いつか愛してると言える日まで

なの

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君と僕 

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君と初めて会った時から僕は君に恋してた。


茜色の空が街を染めるのを1人高台の上から僕は眺めていた。
僕は1人ぼっち、いつか、この街を出て行かなければいけないと、ずっと思っていた。
親に虐待され捨てられたオメガの僕はいつか幸せになりたいとずっと願ってきた。

でも現実は、そんな幸せあるわけがない。
僕には幸せになれる権利もないのだから。
僕はオメガであり、小さい頃の虐待のせいで子どもが産めないと言われている。オメガは男性でも子どもが産めると言われてる中で子どもも産めない僕は役に立たない存在だろう。

なぜ生きてるのか、どうして親は僕を捨てたのか…
それはオメガだからに決まってる。
きっと君も…僕がオメガで子どもが産めないと知ったら離れていくんだろうな…そう思ってたら

「またここにいた」
君の声が聞こえて振り向いた。
佐伯かなでの声がした。

「あ!奏」

振り返ると琥珀色の目と合った。
奏は呆れたように「またお前はここにいる、いつまで見てるんだ!」と少し怒りながらもいつも声をかけてくれる。

奏と僕の出会いはこの高台だった。

学校の帰り道、いつもこの高台に寄っていた。
奏と僕は同じ学校だったけど、クラスも違うし、なんの接点もなかった。

僕は施設育ちで奏は弁護士をしてるお父さんがいる。聞いたことないけど、きっとアルファだろう。

そんな彼とは学校帰りのこの高台でいつも会う。というか寄り道してる僕を迎えに来てくれてると言った方がいいのかもしれない。

いつものように声をかけられベンチに置いてたランドセルを右肩に引っ掛ける。

「今日どうだった?クラス楽しかった?」
「別に普通」
「ふぅーん」

そんなたわいもない話をしながら歩いていく。

高台から真っ直ぐ伸びた道の信号で僕は右、奏は左に曲がる

「純平また明日な」

「また明日ね奏」

今日も奏と話できた。嬉しくて頬を赤く染めながら施設への道を歩いていく。

「あいつ大丈夫かな?」いつも奏は心配そうに純平の後姿を見つめていた。

純平は施設に着くと一呼吸おいてから静かに玄関を開ける。すると

「いつまで帰って来ないの?いつも言ってるでしょ学校が終わったら早く帰って来いって!」

「…ごめんなさい」

「ここで拾ってもらった恩はちゃんと返しなさいよ!」

「…わかりました」

「わかったんなら早く着替えていつもの部屋に来なさい」

「…っ……は…い…」

これからあの拷問が始まると思うと折角、奏と話せた嬉しい気持ちが萎んでしまう…
ここから逃げたい。でも逃げてもきっと逃げられない。
僕はこれからもずっと玩具なんだから…
早く大人になって、ここから逃げよう。着替えながらずっと純平は心を閉ざした。

いつかきっと絵本のように王子様が迎えに来てくれると信じて…








バチーン…部屋に大きな音が響いた。

「全くいい加減にしろ!」

「…っ…ごめん…なさい」

「オメガで…親に見捨てられたお前を拾ってやったのは誰なんだ!」

「…施設…長…です」

「わかったんなら早く帰って俺の咥えろよ!」
「まだガキだから、こっちは我慢してやるからよー」

「……はい」

まだ小さな口にとてつもなく大きな物を咥えさせられた。臭くて、のどが詰まり吐き気が起こる、でもやめたら殴られる!涙目になりながら純平は心を閉ざした。

いつか…いつか…ここを出よう。
早く…大人になろう。

でもこんな事、奏に知られたら嫌われてしまうな…と頭の隅で考えながら…
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