ちっこい僕は不良の場野くんのどストライクらしい

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1章 始まりの高2編

僕のおばあちゃん

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 始業式が終わって放課後、僕たちは揃って生徒指導室に呼び出された。
 僕と啓吾と朔、りっくんと八千代に分かれてお説教を受けている。勿論、頭髪の件でだ。

「お前ら、仲良いのは良いけどな。揃いも揃って、はっちゃけすぎじゃないか?」

 僕たちは、担任の沢先生から指導を受けている。向こうは生徒指導の杉岡先生だ。心底、沢先生で良かったと思う。

「えっと、すみません。あの····」

「沢っち聞いてよ。休みの間だけって思って染めたんだけどさ、上手く戻んなかったんだよね。どうしたらいい?」

「沢先生な。なんでそれを俺に聞くんだよ。お前は戻んなかったって言うか色変わってんだろ。どうやったら金髪が赤になんだよ。武居なんか、休み前は黒だったじゃねぇか。······知らねぇけど、黒で染めたらいいんじゃないのか?」

「そんなスパンでやったら頭皮死んじゃうんだってぇ。染めたん一昨日だよ?他になんかいい案ない? あったらするんだけどなぁ~」

「大畠。お前な、それで誤魔化せると思ってんのか?」

「やっぱ無理かぁ」

「戻んなかったとか言ってるけど、それ店でやっただろ。綺麗に染まってるもんなぁ? それマジで自分でやったんなら、将来美容師になれよ。で、正直に言えよ? また瀬古のお兄さんのトコか」

「そうです。兄には俺から言っておきます。無駄だと思いますけど」

「まぁ、あのお兄さんだもんなぁ····。杉岡先生と1回行ったけど、あの杉岡先生が論破されてたわ」

「マジで? 満さんヤベェな」

「でだ、まぁお前らは色マシだから、注意に留めるけどな。あっちはネチネチ言われてんぞ」

 そう言って、沢先生は隣の指導室を指差した。確かに、あの色だし杉岡先生だし、面倒そうだ。

「ところで大畠と瀬古、俺からの本題はこっからな。お前らね、武居を巻き込むんじゃないよ。こんな事するタイプじゃなかっただろ。あのな、先生らの間でも注視されてんの。どういう事かわかるか?」

「は? 何それ」

「大畠。お前ね、先生に向かって『は?』って言うんじゃありません。あんな、場野に武居が感化されてんじゃないかってね。他4人も、武居を巻き込んで悪ささせてんじゃないかって心配されてんだよ。だから──」

「違います。僕が、僕の意思でやってる事です。皆の所為じゃありません。卑屈だったし、楽しい事も特になかったし、将来なんて考えられなかったけど、皆のおかげで前向きになれました」

「そうか。そりゃ良かったね。けど、だからって校則を無視して言い訳じゃないのは、わかるよな?」

「····はい。すみませんでした」

「まぁ、お前らのその頭だったら染め直せとまでは言わねぇけど、次色入れてきたら墨汁かけてでも黒くするからな。覚悟しとけよ」

「はーい····って、沢っち····墨汁は問題になるんじゃねぇ?」

「沢っちって呼ぶなつってんだろ。友達じゃないんだぞ。墨汁は覚悟しろって事な。はい、じゃぁ解散していいよ。あぁ大畠、お前は残れ。成績と進路の話もついでにしてこうや」

