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第2話 キャラクター設定
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Side 降井蘭月
緑光の電流線が空間内を飛び回る不思議空間。
その中心にある円形の椅子に座っているのは、黒髪で片目を隠した勝ち気そうな印象の女性でした。
「いらっしゃい」
「あ、はい。どうも」
「ほぉ、挨拶できる系の少年か」
印象通りの勝ち気な声で女性は言います。
戸惑いもありますが、とりあえず軽く頭を下げておきました。
「質問いいですか?」
「どうぞ」
「ここはどこで貴方は誰ですか?」
「私は誰? だったら記憶喪失のテンプレ台詞だったのにな」
何が面白いのか急にケラケラ笑い出しました。
自由ですね、この人。
「ここは《Imaginaire Candrillon》のチュートリアル空間。んで、私はゲームの管理AI。名前はないから好きに呼んで構わないさ」
「なら、アイさんと」
「AIだからかい? 捻りがないねぇ」
またケラケラと笑いだしました。
うーむ、話が進みませんね。
AIと言うからにはシステムに定められた命令に従っているはず。
極端に言えば決められた行動しかできないはずなのに随分とアイさんは自由な印象を受けます。
「アイさんは全プレイヤーのチュートリアルを受け持っているんですか?」
「おう?」
何となく思ったことを口にしたらアイさんは目を丸くしてきました。
おや、それはどういう反応ですか?
「何か聞いちゃマズい系の質問でしたか?」
「いや、そういうわけじゃないさ」
アイさんはどこか面白そうに続けます。
「ゲームのチュートリアルなんて得てしてつまらないものさ。皆が皆はやく本編を始めたいってやっつけで終わらせてしまう。こっちだって好きでやってるわけじゃないのに感じるんだよ。プレイヤーたちの『はやく終わらせろよ』って気配がね」
でも、と、アイさんはこちらに視線を向けながら。
「お前は私にどうでもいい雑談を振ってきたんだ。ただのチュートリアル説明係にしか過ぎない私に向かってね。それがちょっと面白かった」
それだけさ、と言ってアイさんは口の端を緩めました。
別に表情があって会話ができるんですから普通のことだと思うのですが。
私の感覚が違うのでしょうか。
「まあいいさ。質問に答えよう。私は日本サーバーを管理する24人のAIの中の一人。ハードの設定を日本にしているプレイヤーはランダムでこの中から選ばれる。よかったな。美人なお姉さんが当たってくれて」
「…………そうですね」
「おい、いまの間は何だ」
多くは語りません。
口は禍の元……もし付け加えるのであれば私は癒し系の女の子がタイプです。
「なんだい、つれないね。そろそろチュートリアルにいくかい?」
「お願いします」
「よしよし。まずはアバターの作成だ。名前はどうする?」
「ルフランで」
「ルフランね。本名を引き抜いただけのありきたりな決め方だな」
ほっといてください。
私がゲームをするときはいつもこれなんですから。
いままで勇者ルフランがどれだけ世界を救ってきたと思っているんですか。
「今度は容姿の作成だ。一度決めたら変えられねぇから慎重に決めろよ。この設定はハードを通してお前の脳に定められる。ハードを変えたとしても二度と変えることはできねぇ。あ、性別は現実と変えられねぇからな」
「なるほど」
私の目の前には『身長』やら『胸囲』『髪の種類』『目の色』、組み合わせで言えば数万パターンはあるのではないかと思うほどの選択肢が現れました。
「悩みますね」
「迷ったら自分の容姿を元にしてそれをちょっといじるってこともできるぞ」
「ならそれでお願いします」
私の前には毎朝鏡で見た自分の姿が現れました。
死んだ魚のような目をしてますけど、アバターだからですよね?
現実の私の瞳はもっと輝いていますよね?
そんなことを考えながら設定をいじって髪色や瞳の色を変えてみました。
「銀髪……いや、白髪か。何か意味はあるのかい?」
「白が好きなので」
「なるほど単純だ。この世界に視力なんて概念はないが眼鏡はつけたままでいいのかい?」
「眼鏡が好きなので」
「回答が低知能AIだぞ」
自称高知能AIさんが煎餅をばりぼり食いながら笑い飛ばしてきました。
どこから取り出したんでしょうか?
