侯爵家の清純美少女?いいえ、腹黒ドS大魔王ですが何か?

阿華羽

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20聞き分けなさいよ! ーバイオレットー

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 全く持って気分が悪いわ。

 先程、突撃して来たカイル殿下に、半ば無理やり部屋から連れ出された。
 そして、何度か城内の廊下を曲がり、目的の部屋にたどり着いたのが今だ。

 しかも、私達の後ろには側妃母娘が一緒。
 まぁ、理由は、殿下が「どうせなら一緒に行きましょう!義母子おやこですから!」と、引っ張って来たのが原因だ。

 そう言えば…さっき、ミランダ妃は自国の王と、トーラス国王が何やら得策してる様な話をしてたわね……。
 しかも、その事実をミランダ妃が何故知っているのか。

 あらあら?

 ふふっ……この状態って、もしかしたら「面白い」かもしれないわね。

「父上、失礼します」

 ふと「ある考え」が頭を過ぎる中、部屋の扉が侍従により開けられ、中へと促された。

 部屋の広さはそこそこあり、真ん中に豪奢な長机と、並べられた椅子がある。
 そして、奥に扉があるのを見るに、二間続きの部屋なのだろう。
 中では上座に国王陛下が座り、その近くに正妃様と宰相らしき人物がいた。

「失礼致します」

 理由はどうあれ、国王の御前。
 私は優雅に腰を折り、淑女の礼をとった。

 そして、そのまま着席を促され、私達は席に着いた。
 勿論、殿下は私の隣をガッチリキープしている。
 その様子に、正妃様は嬉しそうだ。

<………ウザいったらないわね>

 そんな中、最初に口を開いたのは、国王陛下だった。

「うむ、バイオレット嬢、此度の事、ここにいる我が正妃に報告は受けた……。して、君は「どうしたら良い」と思うかね?ここには「皆が揃っている」。君の意見を聞きたくてね?」

<………ふふっ、あらやだ>

 私は思わず笑みを漏らした。
 その笑みは、きっと父譲りのもの。
 きっと、とてもな笑みなんでしょうね?
 現にこの部屋にいる皆の顔が微かに赤らんでいるもの。

 ただ一人を除いては…だけど。

 その人物………国王陛下は、私の笑みに、逆に「ニヤリ」と不適な微笑みを返してきた。

 あらあら。
 此方の陛下、トーラス国王に負けず劣らずね。
 ふふっ。そうね……まず、初めにキッチリ言っておかないと…ね?

「……え?」

 そんな中、正妃様が「何か」悟ったのだろう。
 陛下と私を交互に見ると、若干焦った表情になった。

 まぁ、知った事じゃないわね。

「失礼ながら陛下、発言を宜しいですか?」
「ああ、「」言いなさい」

 私がにこやかに問うと、陛下は快く了承してくれた。

 うん、言質はとった。

 ……では。

「大変申し訳ないのですが、今回の殿下からの婚約のお申し出、お受けする訳にはまいりません!」

 えぇ、キッパリ言ってのけましたよ?

 その瞬間、カイル殿下がガタリと椅子から立ち上がった。
 正妃様など、顔を真っ赤にし、怒りを露わにしている。

「なっ、何を言っているんだ!バイオレット嬢、君は私が好きなんだろ?今まで国や身分を気にして素直になれなかっただけだろ?心配しなくても、正妃である母から了承は得ている!自分の気持ちを隠す事はないのだぞ!」

「そっ…そうよ。まったく、皆を困らせないでちょうだい?貴女が息子を好いているのは知っているのよ?」

 あら?息子が馬鹿なのは置いといても、正妃様はやはり私の気持ちを知ってたのね?
 無理やり感が出てるわ。

 思わず、失礼ながら溜息が出た。

「まったく、呆れましたわ。何度も申し上げてましたでしょ?私は殿下を好いてはおりません!」
「なっ、何だと!」
「いい加減にしてくださいませ!」
「バイオレット嬢!素直になれ!」
「何度も言いましたでしょ?私には好いた方がおりますと!」
「それは私だろ!」

 話が通じない!

 陛下と側妃様母娘は既に呆れ顔じゃない!

 あーーーーーもぉ!

「殿下の頭は、綿か藁でも詰まっておいでですか?それに、私の意見も聞かず、何を勝手に婚約など!それと、それを勝手に了承した正妃様も、息子可愛さか、我が家の名前目当てか存じませんが、大迷惑ですわ!」

 今日一の大声で言い放ってやった。

 そう。

 殿下にはキッパリ断るために。
 正妃様には「意味」を込めて。
 そして、陛下が「動きやすい様」に。

「ふっ、ははははは!」

 その瞬間、陛下から大きな笑いが起こった。

「ふふっ……誠、其方は面白い。流石は「あの男」の娘よの?息子も大概とは聞いてはいたが、まさか娘までとは。……そちら姉弟は皆その様な性格をしておるのか?……ぶふっ!」

 あら?
 どうやら陛下の琴線に触れたらしい。
 どこで共感したのかしら?

「のぉ?宰相」
「ふふっ……はい。誠に」

 何だか宰相閣下まで共感してるわ。
 まぁ、否定はしないけど…。

 そして、一頻り笑った陛下は、若干涙目になりながら、私に笑みを向けた。
 隣の正妃様は怯えた表情になっている。

「聡いそちの事だ、此度の事の真相に気付いたようだな…。だが、まずワシから其方に謝らなくてはな。バイオレット嬢、今回の件、誠、手を煩わせた。此れらを放置したワシにも原因はある。すまなかった」

<王が易々と頭を下げるなんて…>

 本来ならばあってはならない事に、宰相閣下の表情も冴えない。
 まぁ、自国の王が他国の人間に頭を下げたのだから当たり前ね。

 私は、苦笑すると、陛下に深く頭を下げ、笑顔を向けた。

「いいえ、確かに手を煩わしましたが、これで陛下の憂いは晴れますでしよ?」

 私のその様子に、陛下も笑顔を返す。

「すまぬ。そう言って貰えると助かる」
「…それに」
「……ん?」

 思わず、黒い笑みになる私。

「将来、王位に着くエリオット様の憂いも晴れ、同時に夫となる弟の憂いも晴れますしね?」

 そう、全ては自分達のためですもの。
 そんな私に、陛下は困った様に溜息をついた。だか、どこか楽しそうだ。

「まったく…正妃も息子共も、嫌な家に手を出したものだ…。そう思わぬか?」

 そして、首を奥の扉へと向ける。

「待たせてすまぬな、入られよ」

 そして扉が開き、入って来た人物達に、陛下と宰相以外の全員が驚く事となった。

 奥の部屋から出て来た人物。

 それは。

「ダリス様、シルビアも!」
「あ、兄上!」
「ルドニーク!」

 そこにいたのは、私の婚約者にして、王弟殿下である「ダリス=トーラス」様とウチの弟だった。
 おまけで、この国の王太子までいる。

 我が家と同じ特徴である、サイドに流した長い銀の髪に大きな赤い瞳の美丈夫。
 私の愛しの方。

「バイオレット、久しぶりだね?」

 手紙でのやり取りはしていたが、やはり直接会うのとは違う。
 留学を決めたのが自分とは言え、やはり寂しかった事に変わりはない。

「姉上、ダリス様。見つめ合うのも結構ですが、話を進めませんか?」

 そんな中、弟から呆れた声が掛かった。

 あら、忘れてたわ。
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