「えぇ~」

 
 僕と朔は、理科準備室で皆を待ちながらおやつを食べていた。

「これ、全部凜人さんが作ったの? 凄いね」

 朔が大量のマカロンをくれた。色んな味があって、美味しそうだし可愛い。可愛いマカロンを作っている凜人さんを想像したら、少し萌えてしまう。

「お前が来れねぇから、せめて渡してくれって言われた。また、ちょくちょく作るだろうから、良かったら食ってやってくれ」

「怪しい薬とか入ってねぇだろうな。あのクソ執事だぞ」

 僕が食べようとしたマカロンを、後ろから八千代がひょいと取り上げた。

「あっ····八千代、おかえり。お説教終わったんだ。思ってたより早かったね。ねぇ、マカロン返してよぉ」

「毒味だ」

 そう言って、八千代が食べてしまった。

「あぁ~! 僕のマカロン····」

「うめぇな。抹茶か。甘すぎねぇから食えるわ」

「メロンじゃなかったんだ。あ、りっくんと啓吾も居たんだ。食べる?」
 
「食う食う! てか、俺らずっと場野の後ろに居たよ。場野デカいから見えなかった? も~、気づいてくんないと寂しい~」

「はいはい。ごめんね、啓吾。はい、あーん」

「んぁー······ん、うっま! これ何味? わかんねぇけど美味っ」

「フランボワーズだな。俺はナッツのが好きだ」

「すげ、何味か紙に書いてくれてんじゃん。お店みたいだね。本格的だなぁ····。俺、キャラメルちょうだい。ゆいぴ、あーんして?」

「もう、まだ学校だよ?」

「啓吾にしたでしょ? それに、ここなら見られないんだから気になんないでしょ? はい、あー····ん、うまぁ。説教の後にこれいいね。めっちゃ癒される」

「やっぱり、ネチネチ言われたの?」

「ネチネチどころじゃないよ。グチグチグチグチ····。場野がゆいぴに悪影響だうんぬんて言い出して、場野めっちゃキレてた」

「ったりまえだろ。結人が悪に染まってきてるとか、アイツ頭おかしいんじゃねぇの? 結人は今でも良い子だつぅの」

「そんな事言われたの!? 八千代が悪者みたいに言われるの嫌だなぁ。僕、そんなに悪い事してるのかな······ん? え? 良い子?」

 八千代の口から、久々に良い子だと言われて驚いた。

「結人は元が真面目だったかんね。目立つだけじゃない? 俺あの後、成績上がってるって褒められたよ? どうせまた怒られんだろうと思ってたけど、お前らのおかげじゃん? ちゃんと沢っちに言っといた」

「ナイス啓吾。俺らの株上げとかないとね。ゆいぴが悪く見られんのはマジでムカつく」

「皆、素行を改めようとは思わないんだね」

「改めるとこなくねぇか? 毎日学校来てんだし、目立つような問題も起こしてねぇだろ。喧嘩もしてねぇしな」

「八千代、それ普通の事だよ。まぁ、あんまり考えても仕方ないよね。怒られないようにだけ気をつけよ」

「お、珍しいな。結人がそう言うの。投げやりな感じだね。やっぱ俺らの影響受けてんじゃね?」

「皆が悪影響みたいに言わないでよ。そんなわけないでしょ」

 啓吾は自分を過小評価する事が多い。全然、そんな事ないのにな。それに皆を巻き込むのもどうかと思う。

「んーっとね、最近それどころじゃなくってさ。2日におじいちゃん家に挨拶に行ったんだけど、おばあちゃんの体調が良くなくてね。今度、検査入院するんだって」

「おばあちゃんて、あのちっちゃい?」

「うん。そうだよ」

 りっくんは、何度か会ったことがあるから知っているんだ。僕より小さくて可愛いらしい、僕の事を“ゆいくん”と呼び、いつもお菓子をくれる優しいおばあちゃん。
 元気がない姿を見て察してしまうのは、おばあちゃんっ子の僕には凄く辛い。

「そっか。入院いつから? 会いに行かねぇの?」

「今月末くらいって言ってた。そう、でね、たまにおばあちゃん家に行ってきてもいいかな?」

「なんで聞くんだよ。俺らは学校でも会えるんだから、今はばあちゃんに会いに行ってあげな。結人に会ったら、ばあちゃんも元気になんじゃねぇ?」

「えへへっ····そうかな。ありがとう。できるだけ会いに行くよ」


 そうして、週に3日ほど会いに行くようになった。電車で数駅なので遠くはないが、みんなと過ごす時間は格段に減った。


「ゆいくん、最近よく来てくれるねぇ。おばあちゃん嬉しいよ。けど、忙しいんじゃないの?」

「何言ってんの。全然忙しくないよ。おばあちゃんの元気がないから、僕が元気にしてあげたいの!」

 僕は、おばあちゃんに皆の事を話した。“友達”として。沢山思い出ができていることや、初めて経験した事なんかも。
 髪を染めた僕を見た時、おばあちゃん達は凄くびっくりしていたけど、似合ってるねと褒めてくれた。

