液が自分の膣内に吐き出されるのを待った。
了
「え?」
先輩との三回たて続けのセックスを終え、中で出されたばかりの精液をおまんこから垂れ流しながらベッドの上でぐったりしている僕に、何の気ない調子で黒木先輩はそう話しかけてきた。
「親が持ってるマンションでもう少し広い所があるんだよ。そこをもらえないか、親に話してみようかと思って」
「……」
セックスの余韻からまだ醒めない中、僕はぼんやりとその黒木先輩の話を聞いていた。
先輩はこの春に大学を卒業し、社会人となった。といっても就職活動などろくにおこなっておらず、親が経営する企業の系列会社に役員候補として迎えられたということで、新入社員ながら給料もかなりもらっているらしい。
正直、格差社会の現実を目の当たりにする思いだ。もっとも、その格差社会の勝ち組に愛人として囲われている身としては、そうした社会の枠組みをいちがいには否定することもできないのだけれど……。
「俺も社会人になったわけだし、そろそろ結婚しようと思ってさ」
「えっ……!?」
黒木先輩のその言葉に、僕はびっくりしてベッドの上に跳ね起きた。ただの引っ越しならこれまでと同じ同棲生活が続くと思ったのだけれど、先輩が結婚するとなるとそうはいかない。
僕はとうとう黒木先輩のもとから追い出され、身寄りのない女として路頭に迷うことになる……。
そんな絶望に襲われ、身体が震えだしそうになる僕を見て黒木先輩は逆に驚いた顔をし、「ああ、違う違う」と言って顔の前で手を振った。
「誰か別の女とするわけじゃないよ。ケイちゃんと結婚しようと思って」
「え……?」
もう一度。今度こそ僕は心底びっくりして裸のままベッドの上に固まった。頭の中が真っ白になり、何をどうしたらいいかわからない。
そんな僕に黒木先輩はやさしく笑いかけると、なおも続けて言った。
「ていうか、こんだけ毎日セックスしてるんだから普通そう思わない? 俺も色んな女とセックスしてきたけど、ケイちゃんの身体が一番みたいだ。そろそろ避妊すんのやめてケイちゃんに種付けしてみたいって、そういう気分になっちゃったんだよ」
爽やかな笑顔で、僕のおっぱいとおまんこを交互に見つめながら、もう決まったことだからというように黒木先輩は言った。
色んな女とセックスしてきたけど僕の身体が一番。そろそろ避妊するのをやめて僕に種付けしたい。……プロポーズの言葉としてこれ以上ゲスなものがかつてあっただろうか。
この五年間、黒木先輩がどんな思いで僕と向き合ってきたのかがよくわかる。これから僕と二人でどんな関係をつくっていきたいかということも……。
ただ、そんなことは僕にとってどうでもよかった。
戸籍上は失踪者扱いの僕とどうやって結婚するつもりなのだろうかという疑問はある……けれど、問題はそんなところにあるわけではない。
五年間、先輩と一緒に暮らしてきて、毎日セックスしてきた。傍目から見ればラブラブな同棲生活を送ってきたと言えるだろう。
だが僕は、女として黒木先輩と結婚したいと思ったことはない。そうなる可能性を考えたことさえ、一度もないのだ。
「……」
黒木先輩にいじめられていた頃の記憶と、この部屋で毎日先輩とセックスして過ごした日々の思い出とがごちゃまぜになって僕の意識を埋め尽くした。
理不尽に暴力をふるわれた屈辱と痛み、快楽のあえぎと中出しされたときの絶頂感が交互に僕の心と身体に蘇り、僕はもうどうしたらいいかわからなくなった。
やがて僕は泣き出した。そんな僕をどう思ったのか、黒木先輩はベッドにあがり、裸のまま泣いている僕をやさしく抱きしめた。
先輩が口にしようとしている言葉がわかった。その言葉をかけられたとき、僕の口がどんな答えを返すかということも。
けれども、ぐちゃぐちゃの頭で何も考えられないまま、僕は先輩がその言葉を口にするのを待った。
「ね、ケイちゃん。俺と結婚しよ?」
「……はい。結婚します」
僕のその言葉を待っていたかのように黒木先輩は僕をベッドに横たえ、いつものように僕の膣内に入り込んできた。
「あ……ああん……♡」
プロポーズの高ぶりからだろうか、いつもよりも激しくガッつくように僕の身体を貪る黒木先輩を感じるうち、いきなりプロポーズされた戸惑いや、先輩と結婚することになったという事実さえ、すぐに僕の中から消え失せた。
その代わり、僕の頭の中は、そろそろ避妊するのをやめて僕に種付けしたいという先輩の言葉でいっぱいになった。
これだけ毎日中出しセックスしているのだから、避妊をやめたら僕はたちまち妊娠するだろう。
そうすれば僕は黒木先輩の子供を身籠ることになる。かつて僕を執拗にいじめ抜いた、顔を見るのも嫌だった先輩との子供を……。
「あんっ♡ あんっ♡ 気持ちいいっ♡ 気持ちいいよぉっ♡♡♡」
その事実が僕の身体にもたらしたのは、先輩とのセックスの快楽を何倍にも何十倍にもする、救いようのない媚薬だった。
お腹の内側までも先輩に犯され、子種を植えつけられてこの身体を蝕まれてゆく……そのことを思うと僕のおまんこはまるで飢餓を覚えたように先輩の中出しを求めるのだった。
僕はこれからもこの人の慰み者にされ、欲望を流し込まれるだけのメスとして生きていくのだと思った。そう思いながら先輩とするセックスは、なぜだろう、こんな頭がおかしくなるほど気持ちいい――
「出してっ♡ 中に出してっ♡ 早くっ♡ 早くわたしを妊娠させてぇっ♡♡♡」
僕を組み伏せ、満足気な笑みを浮かべて激しく腰を打ちつけてくる先輩の顔を見上げながら、僕はだらしなくよだれを垂らし、快楽の涙を流した。
両脚をきつく先輩の腰に巻きつけ、その頭をかき抱いて全身でしがみつきながら僕は、大嫌いな男の精液が自分の膣内に吐き出されるのを待った。
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