いつか愛してると言える日まで

なの

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2人の未来へ

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しばらくしてドアが開いて車椅子に乗った純平が見えた。
顔色は良さそうだな。純平と目が合った。純平は目を見開き「…なんでっ…奏が…」とみるみるうちに目に涙が浮かんできた。

「純平…?」

「ごめんっ…ね。奏…ごめん…」

「えっ…」

「僕が悪かったから…奏に嫌な思いさせて…ごめん…ねっ…」

「えっ…純平…何言ってるの?純平は何も悪くなんかない。悪いのは全部、俺だから。番になったのに…忘れてごめん…ほっ…んと…に…ごめ…ん…純平…」

「なんでっ……」

「聞いたんだ。結城先生や誠先生、郁人に…あの日のこと…でも俺、やっぱりまだ何も思い出せてなくて…だけど…純平の事、本当に好きだから、愛してるから。純平と番になってるって言われて嬉しかった。純平…愛してる。こんな俺だけど、これからも一緒にいてくれる?」

「か…なっ…で…僕っも…グスッ…好き…ずっと大好き…だった…」
そう言って純平は俺に手を伸ばしてきた。俺はその手を掴んで力一杯抱きしめた。

「もう離さないから…これから一緒にいよう」

「ほん…っとに…?」

「本当に…」震える背中を撫でながら「大丈夫。大丈夫だから純平。一緒にいよう。これからもずっとずっと…」   


それから俺たちはたくさん話をした。今まで会えなかった時間、離れていた分を取り戻すように…

でも長い時間話しすぎたのか流石に疲れたようで純平はゆらゆらと船を漕ぎ出し俺にもたれかかってきた。

「純平、疲れたね。また明日、話しよう。明日も必ず来るから」
「いやっ…一緒にいるっ。まだ一緒にいるっ…」 そう言って俺の首にしがみついてきた。
そんな事を言ってくれて可愛いけど…流石に起きたばかりだ。
「純平…無理して明日会えなくてもいいの?」
「…ぐすっ…わかった…」

「じゃあ、もう少しだけ…」そう言って純平を優しく抱きしめた。純平の体温が伝わってくる。俺は6年前に自分が付けた噛み跡に唇を寄せた。純平からはライラックの花のような甘い匂いがしていた。
この匂い…どこかで嗅いだことあるような?


そういえばライラックの花言葉は確か「思い出?」その途端、目の前がチカチカして頭痛がしてきた。「うっ…」

「奏…ねぇ…奏…大丈夫?ねぇ…」


◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆


「純平…好きだよ。オレの番になって」 

「奏は僕を捨てないでっ、絶対に捨てないで」

「当たり前だろ捨てるわけない。捨てないよ。純平はずっとオレのものだから。愛してるよ…純平…オレのオレだけのオメガだよ」


◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆


あぁーそういう事だったんだ…涙がいくつもいくつも溢れてきた。

「奏、ねぇ…奏、大丈夫?大丈夫なの。ねぇ…」


「…純平…ごめん…本当にごめん…純平、俺、思い出したから、あの日の事…全部…純平と番になった日のこと…あんなに大切な思い出だったのに…俺…本当ごめんな。純平はオレだけの…俺だけのオメガだよ。純平…愛してる」

「奏…思い出したの?本当に…?」  

「あぁー全部…思い出したよ。ごめんな…思い出すの遅くなって…純平…愛してる。」

「僕も奏のこと愛してる」

「…っ純平からって初めて聞いた。嬉しいな」

「愛してるよ奏…」 

俺たちは触れるだけのキスをしてしばらく抱き合ったままでいた。


俺たちはやっとあの日から動き出せた。でもまだ俺も学生だ。生活力もない…当分一緒に住めないと思っていたら、結城先生が「私がマンションを借りるよ。2人にお詫びだし…純平とは家族だからね」って言ってくれた。
純平のリハビリが順調に進んで歩けるようになったら一緒に暮らそう…と約束した。


ある日、健太さんから「純平が発情期ヒートの症状がきたから早くこい」と電話があった。
俺は急いで学校を抜け出し念のため抑制剤を噛み砕きながら施設に向かった。

施設のヒート専用の部屋を施設長が許可をして入れてくれた。
部屋の前に行くとライラックの花のような甘い匂いが充満している。あまりにも濃厚な匂いに、さっき薬を飲んだのにラットを起こしそうになる。「やばっ…」部屋に入る前に急いでバックから抑制剤入りの注射器を出し、太ももに打った「うっ…」多少の痛みとめまいはするがすぐに落ち着くだろう。それよりも純平だ…

部屋に入ると久しぶりにヒートを起こした純平は顔を真っ赤にして「はぁ、はぁ…」と息苦しそうにして身体を丸めていた。すでにほぼ全裸の姿に、さっき薬を打ったが、目の前の番を犯したい。快楽に浸りたいと思ってしまう。
でもだめだ…必死に理性を総動員させた。

「純平…遅くなってごめんね。大丈夫?苦しそうだね。早く楽になろうね」そう言って頭を撫でると「奏…かなっ…で…」と俺に擦り寄ってくる。

「純平大丈夫だよ。触っていい?」

「いっぱい…触って…」

潤んだ瞳で見つめられ、あー俺の番はなんて可愛いんだろう。薬で抑えてるとはいえ久しぶりに身体を合わせると考えただけで自身の昇りが爆発しそうだ。自分よりまずは可愛い番を今までできなかった分たくさん愛してあげよう…
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