「ゆいくんのお友達に会ってみたいねぇ。きっと、良い子達なんだろうねぇ」

「うん。皆優しいんだよ。僕なんか、いっつも助けてもらってる」

「今度、連れておいでよ。おばあちゃんがいっぱいおやつ作っておくから」

「いいの!? 皆に聞いてみるね!」


 と、言われたんだと皆に話した。

「俺たち行っていいの? ばあちゃん身体大丈夫なの?」

「うん。おじいちゃんもね、何かしてる方が気が紛れていいんじゃないかって言ってた」

「結人、俺ら不良に見られないか? 頭こんなんだし、場野もいるんだぞ」

 朔がソワソワしている。既に行く気満々のようだが、結婚の挨拶でもしに行くつもりでいるのだろうか。

「テメェ····どういう意味だ、朔」

「お前は言動が不良だからな。俺らも、見た目はお世辞にも優等生じゃねぇだろ。結人が不良とつるんでるって思ったら、おばあさんの心臓に負担かかんねぇか?」

「朔はそれ真剣に言ってるのが凄いね。八千代、拳引っ込めて」

「皆、頭真っ黒にする? どうしよ、俺らみたいなデッカイのが4人も行ったら驚かない?」

 先生に言われても黒くしようとは思わないのに、僕のおばあちゃんの為に黒くしてくれるんだ。

「りっくんも落ち着いて。皆、そのままでいいから。とりあえず来てくれるんだね。嫌がるかなって思ってたんだけど」

「なんで? 結人のばあちゃんに会ってみたいんだけど。絶対可愛いわ」

「えへへ。僕よりちっちゃくて可愛いよ」

「マジで? めっちゃ会いたい」

 恋人の家族、ましてやおばあちゃんって、会いたいものなのだろうか。気まずかったり面倒だったりしないのかな。



 数日後、皆を連れておばあちゃんに会いに行った。

「おばあちゃん、友達連れてきたよ」

「まぁまぁ、よく来てくれたねぇ。ゆいくんがいつもお世話になってます」

 おばあちゃんは、皆に深々と頭を下げて挨拶をした。それがまた小ちゃくて可愛いんだ。

「とんでもないです。大勢で押し掛けてすみません。これ、つまらない物ですが」

 朔がきっちり挨拶してくれている。なんだか本当に、親に挨拶に来たみたいな雰囲気だ。皆、なんとなくソワソワしている。

「気を遣わせてごめんなさいね。どうぞ、上がってゆっくりしていってね。飲み物とお菓子持って行くからね」

 僕は皆を客間に通し、おばあちゃんの手伝いに行った。台所に立つその後ろ姿が、いつも通りで安心した。けれど、少し痩せた気がする。

「おばあちゃん、手伝うね。わぁ、僕これ好きぃ。もう持って行っていいの?」

 おばあちゃんの作ってくれるカスタードプリンは、どこの銘店のプリンよりも好きだ。

「ええ、お願いね。おかわりもあるからね。ねーぇ、ゆいくん。お友達、みんなカッコイイねぇ。優しそうだし良い子達そうで、おばあちゃん安心したよ」

「えへへっ。そうなの。みんなね、すっごく優しいんだよ」


 僕は、皆を紹介できて嬉しかった。それに、皆もプリンを美味しいと言ってくれて、僕の一部を共有できた気がした。
 皆のにやにやが止まらないのが気になったけど、おばあちゃんが楽しそうに僕の昔話をしていたのが微笑ましかった。少し恥ずかしさもあったけど、皆が凄く幸せそうに聞いていたので何も言えなかった。

 
「今日は来てくれてありがとうね。私ばっかり喋っちゃってごめんなさいねぇ。これからも、ゆいくんの事宜しくお願いします」

 おばあちゃんはまた、深々と頭を下げた。

「おばあちゃ~ん、顔上げてよ。俺らの方が結人に世話になってんだからぁ。それに、結人の話いっぱい聞けて嬉しかったよ。また聞かせてね? あのプリンもまた食べに来るから。ホントにめっちゃ美味しかった。ご馳走様でした!」

