くしゃみの獣は夜明けを運ぶ

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33. まさかの再会

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 ある夜、ローディルは肌寒さを感じて夜中にふと目を覚ました。温もりを求め、若干寝ぼけながら熱源の元へと這う。温かいものにぐいぐい体を押しつけていると、呻き声が聞こえた。不思議に思いながら眠い目をこじ開けて確認すると、オルヴァルの顔だった。

(あれ…あ、そうか、俺オルヴァルのとこで寝てたのか)

 お気に入りの本に残されていた老父の遺書の内容を知って以来、記憶がおぼろげだった。いつの間にオルヴァルの部屋に戻り眠りについたのかもよく覚えていない。だが今は寒さのせいなのか、あの夜以降頭にかかっていた靄のようなものがなくなって、すっきりとしていた。
 老父の遺した言葉が、ずっと頭の中で浮かんでは消えていく。その状態で、日々どうやって過ごしていたのか、定かではなかった。だが、微かな記憶の中でも温もりは常に感じていた。
 オルヴァルの膝の上で眠ったり、アサドに抱っこしてもらったり、エミルに全身を撫でてもらった。せっかく与えてもらった仕事を放棄して、好き勝手にふらふらしているのに怒ることも何か言うこともなく、傍にいてくれている。

(皆が何も言わないからって、その優しさに甘えてちゃだめだよな。ちゃんとじいちゃんの死を受け入れて、前に進まないと。今の俺を見たら、じいちゃんきっと悲しむ)

 ローディルは自分に喝を入れるかのように、ぶるぶると頭を振った。老父の存在が恋しくて悲しみに呑まれてしまいそうになってしまう。今なお、老父の言葉は衝撃的で受け入れられない部分もある。
 自分と出会う前は死に場所を探していたこと、自分のあずかり知らぬところであのような細工を施していたこと。まるで彼が己の死を予期していて、自分のために何かを残そうとしてくれていたこと。そんな素振りは一切見せなかった彼に対する複雑な気持ちと、同時に何も考えず日々を過ごしていた自分への腹立たしさがあった。

(きっと、皆に心配かけたよな…。なのに温かく見守って、ずっと傍にいてくれた)

 申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、ローディルはオルヴァルの寝顔をじっと見つめた。彼の顔に頬擦りする。獣の心の中には、彼らへの感謝の気持ちでいっぱいだった。
 愛情表現のつもりで、ローディルはオルヴァルの顔を舐めた。刺激を感じたらしい男が小さく声を漏らすも、獣は無心でぺろぺろと舐めた。彼が身じろぎをしたことで、思わず唇を舐めてしまった。すると、見覚えのある閃光に包まれた。

(これ、もしかしてまた…!)

 目を焼く程の眩い光に耐え切れず、目を閉じ身構える。しばらくして目を開けると、見覚えのない場所にいた。だがローディルはこの感覚に覚えがあった。驚きはしたものの、前回のような困惑はなかった。
 自分の状況を確認する。首輪はなく、くしゃみもしていないのに人型の姿。またしても自分の姿や声は周囲の人間には認識できない。ここまでは前回と全く一緒の状況だ。しかし、居場所は屋内のようで、窓から見える空は明るい。

「オルヴァルはどこにいるんだろ」

 オルヴァルを探して、ローディルは廊下を歩いた。ラルツレルナの屋敷の廊下も広く大きいが、この場所のはそれよりも広く長かった。床には一面絨毯が敷かれ、天井には豪勢な照明がぶら下がっている。
 匂いで辿ろうと考えたが、この空間では自慢の嗅覚も全く働かなかった。何の匂いもしない。どうしようかなと思いながら角を曲がると、少年と女性の姿があった。少し長い銀髪を一つに結わえた、どこか見覚えのある姿に、ローディルは彼らの元へと駆け寄った。