「モデリングは終わりだ。次からはちょっと細かい設定と説明だ」
ゲーム内での禁止行為、初期アイテムの説明、あとはよくある設定を済ませたあと、次に来たのはダイブ型MMORPGならではの設定でした。
「次は痛覚調整。ゲーム内の痛みをどれくらい軽減するかについてだな。ゼロにすることもできるが『Imaginaire Candrillon』はリアルさが売りだ。半分くらいのプレイヤーは痛覚0.01倍くらいでゲームをやってるぞ。痛覚設定をした場合ゲーム開始一週間後に特典が付くしな」
「一週間後ですか?」
「ああ、ゲームを始めて一週間は痛覚調整がいつでも可能なんだ。せっかく始めたのに痛くてゲームができないなんで悲しいだろ? 痛覚調整ができなくなる一週間後に痛覚設定を残したまんまだったらそのときに特典が付く」
痛覚設定の存在は先に始めた先輩から聞いていましたが特典の話は知りませんでした。
もしいろいろと調べてしまったら誘惑に負けそうでしたから。
「特典とはいったい?」
「ランダム。レアスキルかもしれないし平凡な武器かもしれない。ただ痛覚設定を上げれば上げるだけレアものが当たる確率が増えるらしい。実を言うと私もよく知らん」
「チュートリアル説明係がそれでいいんですか?」
「いいんじゃねぇの?」
徹頭徹尾、適当ですねこの人。
「んで、どうするんだ?」
尋ねられて、私はこの設定を知った時から決めていた値を口にしました。
「1.0倍でお願いします」
「わかっ……まて」
頷きかけたアイさんが片目を睨むようにして私に詰め寄ります。
「1.0倍? 馬鹿か。それはリアルと何も変わんねぇってことだぞ。腕を飛ばされても心臓を刺されてもそのままの痛みが伝わるんだ。ファンタジー舐めんなよ? 命なんかすぐに飛ぶぞ?」
「でしょうね」
こちとらファンタジーRPGをどれだけやり込んだと思っているんですか。
プレイキャラが死ぬことなんてめっちゃありましたよ。
「特典に釣られてるならやめとけ。割に合わねぇよ。お前のことはちょっと気に入ってんだ。すぐにこの世界から消えて欲しくねぇ」
「えーと」
何か勘違いをしているみたいですね。
私は別に特典の話を聞く前からこの設定でいくつもりでしたよ。
「大丈夫ですよ。私にも考えがあってのことですから」
「そーか? うーん、でもなぁ」
腕を組みながらうんうん唸り始めました。
本当にこの人はAIなのでしょうか。
中学時代の私よりも自己表現が豊かですよ?
「無理だと思ったらすぐに設定を変えろよ。メニュー画面で変えられるから」
「わかりました」
納得はしていないようですが、とりあえず私の意志は尊重してくれるようです。
まさかAIにこんな心配してもらえるような日が来ようとは。
そのあとも色々と説明や設定を終えて、アイさんは締めくくりの言葉に入ります。
「さて、これで全部の設定が終了だ。あとは可能性広がる冒険の世界が待ってるぜ」
「冒険はいいのですが、このゲームの目的は?」
MMORPGの目的と言えば魔王や邪神の討伐でしょうか?
