彼を取り戻すためにすべてを捧げ…なくても別に良い気がしてきた闇落ち令嬢は、美食家の悪魔と契約をする

hosiiimo

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レイン、悪魔と契約をする。

レインは、悪魔と怪しい契約をする③

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「なんかなんて、寂しいこと言わないで…。香ばしいパンケーキの匂いに…、美食家の血が騒いで…、ここまで来たんだ!!そうしたら、君みたいな素敵な子に会えた。そりゃ友達になりたくなるって決まってる!!」

両腕を広げる身振りは、全身でレインと会えた喜びを、示しているようだ。

「君は、今まで周りにいた奴らとたまたま合わなかっただけ。自分の価値を下げないで。こんな素敵なソースを作れる君は、もっと自分に自信をもつべきだ!!この素晴らしい才能。まさに至高の味わいだよ。君はもっと評価されるべき存在だ!!!そして、その才を充分に発揮してもらうためにも僕は、友達件『お世話係』として協力したいんだ!!!」

皿に残った苺ゲルを人差し指ですくうと、赤い舌を伸ばし見せつける様に口に含んで微笑む。

「…暴食も今や、量より質の時代。君のような子には立派なあんこ型に成長してほしい。その後押しをしたい、という純粋な欲求。界が違う君には理解しがたい感覚かも知れないが…、これは、僕のような存在にとってはいわばなのだよ」

そう言って彼は、熱を帯びた赤い瞳で、うっとりと、レインを見つめてきたので、すかさず切り返した。

「実は、秘蔵のマロンゲル、ハニーレモンゲル、それにとっておきのエエネルギードリンクゲルもあるんです」

(この美食家…、分かっている!!分かっているではないか!!!もしかして異界の方がわたしの理解者、多いのでは?)

『素晴らしい才能』『評価されるべき』というワードに、すっかりメロメロになってしまったのだ。そして、彼の言う『お世話係』とは、後援者?パトロンみたいな感じかな?っとするっと納得してしまった。

「ありがとう。あぁなんて、どれも素晴らしい。特にこれが良いね。このサワードリンク」

「あ…、それ!!カビ落としゲルでしたっ!!!ご、ごめんなさい!!」

「これも酸味が効いていて癖になるのど越しだよ」

「ええ⁉だ…、だだ……大丈夫なんですか?」

舞い上がり過ぎて、相手の命に関わるウッカリをしてしまった。飛沫が眼に入ってもいけないし、素手で触れてもいけないタイプのゲルなのに。

なのに、彼は全ておいしく。洗練された、美しいマナーで。

プティングを食すように。クリームを味わうように。スープを飲み干すように。シャンパンを楽しむように。

錆落としゲルも、油落としゲルも、除菌ゲルも、衣類漂白ゲルも。

レインは圧倒された。どうやら、異界の人は、かなり体が丈夫なようだ。味覚も感性もだいぶ違う。価値観や概念も。むしろ…、かなりかけ離れている。

理解者に出会えた喜びも、この美食家の評価と思えば……、なんだか有難みが、薄れてきてしまった。

(引け目も怪しさも無くなったけれど、異『界』の人って…、なんかすっごく変わってるなぁ。良い人みたいだけど……、こんなにも違っていてる相手と…、友達に…、なれるかな……。)
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