「やっぱりイズイークだ!…前見た時より、少し大きくなってる」

 行く手に回りこんで顔を確認したローディルは、思わず歓声を上げた。一方的ではあるが知り合いに会えて嬉しかったのだ。
 彼らと並んで歩きながら、少年の隣にいる女性に視線を移す。イズイークと同じく艶やかな銀髪の長い髪を宝石のついた髪飾りで複雑に編みこんでいる。淡い青色のドレスを着て、胸元には大きな宝石であしらった首飾りを身についている。色が白く、頬がほんのり赤づき、性格がきつそうな印象を受けるが顔立ちはとても美しい。

「イズイークの母ちゃんかな…?」

 瞳の色が少年と同じ灰色だったことから、二人が血縁関係にあることはすぐに見て取れた。
 やがて廊下の先にあった扉の中へ入ると、廊下よりもずっと広い部屋に出た。あまりの大きさにローディルは驚きのあまり悲鳴じみた声を上げていた。シオネ村がすっぽりと入っていしまうのではないかと思う程の広さだったからだ。
 広間の両側には槍を持った重装備の兵士が等間隔で並び、天井からは廊下のものよりも数倍豪華で大きな照明がぶら下がっていた。広間の片側には段差があり、壇上には煌びやかな彫刻と装飾が施された肘掛け椅子が設置されていた。その傍らで立つ人物に、ローディルはあっと声を発した。

「オルヴァル!」

 弾んだ声と共にイズイークが走り出す。彼は迷うことなく一目散に弟の元へと向かった。突然彼に抱きしめられたオルヴァルは、戸惑いながらも挨拶を交わした。垣間見える表情から、嬉しさが見て取れる。
 兄弟の微笑ましい抱擁の後ろで、オルヴァルの母親であるネアリアがうろたえている。顔は緊張でこわばり、黒色の瞳は不安に揺れ、銀髪の女性の顔色を妙に気にしているように思えた。女性はネアリアからの視線を無視し、顔をしかめてイズイークを見つけた。

「イズイーク、何ですお行儀の悪い」
「申し訳ありません、母上。弟が今日も可愛かったものですから」
(あ、やっぱ母親なんだな)

 母親から厳しい声で注意を受けても、イズイークは全く気にしていないようだった。抱擁を解いても、嬉しそうに笑みを浮かべている。

「ダガット陛下とシシリハ様が参られます!」

 銀髪の女性はなおも何か言いたげだったが、一人の兵士の言葉に閉口した。弟の頭を撫でていた兄も、一瞬で表情を引き締め、母親に寄り添うように椅子の傍に控える。
 先程通ってきた扉から、体格の良い長身の男が入ってきた。白髪交じりの栗色の髪は短く刈りこまれ、輪郭を覆うように整えられた髭は完全に真っ白だ。強い意志を感じさせる瞳は黄みの濃い琥珀色で、頭の上には王冠を身に着けている。簡素な白いローブの上から深紅のガウンを羽織り、最高権力者である王だと誰の目にも明らかだった。

(この人が、オルヴァルの父親…メルバ国の王様…)

 王との距離が近づくと、母親と子供らは畏まった仕草で礼をした。それに軽く微笑んで頷きながら、ダガットは玉座に腰を下ろした。

「イズイーク、オルヴァル、近くに」

 父親に呼ばれた子供二人は父王に頭をそれぞれ撫でられ、にやけそうになるのを下唇を噛むことで懸命に耐えている様子だ。ダガットはオルヴァルの脇下に両手を差し込むと、自分の膝の上へと抱き上げた。

「おお、しばらく見ないうちに重くなったなあ、オルヴァル。熱心な読書家だと教育係から聞いているぞ。書庫にある書物を全て読破してしまう勢いに、司書が立つ瀬がないと困っていると。父としては誇らしいが、本の虫は時々休憩して外で遊ぶのも忘れずにな」
「はい、父上」