キャラ設定には随分と丁寧に説明して貰えたのに、肝心のゲームの目的を話し忘れるなんてアイさんも意外とおっちょこちょいなのかもしれません。
そんなことを思っていたのですが――。
「そんなものねぇ」
彼女はあっさりと言い放ちます。
「魔物との戦いを楽しんだっていい。闘技大会の頂点を狙うのもいいな。王都で店を建てたっていいし商人になって金を稼いでみるのも面白ぇ。この世界は自由だ。お前のやりたいと思う気持ちを大切にする世界だ。強いて言えばこのゲームの目的は『楽しむこと』だ」
ゲームを楽しむ。
そんな当たり前のことをアイさんは自身満々に言ってきます。
でも、その言葉が、語る彼女の表情が、このゲームの作成者であるエルミア氏のインタビューを彷彿させました。
「いってこいよ。お前の中に眠る無限の可能性を試して来い」
にやり、と笑いながらアイさんは指さします。
その先にはいつの間にか巨大な扉が私を歓迎するように開いていました。
「わかりました。でも、その前に一つだけ」
「なんだい?」
「また、会えますか?」
せっかくこうして冗談が言えるくらいに知り合えたのですからこれっきりというのは寂しいです。
そういう気持ちで尋ねた質問でしたが、アイさんは顔をきょとんとさせています。
「誰にだ?」
「アイさんにですよ」
「私に?」
「はい」
何をそんなに不思議に思っているのでしょうか。
私が首を傾げながら見つめていると、アイさんは急にピクピクと身体を震わせて――。
「あーははっははっはっ! 無理だ! 面白ぇよ、お前ッ!!」
ふむ、急に笑い出しましたよ?
どういう反応ですか、それ。
「初めてだ。こんなただのゲーム案内人にそんなことを言ったのは」
「それほどでも」
「褒めてねぇよ! あぁ面白ぇッ!」
アイさんは瞳に溜まった滴を払います。
AIでも泣くんですね、笑い泣きですけど。
「会えるかどうかはお前次第だ」
「どういう意味で?」
「私は《Imaginaire Candrillon》でチュートリアルともう一つ役割を持っている。お前がそこに辿り着ければもう一度会えるさ」
なるほど、そういうことですか。
「つまりゲームを続けてればまた会える、と」
「けっこう頑張らないと駄目だけどな。でも、お前ならできそうな気がする」
アイさんは親指を立てながら、最後の激励を送ってきました。
「いってこい」
「はい。いってきます」
短く答えて、私は扉へと歩き出しました。
足を踏み入れると、視界を猛烈に焼く光の放流が私を襲います。
その激流に飲み込まれながら、扉がゆっくりと閉じていき――。
「敗けるなよ、力の限り」
アイさんのそんな言葉を最後に。
私の《Imaginaire Candrillon》がはじまりました。
緑光の電流線が空間内を飛び回る不思議空間。
その中心にある円形の椅子に座っているのは、黒髪で片目を隠した勝ち気そうな印象の女性でした。
「いらっしゃい」
「あ、はい。どうも」
「ほぉ、挨拶できる系の少年か」
印象通りの勝ち気な声で女性は言います。
戸惑いもありますが、とりあえず軽く頭を下げておきました。
「質問いいですか?」
「どうぞ」
「ここはどこで貴方は誰ですか?」
「私は誰? だったら記憶喪失のテンプレ台詞だったのにな」
何が面白いのか急にケラケラ笑い出しました。
自由ですね、この人。
「ここは《Imaginaire Candrillon》のチュートリアル空間。んで、私はゲームの管理AI。名前はないから好きに呼んで構わないさ」
「なら、アイさんと」
「AIだからかい? 捻りがないねぇ」
またケラケラと笑いだしました。
うーむ、話が進みませんね。
AIと言うからにはシステムに定められた命令に従っているはず。
極端に言えば決められた行動しかできないはずなのに随分とアイさんは自由な印象を受けます。
「アイさんは全プレイヤーのチュートリアルを受け持っているんですか?」
「おう?」
何となく思ったことを口にしたらアイさんは目を丸くしてきました。
おや、それはどういう反応ですか?
