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暴れる魔力と、掴まれた手
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火球の魔法を使ったその日、俺はすっかり興奮していて、家に帰ってからもライガに質問攻めだった。
「じゃあ風の魔法って、扇風機みたいなこともできる?」
「できる」
「土を操れるってことは、耕したりも?」
「できる」
「水は……シャワーにもなる?」
「……なるが、風呂場は濡れる」
「なるほど、限界が見えた」
そんなやりとりをしながら、どこか子どもみたいにワクワクしていた。
翌朝。ライガの提案で、森の中の開けた場所に来ていた。
「今日は少し、応用に挑んでみるか」
「おお、ついに中級者編!?」
「……基本に忠実であれ。中級者こそ、足元をすくわれる」
真顔で言われて、ちょっと背筋が伸びる。
俺が挑戦するのは――“圧縮型風刃魔法”。
風を鋭く圧縮して、木の枝を切る程度の魔法。生活にも使えるけど、少し危ない。
「集中しろ。風は、ただの空気の流れではない。意志で形を与え、力を持たせろ」
「うん……わかった……!」
風の流れを感じる。手のひらに、イメージを集める。
するすると空気が集まってくる感覚。次第に、腕の奥が重く、熱を持ち始め――
「……っ!」
ドクン。
次の瞬間、魔力が弾けた。
風の刃が暴走し、木々の枝を無差別に斬り払っていく。
「やば――!止まれ、止まれっ!!」
焦れば焦るほど風が荒れ、
風圧で身体ごと後ろに持っていかれそうになる。
「――危ないッ!」
ドン、と何かが俺にぶつかる感触。次の瞬間、地面に倒れ込んでいた。
「……大丈夫か」
ライガの腕が、俺の身体を庇うように包んでいた。
「ご、ごめん……!」
「大丈夫だ。だが、今のは本当に危なかった。お前の魔力、思った以上に……圧が強い」
悔しかった。怖かった。
そして……自分が、自分じゃないみたいだった。
「……使いたくないかも。魔法」
「なぜだ」
「自分が制御できなくて、誰かを傷つけたらって思ったら……。俺、また……」
また、誰かを泣かせるかもしれない。あの日の、会社の上司の顔が頭をよぎる。
そのとき、ライガが俺の手をそっと握った。
「お前は、優しい。その優しさを恐れに変えるな」
「……でも」
「魔力は暴れる。だが、お前の心までは暴れていない。怖がってもいい。だが逃げるな。……お前の手は、俺が握ってる」
ぎゅっと、強く、でも壊さないように握られた手。
温かくて、まっすぐで、俺の中の震えを、少しずつ静めてくれた。
「……ありがと。もうちょっとだけ、頑張ってみる」
「それでいい。焦らず、進めばいい」
その日、魔法の訓練はそこで終わった。
でも……心のどこかで確信していた。
この村での生き方が、少しずつだけど、俺の中に根を張り始めているって。
「じゃあ風の魔法って、扇風機みたいなこともできる?」
「できる」
「土を操れるってことは、耕したりも?」
「できる」
「水は……シャワーにもなる?」
「……なるが、風呂場は濡れる」
「なるほど、限界が見えた」
そんなやりとりをしながら、どこか子どもみたいにワクワクしていた。
翌朝。ライガの提案で、森の中の開けた場所に来ていた。
「今日は少し、応用に挑んでみるか」
「おお、ついに中級者編!?」
「……基本に忠実であれ。中級者こそ、足元をすくわれる」
真顔で言われて、ちょっと背筋が伸びる。
俺が挑戦するのは――“圧縮型風刃魔法”。
風を鋭く圧縮して、木の枝を切る程度の魔法。生活にも使えるけど、少し危ない。
「集中しろ。風は、ただの空気の流れではない。意志で形を与え、力を持たせろ」
「うん……わかった……!」
風の流れを感じる。手のひらに、イメージを集める。
するすると空気が集まってくる感覚。次第に、腕の奥が重く、熱を持ち始め――
「……っ!」
ドクン。
次の瞬間、魔力が弾けた。
風の刃が暴走し、木々の枝を無差別に斬り払っていく。
「やば――!止まれ、止まれっ!!」
焦れば焦るほど風が荒れ、
風圧で身体ごと後ろに持っていかれそうになる。
「――危ないッ!」
ドン、と何かが俺にぶつかる感触。次の瞬間、地面に倒れ込んでいた。
「……大丈夫か」
ライガの腕が、俺の身体を庇うように包んでいた。
「ご、ごめん……!」
「大丈夫だ。だが、今のは本当に危なかった。お前の魔力、思った以上に……圧が強い」
悔しかった。怖かった。
そして……自分が、自分じゃないみたいだった。
「……使いたくないかも。魔法」
「なぜだ」
「自分が制御できなくて、誰かを傷つけたらって思ったら……。俺、また……」
また、誰かを泣かせるかもしれない。あの日の、会社の上司の顔が頭をよぎる。
そのとき、ライガが俺の手をそっと握った。
「お前は、優しい。その優しさを恐れに変えるな」
「……でも」
「魔力は暴れる。だが、お前の心までは暴れていない。怖がってもいい。だが逃げるな。……お前の手は、俺が握ってる」
ぎゅっと、強く、でも壊さないように握られた手。
温かくて、まっすぐで、俺の中の震えを、少しずつ静めてくれた。
「……ありがと。もうちょっとだけ、頑張ってみる」
「それでいい。焦らず、進めばいい」
その日、魔法の訓練はそこで終わった。
でも……心のどこかで確信していた。
この村での生き方が、少しずつだけど、俺の中に根を張り始めているって。
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