鬼上司と秘密の同居

なの

文字の大きさ
23 / 105

俺の過ち side浅井 透

しおりを挟む
昨日、海斗の様子がおかしかった。俺はてっきり職場で怒鳴ってしまったのが原因かと思ってたけど…それにしては態度がおかしかった…気になりながらも鍵をかけてまで閉じこもってしまったので、そっとしておくのもいいかと思った。

でも心配で夜中ドアの前にいくと中から啜り泣く声が聞こえて胸が痛んだ…そんなに泣くほど辛かったのか…でもいつもならそこまでじゃないのに…他に何かあるのかもしれない。不安になりながらも朝からのアポの為、職場に向かった。

今日は早く帰ろう。今日こそは海斗とちゃんと話をしようと声をかけたら海斗は同期の平井と飲みに行くと…
前々から平井の海斗に対する接し方が同期以上の何かがあるんじゃないかと心配で海斗が誰かと2人きりにならないようにしていたのに…朝からの商談が思ったよりも長引いてしまって俺がいない間に約束してしまっていた。心配になった俺は四ノ宮を頼った。

「頼む。海斗が同期と飲みに行くことになった。見張りでもつけてくれないか?」
「は?別にそんなんしなくても大丈夫じゃない?」
「いや…昨日の様子がおかしくて…頼む四ノ宮」
「仕方ないなーそんな大事な子なら泣かすようなこと済んじゃないぞ。とりあえず飲んで家に帰るのを見届ければいいんだな。頼んどくから」
「ありがとう四ノ宮、恩に切るよ」
「はいはーい」

それから3時間後、家で待ってた俺は四ノ宮からの電話で衝撃を受けた。学の店で四ノ宮と西原が飲んでいたが、尾行している部下から、海斗がずいぶん飲んだようで足元も覚束ない。そのまま平井の家に連れて行かれた…と。四ノ宮に頼んで平井の家に向かった。でも海斗が俺に対しての様子がおかしかった意味をその時に知った。

川上さんと会ってたのを見られていたとは…頭を抱えたくなった。まだ海斗には知られたくなかったのに…ただもう知られてしまった以上、真実を話べきと判断したが、海斗にそれすら拒否をされた…俺は海斗しかいらないのに…海斗がいてくれればそれでいいのに…どうしたら…

「それで?お前はなんでその川上さん?っていう女性といたの?お前まさか女とやったのか?できちゃったの?」
「四ノ宮、お前バカなの?んっな訳ないだろ」
「浅井…それは知ってる。けど何故だ?その女といた理由は?散々苦しんできた海斗にこれ以上、心に負担をかけるな。悠人が誰よりも信頼してる海斗に何かあったら俺はお前を許さないからな」
「わかってる。全部話すよ」


先週、親父とお袋に会った。その時に俺はゲイだから男しか抱けないこと。だから女性と結婚できないし、するつもりもないこと。いずれ社長になるために頑張ってきたけど、親父が受け入れられないなら縁を切ってほしい。その場合は仕事も辞める…とただ今、結婚したい人と同棲してることを伝えたらさ、親父もお袋も全く反対しなくて…お袋はそんな気がしてたって言われたよ。

それならば、そろそろ社長業の勉強をしないかと言われて…そうなったら管理の為に秘書を付けろと…俺の付けたい秘書でいいと言われた。海斗を秘書として俺の側に居させたいって言ったんだ。もしそうなったらいいなって前から思ってたし…親父から秘書室長の土居さんに秘書について教えてもらえと言われたけど、海斗が俺と男の人が会うのを嫌がるかな?と思って…秘書主任の川上さんと会うことになってさ。まさかその現場を見られてるなんて思ってなかった…

「海斗は、この前お前に女は抱けないと言われても元カレの浮気現場を見ただろう?やっぱ重なったんじゃないの?しかもタクシーって、どこかで待ち合わせしたらよかったんじゃないか?かわいそうに…もう少し気を使えよ。それでなくても心が弱い子なのに…両親のことがようやく落ち着いたのに、お前がそんなんで誰が海斗を支えて守ってあげられるんだよ」

「学の言う通り。女だからいいって訳じゃないぞ。なんで1番に伝えなかった。内緒にしておくメリットってあるのかよ。海斗くんが秘書になりたくないって言ったら?そう言われることだってあるんだぞ。ヘタレかお前は」

「秘書の仕事内容の把握を先にしておきたくて…」
「でも2人きりで会わなくてもよかったんじゃない?」
「タクシーで2人で向かったけど、場所には親父も室長もいたから…たまたま出口で会ったから行こうってなって…」
「2日続けて?」
「一昨日は偶然、昨日は秘書セミナーがあるからって見学に誘われて…」
「お前、狙われてる?彼女に…」
「告白は何度かされたことがあるけど、ちゃんと断ったし…」
「海斗くんを秘書にしたいって言ったの?」
「いや…詳しい話は何も、ただ秘書になるにはどうしたらって…彼女は親父と俺の関係性知ってるから」
「お前が秘書になると思ってるんじゃん?」
「その人、大丈夫なの?例えば抱きつかれたり、甲斐甲斐しく世話焼いたりされてないか?」
「あぁ…一昨日タクシーに乗る時に急によろけて抱きつかれた」

『はぁ?』

「それ…海斗くん見たんじゃね?だから浅井のこと全身で拒否したんじゃ?」
「海斗、トラウマ持ってるし…このままだと拗らせたまんまだぞ。一眠りして迎えに行こう。悠人から海斗寝たって連絡きたから朝までは寝てると思うし…まぁ3時間くらいは寝れるか…その辺のソファーで寝ろよ。今掛けるもん持ってくるから…」

まさか見られた?あれは咄嗟に転ばないように支えただけで…でも海斗のことだから絶対に勘違いしてる。この勘違いをどうしたらわかってもらえるか…川上さんに頼むか?それだと余計にダメか?俺は一体どうしたら…

「浅井、とりあえず寝ろ。明日みんなで話しよ」

俺は結局、眠れない夜を過ごした。あんなに海斗を泣かせた俺は…ヘタレで最低だ…
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

処理中です...