「何か聞いちゃマズい系の質問でしたか?」
「いや、そういうわけじゃないさ」
アイさんはどこか面白そうに続けます。
「ゲームのチュートリアルなんて得てしてつまらないものさ。皆が皆はやく本編を始めたいってやっつけで終わらせてしまう。こっちだって好きでやってるわけじゃないのに感じるんだよ。プレイヤーたちの『はやく終わらせろよ』って気配がね」
でも、と、アイさんはこちらに視線を向けながら。
「お前は私にどうでもいい雑談を振ってきたんだ。ただのチュートリアル説明係にしか過ぎない私に向かってね。それがちょっと面白かった」
それだけさ、と言ってアイさんは口の端を緩めました。
別に表情があって会話ができるんですから普通のことだと思うのですが。
私の感覚が違うのでしょうか。
「まあいいさ。質問に答えよう。私は日本サーバーを管理する24人のAIの中の一人。ハードの設定を日本にしているプレイヤーはランダムでこの中から選ばれる。よかったな。美人なお姉さんが当たってくれて」
「…………そうですね」
「おい、いまの間は何だ」
多くは語りません。
口は禍の元……もし付け加えるのであれば私は癒し系の女の子がタイプです。
「なんだい、つれないね。そろそろチュートリアルにいくかい?」
「お願いします」
「よしよし。まずはアバターの作成だ。名前はどうする?」
「ルフランで」
「ルフランね。本名を引き抜いただけのありきたりな決め方だな」
ほっといてください。
私がゲームをするときはいつもこれなんですから。
いままで勇者ルフランがどれだけ世界を救ってきたと思っているんですか。
「今度は容姿の作成だ。一度決めたら変えられねぇから慎重に決めろよ。この設定はハードを通してお前の脳に定められる。ハードを変えたとしても二度と変えることはできねぇ。あ、性別は現実と変えられねぇからな」
「なるほど」
私の目の前には『身長』やら『胸囲』『髪の種類』『目の色』、組み合わせで言えば数万パターンはあるのではないかと思うほどの選択肢が現れました。
「悩みますね」
「迷ったら自分の容姿を元にしてそれをちょっといじるってこともできるぞ」
「ならそれでお願いします」
私の前には毎朝鏡で見た自分の姿が現れました。
死んだ魚のような目をしてますけど、アバターだからですよね?
現実の私の瞳はもっと輝いていますよね?
そんなことを考えながら設定をいじって髪色や瞳の色を変えてみました。
「銀髪……いや、白髪か。何か意味はあるのかい?」
「白が好きなので」
「なるほど単純だ。この世界に視力なんて概念はないが眼鏡はつけたままでいいのかい?」
「眼鏡が好きなので」
「回答が低知能AIだぞ」
自称高知能AIさんが煎餅をばりぼり食いながら笑い飛ばしてきました。
どこから取り出したんでしょうか?
「モデリングは終わりだ。次からはちょっと細かい設定と説明だ」
ゲーム内での禁止行為、初期アイテムの説明、あとはよくある設定を済ませたあと、次に来たのはダイブ型MMORPGならではの設定でした。
「次は痛覚調整。ゲーム内の痛みをどれくらい軽減するかについてだな。ゼロにすることもできるが『Imaginaire Candrillon』はリアルさが売りだ。半分くらいのプレイヤーは痛覚0.01倍くらいでゲームをやってるぞ。痛覚設定をした場合ゲーム開始一週間後に特典が付くしな」
「一週間後ですか?」
「ああ、ゲームを始めて一週間は痛覚調整がいつでも可能なんだ。せっかく始めたのに痛くてゲームができないなんで悲しいだろ? 痛覚調整ができなくなる一週間後に痛覚設定を残したまんまだったらそのときに特典が付く」
痛覚設定の存在は先に始めた先輩から聞いていましたが特典の話は知りませんでした。
もしいろいろと調べてしまったら誘惑に負けそうでしたから。
「特典とはいったい?」
「ランダム。レアスキルかもしれないし平凡な武器かもしれない。ただ痛覚設定を上げれば上げるだけレアものが当たる確率が増えるらしい。実を言うと私もよく知らん」
「チュートリアル説明係がそれでいいんですか?」
「いいんじゃねぇの?」
徹頭徹尾、適当ですねこの人。
「んで、どうするんだ?」
尋ねられて、私はこの設定を知った時から決めていた値を口にしました。
「1.0倍でお願いします」
「わかっ……まて」
頷きかけたアイさんが片目を睨むようにして私に詰め寄ります。
「1.0倍? 馬鹿か。それはリアルと何も変わんねぇってことだぞ。腕を飛ばされても心臓を刺されてもそのままの痛みが伝わるんだ。ファンタジー舐めんなよ? 命なんかすぐに飛ぶぞ?」
「でしょうね」
こちとらファンタジーRPGをどれだけやり込んだと思っているんですか。
プレイキャラが死ぬことなんてめっちゃありましたよ。
「特典に釣られてるならやめとけ。割に合わねぇよ。お前のことはちょっと気に入ってんだ。すぐにこの世界から消えて欲しくねぇ」
「えーと」
何か勘違いをしているみたいですね。
私は別に特典の話を聞く前からこの設定でいくつもりでしたよ。
「大丈夫ですよ。私にも考えがあってのことですから」
「そーか? うーん、でもなぁ」
腕を組みながらうんうん唸り始めました。
本当にこの人はAIなのでしょうか。
中学時代の私よりも自己表現が豊かですよ?