 ダガットは甘く優しい声音で囁きながら、息子の鼻先を指でくすぐった。くすぐったさに小さな笑い声をあげるオルヴァルは、父に褒められて心底嬉しそうだ。

「イズイークは武術の上達が目覚ましいそうだな。弓の腕も申し分ないと。共に狩りに行ける日も近いやも知れんなあ。後れを取らぬよう儂も精進せねば」
「実はそれを楽しみに頑張っているんです。早くご一緒したいです」

 胸を張って答える長男に、ダガットは嬉しそうに口角を吊り上げて彼の頭を撫でた。

(すげー仲良さそう。オルヴァルたちは父ちゃんのことを慕ってるし、王様も二人のこと大事に思ってるように感じる。確か前に、オルヴァルが自分は王都から追放されたって言ってた。王子のオルヴァルにそんなことできるなんて、王様以外に考えられなさそうなのに、何で?)

 仲睦まじい親子の様子に、ローディルは首を傾げる。まだ小さい第二王子を膝の上に乗せて嬉しそうに笑っている、目の前の優しそうな王様が追放を命じるようには思えなかった。

「オルヴァル王子、いつまで陛下の膝の上に座ってらっしゃるの?これから謁見なのですよ。幼いとは言え、わきまえなさい」
「あ…、も、申し訳ございません、ミティス様。オルヴァル、言われた通りになさい」

 不愉快だとばかりに美しい相貌を歪めるイズイークの母親に、隣に立っていたネアリアは途端に顔を青ざめさせた。満面の笑みを浮かべていたオルヴァルの顔が一瞬にして落胆の色を見せる。

「まあまあミティス、堅いことを言うな。久方ぶりに会うのだ、息子たちの成長を実感したい。もう少しこのままでいさせてくれ」
「陛下!それでは王としての威厳が…っ!」

 王に窘められても、ミティスの表情はきつくなるばかりだった。いくら美しいとは言っても、怒りに染まった顔はとても醜悪だ。

「大丈夫ですよ、ミティス様。我が子に少しばかり甘いからと言って、ダガット王の威厳は微塵も損なわれたりしません。謁見なさるギュンドアン様も寛大なお方ですので、気になさらないはずです」
「まあ失墜する程の威厳なぞ、元よりないがな」

 そう言ってダガットは豪快に声を上げて笑った。王以外で笑っているのはミティスを窘めた男だけだった。他の者は冗談なのか本気なのかわからず、反応に困っている。

「シシリハ様がそう仰るのでしたら…」

 第一王妃は、隣に立つ男を潤んだ瞳で上目遣いに見上げた。シシリハと呼ばれた男は微笑みを浮かべて小さく頷く。
 玉座のすぐ後ろに控えるその男は、中性的な顔立ちをしていた。淡い赤銅色の髪は肩で綺麗に切り揃えられ、垂れた目は鮮やかな緑色。とても優しげな風貌で男にしては細身だが、薄い唇から発せられる声は意外と低い。慈愛に満ちた表情から、温和そうだと印象を抱かせる。

「…全く、私に指摘されるまで粗相に気づかないなんて…。礼儀作法を勉強してこのザマですの?これだから下賤の者は」
「……申し訳、ございません…」

 王が兵士に謁見相手のギュンドアンを呼ぶよう伝える間、ミティスがネアリアに悪態をつき、彼女の背中をつねった。誰にも聞こえず、見られていなかったが、すぐ傍にいたローディルはその行為をしっかりと目撃していた。
 噴火を起こした火山のように、一瞬にして怒りで頭に血が昇る。

「イ、イズイークの母ちゃん、めっちゃ嫌な奴だ…!今の、オルヴァルの母ちゃんのせいなのかよ!父ちゃんがいいって言ってんだから、別にいいじゃん!」

 初対面ながら、ローディルは既にミティスのことが嫌いになった。唇を噛みながら痛みに耐え、辛いのを必死で押し殺す彼女を慰めたかった。しかし抱きしめてやろうとしても、自分の腕は彼女の体を通り過ぎてしまう。何もできずに見ていることしか出来ない事実に、ローディルもまた胸を痛めた。