 啓吾はいつの間にかタメ口で話すほど仲良くなっていた。おばあちゃんは嬉しそうに、僕たちが見えなくなるまで手を振ってくれていた。僕と啓吾は、何度も振り返って手を振り返した。


 帰りの電車で、いつまでもニコニコしている啓吾が言った。

「結人のばあちゃん、めっちゃ可愛かったな。結人そっくりじゃん」

「えっ、似てるの?」

「そっくりだよ。ゆいぴが可愛いのは、間違いなくおばあちゃん譲りだね。おっとりしてるトコとか、喋り方が優しいのとかも」

「それは思った。しっかしあのプリン、マジで美味かったな。作り方聞いたから、いつか作ってやるよ」

「えぇっ!? 八千代、いつの間におばあちゃんと喋ってたの? 全然知らなかったんだけど」

「結人がトイレ行ってる時だな。そん時おじいさんが来て、俺らに挨拶してくれたぞ。それとお前、ゆいくんって呼ばれてんの可愛いな」

「おじいちゃん居たの!? 出掛けてるって聞いてたんだけど····。呼び方ね。ゆいぴよりかはマシかなって思ってスルーしてたんだけどな····」

「忘れ物取りに帰ったとかで、すぐまた出てったよ。じいちゃんも優しそうだったなぁ、ゆ~いくん」

 “ゆいくん”と呼ぶのは即禁止した。なにはともあれ皆、それぞれにおばあちゃんとの時間を楽しんでくれていたらしい。
 家族に友達を紹介するのは初めてだったから、実は少しだけ緊張していた。だけど、皆がすぐに打ち解けてくれたおかげでそれも解れた。啓吾の人懐っこさがこういう時はありがたい。


 少し時間があったので、連れ込まれるように八千代の家に寄った。ここのところ来る頻度が減っていたから、それに伴ってイチャつく時間も減っていた。
 その反動が来たのか、愛撫が激しいうえにしつこい。えっちをする時間はないからと、皆我慢してくれているようだが、全然できていない。

「結人、しゃぶって?」

 啓吾が指で耳を弄りながら強請ってくる。それに対抗して、りっくんが別のお強請りをする。

「ゆいぴ、太腿で挟んでみて」

 僕のお尻を持ち上げると、りっくんは僕の太腿にローションまみれのおちんちんを挟み、ぬちゅぬちゅ動かし始めた。まるで挿れられているような感覚に陥る。

「んっ····はぁっ、やぁっ····」

 これは、もはやえっちだ。腰を打ちつけられる度イッてしまいそうになる。

「結人、イクよ····舌出して。おっきくあーん····ははっ、ちっさ。まだ飲まないでね。出すよ····んっ」

 僕の口が小さい所為か、啓吾の射精の勢いが良すぎる所為か、顔にも沢山かかってしまった。それを指で拭うとキシッとするのだが、その感触の悪さまで好きだ。

「結人、あーん」

 皆、これをさせるのが好きみたいだけど、僕には何がしたいのかわからない。

「んぁー····」

「ん、飲んで」

 啓吾は、とても恍惚な表情を浮かべて次の指示を出す。この確認作業に、何か意味があるのだろうか。

「んくっ····濃いね····喉に引っかかるの」

「ゆいぴ、俺のも飲める?」

「うん。ちょうだい」

 啓吾と同じ要領で、りっくんも確認してから飲み込ませる。この後、朔と八千代もそれぞれ同じ様にシたわけだが、理解できなさすぎでモヤモヤする。

「ねぇ、なんで皆さ、その····飲み込む前にね、1回確認するの?」

「えー····なんとなく····? あぁ、支配欲かな」

 りっくんが何か言い出した。支配欲?

「それだな。それと、なんかエロいのな」

 八千代がりっくんに同調した。それ以外の理由というのは特に無さそうだが、なんとなくわかった。Sの性なのだろう。皆、驚くほどのSっ気を持ち合わせているので、ドM(らしい)僕には理解できなくて当然だった。


 明日からおばあちゃんが入院なので、できるだけお見舞いに行くつもりだ。けど、すぐに退院する予定らしいので、またこうして皆と過ごす時間ができそうだ。
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