侯爵家の清純美少女?いいえ、腹黒ドS大魔王ですが何か?

阿華羽

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24勘違いされました!

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 ホール中央に向かった私とエマリア様。
 それに気づいた王族貴族達が、サッと割れて行く。
 おかげで、ダンスを踊る男女達のど真ん中が空き、見せ物の様な状態になってしまった。

「何だか……目立ってしまいましたね」

「クスリ」とハニカミながら、姿勢を正すエマリア様。

「仕方ありませんね」

 天然か?
 今日の主役の貴女が踊るのだから、当たり前だろうに。
 しかも彼女は、今日まだ誰とも踊ってはいないはず。

 それに相手が「私」だ。
 この国の王侯貴族が「殆ど知らない人間」。
 しかも、外見がとにかく目立つ。

「では、姫」
「はい。お願い致します」

 彼女の手を取り、流れる音楽に合わせ足を踏み出す。

 その瞬間、会場内から騒めきと、感嘆の声があがった。

ーーーあの方は誰かしら?
ーーー女性が姫のお相手とは!
ーーーなんてお似合いなのかしら。
ーーーもしかして、エマリア様の?

 あー。
 これ、あんまり「宜しくない」かもしれないな。
 女と間違われるのは百歩譲って良しとしよう。
 たが、嫌な勘ぐりをされるのは……な。

 だが、私の目の前のお姫様は、気にもせずニコニコと上機嫌だった。
 そして、柔らかい笑顔の合間、不適に微笑んだ。

「周りの者達の事は。………それより、シルビア様はダンスがお上手ですね?」

 前言撤回だな。

「貴族にとって、ダンスも武器になりますからね。踊れないでは話にならないですよ」

 やはり、「アノ」父親にして、此の娘か…。



 そして、式典が終わると、翌日の朝、私達は帰国の帰路についた。

 だが。

 私の「嫌な予感」は現実になっていたのだった。


*****


「シルビア、お前に話がある」

 騒動も収まり、私とダリス様は、姉を残し帰国した。
 そして、家で安眠できるようになり数日が過ぎた日の朝。

 朝食の席に着くなり、父から声が掛かった。
 よく見ると、父の隣に座る母の機嫌がかなり悪い。
 真ん中の姉である「ランシェ」など、私の顔すら見ない。

「何かあったんですか?」

 こういう時は、嫌な事が確実に降って来る。
 私は怪訝そうな表情を父に向けた。

「単刀直入に聞くぞ?」
「はい?」

 何だと言うのか。
 何時もの父らしからぬ態度に、小首を傾げる。

「お前、エルドラント国のエマリア様と「親い間柄」になってはいないだろうな?」

 ん?
 なにそれ…。

「正直におっしゃい。シルビィ?貴方エリーちゃんがいながら浮気したの?」

 は…母上が超怖い。

「は?………仰っている意味が分かりかねますが?」

 この万年新婚婦は何を言っとるんだ!

「あぁ……本当に情けないわ」
「……我が息子ながらやれやれだな」

 私は口の側を引きつらせ、思わず持っていたカトラリーをガシャンと落とした。

「行儀が悪いぞ」
「シルビィ、食事は静かになさい?」

 いや、今そこ突っ込むトコですか?

「お父様、お母様……言葉で言うより、書簡を見せた方が早いですわ」

 そんな中、姉が不機嫌オーラ全開で口を開いた。
 そして、その言葉に頷いた父は、家令の「ランドルフ」から一通の書簡を受け取り、そのまま私に渡して来た。

「シルビア、これは昨日我が家に来たものだ。差出人はエルドラント国公爵家「ヘイドリア」からだ………先日正妃になったミランダ様の後見人だな」

 庶民と貴族が結婚する場合、庶民を何処かしらの貴族と養子縁組させる事は珍しくない。
 つまり、ヘイドリア家は、ミランダ妃の義理の親と言う事だ。

 だからって、その公爵が何故?

 私は父から書簡を受け取ると、中身を確認……している途中でハラリと落とした。

「な、なななな何ですか!コレは!」

 その中に書かれていたのは、エマリア様と私を一緒にさせてはどうか?と言う提案だった。
 ようは、二人を結婚させませんか?と言う事だ。

 何故そうなる!

 その時、地鳴りがしそうな怒りの声を出しながら母から声が掛かった。

「貴方、即位式でエマリア様と「仲良く」ダンスしたらしいわね?しかも彼女の相手を一番にしたそうじゃない……後、何だったかしら?ダンスの誘いは彼女からだったみたいだし?」

 ………確かに合ってるけど。

 いくら親でも、いや、親だからこそだ。

「母上!だからってオレがエリー以外を選ぶ訳がないでしょうが!」
「そんな事は知っています!」
「はぁ?だったら何で、こんなくだらない事でイチイチ目くじらを立てる必要があるのですか!」
「私が言いたいのは其処ではありません!」

 は?
 じゃあ何?

 ワナワナと拳を握る母。
 父は呆れ顔を逸らし、溜息をつく始末。
 姉は……黙って食事をしていた。

「……貴方の「爪の甘さ」に怒っているのです!」

 その言葉に、何を言わんとするか察する。

 ………うわぁー。
 ………これは、マズイやつだ。

「サフィール家の者ともあろう者が、何ですか!彼方に行くなら「それ相応」の「仕事」をしてらっしゃい!それでも私の息子ですか!」

 私の隣では、ランドルフが落とした書簡を拾い、封筒に納めている。

「貴方の爪が甘いから、至らぬ噂が立ち、余計な火種ができたのでしょうが!」
「………もっ、申し訳ございません」

 結局、私は母に頭を下げる他なかった。

「あの…この件、陛下とエリオット様は」
「既にご存知です!弁解は貴方一人がなさいね?エリーちゃんに愛想を尽かされる様なら家には入れませんからね!」

 母はエリオット様を実の娘の様に思っている。
 今回は、息子の私より彼女をとるのは「当たり前」と言ってよかった。
 父はもちろん母の味方だし、姉は個人的に私に呆れている。

 そう、今私に出来るのは。

「……今日、城に上がります。それと、お断りの書簡を出しておきますので、署名をお願いします」

 これしかなかった。
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