「無理だと思ったらすぐに設定を変えろよ。メニュー画面で変えられるから」
「わかりました」
納得はしていないようですが、とりあえず私の意志は尊重してくれるようです。
まさかAIにこんな心配してもらえるような日が来ようとは。
そのあとも色々と説明や設定を終えて、アイさんは締めくくりの言葉に入ります。
「さて、これで全部の設定が終了だ。あとは可能性広がる冒険の世界が待ってるぜ」
「冒険はいいのですが、このゲームの目的は?」
MMORPGの目的と言えば魔王や邪神の討伐でしょうか?
キャラ設定には随分と丁寧に説明して貰えたのに、肝心のゲームの目的を話し忘れるなんてアイさんも意外とおっちょこちょいなのかもしれません。
そんなことを思っていたのですが――。
「そんなものねぇ」
彼女はあっさりと言い放ちます。
「魔物との戦いを楽しんだっていい。闘技大会の頂点を狙うのもいいな。王都で店を建てたっていいし商人になって金を稼いでみるのも面白ぇ。この世界は自由だ。お前のやりたいと思う気持ちを大切にする世界だ。強いて言えばこのゲームの目的は『楽しむこと』だ」
ゲームを楽しむ。
そんな当たり前のことをアイさんは自身満々に言ってきます。
でも、その言葉が、語る彼女の表情が、このゲームの作成者であるエルミア氏のインタビューを彷彿させました。
「いってこいよ。お前の中に眠る無限の可能性を試して来い」
にやり、と笑いながらアイさんは指さします。
その先にはいつの間にか巨大な扉が私を歓迎するように開いていました。
「わかりました。でも、その前に一つだけ」
「なんだい?」
「また、会えますか?」
せっかくこうして冗談が言えるくらいに知り合えたのですからこれっきりというのは寂しいです。
そういう気持ちで尋ねた質問でしたが、アイさんは顔をきょとんとさせています。
「誰にだ?」
「アイさんにですよ」
「私に?」
「はい」
何をそんなに不思議に思っているのでしょうか。
私が首を傾げながら見つめていると、アイさんは急にピクピクと身体を震わせて――。
「あーははっははっはっ! 無理だ! 面白ぇよ、お前ッ!!」
ふむ、急に笑い出しましたよ?
どういう反応ですか、それ。
「初めてだ。こんなただのゲーム案内人にそんなことを言ったのは」
「それほどでも」
「褒めてねぇよ! あぁ面白ぇッ!」
アイさんは瞳に溜まった滴を払います。
AIでも泣くんですね、笑い泣きですけど。
「会えるかどうかはお前次第だ」
「どういう意味で?」
「私は《Imaginaire Candrillon》でチュートリアルともう一つ役割を持っている。お前がそこに辿り着ければもう一度会えるさ」
なるほど、そういうことですか。
「つまりゲームを続けてればまた会える、と」
「けっこう頑張らないと駄目だけどな。でも、お前ならできそうな気がする」
アイさんは親指を立てながら、最後の激励を送ってきました。
「いってこい」
「はい。いってきます」
短く答えて、私は扉へと歩き出しました。
足を踏み入れると、視界を猛烈に焼く光の放流が私を襲います。
その激流に飲み込まれながら、扉がゆっくりと閉じていき――。
「敗けるなよ、力の限り」
アイさんのそんな言葉を最後に。
私の《Imaginaire Candrillon》がはじまりました。
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