「ギョルム・ギュンドアン様のお入りです!」

 兵士の掛け声とともに、巨大な両開きの扉が重々しい音を立てながら開く。ローディルは聞こえないと分かっていながらも、悲しみをこらえ気丈に振舞うネアリアに励ましの声をかけずにはいられなかった。
 だがふと、入ってきた人物を一瞥した瞬間、彼の目は驚きに見開かれた。

「じいちゃん…っ!?」

 そんな、まさか、嘘だ。そう呟いたつもりが、口から出てくるのは意味を成さない音だけだった。
 ローディルは思わず、走り出していた。段差を下り、現れた人物へと駆け寄る。目の錯覚だと思っていた。己の中の強い願望が見せる幻覚だと。
 しかし、幻覚でも他人の空似でもなく、青年の目の前にいるのは紛れもない老父だった。記憶の中にある彼よりも年が若い。

「じいちゃん!じいちゃん、俺だよ!ローディルだよ!」

 誰も自分の存在を認知できないと言うことも忘れて、ローディルは老父の前に立ち、必死で呼びかけた。目が燃えるように熱くなり、涙があふれる。触れようと必死で腕を突き出すも、老齢の男の体を貫通するだけ。

「陛下、このギョルム。命を受け、馳せ参じました」
「貴殿は既に第一線を退いているというのに、呼び立ててしまってすまないな」
「いいえ、この老いぼれの助言が必要と重用してくださるなど、身に余る光栄でございます。陛下の信頼を裏切らぬよう、誠心誠意努めて参る所存です」
「うむ、ゲルゴルグと貴殿の頭脳が合わされば、メルバはさらなる繁栄が望めると信じておる。期待しておるぞ」

 目の前で交わされるやり取りに、ローディルは言葉を失っていた。老父が自分に対して嘘をついていたことに気がついたからだ。
 青年が現王族について尋ねた時、彼は本に載っていないからわからないと答えた。しかし実際は知らないどころか、こうして関わりがあったのだ。

(じいちゃん、なんで知らないって嘘ついたんだ…?俺に会う前に死に場所を探してたって…もしかして王族となにか関係があるのか…?)

 ショックを受けると同時に困惑してしまう。溌溂とした養父の横顔を見つめ、立ち尽くすことしか出来ない。
 すると、目の前の景色が霞み始めた。現実に戻ってしまうことに気づき、ローディルは老父に向かって手を伸ばした。無情にもその手が届くことはなく、青年は眩い光の渦に飲みこまれた。
 再び目を開けると、元の場所へと戻ってきていた。獣姿だったはずが、いつの間にか人型で以前体験したのとまったく同じ状況だ。
 まさかの邂逅に現実に戻ってもなお、心臓が激しく鼓動している。手で裸の胸を押さえながら、傍らで眠るオルヴァルを見下ろす。

(じいちゃんが王家に仕えてたんなら、オルヴァルとも面識あるかも…。でも、何て聞けばいい?じいちゃんの名前も素性も何も知らないって言ったのに、突然質問したら絶対にびっくりする)

 俗世に疎いローディルだが、自分がオルヴァルの記憶を見て知っていることは言わない方がいいと思っていた。見たいと思って見ているわけではなく偶発的に起こったことなのだが、信じてもらえるかどうかわからないし、きっと気分のいいものではないだろう。

(…けど、気になる。どうしたらいいんだろ)

 今までなら、老父の過去など知りたいと思わなかった。大事なのは過去ではなく、自分の傍にいてくれる老父だからだ。けれど遺書で彼の本音に触れてからは、何があったのか知りたいと思うようになってしまった。
 どうすれば不審に思われずに聞けるだろうかと頭を悩ませたが、深夜ということもあり、すぐに眠気が襲ってきてしまった。

(また明日考えよ…)

 真っ裸にも関わらず座って考えていたせいで、体が冷えてしまっている。ローディルはぶるぶると身震いしながら温もりを求めて、いそいそとオルヴァルの腕の中に自分の体を収めたのだった。
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